【ホワイト500とは】信憑性や認定企業など詳しく解説
2023年8月16日更新
はじめに
就職活動を行っていると、「ホワイト500」という言葉を目にしたことがある人もいると思います。なんとなくの意味を知っている人や、全く意味を知らない人もいると思うので、そんな方のために、「ホワイト500」について解説します。
ホワイト500を参考に企業選びを進めていくこともでき、就職活動において利点になるため知っておいて損はありません。実際に認定されている企業や信憑性について見ていきましょう。
そもそもホワイト500とは
ホワイト500とはどういう意味なのか、信憑性はあるのかなど、気になる詳細について詳しく説明していきます。
ホワイト500とは
ホワイト500とは、簡単に言えば経済産業省が認定した「健康経営優良法人」の一部です。
元々は、大規模法人部門全体のことを「ホワイト500」と定めていましたが、2020年から大規模法人部門認定法人の中で、健康経営度調査結果の上位500法人のみを「ホワイト500」と認定するようになりました。
この制度は、大企業を対象とした「大規模法人部門」と、中小企業を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門に分かれています。
ちなみに、健康経営優良法人というのは、健康課題に関しての取り組みや、日本健康会議が勧める健康増進の取り組みをもとに、健康経営を実践している大企業、または中小企業のことです。
ホワイト500の認定基準
ホワイト500に認定されるための基準は、①~⑤の項目で条件を満たす必要があります。また「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」では条件が少し異なります。それぞれの認定基準を見ていきましょう。
大規模法人部門の認定基準
1.経営理念・方針
評価項目は、「健康経営の方針等の社内外への発信」と「トップランナーとしての健康経営の普及」の2つです。
2.組織体制
評価項目は、「健康づくり責任者の役職が役員以上」、「産業医・保健師が関与している」、「健保組合等保険者との協議・連携している」ことです。
3.制度・施策実行
制度・施策実行の評価項目は、以下の16項目の内、13項目以上を満たしている必要があります。
①トップランナーとしての健康経営の普及 ②従業員の健康診断の実施(受診率100%) ③受診勧奨に関する取り組み ④50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施 ⑤管理職・従業員への教育 ⑥適切な働き方の実現に向けた取り組み ⑦コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み ⑧私病等に関する復職・両立支援の取り組み ⑨保健指導の実施および特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み ⑩食生活の改善に向けた取り組み ⑪運動機会の増進に向けた取り組み ⑫女性の健康保持・増進に向けた取り組み ⑬長時間労働者への対応に関する取り組み ⑭メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み ⑮感染症予防に向けた取り組み ⑯喫煙率低下に向けた取り組み |
引用元:経済産業省 健康経営概要
4.評価・改善
評価項目は、「健康経営の実施についての効果検証」をしていることです。
5.法令遵守・リスクマネジメント
評価項目は、「定期健診の実施、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること」、「労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと」などです。
中小規模法人部門の認定要基準
1.経営理念・方針
評価項目は、「健康宣言の社内外への発信・経営者自身の健診受診」をしていることです。
2.組織体制
評価項目は、「健康づくり担当者の設置」および 「(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供」していることです。
3.制度・施策実行
制度・施策実行の評価項目は、以下の15項目の中から「①~③を2項目以上」、「④~⑦を1項目以上」、「⑧~⑮を4項目以上」をそれぞれを満たしているかになります。
①従業員の健康診断の受診(受診率実質100%) ②受診勧奨に関する取り組み ③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施 ④管理職・従業員への教育 ⑤適切な働き方の実現に向けた取り組み ⑥コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み ⑦私病等に関する両立支援の取り組み ⑧保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み ⑨食生活の改善に向けた取り組み ⑩運動機会の増進に向けた取り組み ⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み ⑫長時間労働者への対応に関する取り組み ⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み ⑭感染症予防に関する取り組み ⑮喫煙率低下に向けた取り組み |
引用元:経済産業省 健康経営概要
4.評価・改善
評価項目は、「健康経営の取り組みに対する評価・改善」をしていることです。
5.法令遵守・リスクマネジメント
評価項目は、「定期健診を実施していること」、「50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること」、「労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと」などです。
ホワイト500の信憑性は
ホワイト500の信憑性は高いです。なぜなら民間企業が認定しているのではなく、国が運営している経済産業省が認定しているからです。
また評価基準も5項目あり、しっかりと基準を満たさなければ認定されないことから信憑性は高いと思います。そのため、ホワイト500の企業は、多くの人がホワイト企業であると感じると思います。
しかし、ホワイト500であるからといって、鵜呑みにしすぎるのはよくありません。国が調査しているからといって、従業員ひとりひとりをチェックしているわけではありません。
多くの企業で「サービス残業」という実際に働いていても、労働時間に含まれない残業が発生しています。サービス残業は、国が調査しきれない部分であるため、公になっていません。
ホワイト500に認定されているからといって、サービス残業がゼロであるとも限りません。そのため、ホワイト500を過信しすぎず、指標の1つとして考えましょう。
ホワイト500に認定されている10の企業
実際にホワイト500に認定されている企業が、どのような会社であるか会社概要を見ていきましょう。
①株式会社セブン&アイ・ホールディングス
ホワイト500認定企業1つ目は「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」です。
株式会社セブン&アイ・ホールディングスの会社概要を見てみましょう。
会社名 | 株式会社セブン&アイ・ホールディングス |
本拠地所在地 | 東京都千代田区二番町8番地8 |
設立日 | 2005年(平成17年)9月1日 |
資本金 | 500億円 |
従業員数 | 167,248人 |
売上金 | グループ売上 17兆8,426億88百万円 |
コンビニエンスストアや総合スーパー、百貨店、など幅広いジャンルの事業を取り扱っています。とくにコンビニエンスストアとしての認知度は高く、知らない人はいない、といっても過言ではありません。
②株式会社伊藤園
ホワイト500認定企業2つ目は「株式会社伊藤園」です。
株式会社伊藤園の会社概要を見てみましょう。
会社名 | 株式会社伊藤園 |
本拠地所在地 | 東京都渋谷区本町3-47-10 |
設立日 | 1966(昭和41)年 8月22日 |
資本金 | 19,912,300,000円 |
従業員数 | 連結 7,928名 単独 5,205名 |
売上金 | 4,316億円 |
引用元:株式会社伊藤園
「お~いお茶」や「一日分の野菜」など飲料事業で有名な会社です。タリーズコーヒーも販売しており、ショップ経営も行っています。世界のお茶を販売している「和カフェ」も全国で展開中です。
③株式会社NTT東日本サービス
ホワイト500認定企業3つ目は「株式会社NTT東日本サービス」です。
株式会社NTT東日本サービスの会社概要を見てみましょう。
会社名 | 株式会社NTT東日本サービス |
本拠地所在地 | 東京都新宿区大久保1-4-17 NTT大久保ビル |
設立日 | 2014年4月1日 |
資本金 | 5,000万円 |
従業員数 | 15,516人 |
売上金 | 1兆7,180億円 |
引用元:株式会社NTT東日本サービス
東日本電信電話株式会社等からの受託業務として、IPコールセンター業務、パートナーコンサル業務、Web業務などを行っています。
④株式会社LIXIL
ホワイト500認定企業4つ目は「株式会社LIXIL」です。
株式会社LIXILの会社概要を見てみましょう。
会社名 | 株式会社 LIXIL |
本拠地所在地 | 東京都品川区西品川一丁目1番1号大崎ガーデンタワー24F |
設立日 | 昭和24(1949年)年9月19日 |
資本金 | 68,530百万円 |
従業員数 | 56,106人(連結従業員数) |
売上金 | 1,495,987百万円 |
引用元:株式会社LIXIL
リフォームや建築関係の業務を行っている株式会社LIXILは、全国的に有名な会社です。住まいを購入・リフォームしたり、賃貸を借りたりしたことがある人は、一度は目にしたことがある会社だと思います。
⑤富士フイルム株式会社
ホワイト500認定企業5つ目は「富士フイルム株式会社」です。
富士フイルム株式会社の会社概要を見てみましょう。
会社名 | 富士フイルム株式会社 |
本拠地所在地 | 東京都港区赤坂9-7-3 |
設立日 | 2006年10月2日 |
資本金 | 40,000 百万円 |
従業員数 | 単独正社員数 4,607名 連結正社員数 38,207名 |
売上金 | 28,590億円 |
引用元:富士フイルム株式会社
富士フイルムは、ヘルスケア、マテリアルズ、イメージングに関わる製品・サービスの提供を行っています。一般的に知られているのが、デジタルカメラ、フィルム、チェキ、写真プリントなどです。化粧品なども扱っており、事業は幅広いです。
⑥大和証券株式会社
ホワイト500認定企業6つ目は「大和証券株式会社」です。
大和証券株式会社の会社概要を見てみましょう。
会社名 | 大和証券株式会社 |
本拠地所在地 | 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー |
設立日 | 平成11年4月26日 |
資本金 | 1,000億円 |
従業員数 | 14,825人 |
売上金 | 464,226百万円 |
引用元:大和証券株式会社
有価証券等の売買、有価証券等の売買の媒介、取次又は代理、有価証券の引受等の金融商品取引業及びそれに付帯する事業を行っています。
⑦アサヒ飲料株式会社
ホワイト500認定企業7つ目は「アサヒ飲料株式会社」です。
アサヒ飲料株式会社の会社概要を見てみましょう。
会社名 | アサヒ飲料株式会社 |
本拠地所在地 | 東京都墨田区吾妻橋一丁目23番1号 |
設立日 | 1982(昭和57)年3月30日 |
資本金 | 11,081,688,000円 |
従業員数 | 約3,300名 |
売上金 | 556,335百万円 |
引用元:アサヒ飲料株式会社
三ツ矢サイダー、カルピス、WONDA、十六茶、アサヒビールなど飲料業務において絶大な人気を誇っている会社です。誰しも一度は、アサヒ飲料の飲み物を飲んでいると思います。
⑧ロート製薬株式会社
ホワイト500認定企業8つ目は「ロート製薬株式会社」です。
ロート製薬株式会社の会社概要を見てみましょう。
会社名 | ロート製薬株式会社 |
本拠地所在地 | 大阪市生野区巽西1-8-1 |
設立日 | 1949年(昭和24年)9月15日 |
資本金 | 6,504百万円 |
従業員数 | 115,355百万円<単体> 238,664百万円<連結> |
売上金 | 1,628名<単体> 7,176名<連結> |
引用元:ロート製薬株式会社
ロート製薬株式会社は、OTC医薬品(一般用医薬品)およびスキンケア事業を中心に活動しているため、「薬」のイメージが強いと思います。近年では、農業などの一次産業やレストランなどの食事業など新事業にも力を入れています。
⑨株式会社アシックス
ホワイト500認定企業9つ目は「株式会社アシックス」です。
株式会社アシックスの会社概要を見てみましょう。
会社名 | 株式会社アシックス |
本拠地所在地 | 神戸市中央区港島中町7丁目1番1 |
設立日 | 昭和24年9月1日 |
資本金 | 23,972百万円 |
従業員数 | 8,886人(連結) 982人(単体) |
売上金 | 484,601百万円(連結) 31,564百万円(単体) |
引用元:株式会社アシックス
スポーツシューズやウェアなど、スポーツ用品を販売している会社です。スポーツをしている人なら、一度は聞いたことがあると思います。
⑩味の素AGF株式会社
ホワイト500認定企業10つ目は「味の素AGF株式会社」です。
味の素AGF株式会社の会社概要を見てみましょう。
会社名 | 味の素AGF株式会社 |
本拠地所在地 | 東京都渋谷区初台1-46-3 シモモトビル |
設立日 | 1973年8月1日 |
資本金 | 38億6270万円 |
従業員数 | 1,184人 |
売上金 | 836億円 |
引用元:味の素AGF株式会社
味の素AGFはブレンディ等で有名な飲料の製造・販売を行っている会社です。「味の素」と言えば調味料や食品を扱っているイメージが強いですが、味の素AGFは味の素の子会社になります。
ホワイト500に認定されるメリットとは
ホワイト500の認定を受けると企業にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
企業のイメージが上がりやすい
ホワイト500に認定されると、その企業はホワイト企業である可能性が高い、という印象になります。そのため、企業に対するイメージがプラスに働きます。またホワイト500の意味を知らない人が見ても悪い印象を受けません。
ホワイト500の意味を理解していなくても、「〇〇会社 ホワイト500認定」と書かれていれば、「ホワイト」という単語でホワイトな企業なのかな、というイメージがつきます。企業にとって「ホワイト」、「ブラック」という単語の影響力は強いので、イメージが上がる要素になります。
採用を強化することができる
企業のイメージが上がると就活生からの印象もよくなるので、募集人数が増え、採用を強化することが可能です。就活生にとって、ホワイト企業か、ブラック企業かは会社を選ぶうえで重要なポイントです。
国が認めている企業なので、信憑性も高く、就職する決め手にもなります
企業の生産性が向上する
ホワイト500に選ばれるということは、「働きやすい環境が整っている」ということです。働きやすい環境が整っている会社は、生産性も上がりやすいです。
真夏にクーラーのかかっていない室内と、快適温度に保たれている室内であれば、後者の方が生産性があがるのと同じで、環境づくりが生産性に大きく関与します。
ホワイト500に認定されていれば、「適切な働き方の実現」、「コミュニケ-ションの促進」、「食生活の改善」などの条件を満たしているので、生産性の上がる現場が作られています。
従業員の健康が保たれる
ホワイト500の認定条件に以下の項目があります。
・従業員の健康診断の実施(受診率100%) ・50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施 ・保健指導の実施および特定保健指導実施機会の提供 ・運動機会の増進 ・食生活の改善 ・喫煙率低下 |
健康を維持するための取り組みが行われているため、従業員の健康が保たれやすくなるのが特徴です。会社自体が健康を保つように指示しているため、従業員も健康でいられます。
ホワイト500に関するよくある質問について
ホワイト500に関するよくある質問を見ていきましょう。
ホワイト500とブライト500の違いは
ブライト500は、健康経営優良法人の中でも中小企業部門で健康経営度調査のトップ500に認定された企業に与えられる称号です。
そのためホワイト500とブライト500の違いは、中小企業部門か、大企業部門かの違いになります。
ホワイト500が注目されるのはなぜ
ホワイト500が注目される理由としては、健康意識の変化が見られるからです。例えばコロナ禍による影響や、労働者減少などが要因となり、就活生や働く人も健康を意識するようになりました。
現在・未来において、健康でありながら働ける環境に魅力を感じ、健康管理に力を入れている会社に注目が集まっています。
信憑性のあるホワイト500を参考に企業選びをしよう
就活生は、ホワイト500であるかを、企業選びのポイントとして活用してみてはいかがでしょうか。国が運営している経済産業省が認定しているので、信憑性は高いです。
少しでもホワイトな企業に就きたいと考えているなら、指標のひとつとして参考にしてください。