【新卒で看護師になるための方法】仕事内容や年収、やりがいなどを解説
2023年11月23日更新
はじめに
新卒で看護師になりたいと思っているが、仕事内容や年収、やりがいなど、具体的にどんな職種なのか気になる方も多いと思います。看護師に就職することを考えて、本記事では新卒で看護師になるための方法を詳しく紹介しています。
企業研究をする前に、まずはその職種について深く知り、自分と合っているか検討しましょう。
看護師とは
看護師とは、ケガをした方や産後間もない女性などを世話したり、心のケアをしたり、医師の診察・治療をサポートしたりする人です。
単にケガの治療を行うだけでなく、身体・精神・文化・社会などさまざまな側面やバックグラウンドなどに配慮しながら的確な介護を行います。看護師が活躍する場は幅広く、病院や診療所の他にも看護ステーションなど、必要とされる場がどんどん広がっています。
高齢化がどんどん加速している現在において、看護師は必要不可欠な存在です。
看護師の仕事内容
看護師の仕事内容は「医師の診療の補助」「入院患者さんのサポート」の2つに分かれます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
医師の診療の補助
医師の診療の補助は、医師が患者さんを診断する際に、医師の指示に基づいて診察の補助を行います。具体的には以下のようなものです。
・患者さんの診察の用意や機材の用意 ・血圧や体温、脈拍などの測定 ・採血や注射などの診察の補助 ・診察に使用した機材の片付け ・患者さんの誘導など |
補助という役割ですが、患者さんの健康に関わることなので、ミスのないように集中しなければいけません。ミスによって大きな医療事故につながる可能性もあるため、医師との深い連携が大切です。
診療がスムーズに進むように医師の補助を行うだけでなく、診療している患者さんのサポートやヒアリングなども同時に行うため、柔軟に動く必要があります。
入院患者さんのサポート
大きな病院では入院生活を送る患者さんのサポートを行う必要があります。主な業務は以下の通りです。
・食事の用意 ・排泄の補助 ・入浴の介助 ・定期巡回と検温・問診 ・体位変換 ・検査時の搬送 |
この他さまざまな仕事を行っているため業務内容は多岐にわたります。入院患者さんが少しでも快適に過ごせるようにサポートし、体調だけでなく心のケアも行います。
看護師になるには
看護師になるために必要な資格や通うべき学校、向いている人などを見ていきましょう。
看護師に必要な資格
看護師になるためには国家資格である「看護師免許」が必要です。看護師免許を取るためには、看護師国家試験を受ける必要がありますが、合格率は毎年90%前後と難しい試験ではありません。
看護師養成課程でしっかりと学び、看護師国家試験の対策をしていれば簡単に合格することが可能です。看護師国家試験の合格率は高いため簡単な試験だと思う方が多いと思いますが、受験する要件は厳しいです。看護師国家試験の受験要件は以下の通りです。
第二十一条 看護師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。 一 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。第四号において同じ。)において看護師になるのに必要な学科を修めて卒業した者 二 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校において三年以上看護師になるのに必要な学科を修めた者 三 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した看護師養成所を卒業した者 四 免許を得た後三年以上業務に従事している准看護師又は学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校を卒業している准看護師で前三号に規定する大学、学校又は養成所において二年以上修業したもの 五 外国の第五条に規定する業務に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国において看護師免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が第一号から第三号までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの |
引用元:e-gov法令検索「保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)」
看護師が通うべき学校
看護師になるためには必ず看護師養成課程の整った学校を卒業しなければいけません。高校卒業後に進学できる学校は、「看護大学(4年制)」「看護系短大(3年制)」「看護専門学校(3年制)」の3つです。
看護師になるためにはこれら3つの中から、好きな学校に通わなければいけません。中学生のときから看護師になることを目指している方は、中学卒業後に「5年一貫制看護高校」に入学するといいでしょう。
4年制看護大学で取得する単位によっては、看護師国家試験の受験資格だけでなく、「助産師」や「保健師」の国家試験受験資格も得ることができます。
4年制の看護大学では、取得する単位によっては看護師国家試験の受験資格と同時に、「保健師」または「助産師」の国家試験受験資格が得られます。
看護師に向いている人
看護師に向いている人の特徴は以下の通りです。
・コミュニケーション能力が高く協調性がある
看護師は患者さんはもちろん、医師やスタッフなど常に誰かとコミュニケーションを取り合っています。特に患者さんからは体調の変化や悩み事などを聴くことが多いため、人の話を聴く力が高い方が望ましいです。
またひとりで働いているのではなく、チームで協力して作業に当たっているので協調性も大切です。
・健康的で体力のある人
看護師は一日中立ちっぱなしの仕事で、常に病院内を動き回っています。夜勤と昼勤が交代制の方も多く、変則的な生活リズムになってしまうため体力がなければいけません。患者さんの体調を看る前にまずは自分の体調管理が必須です。
・観察眼のある人
患者さんの小さな異変に気づけるかは重要です。小さな異変から大きな病へと変化していくこともあるので、些細な変化にも気づくことができる観察眼がある人が向いています。
・人の世話をするのが好きな人
看護師は、患者さんと寄り添いあって働く仕事です。そのため、人の世話をすることが好きな方でなければ勤まりません。人によって態度を変えるのではなく、誰にでも平等に世話ができる人に向いています。
・感情のコントロールができる
看護師は患者さんの命と向き合っている仕事です。そのため、場合によっては自分が看護していた患者さんが亡くなってしまうこともあります。ショックなことがあってもすぐに気持ちを切り替え、他の患者さんのケアができるような精神力が必要です。
その他にも「向上心があり努力できる」「瞬時に適切な判断をし行動できる」「責任感が強い人」といったような方も看護師に向いています。
看護師の魅力・やりがい
看護師は、患者さんの命を預かっているため責任が重たい分、やりがいも十分に感じることができます。多くの看護師がやりがいを感じる瞬間は「患者さんが元気ににあり、笑顔で笑ってくれたとき」です。
病院を訪れる方はケガや病気など、つらいことがある方が多いです。ですが看護師のサポートによって患者さんが次第に笑顔を取り戻してくれます。自分のサポートによって患者さんの容態や表情が良くなっていくのを感じたときにやりがいを感じるでしょう。
また看護師は患者さんだけでなくその家族までサポートすることがあります。特に難病や重度のケガなどを抱えている方は不安も大きく、精神面を支え、ケアしなければいけません。
同じ日は一日もなく、毎日看護に対する難しさや楽しさ、奥ゆかしさなどを実感することができ、成長を感じることもできるのが魅力です。
看護師はひとりで働いているのではなく、他のスタッフや医師などチームで行動しています。ひとりの患者さんに対しても複数名でサポートすることもあります。
患者さんの容態が回復していく様を、チームで実感し喜びや楽しさを共有できるので、大きなやりがいを感じられるものです。
看護師の1日のスケジュール
時刻 | 仕事内容 |
8:00 | 出勤 朝のミーティング 申し送り |
9:00 | 院内の巡回 患者さんの体調をチェック |
10:00 | 検査 医師の補助 |
11:00 | 検査 医師の補助 |
12:00 | お昼休憩 |
13:00 | 午後のミーティング |
14:00 | 院内の巡回 患者さんの体調をチェック |
15:00 | 検査 医師の補助 |
16:00 | 検査 医師の補助 |
17:00 | 退勤前のミーティング 明日の準備 |
18:00 | 退勤 |
上記は日勤の場合のスケジュールです。多くの看護師は、昼と夜の2つの勤務を交代で行っています。次は夜勤の一日の流れを見ていきましょう。
時刻 | 仕事内容 |
15:00 | 出勤 日勤スタッフと情報の共有 |
16:00 | 検査 医師の補助 |
17:00 | 夕食の配膳 介助 |
19:00 | 院内の巡回 患者さんの体調をチェック |
20:00 | 休憩 |
21:00 | 消灯 |
22:00 | 巡回やカルテ記録、仮眠などを交代制で行う |
6:00 | 院内の巡回 患者さんの体調をチェック |
7:00 | 夕食の配膳 介助 |
8:00 | 退勤 |
夜勤は病院が営業していないため、デスクワークが中心の仕事になります。スタッフ同士で眠くならないようにサポートしながら、患者さんの様子を伺います。
看護師の求人について
看護師の求人について見ていきましょう。
看護師の新卒採用について
新卒で看護師になることはもちろん可能です。看護師は9割以上が女性であり、結婚・出産・育児などにより働き方が変化していきます。近年では、看護師の雇用形態が多様化し、自分のライフスタイルにあった働き方を選べるようになりました。
正社員として入社した場合、1日あたり8時間、週40時間程度、働くことが一般的です。しかし、育児や出産などによりこの時間通りに働くことが困難な場合は、時間や日数を短縮します。この場合でも、正社員としての待遇を受けられるように「短時間正職員制度」を導入する企業が増えています。
また正社員であっても夜勤を行わない「日勤限定」や土日を固定休みにした「平日限定」といった働き方ができるのも特徴です
看護師の平均年収
厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、令和4年の看護師の平均年収は508万円です。看護師の平均年収は増加傾向にあります。
2022年度の新卒看護師の初任給は、以下の通りです。
<高卒+3年課程の新卒看護師平均給与> 平均基本給与額:203,276 円 総額(手当込み):263,711 円 <大卒の新卒看護師平均給与> 平均基本給与額(基本給): 246,770 円 総額(手当込み):324,446 円 |
引用元:2023年日本看護協会「2022年病院看護実態調査報告書」
新入社員として入社したばかりは、平均年収が400万円前後ですが、そこから年数を重ねるごとに右肩上がりに年収が増えていき、55歳〜59歳では平均年収が約570万円とピークに達します。
勤務先の地域や企業の大きさによっても平均年収が変わりますので、もし少しでも高い給与を求めるなら大手企業で都市部にある病院などを選びましょう。
看護師の就職先
看護師は需要のある職種なので就職先がたくさんあります。一般的にイメージしやすいのは「病院や診療所などの医療機関」です。
その他にも「介護施設や福祉施設」「訪問看護ステーション」「企業や保育園や幼稚園での仕事」「専門看護師」などに就職先があります。
なお専門看護師は、看護師として5年以上の実務経験があり、看護系大学院で修士号を取得し、専門看護師認定審査に合格しなければいけないため、新卒ではなれません。
看護師の志望動機や目指すきっかけ
看護師の志望動機には以下のようなものがあります。
利用者一人ひとりとじっくり関われる介護施設に魅力を感じた 保育園看護師として子どもの予防医療に携わり、子どもたちの健康を共に支えたい 多くの患者様を助けられる看護師になりたい 人に気配りすることが得意だから 看護師の働く姿を見て魅力を感じたから |
人を支えたい、健康を守りたい、命を守りたい、過去の経験から看護師に憧れたといった内容の志望動機が比較的多いです。
看護師を目指すならキャリアプランを考えておこう
看護師として働きたいと考えているならキャリアプランを考えておくことは重要です。
自分から自発的に考えておくことで、将来を見据えた働き方が分かってきます。
・キャリアプランを考える手順
・キャリアプランの成功事例
・キャリアアップに活かせる資格
上記のような内容を紹介していますので、参考になること間違いなしです。
これから看護師として、活躍していきたい学生は以下の記事をチェックしてキャリアプランを考えてみましょう。
まとめ
新卒で看護師になることは可能です。
高齢化社会が加速する中、看護師は将来を見ても需要のある職種であるため、安定して働くことができます。
新卒で看護師を目指す方は、必要な資格や通うべき学校をしっかり見ておきましょう。