【業界研究】セメント業界について徹底解説!特徴や向き不向きは?

【業界研究】セメント業界について徹底解説!特徴や向き不向きは?

2023年10月29日更新

はじめに

就活を成功させるためには業界研究をしなければなりません。業界独自の業務や特徴を知っていないと入社後にギャップを感じて長く続かないかもしれません。また、長く続けるためには業界全体の将来も考えることが必要です。

 

そこで、ここではセメント業界について基本概要から業務内容、向いている人・向いていない人をご紹介します。セメント業界に興味があり、業界研究があまり進んでいない方は、ぜひご確認ください。

セメント業界

セメント業界とは業界とは、セメントの製造、販売、輸出入を行う業界です。セメントは、コンクリートの主原料であり、建築、土木、道路などのインフラ整備に欠かせない材料です。

 

工場は原料の石灰石資源が豊富な北九州地区、山口県と国内最大の消費地を抱える関東地区に多く立地しています。セメントの出荷先は国内が82%、輸出が12%となっており、基本的には国内で消費されています。

 

セメント協会が発表した2022年のセメントの国内販売量は前年比1.4%減の3749万トンであり、減少は4年連続となっています。官公庁の需要があるため急激に需要がなくなることはありませんが、微減しているのが現状です。しかし、世界的に見ると需要は伸び続けるとされています。

 

業界全体の平均年収は664万円です。

 

業界動向サーチ セメント業界の動向やランキング&シェア

 

関連業界としては下記のようなものがあります。

 

  • 採石・砕石
  • 耐火物・窯炉
  • 建築材料

 

また、セメント業界はM&Aが盛んになっています。例は下記のとおりです。

 

  • 2016年 ウルトラテックセメントによるJaiprakash Associateのセメント事業買収
  • 2017年 中国建材集団と中国中材集団が経営統合
  • 2021年 フランスのセメントなどを取り扱うChryso(クリソ)をSaint-Gobainが買収
  • 2022年 UBEと三菱マテリアルのセメント事業が統合し、UBE三菱セメントが誕生

セメント業界の主な業務内容

セメント業界の主な業務内容は下記のとおりです。

業務内容①セメント製造

石灰石、粘土、砂などの原料を粉砕し、焼成してセメントを製造します。セメントの製造には、高炉、回転窯、サイロなどの設備を使用します。業務内容の例は下記のとおりです。

 

  • 原料の採掘・調達
  • 原料の粉砕
  • 焼成
  • セメントの粉砕・保管

業務内容②セメント販売

製造したセメントを建設業者や土木業者などに販売します。セメントの販売は営業職が担当していることが多いです。業務内容の例は下記のようになっています。

 

  • 営業
  • 販売管理
  • 顧客対応

業務内容③セメントの輸出入

国内で製造したセメントを海外に輸出したり、海外からセメントを輸入したりします。セメントの輸出入は貿易部門が担当していることが多いです。セメント業界の業務内容の例をいくつか挙げると、以下のようになります。

 

  • 貿易
  • 物流
  • 品質管理

 

しかし、諸外国に輸出をしているかどうかは企業によって異なります。グローバル的な働き方をしたいのであれば、その企業の輸出先も確認しなければなりません。

セメント業界のメリット・デメリット

セメント業界のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。メリット・デメリットがどのくらい大きいのかを考えていきましょう。

メリット①社会貢献ができる

セメントは建築や土木などのインフラ整備に欠かせない材料です。日常生活を送っていてセメントと関わらないことはほとんどありません。そのため、セメント業界で働くことで社会に貢献できるやりがいを感じることができます。

メリット②需要が安定している

セメントは生活に欠かせない材料であるため、需要が安定しています。急激にセメントの需要がなくなることはないでしょう。そのため、セメント業界は安定した仕事が見込める業界と言えます。

メリット③環境問題に取り組むことができる

コンクリート舗装のメリットとして、ライフサイクルコストの低減、高い耐久性、ヒートアイランド対策(路面温度の低減)、大型車の燃費向上などに寄与することが挙げられています。

 

そして、政府もカーボンニュートラルの実現としてコンクリート舗装が有効な手段の1つと考えています。日本のコンクリート舗装はわずか5%程度であるため、適用できる幅も広いです。

デメリット①残業が多い

セメント業界は納期や生産量の都合により、残業が多い場合があります。とくに、製造や営業職は残業が多い傾向にあります。しかし、近年では働き方改革によって改善されつつあるデメリットです。残業が就活の軸としてあるのであれば、各企業の残業実績は必ず確認するようにしておきましょう。

デメリット②転勤の可能性がある

セメント業界は全国に工場や営業拠点を持っている企業が多いです。さらに、グローバル的に業務をおこなっているのであれば外国への転勤が起こる可能性があります。そのため、転勤の可能性は理解しておく必要があります。

セメント業界に向いている人・求められるスキル

セメント業界には以下のスキルが求められます。つまり、下記のようなスキルをすでに持っている、もしくは身に着ける意欲がある方がセメント業界に向いています。

 

  • 構造力学
  • 建築法規
  • 建築材料
  • 建築施工
  • 土木系の知識や技術
  • コンクリート工学
  • 道路工学
  • コミュニケーション能力
  • 体力
  • 持久力

 

このように建築全般に対する知識と体力が必要です。

セメント業界への就活に活かせる資格

セメント業界において、就活に活かすことができる資格には以下のようなものがあります。

 

  • 技術士
  • 土木管理技士
  • コンクリート技士
  • プレストレストコンクリート技士

 

時間に余裕があるのであれば取得を目指して勉強することをおすすめいたします。ただし、まずはESのブラッシュアップなどを基本的におこなうよう意識しておきましょう。

セメント業界の大手企業5選

セメント業界の大手企業には下記のような企業があります。もちろん、これら以外にも多数の企業があるため、ぜひお調べください。

 

会社名売上高平均年収企業理念社風
太平洋セメント株式会社463,214百万円729太平洋セメントグループは、持続可能な地球の未来を拓く先導役をめざし、経済の発展のみならず、環境への配慮、社会への貢献とも調和した事業活動を行います。・体育会系の風土

・実力主義

・チャレンジ精神が旺盛

住友大阪セメント株式会社129,454百万円692私たちは、地球環境に配慮し、たゆまない技術開発と多様な事業活動を通じて、

豊かな社会の維持・発展に貢献する企業グループを目指します。

・伝統と革新のバランスを重視

・グローバル志向

・人材育成に力を入れている

UBE三菱セメント株式会社113,264百万円643最高の品質を最高の技術とサービスで提供し、地球の未来を支えつづける。・自律性と協調性を重視

・チャレンジ精神を大切にしている

・社会貢献意識が高い

株式会社トクヤマ50,366百万円722化学を礎に、環境と調和した

幸せな未来を顧客と共に創造する

・風通しの良い社風

・チャレンジ精神を大切にしている

琉球セメント株式会社15,851.8百万円512郷土の資源で郷土をつくる・地元の伝統を風土を大切にしている

・風通しが良い

 

下記の会社については詳しい解説記事があるため、こちらもぜひご確認ください。

 

【企業研究】太平洋セメントの就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

 

その他にも下記のように全国に工場を持っています。勤務地を重視する方は、下記の地域から各会社をお探しください。会社名の右は工場名になります。

 

一般社団法人 セメント協会 セメント産業の概要

 

北海道

  • 日鉄セメント:室蘭
  • 太平洋セメント:上磯

 

東北

  • UBE三菱セメント:青森
  • 八戸セメント:八戸
  • 太平洋セメント:大船渡
  • UBE三菱セメント:岩手

 

関東一区

  • 太平洋セメント:熊谷
  • UBE三菱セメント:横瀬
  • 太平洋セメント:埼玉
  • デイ・シイ:川崎

 

関東二区

  • 日立セメント:日立
  • 住友大阪セメント:栃木

 

北陸

  • 明星セメント:糸魚川
  • デンカ:青海
  • 敦賀セメント:敦賀

 

東海

  • 住友大阪セメント:岐阜
  • 太平洋セメント:藤原

 

近畿

  • 住友大阪セメント:赤穂

 

四国

  • 住友大阪セメント:高知

 

中国

  • トクヤマ:南陽
  • 東ソー:南陽
  • UBE三菱セメント:宇部
  • UBE三菱セメント:伊佐

 

九州

  • 日鉄高炉セメント:本社工場
  • UBE三菱セメント:九州
  • UBE三菱セメント:苅田
  • 苅田セメント:苅田
  • 麻生セメント:田川
  • 太平洋セメント:大分

 

沖縄

  • 琉球セメント:屋部

 

世界に目を向けると、世界シェアは下記のようになります。

 

  1. ラファージュホルシム:8.94%
  2. 中国建材:8.93%
  3. アンキコンチ:7.10%
  4. ハイデルブルグセメント:6.47%
  5. セメックス:4.44%
  6. 太平洋セメント:1.89%
  7. CRセメント:1.75%
  8. ウルトラテック・セメント:1.61%
  9. 冀東セメント:1.61%
  10. ホワシンセメント:1.59%

 

日本の企業は6位になって初めて出てきます。しかし、トップシェアを見ても10%以下になっており、独占状態とはなっていないようです。

セメント業界への就活を成功させるためには

まずは、就活に関する基本的なことはセメント業界でも他の業界でもおこなうことが重要です。ESのブラッシュアップ、面接対策は必ず徹底的におこないましょう。そのうえで、セメント業界への就活を成功させるためには下記のような書籍がおすすめです。

 

図解入門 よくわかる 最新コンクリートの基本と仕組み [第4版]

図解入門業界研究 最新建設業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]

 

また、セメント業界に属する企業のインターンシップに積極的に参加することもおすすめいたします。実際の業務内容を知っておくことで面接やESで説得力を持たせることができます。

まとめ

今回はセメント業界について解説しました。就活を成功させるためには業界研究が必須です。業務内容や大手企業について調べるだけではなく、本当に自分に向いているのかを確認しながら業界研究を進めていきましょう。

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