理学部の人気の就職先は?主な業界・職種、資格やメリットを徹底解説!
2023年9月17日更新
はじめに
「理学部って何の勉強をしてるの?」
「理学部で人気の業界や就職先が知りたい」
このようなことでお悩みではないですか?
この記事では、理学部で人気の業界・職種についてご紹介します。
最後まで読むと、理学部で人気の就職先、就職活動で役立つ資格、理学部から就職するメリットなどがわかります。
理学部とは?
理学部とは、大学の学部の1つで、「理学(自然科学)」の研究・教育を行うための学部です。「理学」とは、自然にひそむ原理や法則・現象を分析し、それを実験や研究を通して解き明かしていく学問です。
理学部は主に、「数学科」「物理学科」「化学科」「生物学科(生命科学科)」「地球科学科」に分かれます。
ここでは、各学科についてご紹介します。
数学科
「数学科」では、数学の基礎となる「解析」「代数」「幾何」「統計」から、「数学的思考」「情報技術」などを学びます。
「数学科」で学ぶ多くは「計算」というより「定理」や「理論」が中心です。「数学科」で学んだ思考力や論理力は、様々な分野で役に立ちます。
物理学科
「物理学科」では、物理学の基礎から理論物理学までの幅広い分野を学びます。
物理学は自然現象を数学的に解明しようとする学問です。それによって自然界における仕組みの研究をします。
「力学」「電磁気学」「量子力学」「熱」「統計力学」「宇宙論」などの幅広い分野があります。
化学科
「化学科」では、物質の構造や性質、物質間の反応について研究する学問を学びます。
実験を通して理論と技術を学ぶ化学の分野には、「有機化学」「無機化学」「物理化学」の3つを中心に、そこから派生した「分析化学」「化学工学」「生化学」などの専門分野があります。
生物学科
「生物学科」では、地球上の動物や植物などあらゆる生き物を研究対象として学びます。
生物学で研究する範囲は、分子や細胞のレベルの微細な世界から、地球規模の生態まで幅広いです。IPS細胞の研究を行うバイオテクノロジーも含まれます。
また、「生物工学」「農学」「理学」「医学」「薬学」などの関連分野とも関わる研究が行われています。
地球科学科
「地球科学科」では、地球や地球環境に関する様々な知識と技術を学びます。
例えば、「地質学」「鉱物学」「古生物学」「岩石学」「気象学」「地震学」などの分野です。
地球や地球環境に関する知識と技術、自然災害や環境問題に対処できる能力や教養が身につけられます。
理学部の就職先で人気の業界4選
ここでは、理学部の就職先で人気の業界を4つ、ご紹介します。
①保険・金融業界
「保険・金融業界」には、理学部生が数多く就職しています。
理学部の各学科では、「分析」と「実験」を繰り返し、それによって得られたデータを根拠に「論理的」に分析して結果を出すからです。
例えば、「保険業界」では客観的なデータを基に保険商品を企画する「アクチュアリー」、「金融業界」では数学や物理学に基づいて金融商品開発を行う「クオンツ」といった職種があります。
数値を扱う能力や分析力を活かせるので、「保険・金融業界」で大いに役に立つでしょう。
②メーカー業界
次は、各「メーカー業界」になります。理学部生が最も多く就職する業界です。
例えば、
・「化学科」化学メーカー、化粧品メーカーなど
・「物理学科」半導体メーカー、電子メーカー、医療機器メーカーなど
・「生物学科」製薬会社など
といった具合に、理学部で専攻して学んだことを活かせる業界です。
大手メーカーなら給与や福利厚生など充実しているので、非常に魅力があります。
③IT業界
「IT業界」は、理学部でも特に「数学科」「物理学科」の学生に人気のある業界になります。
「数学科」「物理学科」では、「プログラミング」や「数学的知見」「統計学」の知識を積むので、「ビックデータ解析」などの仕事で活躍することができます。
「ビッグデータ解析」の仕事ができるエンジニアの職種は、データサイエンティストやデータ分析エンジニア、機械学習・AIエンジニアなどです。
また、近年IT化・IoT化の成長によりニーズが高まっている「アルゴリズム開発者」も「数学科」「物理学科」の学生に人気があります。
ここでいう「アルゴリズム」とは、検索エンジンのことではなく、自動運転や顔認証・画像処理などで欠かせない技術の事を指します。
④教育業界
学校・塾・家庭教師などの「教育業界」も理学部生に人気です。
「数学」「物理」「化学」「生物」など大学で専門で学んだことが活かせるのと、それぞれの科目を取り扱える教員免許を取得できるからです。
教師になるのは簡単なことではありませんが、「理学部」で学んだ知識を活かしつつ、好きなことに関わっていけるのが魅力といえます。
理学部の就職先で人気の職種7選
続いて、理学部の就職先で人気の職種を7つご紹介します。
①研究開発
理学部生に人気の職種として「研究開発」があります。
「研究開発」とは、主に製造業で行われ、製品実用化のベースとなる研究や開発を行うことです。
「研究開発」の段階には、「基礎研究」「探索研究」「応用研究」「プロトタイプ開発」があり、「開発職」は、研究した結果をもとに新商品を開発する「商品開発」と、商品やサービスを生み出すための新技術を開発する「技術開発」に分かれます。
仕事としては各メーカーでの、新製品の開発、新しい素材や技術の開発、既存製品の安全性・耐久性の確認業務などに携わります。
②品質管理
「品質管理」も理学部生の知識を活かせる人気の職種です。
「品質管理」とは、製造業などで、製品の品質を管理する仕事です。「品質管理」の仕事は、工場での生産体制の問題点発見や改善、製造工程の効率化、不良品の原因分析や対策などがあります。
いずれも高い分析力や論理的思考力が求められる仕事なので、「理学部」で得たスキルを活かせるでしょう。
特に、製品の安全と信頼が必要な食品業界や化粧品業界でニーズが高く、メーカーには必要不可欠な職種です。
③ITエンジニア
「ITエンジニア」は、理学部生から人気の高い職種です。
一般的に「ITエンジニア」というと、「システムエンジニア(SE)」や「プログラマー」をイメージしますが、ここ数年では「データサイエンティスト」の需要が高まっています。
「データサイエンティスト」とは、ビッグデータを解析して、必要な情報や知見を引き出す専門職です。「データサイエンティスト」の仕事は、企業のデータを収集・分析を行い経営戦略やサービスの改善、商品開発などを行います。
「データサイエンティスト」になるには、数学やプログラミングなどの基礎知識やスキルが必要なので、「理学部」で習得した知識を十分に活かせるでしょう。
④アクチュアリー
「アクチュアリー」として保険業界で働く理学部生もいます。「アクチュアリー」とは、将来のリスクや不確実性を数学的に分析・評価する専門職です。
「アクチュアリー」は、保険や年金の掛金や支払金の額を決めたり、企業のリスクマネジメントを行ったりします。
「アクチュアリー」になるためには、公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する「アクチュアリー資格試験」に合格しなければなりません。そして会の正会員になることで「アクチュアリー」と認められます。
「アクチュアリー資格試験」は専門的な勉強をしていなければ非常に難しいため、生命保険会社や損害保険会社、信託銀行などに就職してから職務経験を重ね、勤務しながら合格を目指して勉強を続ける人が多いようです。
⑤クオンツ
「クオンツ」として金融業界で働く理学部生もいます。
「クオンツ」とは高度な数学的手法を用いて市場や金融商品や投資戦略を分析する専門職のことです。「クオンツ」は計量分析と呼ばれる数学的手法を使って、株式価格の価格付けや投資戦略、金融商品の開発・運用などを行います。
銀行や信託銀行、保険会社、証券会社、資産運用会社、コンサルティング会社など、金融業界で活躍できるでしょう。
「クオンツ」になるためには、理工系の学歴や数学・物理学の修士号レベルの知識が必要なので、「理学部」で勉強したことが活かせます。
他には、プログラミングスキルや金融知識も重要です。
⑥教員
理学部生から「教員」になる人も数多くいます。
「教員」であれば、「数学」「物理」「化学」「生物」など各学部で学んだ専門的な知識を発揮できます。学校の教員だけでなく、予備校や塾の講師も人気です。
「教員」になるには、「教員免許」を取得することが必要です。
大学や学部、学科によって教員免許が取れるかどうかは異なるので、事前に確認しましょう。
⑦臨床検査技師
「臨床検査技師」になる理学部生もいます。
「臨床検査技師」とは、医療機関などで病気の診断や治療に必要な検査を行い、その結果を医師に提供する医療技術職です。「臨床検査技師」になるには「臨床検査技師国家試験」に合格することが必要です。
主な就職先は医療機関が多く、臨床検査技師の業務は「検体検査」と「生理学的検査」の2種類があります。
「検体検査」とは、患者の体の組織や血液や尿などを採取し、成分や細菌の有無などを調べる検査です。「生理学的検査」とは、心電図や脳波といった患者の体の生理的反応や機能を測定する検査です。
他の就職先候補としては、化粧品業界や食品業界などでの研究開発があります。
理学部の就職活動で役立つ3つの資格
ここでは、理学部の就職活動で役に立つ資格を3つご紹介します。
ITパスポート試験
「ITパスポート試験」は、情報処理に関する基礎知識をもち、ITを活用できる職業人を認定する国家試験です。試験はパソコンで行われます。
試験の内容は、IT基礎知識、IT活用能力、経営戦略、システム戦略、開発戦略、運用戦略の6分野です。各分野には複数の項目があります。
詳しい試験要項は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のサイトで確認できます。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
知名度があるので、就職の応募や面接でアピールしやすい資格です。
基本情報技術者試験
「基本情報技術者試験」は、ITエンジニアの登竜門としておすすめの国家試験です。
基本情報技術者とは、ITを活用したサービス、製品、システムやソフトウェアを作るために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた人のことです。
試験はパソコンで行われ、随時受験できます。
試験の内容は、午前試験と午後試験の2部構成で、午前試験は80問の多肢選択式、午後試験は11問の多肢選択式と記述式です。
詳しい試験要項は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のサイトで確認できます。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
資格を取得すると、
・仕事に活かせる、
・ITパスポートより高い専門性がある
・他のIT関連資格の受験資格になる
といったメリットがあります。
危険物取扱者試験
「危険物取扱者試験」は、危険物を貯蔵や運搬などで取り扱うために必要な資格です。
甲種、乙種、丙種の3種類があり、それぞれに1類から6類までの危険物の種類があります。
試験は、「一般財団法人消防試験研究センター」が実施しており、インターネットで受験申し込みができます。
試験の難易度は、甲種が最も高く、乙種の中でも第4類が人気が高く合格率が低いです。
試験内容には、物理と化学が含まれています。受験資格には、化学に関する科目を15単位以上取得することなどの一定の資格が必要です。
化学系の企業で働く場合に求められる資格の1つでもあります。
理学部の就職は難しい?
理学部からの就職は難しいと言われてる理由は何でしょうか。主な理由を4つあげてみましょう。
・理学部で学んだ知識の専門性が高すぎて仕事に活かせない
・大学院に進学する理学部生が多い
・就職先の採用人数が少ないので倍率が高い
・就職活動に費やす時間が少ない
上記のような理由で、就職が難しいといわれています。
理学部では、自然にひそむ原理や法則・現象を分析し、それを実験や研究を通して解き明かしていく学問を学びます。
基本的に研究がメインの学部なので、企業が求めるニーズと合いにくいのが理由です。
理学部から就職するメリット
理学部から就職するメリットを3つご紹介します。
・給与を得て、安定した生活ができる
・専門分野以外の就職に挑戦できる
・社会人として視野を広げることができる
就職する一番のメリットは、安定した生活が送れることです。
大学院に進学すると、費用がかかり、研究に追われてアルバイトどころではありません。専門性は高められますが、専門分野以外に就職する難易度が上がります。
就職すると、新しい分野へチャレンジすることができ、社会人として経験も積めて、視野を広げられることも大きなメリットです。
理学部から就職をするためには?
理学部から就職するためには、以下のことが就職活動で重要です。
・希望の企業へ自分の専門性と強みをアピールする
・幅広く違う業界や職種に目を向ける
・就職活動の時間を確保する
就職活動に必要な情報収集や自己分析、企業研究を自分なりに行い、求人サービスなどを有効利用してみてください。
理学部の人気の就職先は?主な業界・職種、資格やメリットを徹底解説!まとめ
理学部で人気の業界・職種、就職活動で役立つ資格、理学部から就職するメリットなどをご紹介しました。
理学部の場合、学んだ知識をそのまま就職に活かすのは難しいです。
しかし、研究の過程で得た分析力や論理的思考力などはスキルになるので、企業へアピールできるポイントとなります。
このスキルは他の分野においても応用が可能なので、就職活動の際には専門外の分野にも視野を向けてみましょう。
ぜひ、本記事を参考にしてみてください。