会社説明会で自社を印象付けるポイント|改めて定義したい説明会の本質とは
2020年7月31日更新
はじめに
就活生向けの会社説明会は、
企業を学生に印象付ける貴重な採用接点です。
飽きさせないように内容は工夫を凝らし、
企業の魅力が適切に伝わるよう入念に準備を重ね、
1人でも多くの学生の応募が集まるよう訴求するプレゼンテーションに他なりません。
しかしながら、
あるべきポイントを抑えておかなければ、
企業の印象や信用問題に発展し兼ねません。
本記事では、
会社説明会で印象を悪くしないためのポイント、
多くの学生からの応募を集める方法について解説します。
1.会社説明会は「接触」のチャンス
本題に入る前に、
まず会社説明会が何を目的にしているのかを改めて定義しておきましょう。
結論から言えば、会社説明会を行うそもそもの目的は
直接接点を持つことにより志望度を高め、選考に繋げる
ことに他なりません。
プレエントリーしてきた学生に、
会社説明会やセミナーという形で「接点」を持ち、
自社への志望度向上につなげる。
このような流れにおいて、
選考前の段階、いわば営業の段階は、
企業にとってはさまざまな層の学生と接点を持てる貴重な機会でもあります。
「優秀な人材をなるべく多く獲得する」
という文脈においては、
母数である「プレエントリー数」を増加させることばかりに重きが置かれがちですが、
その後学生が選考に進むかどうかを決める「会社説明会」も、
プレエントリー数と同じくらい重視すべきステップです。
このように、会社説明会は企業が就活生と直接接点を持て、
会社の雰囲気や個性、強みを就活生に印象づけることができる貴重な機会。
就活生のマーケティングという意味合いも含めて、
しっかりと選考につなげられるよう、施策を実施することが重要です。
一方、
学生にとって会社説明会の意味合いは異なるため、
そのギャップについても理解しておかなくてはなりません。
会社説明会は、
企業側が学生の層や人数の把握が可能な機会ですが、
就活生にとっては企業の雰囲気や社風の体感、所感を確認する機会でもあります。
特に、企業の雰囲気や社風についての話は、
現代のZ世代と呼ばれる就活生たちが最も興味を持っていることの一つです。
発言一つで、その後のエントリー数ががくっと下がってしまうリスクも秘めているため、
説明側も細心の注意を払った上で、
発言内容には気をつける必要があると言えるでしょう。
2.「会社の説明」をしない「会社説明会」が就活生に好評
就活生にとって会社説明会とは、
極端な言い方をすれば「しんどい」時間。
非常に志望度の高い企業の場合は別ですが、
多くの場合、
「あ、なんか面白そうかも」
レベルで会社説明会に申し込んでいるのも事実です。
そのため、企業についてはあまり前提知識がないままで臨むケースも少なくありません。
このような学生にとって、
よく知らない企業のプレゼンテーションを延々と聞かされるというのは、
言葉を選ばずに言えば苦痛でしかありません。
そのため、
就活生にとっては、あまり会社の話をしない方が、案外ウケが良いというケースが増えています。
中には
「会社の魅力がきちんと伝わらないのでは」
と危惧されるかと思いますが、
会社説明会の本質は、
「自社を印象付ける」こと。
この原点に立ち返って考えてみると、
あえて「自社の話をしすぎない」ことを意識し、
話の展開をどう面白く持っていくかに注力することで、
「何この会社、面白そうかも」
と思ってもらえれば勝ち、ということです。
では、具体的にどういう話が「面白い」話になるかというと、
・就活生の勉強になる話を
・就活生にとってのメリットを強調
大きく分けてこの2つが挙げられます。
就活生の勉強になる話をするというのは、
例えば会社自体ではなく属する「業界」のことについて詳しく話したり、
財務会計やマーケティング、PCスキルなどの専門知識について
話したりすることです。
就活生へ、そういった周辺知識を植えつけることにより、
「なんか勉強になったな、今日の説明会」
と印象付けることが可能になり、
同時に会社自体に興味を持ってくれる効果が期待できます。
また、就活生のメリットになることとは、
例えば自己分析や会社選びのサポート、面接対策などの企画を設けて
就活応援セミナーのようなものを催したり、
「1日で内定が出る」「複数者同時に受験可能」などの
独自の利点を考えて強調することです。
会社自体の説明でゴリ押しするのではなく、
就活生に「面白い」と思ってもらえる工夫を凝らして自社を印象づけ、
興味を持ってもらうことを主眼にしましょう。
3.会社説明会で気をつけるべきこと
ここまで、会社説明会の目的と心構えについて解説してきました。
最後に、
実際の話し方や話す内容についての注意点をご紹介します。
3-1.会社の雰囲気はプレゼンターの話し方で決まる
先ほど、
「就活生にとっての会社説明会は、企業の雰囲気を把握するため」
とお伝えしました。
それでは、実際に学生がどのような事象から「企業の雰囲気」を判断しているかというと、
プレゼンターの話し方なのです。
話す内容ではなく、
話すときの声のトーンや大きさ、声にみなぎる自信など、
プレゼンターの「非言語コミュニケーション能力」によって
企業の雰囲気が決定づけられてしまうことは、企業側としては押さえておくべきでしょう。
この非言語コミュニケーションは、
話の内容よりも聞いている人の心に残りやすく、
会社説明会が終わった後の自社の印象に大きく影響すると考えられます。
説明担当者は大きく、明るく、はっきりとした声の調子で
話すことを強く意識しましょう。
笑いを誘って会場の雰囲気を温めることができれば、
他社と一歩差をつけられる可能性も高まります。
3-2.就活生にその会社を選ぶ理由を作らせる
エントリー数につなげるという意味合いで、やはり重要なのは、
就活生が自ら、その会社を選ぶ動機をしっかりと持つことです。
この「動機付け」を促す役目として、
会社説明会の機会を活用することが大切です。
就活生が特定の会社を選ぶ理由は、例えば
「ここが他社にはない魅力であるから。」
「ここに感銘を受けたから。」
などが考えられますが、
そのような動機を説明するきっかけを会社説明会で与えてあげれば良いのです。
そのような「理由」「動機」になりうる会社の強みというのは、
技術の高さや商品のクオリティ、
または歴史や理念、顧客との距離感など多岐に渡ります。
自社の業界や会社の規模ならではの自社の魅力というものを、
再確認してみてはいかがでしょうか。
3-3.内容の説明ではなく価値の説明をする
会社の説明会ですから、
特定の話題についてその内容を詳しく説明するのは
当然のことと思われます。
しかしながら、それよりも重要なのは、
その内容の価値を前面に押し出して説明することです。
会社説明会は、ある意味自社を就活生たちに売り込む営業のようなものです。
そのため
「こんなことをしている」というような仕事内容の説明ではなく、
「顧客や社会に対してこのように貢献している」
というような、背景にある価値を発信していくことにより、
企業が売上第一でやっているのではなく、
「他社へ奉仕した事業活動を展開している」
とポジティブな印象づけが可能になります。
いくら大学で勉強しているとはいえ、
企業活動の意味について、正しく理解している学生は一握りです。
そのため、学生の立場に立って、
「このような事業活動を展開する意義」について解説し、
本質の部分を理解させることにより、
企業イメージアップが期待できるでしょう。
おわりに
会社説明会は、
多くの就活生と接触する絶好のチャンスです。
ポイントを抑えれば、
効果的に自社の受験者を獲得するために大いに役立ってくれるでしょう。
そのためには
いかに自社の雰囲気、強みを就活生に印象付けられるかが
勝負となってきます。
会社説明会を採用活動の中で最大限活かせるように、
事前の準備を怠らず、就活生の心に残る会社説明会を行っていきましょう。
監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。