【業界研究】半導体業界について徹底解説!特徴や向き不向きは?
2023年10月29日更新
はじめに
就活を成功させるためには業界研究をしなければなりません。業界独自の業務や特徴を知っていないと入社後にギャップを感じて長く続かないかもしれません。また、長く続けるためには業界全体の将来も考えることが必要です。
そこで、ここでは半導体業界について基本概要から業務内容、向いている人・向いていない人をご紹介します。半導体業界に興味があり、業界研究があまり進んでいない方は、ぜひご確認ください。
半導体業界とは?
半導体業界とは半導体の製造や開発や販売を担う企業が属する業界です。半導体には電気や光のエネルギーの変換、電気の流れ制御などの機能があり、パソコンやスマートフォン、家電とあらゆるものに利用されています。
半導体業界の2022年度における市場規模は12兆5,493億円です。これは前年比で32.1%増となっており、市場が非常に大きく成長していることが分かります。画像センサとMCUがとくに大きく成長しており、画像センサについては日本企業が48.3%のシェアを占めています。
半導体業界全体の平均年収は462万円です。しかし、半導体は需要の高さから大手企業であると高収入な企業が多く見られます。平均年収を就活の軸にする場合、企業が出している有価証券報告書から具体的な値を確認するようにしておきましょう。
半導体業界の種類
体メーカーは、DRAMやNANDフラッシュなどのメモリ半導体を製造する企業です。ロジック半導体メーカーは、CPUやGPUなどのロジック半導体を製造する企業になります。特別に区別する必要はありませんが、半導体メーカーと一口で言っても千差万別であることはご認識ください。
種類②半導体製造装置メーカー
半導体製造装置メーカーは半導体製造装置を製造する企業です。主に半導体のウェーハ製造や回路形成に必要な装置を製造しています。半導体製造装置は非常に高価で精密な装置です。そのため、高い技術力と品質管理能力が求められます。
種類③専門商社
専門商社は半導体メーカーと半導体ユーザーをつなぐ企業です。半導体メーカーから半導体製品を仕入れ、半導体を必要とするユーザーに販売しています。専門商社は半導体メーカーの製品を幅広く取り扱っており、半導体ユーザーのニーズに合わせて最適な製品を提案することができます。
また、ここでは専門商社を紹介しましたが、総合商社も取り扱っていることは多いです。商社という立場で半導体に携わりたいのであれば、各会社の取扱商品をしっかりと確認しておかなければなりません。
半導体業界の主な業務内容
半導体業界の主な業務内容は下記のとおりです。
業務内容①研究開発・設計
新しい半導体の研究や新製品の設計をおこなっていく業務です。技術職であるため、理系大学生を募集していることが多くなっています。具体的な業務例は下記のとおりです。
- 半導体の物理や化学に関する基礎研究
- 半導体チップの設計
- 半導体製造装置の設計
業務内容②検証・評価
検証・評価は開発した半導体の性能や評価を検証していく業務です。最終的にユーザーが求めているものを提供しなければならないため、非常に重要な役割を担っています。業務令は下記のとおりです。
- 半導体の動作テスト
- 半導体の耐久性テスト
- 半導体の性能評価
業務内容③資材・ツール調達
半導体の製造に必要な資材やツールを調達する業務です。製造を実現するためには資材やツールがないとできないため、実際に製造するために重要な役割を担っています。また、ただ単に集めれば良いというわけではなく、コストをなるべく下げる、最適なスケジュールで受け取るなども必要です。
業務内容④営業
半導体製品を販売する業務です。営業は以下のような業務を担当します。
- 半導体製品の営業
- 半導体製品のマーケティング
- 半導体製品の顧客サポート
ただし、営業の職務範囲や営業スタイルは企業によってかなり異なります。自分が目指している営業であるのかは会社説明会などから確認しておきましょう。
半導体業界のメリット・デメリット
半導体業界のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。メリット・デメリットがどのくらい大きいのかを考えていきましょう。
メリット①グローバル展開している企業が多い
半導体は世界的に需要があるため、グローバル展開している企業が多いです。そして、グローバル展開をしていることから海外転勤や海外の方と一緒に仕事をする機会が生まれます。グローバル志向の方にとっては非常に大きなメリットです。
メリット②業界全体が伸びている
半導体は安定している業界としても知られています。というのも、身の回りの機械が急激になくなることはなく、半導体はずっと使われるからです。会社単体で見ると浮き沈みはありますが、業界全体としては安定していることを認識しておきましょう。
メリット③採用数が比較的多い
業界全体が伸びていることから採用数が多い傾向にあります。そして、採用数が多いことから窓口が広がるため、内定の確率も上がるのです。内定獲得が簡単というわけではありませんが、それでも他業界と比べるとやや有利でしょう。
デメリット①覚える専門知識が多い
半導体は科学的な仕組みによって機能が実現されています。そのため、半導体に関する専門知識を学ぶことは必須です。
それにくわえ、半導体は他の技術と組み合わせることが多いです。ここから、半導体だけでなく最先端技術も学ぶ必要が出てきます。勉強が好きな方にとっては良いのですが、嫌いな人にとってはデメリットになってしまうでしょう。
デメリット②残業や休日出勤が多い
半導体業界は下記のような理由で残業や休日出勤が多いとされてます。
- 技術革新のスピードが多い
- 納期が厳しい
- 人手不足
何らかの理由で納期が早まったりすると常に仕事という環境になることも少なくないようです。
しかし、2022年の日本の平均的な企業の年間休日日数は122. 3日であるのに対し、半導体業界の平均的な企業の年間休日日数は130日程度とされています。全体で見ると決して少なくはありません。つまり、半導体業界は繁忙期と閑散期の差が激しい可能性が高いです。
半導体業界に向いている人・求められるスキル
半導体業界には以下のスキルが求められます。つまり、下記のようなスキルをすでに持っている、もしくは身に着ける意欲がある方が半導体業界に向いています。
- 情報収集スキル
- 専門的な知識
- 英語スキル
- コミュニケーションスキル
半導体業界への就活に活かせる資格
半導体業界において、就活に活かすことができる資格には以下のようなものがあります。
- 半導体製品製造技能士
- 半導体技術者検定
- ディジタル技術検定
- CAD利用技術者試験
- 機械保全技能検定
時間に余裕があるのであれば取得を目指して勉強することをおすすめいたします。
半導体業界の大手企業5選
半導体業界の大手企業には下記のような企業があります。もちろん、これら以外にも多数の企業があるため、ぜひお調べください。
会社名 | 売上高 (億円) | 平均年収 (万円) | 企業理念 | 社風 |
キオクシアHD | 15265 | 675 | 「記憶」で世界をおもしろくする 「記憶」の可能性を追求し、新しい価値を創り出すことで、 これまでにない体験や経験を生み出し、世界を変えていく | 社員の自主性を尊重する チャレンジ精神を重視する チームワークを大切にする |
ルネサスエレクトロニクス | 9944 | 791 | 夢のある未来をつくる企業を目指し、叡智を結集した新技術により、地球と共生して人々が豊かに暮らせる社会の実現に貢献する | 挑戦と創造を重視する グローバルな視点を持つ 社員の成長を支援する |
ソニー | 9922 | 1,044 | ・Inviting(招く・誘う・誘惑する) ・Inspiring(刺激・感動・鼓舞する) ・Interweaving(織り込む・組み合わす・織り成す) 自由でオープンであり、余白・余地・余裕があること。 好奇心を刺激する、未来、発想、遊び、技術で人々を鼓舞すること。 モノ・コト・ヒト、複数の価値観が組み合わされていること。 | 多様性を尊重する 革新を追求する 社会に貢献する |
東芝 | 8529 | 866 | 人と、地球の、明日のために。 | 品質第一を重視する 人材育成に力を入れている 社会と共生する |
ローム | 4521 | 789 | われわれは、つねに品質を第一とする。 いかなる困難があろうとも、 良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、 文化の進歩向上に貢献することを目的とする。 | 技術を磨き続ける お客様の声に耳を傾ける グローバルに活躍する |
下記の会社については詳しい解説記事があるため、こちらもぜひご確認ください。
半導体業界への就活を成功させるためには
まずは、就活に関する基本的なことは半導体業界でも他の業界でもおこなうことが重要です。ESのブラッシュアップ、面接対策は必ず徹底的におこないましょう。そのうえで、半導体業界への就活を成功させるためには下記のような書籍がおすすめです。
図解入門業界研究 最新半導体業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]
図解即戦力 半導体業界の製造工程とビジネスがこれ1 冊でしっかりわかる教科書
また、半導体業界に属する企業のインターンシップに積極的に参加することもおすすめいたします。実際の業務内容を知っておくことで面接やESで説得力を持たせることができます。
まとめ
今回は半導体業界について解説しました。就活を成功させるためには業界研究が必須です。業務内容や大手企業について調べるだけではなく、本当に自分に向いているのかを確認しながら業界研究を進めていきましょう。