【業界研究】ドラッグストア業界とは!特徴や向き不向きは?選考に役立つ情報を徹底解説!
2023年12月27日更新
はじめに
就活を成功させるためには業界研究をしなければなりません。業界独自の業務や特徴を知っていないと入社後にギャップを感じて長く続かないかもしれませんし、長く仕事を続けるためには業界全体の将来も考えることが必要です。
そこで、ここではドラッグストア業界について基本概要から業務内容、就活に役立つ情報をご紹介します。
この記事は以下のような点を知りたい就活生を対象にしています。
- ドラッグストア業界ってどんな仕事をするの?
- ドラッグストア業界の就活難易度は高いか気になる
- ドラッグストア業界の選考対策
ドラッグストア業界に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、ドラッグストア以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひご覧ください。
この記事の結論
ドラッグストア業界の就職難易度はそれほど難しいとは言えないでしょう。根拠として販売や品だしなど基本的な業務が含まれるからだという点があります。一部では薬剤師など高度な資格を保持している必要がありますが、基本的には資格なしでも入社ができるでしょう。
選考対策として業界理解を深めると同時に、エントリーシートを記載する段階で自己分析をしっかりと行うことと、面接の頻出質問にしっかりと対応できるように練習することです。後ほど具体的な方法を紹介しますので是非最後までお付き合いください。
ドラッグストア業界とは?
ドラッグストア業界の企業は、健康や美容に関連した製品を中心に、医薬品や化粧品を取り扱う販売店です。家庭用品や加工食品なども扱い、自己サービス方式で販売しています。
医薬品や食品、日用品などを多岐にわたり取り扱うドラッグストア市場は成長していますが、業界内の競争や他の業態との競争も激しさを増しています。これまで大手企業が地方の中小薬局などを買収する再編が進んできましたが、今後もさらなる業界再編が見込まれるでしょう。
ドラッグストア業界の現状は?
トピック1:薬事法改正により医薬品販売規制が緩和
2009年の薬事法改正(現在の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、通称「薬機法」)により、医薬品販売の規制が緩和されました。この変化により、一般用医薬品の販売が広がり、20年未満の短期間で業界全体の市場規模が倍以上に拡大しました。
トピック2:生活全般をサポートする小売店へ
ドラッグストアは地域医療の一翼を担う存在であり、健康相談や調剤薬局併設などのサービスを通じて顧客のニーズに応える取り組みを行っています。また、全体として一般食品などの売上が急増し、利用顧客が増加しています。この変化に伴い、医薬品や化粧品に限らず食品の売上比率が高まる傾向もあり、現代のドラッグストアは薬局だけでなく、生活全般をサポートする小売店として位置づけられるようになっています。
参照ページ
ドラッグストア業界の未来は?
トピック1:同業他社やその他との競争激化
ドラッグストア業界では、他の小売企業との競争が激しくなっています。食品スーパーやコンビニエンスストア、ネット通販などとの競合が増え、業界内外のライバルが競っています。大手ドラッグストアは新規出店を進め、業績を伸ばしてきましたが、その結果、過剰な店舗展開が進行しました。各社は粗利益が高い医薬品の購買促進のために、他社よりも食品を低価格で提供して顧客を引き付けようとしています。この食品部門の拡充は、食品スーパーやコンビニエンスストアとの競争を強めました。医薬品の一部が法改正によりコンビニやスーパー、オンラインストアでも販売可能となり、他業種からの医薬品販売への参入が進み、市場競争が一層激しさを増しています。
トピック2:薬剤師不足
ドラッグストア業界では、調剤併設型店舗の数が増えているものの、薬剤師の不足が深刻な課題として取りざたされています。薬剤師はドラッグストアだけでなく、製薬会社や病院、調剤薬局など、多くの業種で必要とされています。医薬品の販売企業数の増加や薬学部の教育制度変更(4年制から6年制)により、長期間にわたる薬剤師の不足が続いてきました。この薬剤師不足が解消されない場合、業務や新規出店の障害となりかねないため、ドラッグストア業界においては薬剤師の確保が最重要課題となっています。
トピック3:高齢化社会、人口減少による市場の縮小
小売業全体で直面している課題は、少子高齢化、労働人口の減少、消費の低迷による市場の縮小です。
しかしながら、ドラッグストアは、健康寿命の延長やセルフメディケーションの推進において不可欠な存在です。高齢化に伴う医療費の増大を抑制するため、政府はセルフメディケーションを推奨しており、ドラッグストアはその拠点として大きな期待を寄せられています。
ドラッグストア業界の職種
職種内容①:仕入・物流
バイヤーや在庫管理と呼ばれる仕事です。バイヤーは、店舗に並ぶ医薬品や日用品、食料品などの調達を担当する職種です。商品戦略に基づき、取引先との交渉や商品の選定・決定を行います。
職種内容②:販売
販売職では、店舗での接客、商品の販売、補充、陳列整理、発注、在庫管理などを担当します。薬剤師は専門知識を活かし、薬や健康食品などのカウンセリング業務も行います。経験と実績を積めば、店長になれるでしょう。店長は店舗全体の業務とマネジメントを担当します。登録販売者の資格を取得することが求められます。
職種内容③:販売支援
スーパーバイザー、広告販促、運営企画などと呼ばれる仕事です。スーパーバイザーは定期的に店舗を巡回し、マネジメントチェックや業務指導、スタッフへの接客教育などを行います。エリアマネージャーやブロック長とも呼ばれる場合もあります。
職種内容④:経営計画
経営戦略や事業戦略の企画・立案・遂行、経営資源の最適配分などを行います。企業経営の中核を担います。
職種内容⑤:人事総務
他の一般企業と同じく、人事や総務の仕事をすることも可能です。人事は、採用計画や新卒・中途採用、人事制度の策定・実行、評価、人材育成などを担当します。総務は、一般事務、法務、経営管理などを担当します。
職種内容⑥:経理財務
経理業務や財務業務、資金調達や投資などを行います。企業の財務管理を担います。
職種内容⑦:薬剤師
ドラックストアには薬剤師の存在が欠かせません。医薬品についての疑問や相談は、薬剤師に助言を求めるのが最も効果的だからです。薬剤師になるには6年間の大学教育を修了し、国家試験に合格する必要があり、そのハードルは高いです。
職種内容⑧:調剤事務
薬局で働く薬剤師の助手的な役割を担うポジションです。処方箋の入力や保険請求、薬剤師の調剤業務を支援するのが調剤事務の仕事です。調剤事務は実質的な「薬局の顔」となっています。患者が薬局を訪れた際に最初に接するのは調剤事務のことが多く、その接客態度が薬局全体の印象に影響を与えます。この役割は、薬剤師が製品に注力する「対物業務」から、患者とのやり取りに重点を置く「対人業務」への変革に欠かせません。調剤事務には接客スキルも求められます。OTC(市販薬)の販売業務も行うため、登録販売者の資格を持っている場合もあります。
参照ページ
ドラッグストア業界の市場規模・推移
日本のドラッグストア市場規模は2021年度は8兆5,408億円であり少しずつ成長を続け、2022年度では8兆7,134億円。今後も継続的に市場規模は拡大していくでしょう。
参照ページ
ドラッグストア市場は8兆5408億円へ!コロナ禍の中でも出店意欲は衰えず
ドラッグストア業界 市場規模・動向や企業情報 – 日本経済新聞
ドラッグストア業界の売上高ランキング
ドラッグストア業界に属する企業の売上高ランキングは上記のグラフ通りです。
上記企業はドラッグストア業界に属していますが、事業内容自体はかなり異なります。そのため、選考に進む前には各会社の事業内容を調べることが必要です。ドラッグストア業界に進みたいと決めている場合は、専門的にそのサービスのみを提供している会社なのか、あるいは他の事業領域にも展開している総合企業なのか、良く違いを知り考えたうえで結論を出した方がいいでしょう。
参照ページ
サイバーセキュリティ業界の大手企業紹介
売上高ランキング上位5つの会社をご紹介します。
- ウエルシアホールディングス
- ツルハホールディングス
- コスモス薬品
- スギホールディングス
- マツモトキヨシホールディングス
企業①ウエルシアホールディングス
ウエルシアホールディングスは、かつては東京と埼玉で展開されていた薬局チェーンが合併して産まれた、比較的小規模なドラッグストアでした。2000年にはイオングループの傘下に入り、ブランド名がウエルシアに変更され、2016年以降はドラッグストア業界でグループ売上高の首位を競い合っています。
このチェーンの特長は、コンビニを意識した品揃えにあります。イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」製品の取り扱いや弁当の販売、ATMの設置、24時間営業店舗の増加など、スーパーやコンビニの顧客層を取り込むための取り組みを行っています。
企業②ツルハホールディングス
ドラッグストア業界で2位の売上高を誇るツルハホールディングスは、積極的なラインロビングを行ってきた代表的な企業です。顧客の利便性向上に注力し、精肉や青果、100円均一コーナーの導入を進めています。2022年5月15日時点で、精肉や青果は880店舗に、100円均一コーナーは246店舗に導入されています。青果や精肉はテナントやコンセッショナリー(委託)を活用し、100円均一コーナーではワッツと提携して展開しています。
企業③コスモス薬品
コスモス薬品は、初めて小規模な商圏をターゲットにしたメガドラッグストアを日本で展開しました。小売業界は複数の業態が入り乱れる競争激しい状況にありますが、商圏を限定すると競合は限定されます。
小商圏における競合業態は、食品スーパー、小商圏型ディスカウントストア、コンビニエンスストア、500平米型ドラッグストアです。これらの競合に対抗するため、コスモスのメガドラッグストアは医薬品や化粧品だけでなく、日常の必需品である消耗品や生活用品も幅広く取り扱っており、顧客の暮らしを支える非常に便利な店舗となっています。現代社会では時間が最も貴重なものであり、時間を節約することが消費者の最大の要望です。そのニーズに応える新しいビジネスモデルが、『小商圏型メガドラッグストア』なのです。
通常、小さな商圏には小規模な店舗を、大きな商圏には大型店舗を建設するのが一般的な考え方です。しかし、コスモス薬品は異なり、小規模な商圏においても最も大型の店舗を展開し、その地域に住む人々にとって最も利便性の高い店舗を提供することを基本的なコンセプトとしています。
企業④スギホールディングス
スギは、薬剤師、管理栄養士、ビューティーアドバイザー、看護師、登録販売者など、多様な専門家が人的資本として揃っています。特に、約3,700名の薬剤師がグループに在籍しています。薬剤師不足が深刻化し、薬剤師の確保が急務となっている中、調剤薬局やドラッグストアにとどまらず、スーパーやコンビニ、EC事業者などが調剤事業に参入することで、薬剤師の獲得がますます困難になっています。
そのような状況の中、スギは着実に薬剤師を増員していることが、大きな強みとなっています。
企業⑤マツモトキヨシホールディングス
都心の一等地にある都市型店舗から始まり、各地域の郊外に単独店舗を展開しています。ヘルス&ビューティー商品を中心に据え、生活に必要な品々から医薬品まで多岐にわたる品ぞろえで、地域の暮らしに深く根ざしたドラッグストアを目指しています。
参照
ドラッグストア業界で働くメリット
ドラッグストアのメリット・デメリットには下記のようなものがあります。メリット・デメリットがどのくらい大きいのかを考えていきましょう。
メリット①地域に貢献できる
ドラッグストアでの仕事の魅力の一つは、顧客と店員との距離の近さです。顧客からの相談に耳を傾け、適切なカウンセリングを提供し、一般用医薬品やサプリメントなどを提案することができるのが、ドラッグストアの特長です。
たとえば、薬剤師はセルフメディケーションのアドバイザーとして、地域の健康を支援します。商品の案内だけでなく、時には適切な医療機関への受診を促すこともあります。良い助言ができれば、顧客との信頼関係を築き、気軽に相談してもらえるでしょう。
メリット②柔軟性のある働き方ができる
ドラッグストアでは、通常の調剤薬局よりも長時間営業し、週末や祝日も営業しており、シフト勤務が一般的です。大手企業では、他店舗や本部からのサポート体制が整っており、シフトに関する問題が生じた際にも助けてもらえることが一般的です。特に大手のドラッグストアでは、休暇制度が整備されており、薬剤師が自身のワークライフバランスに合わせて働くことができます。実際に、子育てや介護中の薬剤師が多く活躍しています。
メリット③汎用性のある業務に携われる
ドラッグストアでの勤務は、接客の機会が豊富であり、販売員やスーパーバイザーとしてさまざまな業務に携わりながら幅広い経験を積むことが可能です。販促活動や顧客への柔軟なアドバイスなど、汎用性の高いスキルを磨くことができるでしょう。店舗運営の実績や売上の管理などを積み重ねることで、更なるキャリアアップを目指すことも可能です。
参照ページ
ドラッグストア業界で働くデメリット
ドラッグストア業界で働くことはメリットだけではありません。職業柄求められることが人によっては耐えられない程辛いこともあります。メリットだけで決めるのではなく、自分の適性も確認したうえで進むべきかどうかを判断していきましょう。ドラッグストア業界で働くデメリットには下記のようなものがあります。
デメリット①休みが取りづらい
ドラッグストアは一年中休みなく営業し、多くの場合、閉店時間が遅くなることがあります。そのため、勤務時間が不規則になることがありますし、休日の取得が難しい場合もあります。その結果、ワークライフバランスが崩れることもあります。
デメリット②接客スキルが求められる
ドラッグストアでは多くのお客様から相談を受ける機会があり、その際に臨機応変な対応が必要です。薬について正確なアドバイスを提供することが重要ですが、同時に店舗の売り上げを考慮する必要もありますので、接客スキルが不可欠です。また、ドラッグストアでは薬以外の多様な商品を取り扱っているため、薬に限らず広範な知識を積極的に身につけることが求められます。
参照ページ
ドラッグストア薬剤師の仕事内容やメリット・デメリットを徹底解説
ドラッグストア業界への就活を成功させるためには
まずは、就活に関する基本的なことは業界関係なく対策が重要です。ESのブラッシュアップ、面接対策は必ず徹底的におこないましょう。また、この業界向けに志望動機を書く際の注意点やよくある志望動機などをまとめてあるとより理想的です。
その上で、志望動機を作る上で大切なポイントが4つあります。それぞれの特徴とドラッグストア業界でよくある志望動機を見ていきましょう。
なぜドラッグストア業界なのか
- なぜ数ある中からドラッグストア業界なのか
- それは他の業界ではできないのか
なぜその企業なのか
- 数ある中でなぜその会社を選んだのか
- それは競合他社では達成できないことなのか
なぜその職種なのか
- 多くのジョブがある中でなぜそのジョブを応募したのか
- 果たして他のジョブや全く関係ない業務でそれは達成できないか
以上の3つが自分のやりたいことや方向性とどうマッチするのか
- まず以上の3つ内容に相違はないか、論理的に破綻していないか
- そのうえで、自分が将来目指したいことや達成したいことにマッチするか
ES・面接頻出質問をご紹介
- なぜこの業界を志望しているのですか?
人々の健康を支えていきたいからです。私は以前、地元の小さなコミュニティでボランティア活動に携わり、高齢者や障がいを持つ人々との交流を通じて、彼らの日常生活における健康上のニーズや課題に触れる機会がありました。
その際、医薬品や健康商品に対するアクセスの重要性や、地域のドラッグストアが地域の健康を支える一翼を担っていることを実感しました。特に高齢者の方々は日常の健康管理にドラッグストアを頻繁に利用し、その存在が彼らの生活に欠かせないものであることを知りました。
このような経験から、地域社会に密着したサービスを提供し、健康を支える役割を果たすドラッグストア業界に魅力を感じました。私は、この業界で働くことで、地域の人々の健康に貢献できることにやりがいを感じます。また、先述のボランティア活動を通じて培ったコミュニケーションスキルやチームワークを生かし、お客様に寄り添ったサービスを提供できる自信があります。
そのため、ドラッグストア業界でのキャリアを通じて、地域社会に貢献し、人々の健康と生活の質を向上させることに貢献したいと考えています。
- なぜ弊社にご応募いただいたのですか?
貴社のカルチャーとして、地域密着型の経営を目指している点があったからです。
私は学生時代、飲食店で接客のアルバイトを2年間経験しました。その中で、お客様とのコミュニケーションの大切さを学びました。この経験を通じて、お客様に寄り添う接客態度を身につけました。地域密着型の店舗で勤めることで、よりお客様との距離を近づけた接客が可能であると思っています。
この質問返答を4つのフレームワークに当てはめて回答すると以下のようになります
質問1
なぜドラッグストア業界なのか
- お客様のセルフメディケーションの役に立ちたいから
なぜその企業なのか
- 地域密着型だから
なぜそのジョブなのか
- アルバイトで経験を積んだから
以上の3つが自分のやりたいことや方向性とどうマッチするのか
- よりお客様に寄り添った接客が可能
このように自分のやりたいことや将来像に対して、現在とのギャップがどうなのか。そしてそれを埋めるために貴社を志望するといったロジックも一つの方法ということも覚えていただけると嬉しいです。
また、具体的な面接対策を紹介している記事などが他にありますので、是非合わせて読んでみてください。
まとめ
今回はドラッグストア業界について解説しました。ドラッグストア業界の企業は、大手から中堅、地域密着型まで多岐に渡ります。重要なのは、なぜその企業に就職したいのかその理由を具体的に述べることです。そのために、業界研究が必須です。業務内容や大手企業について調べるだけではなく、本当に自分に向いているのかを確認しながら業界研究を進めていきましょう。