【業界研究】印刷業界とは?仕事内容や履歴書作成・面接対策まで解説

【業界研究】印刷業界とは?仕事内容や履歴書作成・面接対策まで解説

2023年11月28日更新

はじめに

印刷業界は、我々の日常生活で欠かせない重要な業界の一つです。

 

毎朝届く新聞や広告のチラシ、街中にはポスターや雑誌、広告に溢れ、さらにあなた宛てに届く郵便物から家の中にあるあらゆる物に貼ってあるラベルなどの印刷物は、実に様々な分野で広く活用されています。

 

この記事では、印刷業界の事業内容や仕事内容・職種、さらに就活生のために印刷業におけるリーディングカンパニーを比較・検討すると共に採用試験をクリアするための方法まで詳しく説明します。

 

印刷業界の奥深さと将来性について理解すると共に、印刷業界へ就職するための基本情報を提供しますので、ぜひ最後まで熟読していただき、就職先の選択について考える際の材料にしてください。



印刷業界とは?

印刷業界の事業は、出版印刷と商業印刷の二つに大きく分けられます。

出版印刷

出版印刷は、主に出版社や新聞社が発行する商業出版物に対応する印刷のことをいいます。新聞や書籍・雑誌だけでなく、地図や教科書などに至るまで、商品として取り扱われる印刷物は全て出版印刷にあたります。また、研究機関や団体が発行する書籍類も出版印刷となります。

 

このように出版印刷は、文字を読む書籍から写真・イラストを用いた観賞用まで様々な形態で印刷されるため、作成ノウハウが多岐に渡ることも特徴です。印刷の分類の中で一番我々の生活に触れる機会が多いのが、この出版印刷に分類される印刷物であるといっても過言ではありません。

商業印刷

商業印刷の主な顧客は、企業や団体になります。これらの組織の事業活動に使われる印刷物が主な対象で、内容は宣伝用印刷と業務用印刷に分けられます。

 

宣伝用印刷は、主にチラシ・パンフレット・ポスター・POPのような、企業や団体の業務を宣伝する際に使われる印刷物になります。

 

業務用印刷は、企業商品のカタログや会社案内、マニュアルや報告書のような業務に直接関わる印刷物が対象です。学生の皆さんが就職活動中に企業から受け取る会社案内やパンフレットなどは、この業務用印刷にあたります。

 

それ以外にも、企業内で使用されている伝票や帳票と言われるパンチやミシン目などが加工された印刷物や冷凍食品のパッケージ、ペットボトルのシュリンクラベルなどのパッケージ印刷もただ情報を伝達するだけではなく、ブランドの認知力を上げる効果が期待される重要なアイテムになっています。



印刷会社の仕事内容(職種)は?

印刷業界の仕事内容(職種)は、企画職、営業職、技術職、さらにクリエイティブ職があります。

 

近年では電子化の波も広がり、有機ELディスプレイや機能性フィルム、画像処理ソフトなど印刷技術以外の研究・開発も行われています。

①企画職

企画職は、企業の販促物に関わるディレクションを行う職種で、ポスターや宣伝用チラシ、パンフレットなどの印刷物に加えて企業紹介映像やウェブサイトなど、多種多様な媒体におけるディレクションを行います。企業の要望に合わせたPRや販促物の広告などを総合的に手がけています。

 

全体のプランニングや市場分析、企業への企画提案・見積もりなどを行うことで企画の実現に貢献します。

②営業職

営業職は、企業等のクライアントから情報を集め、新たな事業を発掘します。

担当先は官公庁から一般企業まで多岐にわたる場合もあり、様々な業界と印刷業界を橋渡しするような役割を担います。

 

様々な競合他社がいる中で印刷業界ならではの強みを生かした提案を行い、企業にとって最良なプロモーション企画をともに作り上げるための足がかりを作る重要な職種といえるでしょう。

③技術職

技術職は、印刷業界がこれまで培ってきた印刷技術を活用して、印刷業界の新たな事業創出の一翼を担う職種です。

 

電子部品やフィルム、パッケージなど様々な商材の根幹を支える技術をもとに、革新的な製品を生み出すことが仕事です。

④クリエイティブ職

クリエイティブ職は実際の販促物などのデザインを行うデザイナーや企画職とともにより詳細なデザインプランを考えるディレクターなどが該当します。

 

印刷会社の大手企業4社

それではここで、印刷業界の大手企業4社を詳しく見ていきましょう。

先ずは、企業の規模感を下表で掴んでください。

 

凸版印刷株式会社

凸版印刷は「トッパン」の名称で知られている業界最大手の印刷企業です。

 

1900年に創業した歴史を持つ企業であり、印刷企業にとどまらず、「健康・ライフサイエンス」「教育・文化交流」「都市空間・モビリティ」「エネルギー・食料資源」など様々な成長分野に注力し、現在では、世界約160拠点で約51,000人が働く企業グループへと成長しています。

 

創業当時は、当時の最先端印刷技術「エルヘート凸版法」を活用し、発展しましたが、最近ではデジタル分野に力を注いでいて、印刷技術を活用したデジタル画像処理を得意としています。

大日本印刷株式会社

大日本印刷は、DNP(Dai Nippon Printing)の略称で知られる業界最大手の印刷会社です。

 

1876年に創業した秀英舎と1907年に創業した日清印刷が1935年に統合したことで生まれた145年以上の歴史を持ちます。創業当初はベンチャー企業として出版印刷を中心に事業を展開していましたが、1951年には「拡印刷」を掲げ、従来の出版印刷中心から、商業印刷や証券印刷、包装や建材、エレクトロニクス製品へと事業領域を拡大し、総合印刷企業へと成長しました。

 

現在では食品や日用品の高機能で環境にやさしいパッケージ、建築物や自動車用の内外装材、スマートフォンやタブレット端末用の部材など世の中のありとあらゆる商品に大日本印刷の印刷技術が使われています。

NISSHA株式会社

NISSHAは、1929年に創業者の鈴木直樹氏が設立しました。

 

美術印刷の技術をベースに展覧会図録、写真集、豪華装丁の美術本など様々な美術印刷事業を展開していましたが、現在では美術印刷にとどまらずスマートフォンやタブレット、小型ゲーム機などに広く利用されている「タッチセンサー」をはじめ、プラスチックやガラス・金属用「加飾フィルム」、「ガスセンサー」「無線センサーネットワーク」など幅広い領域に技術を展開しています。

 

さらに、医療機器や医療関連分野にも進出し、メディカルテクノロジー事業を展開しています。

共同印刷株式会社

共同印刷は、情報コミュニケーションや情報セキュリティ、生活・産業資材などの事業を展開する総合印刷会社です。

 

印刷物という枠組みを超えて、モノづくりを考えおり、企業独自の強みによって、幅広い分野で活躍しています。またベトナムにも工場を持つなど、日本国内だけではなく、国外にも活動の幅を広げています。

 

共同印刷では「未来を創り出せる人」が求められています。現状にとらわれることなく、未来を見据え、主体的に行動できる人です。社風としてもチャレンジしやすい環境にあり、柔軟な働き方ができる企業です。



応募書類の書き方について

就職活動において、どの会社にエントリーする際に必要なものは、エントリーシートや履歴書などの応募書類です。

応募書類には、自己PRや志望動機、学生時代に取り組んだことや頑張ったことなど具体例を交えて分かりやすく簡潔明瞭に記載しましょう。

「積極性」や「協調性」、さらに「コミュニケーション能力」や「行動力」などあなたの性格や能力をアピールして「印刷業界における自分の適性」を訴えるとともに、「印刷業界で何がしたいのか」を「何故印刷業界に就職したいのか」などあなたという人物像を採用担当者が容易に想像できるように作成しましょう。

採用担当者は、大量の応募書類の中から自社に合う人をセレクトしていきますので、ありきたりな自己PRや志望動機ではなく、あなたらしさを前面に押し出し、記憶に残ってもらうような個性的な内容で作成して、他の学生と差別化できるようにしましょう。



筆記試験の対策について

印刷会社の筆記試験は、SPIが主流です。

リアルよりWebで行なわれることが多いようですので、事前に対策本やWebの模試を受けるなどして対策しましょう。

 

Webでは、画面の操作方法や時間配分に戸惑うことがありますので、第一志望の会社をぶっつけ本番にするのではなく、やはり事前に体験しておくことが必要です。

あの時受験しておけば良かったと後悔しないようにスケジュールを立てて、筆記試験に臨みましょう!!



面接試験の対策について

面接試験では、自己PRや志望動機を直接伝えることができる唯一のチャンスです。

 

エントリーシートや履歴書など応募書類に記載した内容をより具体的に熱量を込めて説明し、志望する会社に入社したらどの部署でどのような活躍をしたいのかを具体的に簡潔・明瞭に伝えましょう。

 

また、会社によって面接試験が複数回行われる点には注意が必要です。面接試験では、落ち着いて受け答えできるように、想定質問と回答内容をあらかじめ考えておきましょう。

 

想定問答集を作成し、模擬面接を繰り返すことで、受け答えする態度や姿勢も練習するためにもキャリアセンターの職員やゼミの教授などに面接官を依頼してみましょう。

 

複数回模擬面接を実施して、面接というある意味「独特の雰囲気」に慣れて、本番に臨みましょう!!



印刷業界の現状と今後の課題について

印刷業界の現状は以下の2点がポイントになります。

 

①デジタル化により市場の減少

②新型コロナウィルスの影響

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①デジタル化により市場の減少

デジタル化は、様々な業界に影響を与えています。

特に出版や印刷業界は、デジタル化とペーパーレス化のダブルパンチにより需要減少が続いています。

 

スマートフォンやタブレットの普及により、紙媒体に代わりに電子書籍の需要が増えたことにより書籍や雑誌の廃刊、さらに書店の閉店も増えています。

 

デジタル化の勢いは今後も加速していくと予想されますので、今後デジタル化の波にどう立ち向かうか、またはデジタル化と従来の印刷技術をどう融合させるかが大きな課題となっています。

②新型コロナウィルスの影響

新型コロナウイルスの影響は、印刷業界だけではなく日本そして世界的にも甚大な影響を与え続けています。

 

特にテレワークの増加により、オフィスで事務製品を使用する機会が激減したため、事務用印刷物の需要もそれに伴ない減少しています。

 

また、外出自粛や混雑緩和のため各種イベントの中止が続き、パンフレットやカタログなどの印刷需要も激減しました。

 

その一方で、在宅時間の増加によりテイクアウト商品や通販商品の需要が拡大したことに伴ない、パッケージや梱包資材の印刷は、コロナ流行以降受注量が増え続けています。

 

新型コロナウィルスが与えるこれらの相反するような動向に対して、印刷業界としてどう乗り越え、新たな需要に応えていくかが求められているのです。

 

今後の課題については、次の3点がポイントになります。

 

①新たしい技術の導入

②異業種や新事業への参入

③環境への配慮

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①新たしい技術の導入

デジタル化がさらに進みDX化が加速しています。その波は、印刷業界においても同様に期待されています。

 

印刷機稼働状況を一括Web集約し、非稼働時間を有効活用したシェアリングプラットフォームの運用したり、メタバースや生成AIなどデジタル技術の進歩はさらに加速度的に発展していくでしょう。

 

印刷技術とデジタル技術の掛け合わせに、大きな注目が寄せられています。

②異業種や新事業への参入

印刷業に専念するのではなく、これまで築き上げてきた印刷技術に関するノウハウやサービスを活用して業種の転換を図ったり、新規事業へ参入したりする企業もすでに出始めています。

また、M&Aを行なうことで新しい分野や海外進出を図る企業も出て来ています。

③環境への配慮

情報技術が発展している昨今では印刷による紙資源の浪費やインク生成におけるエネルギー消費などが持続可能社会実現に向けて逆行したものとして捉えられています。

 

SDGsなどの国際的な取り組みやESG投資など新しい投資の影響などにより、企業は環境問題に対してどのような経営判断のもとで対処していくかという意思決定と実行が迫られています。

 

まとめ

印刷業界は、我々の生活に切っても切れない関わりの深い業界です。

 

その中でも印刷業界におけるリーディングカンパニーは、凸版印刷、大日本印刷、NISSHA、共同印刷など皆さんが良く耳にする印刷会社ですが、それぞれが独特の強みと戦略を持っています。

 

これらリーディングカンパニーに囚われることなく、貴方の考え方や価値観、さらに社風に関してもあなたが希望する印刷会社がキッと見つかるはずです。

 

いくつもの難関が待ち受ける就職試験がありますが、事前対策をシッカリ行ない、筆記試験と面接試験をクリアすることで、夢の実現に向けて確実に一歩ずつ前進しましょう!!

 

この記事を通して、あなたの夢が叶うことを願っています。