【新卒で税理士になるための方法】仕事内容や年収、やりがいなどを解説

【新卒で税理士になるための方法】仕事内容や年収、やりがいなどを解説

2023年11月18日更新

はじめに

新卒で税理士になりたいと思っているが、仕事内容や年収、やりがいなど、具体的にどんな職種なのか気になる方も多いと思います。税理士に就職することを考えて、本記事では新卒で税理士になるための方法を詳しく紹介しています。

 

企業研究をする前に、まずはその職種について深く知り、自分と合っているか検討しましょう。

税理士とは

税理士とは、企業や個人事業者、財産を所有している人などが、税金の納付や申告が必要な方に対して、税務や会計業務を行う職業です。

 

納付する税金によって、「申告時期」「税額の計算方法」「納期限」などの法律が異なりますが、それら法律に関して専門知識を持っているのが税理士です。税理士として名乗るためには国家資格である「税理士試験」に合格しなければなりません。

 

税理士は「税務署側の立場」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。例えば、「税」に関しての知識が乏しい方が、必要以上に税金を納めている場合に、不利益にならないようにするのも税理士の役目です。

 

上記も述べましたが、税務や会計を中心に業務をしていますが、コンサルティングなども業務として取り扱っている税理士もいます。

税理士の仕事内容

税理士は税務と会計業務を中心に仕事を行い、中にはコンサルティングも行っている方もいます。この3つを詳しく紹介するので見ていきましょう。

 

税務

税務は、税理士だけが行うことを許されている「税務代理」「税務相談」「税務書類の作成」の3つの独占業務を行っています。

 

・税務代理

税務代理は名前の通り、クライアントに代わって税務を行う業務を行うことです。本来であれば、納税は本人が申告・納税することが原則ですが、税法関連制度が複雑で、専門知識がなければ困難であるため、税理士が代わりに作業を行います。

 

税理士が代理で行っている業務は以下のようなものです。

・確定申告

・青色申告の承認申請

・税務調査の立会い

・税務署の更正・決定に不服がある場合の申立て

 

税務処理が必要な機会が発生したときに単発で依頼を受けることもあれば、個人事業主・自営業・法人などが顧問契約といった形で継続的に委託する場合もあります。

 

・税務書類の作成

税務書類の作成は、各種申告手続きなどに必要な税務書類をクライアントに代わって行う業務のことです。

 

税理士が代理で作成する書類は以下のようなものです。

・確定申告書

・相続税申告書

・青色申告承認申請書

・その他税務署などに提出する書類 など

 

比較的簡単そうに見える書類の作成も、税理士の独占業務に含まれているため、資格を持っていない方が行うと違法行為になります。しかし、税理士の指示で無資格者の従業員が税務書類を作成しても大丈夫です。

 

・税務相談

税務相談は、案件ごとに相談を行うこともあれば、顧問契約したクライアントから継続的に相談を受けることもあります。次に紹介するコンサルティング業務と重複する箇所もありますが、相談内容は以下のようなものです。

 

・税金に関する疑問

・融資や資金操りに関する相談

・事業計画や経営計画に関する相談

・生命保険や社会保険に関する相談

・役員報酬に関する相談など

 

会計業務

会計業務は、法人や個人事業者が行った営業取引を数値化し、損益計算書や貸借対照表といった財務諸表の作成を行い、会社の資産や業績の状況を記録する業務です。

 

会計業務で作成した財務諸表を元に、所得税や消費税、法人税などが計算されるため、税務にとっても大切な役割です。会計業務は、税務と違い資格がなくても行えます。会社の経理課でも行える業務なので、会社の規模が小さい場合は自社で行うことが多いです。

 

しかし、規模の大きい事業者であれば、税額計算などが難しくなり、高額の税金を余分に払ってしまうなどのリスクがあります。そのため、正確に数値を出してもらえる税理士に依頼することが多いです。

 

コンサルティング

コンサルティング業務は、他の税理士との差別化を図るために必要とされています。税務や会計業務は、どの税理士が行っても結果に差がありません。計算ソフトなども発達しているので、ソフトを用いて計算すればスピードも精度も、どの税理士でも違いがありません。

 

会社の売上や費用、納める税金の額は、もともと決まっているので、どの税理士が計算しても同じ値になります。そこで重要になるのが、税務・会計業務以外の部分で評価を得ることです。

 

人柄やコミュニケーション能力、ストレスなく相談できるのか、といった部分が重要です。そのため、経営相談やコンサルティング業務を付加価値としてつけることで、他の税理士との差別化を図ります。

税理士になるには

税理士になるために必要な資格や通うべき学校、向いている人などを見ていきましょう。

税理士に必要な資格

日本税理士会連合会によると、次のいずれか一つに該当する者が、税理士となる資格があると定めています。

 

①税理士試験に合格した者であること

②税理士試験を免除された者であること

③弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)

④公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。) 

引用元:日本税理士会連合会

 

①または②に該当する者は、実務経験が2年以上あることが条件です。新卒で税理士になりたい方は、実務経験を積んでおく必要があるので、アルバイトとして会計事務所や税理士事務所などで働いておきましょう。

 

税理士試験は年に1度行われる試験で、税理士になるために必要な学識や応用能力があるか判定する試験です。合格率が10%~20%と非常に難しい試験であるため、しっかりと勉強しておかなければ、合格できません。

 

税理士が通うべき学校

税理士が必ず通うべき学校はありません。一般的な大学や大学院や専門学校、予備校など、どこからでも目指すことは可能です。ただ税理士として目指す場合は、理系ではなく税法や会計額を学べる法学部や経済学部に進学することがおすすめです。

 

税理士試験の受験資格を得られる学校に進学しておけば、税理士への道のりが少し早くなります。大学で取得できる税理士試験の受験資格は、次の3つです。

 

①大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、

社会科学に属する科目を1科目以上履修した者

②大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者

③一定の専修学校の専門課程を修了した者で、

社会科学に属する科目を1科目以上履修した者

引用元:国税庁「税理士試験受験資格の概要

 

税理士試験の講座を開いている大学もあるので、大学選びから慎重になって決めておくと税理士になりやすくなります。

税理士に向いている人

税理士に向いている人は以下のような特徴があります。

 

・勉強や学ぶことが好きな人

税理士になるためには、とくかくたくさん学ばなくてはいけません。税理士試験は簡単には合格できないため、勉強が好きでなければ続きません。

・コミュニケーション能力がある人

税理士はクライアントと密に関わる仕事です。信頼関係を得るためにもコミュニケーションを取らなくてはいけません。

・コツコツと作業ができる人

税理士の仕事は派手ではありません。税理士試験に合格した後も、数字や法律と向き合う地味で細かい作業が多いです。そのため、めげずにコツコツ作業できることが大切です。

・真面目な人

税理士は常に法律と隣り合わせの仕事です。いかなる相手にも法律を守り、道理に沿った対応をしなければいけません。ルールをしっかり守れる真面目な人に向いてます。

 

その他にも「体力がある」「几帳面」「正義感が強い」「不明な点を自分で調べられる」といった特徴がある人に向いています。

 

税理士の魅力・やりがい

税理士は多くの人から必要とされている存在です。さまざまな種類の税金があり、国民すべてが何らかの税金を納める義務を負っています。身近な消費税もあれば、計算の複雑な所得税や想像税もあり、税理士が必要とされるケースは多いです。

 

そのため、誰かの役に立てる機会も豊富にあり、人の役に立っていることが実感できるのが魅力の一つです。

 

また税理士は、全国どこでも働くことができます。都市部であっても田畑の広がる田舎であっても、納税者がいる場所において需要のある仕事です。地域密着型としてその地に根付いて活動できれば、安定することができます。

税理士の1日のスケジュール

時刻仕事内容
8:30出社 メールチェック 
9:00朝礼 ミーティング スケジュール確認
10:00書類作成
11:00クライアント訪問
12:00昼食
13:00クライアント訪問
14:00勉強会
15:00資料作成 翌日の準備
18:00退社

 

8:30出勤で18:00退勤の税理士が多いです。一日の流れとともに一年の流れも簡単に紹介します。

 

行事
12月~1月(繁忙期)年末調整業務
2月~3月(繁忙期)確定申告業務
4月~5月(繁忙期)決算業務
6月~11月(閑散期)場合によっては決算業務

 

繁忙期と閑散期が分かれているので忙しい時期を乗り越えられれば、比較的ゆっくりと作業を行うことができます。新入社員として入社する4月は繁忙期ですが、少し経てば閑散期に入るため、先輩社員から税理士のいろはを学ぶことができるでしょう。

税理士の求人について

税理士の求人について見ていきましょう。

 

税理士の新卒採用について

税理士を新卒採用している企業は多いため、新卒で税理士になることは可能です。税理士に就職する際に必ず税理士試験に合格している必要はありません。

 

税理士になってから試験を受ける方もいますが、多忙な業務と平行して試験勉強をしなければいけないため、苦労は絶えません。そのため、資格取得の支援体制が整っている企業を目指すか、就職前に試験に合格しておくかが重要です。

 

税理士の平均年収

厚生労働省が発表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、税理士(公認会計士を含む)の平均年収は約982万円です。20代前半は平均年収が約353万円で、20代後半は約589万円と高くなっています。

 

30代になると前半は約906万円、後半は約1,121万円と年収が上がります。30代で大きく年収が増える理由は、税理士試験との関係です。税理士試験に合格するためには、平均5年以上とも、8年以上とも言われるほど時間を要します。

 

そのため、20代で試験に合格している人が少なく、いわば見習い税理士という状態で働いていることになります。30代で試験に合格した人が増え、キャリアを積むにつれ年収も上がってくるのが税理士の特徴です。

 

早い人であれば、30代半ばで独立する方もいますが、40代で独立する方がほとんどです。ちなみに40代を超えると平均年収は1,000万円を超えることも珍しくありません。

 

税理士の就職先

税理士の就職先としては、「税理士法人」「会計事務所」「金融機関」「コンサルティングファーム」「一般事業会社」などがあります。

 

税理士法人と会計事務所(税理士事務所)は、法人化しているかしていないかが違うだけで、業務内容や業務形態に違いはありません。会社の規模が違うので大企業を目指したい場合は、税理士法人がおすすめです。

 

金融機関でも税理士として働くことができます。社内の業務がメインの「バックオフィス

お客様の対応をする「フロントオフィス」があります。どちらであっても専門性の高い知識が必要となるので、転職する際には少し不便になることが多いです。

 

税理士の志望動機や目指すきっかけ

税理士のよくある志望動機を見ていきましょう。

 

・幼い頃から計算が得意

・企業経営に幅広く関心を持ちがある

・地域に根ざしたお客様への貢献を実現したい

・大学で簿記の勉強をしていたから

 

大学で経済学部や法学部を専攻していた際に、興味をもって税理士を目指す方が多いです。

まとめ

新卒で税理士に就職することは可能です。税理士になるための試験は非常に難しく、生半可な努力では試験に合格することができません。「税理士になろうかな」ではなく「税理士になりたい」という強い意志がなければ、就職をおすすめしません。

 

就職すれば平均年収も高く安定している職種です。税理士を目指そうか悩んでいる方は、自分に合った職種なのかよく考えてから就職しましょう。

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監修者情報

須藤由加里

キャリアアドバイザー リーダー

株式会社やまとに新卒入社。
全国での採用担当&新卒中途の研修担当の3職種を経験。 その後挑戦心が原動力となり2020年に株式会社ナイモノにジョイン。 現在キャリアアドバイザー リーダーとして就活生のサポートを行う。