就活に四季報はいらない?種類と使いこなすためのポイントを解説
2024/10/20更新
はじめに
就活をするうえでよく話題にあがるのが、主要企業の基礎情報をすべて掲載している書籍、就職四季報。
本記事を読んでいる皆さんであれば、一度は耳にしたことがあるでしょう。
しかし、就職四季報についてなんとなく聞いたことがあるものの、「読み方がよく分からない」「買う必要はあるのだろうか」と悩んでいる方も少なくありません。
結論からいうと、就活で失敗したくないならぜったいに就職四季報を読んでおくべきです。
本記事では、以下の内容を踏まえ、就活生が四季報を読むべき理由について解説します。
- 就職四季報とは
- 就職四季報の種類
- 就職四季報のメリット・デメリット
- 就職四季報の正しい使い方
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就職四季報とは?読まなくてもいいの?
就職四季報とは、何千社にも及ぶ有名企業の細かなデータが一冊にまとめて記載されている本のことです。
東洋経済新報社によって、毎年11月末に発売されています。
掲載されている内容としては、以下のようなものがあります。
インターネットで調べてもなかなか載っていない、就活生にとって必要な企業のデータが事細かに記載されています。
データをきちんと読み解くことができれば、企業の全体像だけでなく、今後の成長予想まで見通すことが可能です。
とはいえ、かつての就職四季報は、国内の上場企業の情報を掲載したものしか発行していませんでした。
しかし、新卒でベンチャー・スタートアップ企業を選択する就活生が増えていることを受け、現在は非上場の中堅企業の情報を記載した四季報も販売されています。
ほかにも、女性が働きやすい環境の企業を選定した「就職四季報女子版」も発売されています。
就活においては、事前に企業の情報を集めて、いかに自分の価値観とマッチしているかを確認しておくことが大事です。
「なんだか難しそうだから」というもったいない理由で遠ざけてしまうのではなく、一度でも目を通してみることをオススメします。
就職四季報の種類
現在、東洋経済社からは次の5つの就職四季報が発売されています。
それぞれの特徴を解説していきますので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
総合版
まずはこの一冊。
誰もが見たことのある、もっともスタンダードな就職四季報です。
中立的な立場で国内の上場企業5,000社もの情報を公開しているため、離職率や企業の裏情報など、なかなか表には出ない情報も掲載されていることがポイント。
四季報選びで迷った方は、まずはこちらを読んでおけば間違いないでしょう。
優良・中堅企業版
就職四季報は、国内の「上場企業」のみ掲載されていました。
ですが、新卒キャリアとしてベンチャー企業を選ぶ学生が増えていることを受け、近年新たに誕生したのが、この「優良・中堅企業版」です。
企業数は「総合版」に引けを取らず、なんと4,300社。
地方では名の知れた有力企業や、今日の成長が目覚ましいメガベンチャーやベンチャーといった優良企業を、多数掲載しています。
大手就活サイトで募集を出していない企業のデータも、公開されているかもしれません。
地元の有名企業やベンチャー企業への就職に興味がある方は、ぜひ一度目を通してみてはいかがでしょうか?
女子版
結婚や出産、育児などさまざまなライフイベントを迎える中で、女性はどのようにキャリアを描いていけば良いのか。
近年、メディアなどでも大きく取り上げられることも増えてきましたね。
時代の変化を受けとめ、“女性の働きやすさ”に注目した「就職四季報女子版」も出版されました。
総合版の就職四季報に記載されている情報に加え、働く女性が知っておきたい情報も掲載されています。
- 女性の社員数や離職率
- 産休や育休の期間
- 産休や育休を実際に取得した人数
女性の方は、目を通しておいて損はないはずです。
企業研究・インターンシップ版
これから就活を控えている大学3年生以下の学生に向けて誕生したのが、この「企業研究・インターンシップ版」です。
まだ行きたい業界や業種などがはっきり定まっていない学生に向け、以下のような情報が掲載されています。
- 企業研究の仕方
- どのように業界・業種を選んでいけば良いのか
といった基本的な事項をレクチャーしています。
また、大手企業1,100社の会社情報、そして過去開催のインターンシップの情報まで、とにかくインターンに関する情報が満載です。
これほどの企業数のインターン内容を掲載した書籍は、他になかなかありません。
就活は、いかに早く準備を始めるかが肝心です。
これから就活を控えている方は、まずは「就活とはどんなものかな」程度でも構いませんので、読んでおいて損はないでしょう。
オンライン版
本のイメージが強い就職四季報ですが、最近はオンライン版も登場しています。
登録が必要であること、そして一部のデータは有料になっていることが、たまにキズ。
ですが、ネット環境さえあればいつでも確認できるため、わざわざ大きな本を持ち歩く必要もありません。
また、オンライン版なので最新情報が常に更新されるのが特徴。
書籍版と比べて、情報鮮度が格段に変わるメリットがあります。
このように、重くて取り回しが悪いという従来の就職四季報の最大のデメリットさえもカバーした、オンライン版就職四季報。
もし就職四季報の購入を検討されているのであれば、はじめからオンライン版を購入してしまうのも良いでしょう。
就職四季報を読むメリット・デメリット
就職四季報の有用性についてわかったところで、続いてメリット・デメリットについて見ていきましょう。
何事も良い点と悪い点の両方があります。
あらかじめデメリットを知っておくことで、対策を立てることも可能になります。
早速見ていきましょう。
就職四季報を読むメリット
就職四季報のメリットとしては、大きく次の3つが挙げられます。
自分で調べる手間が省ける
まず一番のメリットは、データがとてもわかりやすく、体系的にまとまっているのでわざわざ自分で調べなくても良いことです。
就活生が採用選考を受ける企業の数は、20〜50社とも言われています。
中には、「100社受けた」という人も少なくありません。
そんな中、わざわざエントリーシートを提出するたび、企業理念やモットー、求める人物像や業務内容を調べることは、とても骨の折れる作業。
もちろん、すべての企業が掲載されているわけではありませんが、ある程度の情報はカバーできるでしょう。
情報収集に当てる時間を大幅に節約でき、空いた時間を有効活用できるようになります。
業界の中での立ち位置が理解できる
就職四季報の大きな特色として、「業界マップ」の存在があります。
「業界マップ」とは、業界内における主要企業や、それぞれの力関係をわかりやすく視覚化したもの。
業界マップを読み解くことで、志望企業の立ち位置をひとめで把握することができます。
たとえば、
「自分の行きたいA社は、この分野で強いと思っていたけれど、意外とそうでもなかった」
「志望しているA社は、どうやらB社ととても仲が悪いようなので、絶対に話題に上らせることはやめよう」
などと、力関係を頭に入れておくことで、面接での余計な失言を防ぐことができるかもしれません。
企業の未来予想ができる
こちらも詳しくは後述しますが、記載されている「企業実績」のデータを読み解くことで、現在の経営状態や資金繰りが、ある程度判断できるようになります。
たとえば、
「この企業のA事業は売上が大きく伸びているけれど、B事業は何年も赤字が続いている。このままいくと、事業撤退もあるのではないだろうか」
といった具合。
数字が読めるようになるとその企業や事業の未来に、仮説が立てられます。
もしかしたら、自分の志望していた業種は、年々売上が落ち込んでおり、
実は将来性があまり見込めない業種である可能性だってあります。
1年後や3年後、せっかく慣れてきた頃に、もしかしたら全く違う業種に変わらなければいけないかもしれません。
なかなか考えものですよね。
未来のことは誰にも分かりませんが、あとで「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、数字を読み解き、長期的な視野で判断することもとても大切です。
四季報のメリットについてより掘り下げた情報が知りたい方は以下の記事もチェックしておきましょう。
就職四季報のデメリット
続いて、就職四季報のデメリットとしては以下の3つです。
これらも、後で詳しく記述していますが、就職四季報は近年、オンライン版を公開しています。
データは一部有料となりますが、基本的に無料で使えますし、重くて大きな書籍を持ち歩く必要もありません。
また、「志望企業が載っていない」ということに関しては、ある程度仕方がないかもしれません。
就職四季報には、5,000社以上の企業が掲載されていますが、今こうして記事を読んでいる間にも、多くの企業が誕生し、また悲しいことに廃業しているのです。
特に、近年では国が勢力をあげて開業を後押ししている背景もあり、多くのベンチャー企業が生まれています。
すべての企業を掲載することなど、到底不可能なのです。
とはいえ、就職四季報も「優良中堅企業版」など、新しい取り組みに挑戦しているようですので、掲載される企業はこれからさらに増えていくと言えるでしょう。
就活四季報で見るべき2つのポイント
就職四季報のメリット・デメリットが分かったところで、では実際に、どのような点に注意しながら読み進めれば良いのでしょうか。
有効活用するためのポイントは大きく分けて以下の2つです。
- 採用情報
- 企業実績
このうち、2つ目の「企業実績」が少々厄介なのですが、見るべき数字を抑えられれば、そこまで難しいものではありません。
早速見ていきましょう。
採用情報
四季報に載っている情報の中で、就活生がもっとも見るであろう情報。
それは、企業の採用情報ではないでしょうか?
採用人数や選考フローなど、一つ一つ調べていたら面倒な情報も一気にみることができます。
また、ざっくり選考フローを知ることで、就活の進め方が変わってきます。
知っているとかなり有利に進めますね。
さらに、過去の採用大学がどこが多いのかなども知ることができます。
自分の所属大学は多いのか?などを知れると、OB・OG訪問がしやすいかがわかります。
そして、OB・OG訪問が出来れば、ネットには載っていないリアルな情報が得られますので、活用しない手はありませんね。
ただし、採用情報は毎年変わっていますので、四季報に掲載しているものと違う場合もあります。
四季報で毎年の流れを大まかにつかみ、最新情報はインターネットで事前に確認しておくと良いでしょう。
企業実績
次に知っておくべき情報、それは「企業実績」です。
しかし、たくさんの数字で書かれているこの部分。
苦手意識を持っている方は、なんとなく難しそうで、ここを読み飛ばしてしまうのではないでしょうか?
ですが、この企業実績を見るのと見ないのでは、大きな差になります。
そして、このように数字が読み解けるようになると、ビジネスマンとしても一歩リードできます。
それでは、企業実績に掲載されている情報にはどのような項目があるのか、見ていきましょう。
売上
これは、単純にその企業の商品の値段に売れた数を掛けた数字です。
この数字が増えている企業は、将来も期待ができると基本的には考えてよいですが、売上がもっとも重要ではないことに注意しておきましょう。
売り上げが上がっていてもつぶれる企業はあります。
企業の売上の調べ方は以下の記事でも紹介しているので、気になる方はぜひご覧ください。
営業利益
企業が優良企業かをみるための重要な指標。それが「営業利益」です。
損益計算書上に表される利益のひとつで、企業が本業で稼いだ利益を表します。
利益にはたくさんの種類がありますので、とりあえずこの指標を見ておけば良いと思います。
売上が減っていても利益が上がっていたら、その企業の会社としてのキャッシュ、つまり手元に残るお金は増えているということなので、悪いことではありません。
数字が読めるようになると、企業の経営状態もわかってきますね。
財務指標
企業の財務分析は、いわば人間ドックのようなものです。
財務分析では、「経営に問題はないか」「改善する点はないか」といった点をチェックすることで、経営危機を回避できます。
また、今後の利益を浮かび上がらせることも可能なため、正確な現状把握と将来予測をすることができる指標です。
この部分をみることは難しいですが、とりあえず目は通しておきましょう。
連結事業
企業実績とは少し違うかもしれませんが、この指標も見ておくべき指標です。
連結事業をわかりやすく解説すると、「その企業が、他にどのような分野の事業を手掛けているか。」ということです。
たとえば、
電力機器44(6)、溶接メカトロ30(8)、半導体機器26(17)、他0(43)
このように掲載されている企業があるとします。
お気付きのように、数字が2つ、カッコ外のものと内のものがありますね。
カッコ外、つまりカッコがついていない数字は、売上高全体に占める各事業の売上の割合を示しているため、すべて足すと100になります。
すなわち、この企業で手がけている事業、そしてそれぞれの割合は、以下のようになります。
- 電力危機が44%
- 溶接メカトロが30%
- 半導体機器が26%
- 他は0%
またカッコ内の数字は、各事業の利益率を示しています。
この中では、17%の利益率を誇る半導体機器の事業が、もっとも良い利益率の事業と言えますね。
つまり、数字を読み解いていくと、「この企業が手がけている事業の中では、(”他”を除き)比率は3番目の半導体事業が、一番利益率が良くなっている」という事実がわかります。
この先、企業が手を広げていきたい事業や将来予想も、なんとなくつきますね。
業績予想
現在の業績を見ることも大切ですが、未来のことも大切です。
業績の欄に、数字の横に「予」と書かれている項目がありますが、これは東洋経済による業績予想です。
そのため企業の見解と異なっている場合があります。
一方、「会」という字がついている数字もありますが、これは企業そのものの予想です。
東洋経済が発表している四季報に、そのまま載っている数字の方が重要なので、両者に極端なブレがある場合は四季報の予想を基準としましょう。
株主
株主の部分は、読んでも仕方がないと思う人は多いのではないのでしょうか?
実はこの項目、会社の将来的な動きを見る際にはとても重要な項目なのです。
なぜなら、株主が会社の運営に携わっていることも多いため、企業の方針が株主によって変わる場合があるからです。
また就職四季報の総合版には上場会社しか載っていないため、すべて株主の項目は書いてあります。
しかし、深入りしすぎることは注意です。
あくまでも就活を有利に進めるためのものなので、追求しすぎて企業実績が目的にならないようにしておきましょう。
さいごに
就職四季報の必要性やメリット・デメリット、使い方のポイントや種類についてご紹介しました。
繰り返しにはなりますが、就職四季報は有効活用することで、就活生の大きな武器となります。
これほど細かい情報が載っている媒体はなかなかありませんので、業界・企業研究をするにはもってこいです。
四季報といっても種類がさまざまなので、自分が知りたい情報が掲載されているものを手に取ってみてください。
そして志望企業に関しては必ず見ておきましょう。
就職四季報の情報を有効活用すれば、ライバルと大きな差がつきます!
就活をスムーズに進めるためにも四季報をうまく使い、内定を勝ち取ってください!