Z世代への採用活動における4つのポイント|特徴や価値観,重視する働き方について解説
2020年7月23日更新
はじめに
1990年代後半〜2000年生まれの世代を指す、Z世代。
カナダでは1993年以降、アメリカでは1997年以降など
その定義は厳密に定められていないものの、
ミレニアル世代に続く「ポストミレニアル世代」に該当し、
Z世代より前の世代であるY世代とは価値観に明確な差があることで知られています。
その要因としては、
小学校、中学校の頃からソーシャルメディアに触れ、
高校生の頃からスマートフォンを所有するようになった
「デジタルネイティブ」であることも大きく影響しています。
今後、就職活動を迎えるZ世代の採用にあたり、
Z世代が重視する点や価値観、採用時のポイントについて解説します。
1.Z世代採用のポイント① 成長機会の提供
幼い頃にバブル崩壊やリーマンショックなどの
不景気に悩まされる親を見て育ち、
人種差別や障害者、LGBTなど
多様な価値観を是とする教育を受けてきたZ世代。
堅実志向が強く、
どんな価値観を持っているかは各人によって異なり、
どの価値観が正しいかを一概に決めることはできないとする
価値相対主義的な考え方を持っているため、
「民主的」「リベラル」「フェア」であることは
当然とする感覚があります。
そのため、Z世代の採用においては、
このような価値観に留意して採用活動を展開する必要があります。
Z世代採用におけるポイントについて解説します。
まず一つ目のポイントとしては、
成長機会の提供が挙げられます。
現実的な性格を強く持つZ世代は、
この先の未来に終身雇用や年金暮らしなどの「甘い理想」を抱いていません。
そのようなものは、はじめから存在しないと捉え、
そのため「自らの成長」もっと言えば「自己投資」による成長が、
長期的な安定につながることを理解しています。
そのため、
新しいスキルや知識の獲得に余念がなく、
非常に真面目で勉強熱心な者は少なくありません。
リクルートが、自社採用メディア「就活みらい研究所」の学生調査モニターである19卒大学生1,087人を対象に、
2019年3月15日から3月19日にかけて実施した「就職プロセス調査2019年卒調査報告書」によると、
「就職先の決め手となった項目」を問う設問では、「自らの成長を期待できる」が最多の47.1%を占めています。
しかしながら、
成長できれば何でも良いのかというそうではありません。
同調査では、「就職先の決め手となった項目」として「希望する地域で働ける」が37.0%を占めています。
実に10人に4人が「希望地域での就職」を望んでおり、
就職先決定において重要な要素となっていることは明らかです。
そのため、
以前は憧れの的だった海外勤務を希望する学生も減少傾向にあります。
人材コンサルティングを手がけるアデコグループが2014年1月、
日本・中国・香港・台湾・韓国・シンガポール・マレーシア・タイ・ベトナムで各国100人ずつ、
当時15〜18歳であった1995年〜1998年生まれの若者を対象に実施した調査によると、
「将来、海外で働きたいと思う」という問いに対し、日本のZ世代の割合は調査国の中で最低の12%に留まっています。
選択肢が多様になっている現在だからこそ、
自分の希望条件に対しては強いこだわりを見せるZ世代の特徴が伺える結果となりました。
2.Z世代採用のポイント② 待遇や福利厚生面を重視
2つ目のポイントとして、
福利厚生や会社の安定性、業績などの「安定」を担保する材料を重視していることが挙げられます。
先ほどのリクルートの調査では、
「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」を決め手として選ぶ割合は、
先述の「成長機会」に次いで37.8%を占めています。
不景気に苦しむ親を目の当たりにして育ってきたからこそ、
安定性を求める堅実志向が非常に強く
自らの成長機会を模索すると同時に、
その間「経済的なリスクが少ないかどうか」も
重要視しているのです。
将来への不安は、Z世代の消費行動にもよく表れており、
これまでのX世代、Y世代と比較して購買には消極的な傾向が強いとされています。
具体的には、
X、Y世代では、自動車や、ブランド品、酒などの「モノ」を
いかに持っているかがステータスとされましたが、
Z世代は人付き合いやサービスなどの「コト」消費に費やす傾向が強く、
物を所有することに対しては特段強い関心を抱いていません。
経済的には非常に現実的であるため、
福利厚生の充実度や残業の少なさ、住宅手当といった待遇面には
想定以上に気を払う必要があるでしょう。
3.Z世代採用のポイント③ リベラルな企業風土
さらに、z世代は、膨大な仕事内容の選択肢を選ぶことよりも、
どんな人と一緒に仕事をするかということを重要視しています。
このことは、退職をする主な理由が
人間関係の問題であることからも考えられます。
もし、会社とやりたいことが一致していても、
対人関係がうまくいかなければ、会社を辞めてしまうのです。
だからこそ、z世代はハラスメントに対しても敏感であり、
上司や同期に相談ができるような風通しの良い職場で働くことを
強く望んでいます。
さらに踏み込んでいえば、
特に女性の場合は産休・育休、
その他にはLGBTといった項目に関しても理解のあるような、
差別と偏見が少なく、多様性を認めるリベラルな会社を選ぶ傾向にあります。
言及するまでもなく、
ブラック企業のレッテルを貼られるような労働環境の悪い企業も、
嫌厭することは間違いありません。
4.Z世代採用のポイント④ インターネットを活用した採用活動への注力
Z世代以降の世代を相手に採用活動を展開していく上では、
インターネットを最大限に活用する必要があります。
先述の通り、デジタルネイティブとして育ったZ世代は
当たり前にインターネット環境が周りにあり、
高校までの間にスマートフォンを所有し、
SNSに囲まれて育ちました。
調査によると、
Y世代は平均20歳から所持し始めたのに対して、
Z世代は小・中学生の約8割がスマートフォンを所持しているという結果もあります。
そのため、情報収集能力に長けており、
何かを選択する際には、インターネットを通じ口コミや評価を確認する習慣がついており、
企業選びに関しても同様のことが言えます。
企業ホームページで求める人物像や業務内容を明記することはもちろんですが、
例えばnoteやwantedlyといったプラットフォームを活用し、
社員の人となりが伝わるような情報を投稿することにより、
Z世代からの注目度向上が期待できます。
アフターコロナという非接触が推奨される時代において、
このようなインターネットでの情報収集、情報活用はますます重要性を増しています。
Z世代は情報感度も高いため、
優秀な人材の獲得にあたっては、このインターネットを活用した企業情報の発信が、明暗を分けるといっても過言ではないかもしれません。
5.Z世代が見せる2つの繊細な側面
これまで見てきたように、
現実的で意識が高く、堅実志向と安定志向の強いZ世代ですが、
そのような背景から「繊細」な側面も持ち合わせており、
Z世代と接する際には、言動に注意が必要な場面もあります。
5-1.協調性が高く競争を好まない
多様な価値観を是とする時代に生まれ育ったZ世代は、
何かの事象に対し、絶対的な「正」や「偽」が存在するとは捉えていません。
そのため、
価値観に対しては非常に寛容な性格が強く、高い協調性を発揮する一方で、
絶対的、断定的な言い方をあまり好まず、差別や偏見に対して嫌悪感があります。
したがって極論を苦手とし、
人と競い合うことよりも、
周囲との調和を取ることに主眼を置く意思決定が多く見受けられます。
そのため、
他者を蹴散らしながら自分が優位に立つことや、
例えば同期間での競争には、マイナスな感情を抱いているケースが少なくありません。
また、
デジタルネイティブとして「常に他者と繋がりながら」育ったことにより、
自分が他人からどう思われているか、
他人から好かれているか、
仲間として歓迎されているかなど
同調圧力を感じるあまり、常に相手の顔色を伺うようになり、
共感力の高い性格を生み出した、とも言えるでしょう。
5-2.意思決定が苦手
価値観の多様化により、安定的な判断基準を持てずにいるz世代は、
しばしば自分を見失ってしまいます。
自分が選んだ選択肢は正しいのか、
自分は何をしたいのか、
将来どうなりたいかなど、
漠然とした考えは抱いているものの
その絶対的な根拠を見出しづらくなっています。
Z世代は他者の承認を受け、自己肯定感を高めることで
自分の選択を正当化する傾向にあるため、
自らの思考での意思決定を苦手としています。
あるいは、本当はやりたいことが自分でも何かよく分かっていないのに、
周囲の人間や企業に言われて、
無理やり捏造した目標を掲げていることもあります。
そして、その理想と現実のギャップで苦しみ、
最悪の場合は早期退職という結果を生んでしまう恐れがあるのです。
6.z世代を採用する際に気をつけるべきポイント
z世代は多様な価値観を認められるがゆえに、
やりたいことを見失って、捏造した意志を掲げてしまうことがあることも一つの特徴です。
つまり、Z世代を採用する際、
学生が語る「やりたいこと」は、
本人が「本当にやりたいことかどうか」を見極める必要があります。
入社後に気づくのでは遅すぎる上に、
かけた採用コストが無駄になってしまいます。
例えば、大学の授業の出席率などを参照し、
好きなものでなくても努力し成果を出せているかどうかを
判断する必要があります。
そこで、履修履歴面接という方法があります。
履修履歴面接というのは、
成績表を提出させて、どんな授業を履修し、評価されているのかを
判断する方法であり、
大手企業でも取り入れている会社が増えています。
また、Z世代の就活の特徴として見過ごせないのが、
就活に前向きでも行動に移す量が少ないことです。
Z世代の就活生は、
できる限りコストパフォーマンスよく就活を終えたいという意思があることを、採用側も理解しておきましょう。
その対策の一つとして注目されているのがスカウト型採用です。
ターゲット層を会社側が特定しアプローチする方法で、
合格率の高い採用です。
手間のかかる採用ではありますが、適切に行えば、
最終的に「効率的」であると言えます。
スカウト型採用で良い人材を逃さないために、
採用担当者のフォロー力を強化することに注力することが重要です。
おわりに
z世代は、 1990年代後半以降に生まれた若者を指し、
デジタルネイティブに属し「ポストミレニアル世代」に該当します。
リベラルな価値観を持ち、
真面目かつ現実的・堅実な思考性があり、
求める働き方や採用の仕方も、それまでの世代とは異なる部分があります。
これからの社会を担うとされるZ世代の採用活動においては、
今回解説したような点に留意し、
慎重かつ柔軟な姿勢で臨む必要があると言えるでしょう。