
【企業研究】企業の売上の調べ方とは? 上場/非上場ともに紹介!
2023年11月28日更新
はじめに
就活に向けて企業研究をするときに、以下のような悩みや疑問を抱えている学生さんも多いのではないでしょうか?
・企業の売上などの調べ方がわからない。
・ベンチャーのような非上場企業の決算書類が探せない。
・売上や業績を表す資料の見方がわからない。
この記事を読めば、こういった悩みや疑問はすべて解決できます!
この記事でわかること
・企業の財務情報の調べ方
・非上場企業の財務情報の調べ方
・売上などを示す「財務諸表」の重点的に見るべきポイント
最後まで読んでいただければ、企業の売上や財務諸表を調べ、分析できるようになるはず!
どうか気軽に読んでくださいね。
1. 企業の売上は財務諸表を見ればわかる
企業の売上を調べたいときは、その企業の財務諸表を見る必要があります。
まずは財務諸表とはどんなものなのかを理解しておきましょう。
以下4つの観点から説明していきます。
1.財務諸表とは
2.損益計算書
3.貸借対照表
4.キャッシュフロー計算書
財務諸表とは
財務諸表とは、企業の1年間の財務状況をまとめた資料のことです。
「諸表」というくらいですから、いくつか種類があるのですが、中でも特に重要な財務諸表が3つあります。
1.損益計算書
2.貸借対照表
3.キャッシュフロー計算書
「財務三表」と呼ばれるこれらの財務諸表には、企業の売上や業績などを示す様々なデータが記載されています。
それぞれ簡単に解説しましょう。
損益計算書
損益計算書には、その年度における「収益」、「費用」、「利益」が記されています。
簡単に言えば、企業がその年度において、どの程度儲けたのかがわかる資料です。
損益計算書には以下のような情報が記載されています。
- 売上高(1年間の売上の合計額)
- 売上原価(商品を仕入れる費用など)
- 売上総利益(=売上高-売上原価)
- 販売費及び一般管理費(水道光熱費や人件費など)
- 営業利益(=売上総利益-販売日及び一般管理費)
- 営業外収益(預金の利息など)
- 営業外費用(借入金の支払利息など)
- 経常利益(=営業利益-営業外費用+営業外収益)
- 特別利益(本来の営業とは関係なく臨時的に発生した利益)
- 特別損失(本来の営業とは関係なく臨時的に発生した損失)
- 税引前当期純利益(=経常利益-特別損益)
- 法人税等(法人税、法人住民税など)
- 当期純利益(=税引前当期純利益-税金)
損益計算書の中で重点的に見るべきポイントは、「売上高営業利益率」です。
売上高営業利益率(%)=売上総利益÷売上高×100
一般的には売上高営業利益率が5%を超えると業績が良い企業と判断されます。
貸借対照表
貸借対照表とは、企業が保有している「資産」、「負債」、「純資産」が記されている資料のことで、貸借対照表を見れば企業の財政状態を把握できます。
貸借対照表には、以下のような項目が儲けられています。
- 流動資産(現金などのすぐに使える資産)
- 固定資産(不動産などのすぐに現金化して使うことができない資産)
- 流動負債(買掛金などの1年以内に支払う必要があるお金)
- 固定資産負債(長期借入金などの1年以上かけて支払うことができるお金)
- 純資産(資本金など)
貸借対照表の中で重点的に見るべきポイントは、「自己資本比率」です。
自己資本比率(%)=純資産÷総資本×100
一般的には自己資本比率が20%以上あることが望ましいとされており、20%未満の企業は、赤字や借入金が大きすぎて経営状況が悪いと判断されます。
自己資本比率が50%を超える企業は、経営状況が極めて良好だと言われています。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は、その決算における「お金の流れ」を示す資料です。
具体的には、決算の期首にお金がいくらあって、期中にどれくらい増減して、期末にどれだけ残っているか、ということが記載されています。
キャッシュフロー計算書に記載されている主な項目は以下のとおりです。
- 営業活動によるキャッシュフロー(「営業で発生した収入と支出の差額」がわかる)
- 投資活動によるキャッシュフロー(「設備投資や資産売却などによるお金の流れ」がわかる)
- 財務活動によるキャッシュフロー(「足りなくなった資金を補った方法」がわかる)
キャッシュフロー計算書の中で重点的に見るべきポイントは、「営業活動によるキャッシュフロー」です。
この数値がマイナスの場合は、会社の事業がうまくいっていないことを示しています。
2. 上場企業の売上の調べ方
企業の売上を調べるには、財務諸表を見れば良いことがわかりました。
ここでは、上場企業の売上(財務諸表)の調べ方について、次の3つの観点から解説します。
1.上場企業とは
2.有価証券報告書
3.決算短信
上場企業とは
そもそも上場企業とはどのような企業なのでしょうか?
まず「上場」の意味を確認しましょう。
「上場」とは、株式を東京証券取引所などの証券取引所で売買できるようにすることを意味しています。
したがって「上場企業」は、株式を上場している、つまり発行している株式が証券取引所で売買されている会社のことを言います。
上場企業は5つに分類されています。
- 市場第一部企業
- 市場第二部企業
- JASDAQスタンダード企業
- JASDAQグロース企業
- マザーズ企業
耳にすることの多い「一部上場」という言葉は、「市場第一部で株式が売買できるようになった」という意味です。
上場企業は、すべての財務諸表を公表しなければならないため、上場企業の財務諸表は簡単に調べることができます。
上場企業がホームページで公表している「有価証券報告書」と「決算短信」を見てみましょう。
有価証券報告書
有価証券報告書とは、財務諸表に加えて、企業の概況や事業の状況などを開示するための報告書のことで、上場企業は決算日から3ヶ月以内にこれを公表しなければなりません。
この有価証券報告書は、上場企業のホームページや、金融庁のシステム「EDINET」から確認することができます。
決算短信
決算短信とは、決算書類の速報版のようなもので、上場企業は決算から1〜2ヶ月で公表します。
速報版とはいっても情報精度は高いため、企業の財務状況など様々な情報を把握することができる資料です。
3. 非上場企業の売上の調べ方
ここでは、非上場企業の売上(財務諸表)の調べ方について、5つの観点から解説します。
1.非上場企業とは
2.有価証券報告書をEDINETで調べる
3.決算公告を調べる
4.会社四季報の未上場会社版で調べる
5.民間調査会社のデータから調べる
非上場企業とは
非上場企業とは、上場していない企業、つまり発行している株式が証券取引所で売買されていない株式会社のことを意味しています。
「上場」のハードルは高く、株式会社の99%以上は非上場企業です。
さて、そんな非上場企業は、上場企業と違って外部の人間が財務状況を把握するのは難しいと言われています。
多くの非上場企業が、本来義務付けられている「決算公告」をしていないからです。
財務諸表を含む「決算公告」の義務を怠った場合、100万円以下の過料という罰則があるものの、この罰則が適用された例はほとんどありません。
以上のとおり、非上場企業の売上を調べるのが難しいことは事実ですが、方法が無いわけでもありません。
具体的な調べ方をご説明します。
有価証券報告書をEDINETで調べる
非上場企業のうち、一定の要件を満たす企業は、有価証券報告書の提出義務があります。
この場合は上場企業と同じように、企業のホームページか、金融庁のシステム「EDINET」で企業名を検索すれば見ることができます。
決算公告を調べる
すべての株式会社に義務付けられている決算公告は、「官報」、「日刊新聞」、「企業のホームページ」のいずれかにおいて公表しなければなりません。
したがって、きちんと決算公告をしている非上場企業の財務状況は、いずれかの媒体から確認することができます。
なお、決算公告をする媒体として最も多いのは「官報」です。
官報は、国立印刷局の「官報情報検索サービス(有料)」から調べることができ、国立国会図書館の館内からなら、無料で「官報情報検索サービス」を利用できます。
会社四季報の未上場会社版で調べる
東洋経済新報社の『会社四季報 未上場会社版』には、決算公告をしていない非上場企業の業績等も掲載されています。
ただし、決算書類より情報の精度は劣ります。
『会社四季報 未上場会社版』は、大学図書館等で取り扱いがあることが多いです。
民間調査会社のデータから調べる
会社四季報にも掲載されていない場合は、民間調査会社のデータを調べるのも一つの手です。
・帝国データバンク
・東京商工リサーチ
このような民間調査会社のデータベースにも、非上場企業の業績等が記録されていることがありますので、どうしても財務状況を知りたいときは利用しても良いでしょう。
ただし、基本的に有料であり、決算書よりも情報の精度が低い傾向にあることには注意してください。
まとめ:非上場企業の売上や財務状況の調べ方
非上場企業の売上や財務状況の調べ方をまとめます。
・有価証券報告書をEDINETで調べる(一部の非上場企業のみ)
・決算公告を調べる(官報、日刊新聞、ホームページ)
・会社四季報の未上場会社版で調べる(決算書よりも情報の精度が落ちる)
・民間調査会社で調べる(決算書よりも情報の精度が落ちる、有料)
4. よくある質問
よくある質問をまとめました。
よくある質問 |
Q.官報で決算公告を調べるとき、非上場企業の情報を検索するにはどうすればいいの? Q.未上場企業データバンクはどこから見れるの? Q.非公開会社の財務諸表はどこで見れるの? Q.ベンチャー企業の売上の調べ方は? Q.上場企業の決算書の一覧はどこで見れるの? Q.企業情報の調べ方で無料の方法はあるの? Q.会社の決算書を閲覧したいんだけど、非上場の場合はどうすればいい? Q.決算書を社員に見せないのっておかしい? Q.非上場企業は財務諸表の開示義務はないの? |
Q.官報で決算公告を調べるとき、非上場企業の情報を検索するにはどうすればいいの?
A.国立印刷局の「官報情報検索サービス」でキーワード検索ができます。有料のサービスですが、国立国会図書館内からは無料で利用できます。
Q.未上場企業データバンクはどこから見れるの?
A.現在は名称が「会社四季報未上場版データ」に変わっているようで、東洋経済新報社のHPから見ることができます。
Q.非公開会社の財務諸表はどこで見れるの?
A.「非公開会社」とは、上場していない会社を意味するのではありません。「非上場」会社の財務諸表を見たいという意味でしたら、EDINETや官報、会社四季報の未上場会社版などを確認してみてください。
Q.ベンチャー企業の売上の調べ方は?
A.企業のHPや、会社四季報の未上場会社版から調べられる可能性があります。
Q.上場企業の決算書の一覧はどこで見れるの?
A.EDINETなら各上場企業の決算書を見ることができます。
Q.企業情報の調べ方で無料の方法はあるの?
A.EDINETは無料で使えますし、会社四季報なども図書館を利用すれば無料です。
Q.会社の決算書を閲覧したいんだけど、非上場の場合はどうすればいい?
A.EDINETで有価証券報告書、官報や会社HPで決算公告を確認するほか、会社四季報未上場版にも掲載されているかもしれません。
Q.決算書を社員に見せないのっておかしい?
A.法的には決算書を社員に見せなければいけない義務はありません。なんらかの理由があって見せていないのではないでしょうか。
Q.非上場企業は財務諸表の開示義務はないの?
A.すべての財務諸表を開示する義務はありませんが、財務諸表を含む決算公告の義務はあります。
おわりに
今回は、企業の売上の調べ方や、財務諸表を見るときのポイントなどについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
記事の内容を簡単にまとめます。
・企業の売上は財務諸表を見ればわかる。
・特に重要な財務諸表は「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」の3つ。
・上場企業の売上などの財務状況は、「有価証券報告書」や「決算短信」を見ればわかる。
・非上場企業の売上などの財務状況を調べるのは難しいが、以下の方法で調べられる可能性がある。
・有価証券報告書をEDINETで調べる。(一部の非上場企業のみ)
・決算公告を調べる。(官報、日刊新聞、ホームページ)
・会社四季報の未上場会社版で調べる。(決算書よりも情報の精度が落ちる)
・民間調査会社で調べる。(決算書よりも情報の精度が落ちる、有料)
企業の売上の調べ方や、財務諸表を見るポイントなどがおわかりいただけたでしょうか?
この記事を参考にして企業研究を行っていただき、あなたの就活がうまくいくことを願っています。