新卒で外資系の広告代理店に就職するために必要なこととは?
2022年11月17日更新
はじめに
就活を始めると、誰もが一度は興味を持つのが外資企業ではないでしょうか?
外資企業の中でも、特に華やかなオーラを持つ広告代理店に、憧れる人は少なくないでしょう。
一方で、新卒で外資系の広告代理店に入社するための情報はほとんどないと言えます。
そのため、以下のようなお悩みがよく聞かれます。
「そもそも新卒で外資系の広告代理店に入社は可能?」
「日本の代理店と何が違うの?」
「入社するためには何が必要?」
そこで今回は、そもそも外資系の広告代理店とはどのような場所なのか、またどのような特徴があるのかということに加え、どのように入社までの道筋を描くべきかなどを詳しくご紹介します。
外資系の広告代理店に興味がある人はもちろん、広く業界研究をしたい人もぜひ最後までお読みくださいね。
1.外資系の広告代理店とは?
①外国企業が設立した日本法人もしくは日本における子会社
②外国企業と日本企業が合弁事業として設立した日本企業
①を分かりやすく説明すると、日本ではAmazonなどが代表的な例です。
②は企業名に日本の広告代理店企業の名称が入っていることが多く、簡単に見分けることができます。
参考までに、日本で最も有名な広告代理店である電通は、世界的に見てもTOP5に入る売上です。しかし言い換えれば、電通よりもさらに大きな売上を持つ広告代理店が、世界には存在しているのです。
2.外資系広告代理店の特徴
では、外資系の広告代理店は日本の広告代理店と比較し、どのような違いがあるのでしょうか。
①新卒採用は行っていない企業が多い
②報酬制度に特徴がある
③成果に基づいた報酬が支払われる
以上、最も違いが分かりやすい3点をご紹介します。
①新卒採用は行っていない企業が多い
外資系広告企業の最大の特徴は、新卒採用を基本的には行っていない点です。
厳密に言うと、新卒採用を行っていないのではなく、即戦力を求めるために実績がある人しか採用していないという言い方が正しいでしょう。
そのため、応募することは可能ですが、面接を通過することはほぼ不可能と言えます。
例えば、学生時代にインターンやバイトで広告関連の仕事に携わっていたとしても、外資系広告代理店が対峙するクライアントは大企業が多いことから、学生時代の経験は経験としてすら認めてもらえない可能性が高いと言えます。
また、新卒が入社する前提ではないことから、育成プログラムなどの用意もありません。
入社と同時に教育を行うという考え方は日本独特のものであり、世界基準ではそのような感覚が珍しいことを理解しておく必要があります。
②報酬制度に特徴がある
報酬制度も、日本の広告代理店と大きく異なる点のひとつです。
一般的に外資系の広告代理店では、フィー制度と呼ばれる制度がとられています。
フィー制度は広告を打つ際に、製作費や人件費を計算し、全てを満たした金額をクライアントに報酬額として提示する方法です。これにより、広告の成果に関わらず一定の報酬を受け取ることが可能となります。
ただし、一定の成果を約束した上で広告のプランニングがなされます。
そのため、成果に見合った報酬を人件費として予め提示する必要が生じます。
個の考え方に基づくと、なおさら外資系広告代理店では新卒が活躍できないような仕組みになっていることをご理解いただけるのではないでしょうか。
③成果に基づいた報酬が支払われる
報酬制度からも分かるように、外資系広告代理店では成果が非常に重視されます。
成果が伴わない場合は、満足な収入を得ることができないほか、場合によっては退職に追い込まれることも少なくありません。
日本の広告代理店においては、全員の給与がある程度保証されており、電通や博報堂などの大手広告代理店では、平均年収は1,000万円以上とされています。
外資系の広告代理店では、成果を出したらその分の報酬を確実に得ることができます。
下がる幅が大きくなる可能性はあるものの、上がる幅も十分に確保されているのが特徴です。
また、成果をきちんと出していれば勤務体系などに縛りはありません。
自分の時間を自由に使うことができる点も、外資系広告代理店の特徴と言えます。
3.代表的な外資系広告代理店
では、実際にどのような外資系の広告代理店があるのか見ていきましょう。
①WPPグループ
②オムニコムグループ
③ピュブリシスグループ
④インターパブリックグループ
こちらでは、世界的に広く知られる代表的な外資系の広告代理店をご紹介します。
①WPPグループ
WPPグループは、世界最大の広告代理店です。
イギリス・ロンドンに本社を構えながら、日本を含めた世界110カ国に支社を置いています。
売上高は2兆円規模となっており、有名グローバル企業の広告を多数手がけています。
また、人数も約11万人と多く、その規模の大きさを知ることができます。
元々あった1社が大きくなっていたのではなく、成長の過程で複数の代理店系の会社を買収しながら拡大していきました。
グローバル企業ゆえに人権や男女平等などにも積極的に取り組んでおり、女性の役員登用率が高いことでも知られています。現に、日本企業のCEOには女性が就任しています。
日本では、ADKとの資本業務提携が話題となったことも記憶に新しい出来事です。
全世界を通じて知らない人はいない、まさに広告代理店の代表とも言える企業でしょう。
②オムニコムグループ
次いで広く知られているのが、オムニコムグループです。
人数規模、売上規模共にWPPグループに次いで世界2位となっています。
アメリカ・ニューヨークに本社を構え、世界100ヶ国以上に専門会社を有しています。
クライアントは5,000社を超えており、広告、戦略的メディアプランニング&バイイング、デジタル&インタラクティブ、ダイレクト&プロモーションマーケティング、パブリックリレーションズ、その他の専門的コミュニケーションサービスを提供しています。
2013年には、このあとご紹介するピュブリシス・グループと合併し、世界最大の広告会社が誕生することが話題になりました。しかし、結果的にこの合併話は破談に終わり、大きな話題作りをしたまでに留まりました。
日本では、東急エージェンシーとの業務提携が広く知られているほか、博報堂DYホールディングスと共に「TBWA/HAKUHODO」を保有するなどしています。
③ピュブリシスグループ
世界3位の売上規模を持つピュブリシスグループは、フランス・パリに本社を構え、世界100ヶ国以上で事業を展開しています。
日本では、電通との業務提携が話題となりましたが、その期間は約10年ほどに留まります。
④インターパブリックグループ
世界4位の売上規模を持つのは、インターパブリック・グループです。
アメリカ・ニューヨークに本社を構え、世界100ヶ国以上にグループ会社を抱えています。
傘下にはマッキャンエリクソン、オクタゴン・ワールドワイドといった有名広告代理店を抱えています。
日本では博報堂や大広と業務提携を行っている点でも広く知られている企業です。
4.新卒で外資系の広告代理店に入社することはできる?
では、実際に外資系広告代理店に入社するにはどのようにすると良いのでしょうか。
①まずは日本の広告代理店で実績作り
②語学は確実に身に着けておく必要がある
③自分は「何ができる人なのか」を明確に
入社の道しるべとなる方法を3つご紹介します。
①まずは日本の広告代理店で実績作り
まずしなければならないのは、日本の広告代理店で実績をつくることです。
広告代理店以外の実績が必ずしも役に立たないわけではありませんが、外資系の広告代理店を志望するのであれば日本の広告代理店に入社することが望ましいと言えます。
広告代理店入社後は、育成期間を経て適性があると判断された部署に配属されます。
まずは配属された部署で実績を積み、特に行いたい業務がある場合にはそれを叶えることができる異動を希望するのも良いでしょう。
また、進みたい外資系広告代理店が決まっている場合には、日本国内で業務提携を行っている代理店を選択するのがおすすめです。
外資系広告代理店は、急に契約が終了する可能性がゼロではありませんが、少しでも関係値がある企業へ入社することで、今後の道が開けていく可能性を高くすることができるでしょう。
②語学は確実に身に着けておく必要がある
外資系企業では、英語は必須です。ビジネスレベルで読み・書きはもちろんスピーキングなどができる必要があります。
現時点で英語を話すことができない場合には、必ず身に着ける必要があるでしょう。
また、現在グローバル化は加速しているため、英語に留まらず他の言語も取得しておくことがおすすめです。
利用人口が多いスペイン語や中国語、企業によってはフランス語など、活用可能性が高い言語を習得しておくのがおすすめです。
③自分は「何ができる人なのか」を明確に
外資系企業では、誰かから業務が振られるということは基本的にありません。
あくまでも、その人の能力に基づいた対応可能な業務が割り当てられるという認識です。
大手広告代理店に所属する場合、業務が縦割りとなり自分の業務範囲が限定される場合や、折衝が主な業務のようになってしまうことは少なくありません。
しかし、外資系企業での就職を望むのであれば、もっと明確に自分の能力を言語化する必要があります。
いつ、どのようなシーンで自分の能力が必要となり、それによってどのような結果をもたらすのかということを明確に伝達できるようにすることが大切です。
5.よくある質問
Q.他にも日本の広告代理店との違いはありますか?
A.クライアントが対象としている、消費者が異なるという点があります。
日本の広告代理店では、広告の対象は基本的には日本人です。
そのため、日本国内のトレンドが重視され、広告のテイストやキャスティングには、日本人が起用されることが多くなっています。
一方、外資系の広告代理店はグローバル企業をクライアントとしているため、消費者はどこかの国と限らず、世界各国を対象にプロモーション戦略を構築する必要があります。
この点において、やはり英語以外の言語が強みとなるほか、注力国のトレンドなどを積極的に確認することが求められます。
Q.日本の広告代理店に入社する際のポイントは?
A.先にご紹介した通り、外資系の企業と提携がある企業を選ぶことをはじめ、クライアント企業や部署の構成などを見てみると良いです。
外資系広告代理店へ入社するためには、自身の実績が重視されるからこそ、早めに自分で大きなプロジェクトを回せるポジションを期待できる企業や、ナショナルクライアントを担当できる企業などを選択してみると良いでしょう。
以上を踏まえると、必ずしも上位から広告代理店を検討し始めるのが良いというわけではありません。自分自身の能力と、さらにはポテンシャルが十分に発揮できるような企業を選択することで、外資系広告代理店への道筋を明確にしていきましょう。
おわりに
今回は、そもそも外資系の広告代理店とはどのような場所なのか、またどのような特徴があるのかということに加え、どのように入社までの道筋を描くべきかなどを詳しくご紹介してきました。
「そもそも新卒で外資系の広告代理店に入社は可能?」
「日本の代理店と何が違うの?」
「入社するためには何が必要?」
といった疑問を解消することはできたでしょうか?
外資系の広告代理店は、日本の広告代理店と異なり、実力主義かつ実績主義です。
憧れの莫大な報酬を得ることができる可能性は高いものの、その分努力が必要になります。
これだけを聞くと、とても高い壁に感じるかもしれません。しかし、就活の段階で外資系の広告代理店への就職を検討することができれば、今からできることはたくさんあるでしょう。
今後外資系広告代理店に進みたい!と思うのであれば、今ある時間を無駄にせず、目標へ向かって努力をしてみてはいかがでしょうか。