【企業研究】商船三井の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
2023年7月28日更新
はじめに
海運業界とは、船による物資の運搬や船舶の貸出などを主に行う業界のことです。海に周囲を囲まれた日本においては、海運業は国内の運輸や諸外国とのつながりを叶えるための重要なものであり、現在も日本の物流に大きく貢献しています。
海運業界と関わりが深い物流業界について、より詳しく知りたい場合はこちらの記事もどうぞ。
海運業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでください!
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海運業界
商船三井では、次のような事業を行っています。
ドライバルク事業
乾貨物(例として鉄鉱石・石炭・木材チップ・バイオマス燃料・肥料・穀物・セメント・塩・鋼材など)をドライバルク船で運輸する事業です。商船三井の船隊は世界最大規模であり、有する多種多様な船によって、トレードにおけるさまざまな顧客ニーズを解決しています。ケープサイズバルカー・パナマックスバルカー・ハンディマックスバルカーなど、積み荷の種類や寄港する港の特性などにより専用船を細かく使い分けることが可能です。なお、排出ガス規制が世界的に厳しくなっており、より環境負荷の低い次世代エネルギーを使用した船の研究開発なども進めています。
エネルギー事業
世界中のエネルギー供給について、海運業で大きな貢献を果たしています。原油や石油生製品等の油輸送を担うタンカー事業、クリーンエネルギーを運ぶ液化ガス船事業、原油や液化ガスを洋上生産・輸送する海洋事業、海上の風を利用した次世代エネルギーのプロジェクトに関わる洋上風力発電関連事業などが主な事業です。世界最大規模の海運企業ならではの実績やノウハウを活かしながら、日本のみならず世界のエネルギー、そして未来のエネルギーを支えています。
製品輸送事業
社会の変化に大きく影響されやすい物流について、商船三井はその変化に柔軟に対応しつつ、その状況ごとに的確な製品輸送を実現させています。多様な製品の運輸にマッチするコンテナ船事業、自動車輸送特化した自動車船事業、コンテナ船で輸送をサポートするターミナル事業、輸出入に要する他サービスを提供するロジスティクス事業などが、製品輸送事業の主なものです。海上輸送だけでなく、海上輸送に付随するさまざまなアクションも手厚くカバーしています。
ウェルビーイングライフ事業
商船三井は、海運業の実績やノウハウを活かし、生活を豊かにするための業務にも力を入れています。旅の1ページを海上で演出するフェリー・内航RORO船事業、船上の特別なひとときを提供するクルーズ事業、オフィスビル建造で住みよい街づくりに寄与する不動産事業などです。生活になくてはならない物流を支える商船三井ならではの観点から、より上質な生活を叶えるためのサービスが提供されています。
関連・その他事業
上記の事業の他、長年蓄積してきた海運業のノウハウを活用し、曳船(タグボート)事業・海事コンサル・旅行・エネルギー備蓄など、さまざまな分野の業務にも進出しています。これまで培ったものを、さらに新しい領域へと発展させる事業です。
参考:商船三井 事業紹介
新卒選考フロー
商船三井の新卒選考フローは、次のようになります(年や募集職種によって変更の可能性もあります)。
1.プレエントリー
まずは、商船三井のリクルートページから登録し、プレエントリーを行います。
2.履歴書情報・エントリシートを登録
プレエントリー完了後、履歴書情報やエントリーシートを登録します。エントリーシートでは、なぜ商船三井を志望するかや、大学生活において力を入れたことなどを尋ねられます。
3.適正検査を受検
エントリーシートの登録と同時に、適性検査の受検をします。言語・非言語・性格検査があり、形式は玉手箱です。
4.面接
商船三井の面接は、1次・2次・最終の3段階の面接が基本です。面接では、エントリーシートに記述した内容をさらに掘り下げた質問などがされます。また、面接段階が進むごとに質問内容が深くなっていき、三井商船の事業や方針について意見を求められることなどもあるようです。なお、面接スタイルは、1次・2次はオンライン、最終面接は本社で対面です。
社風
行っている事業の性格上、業界の経験が豊富な人がより重用される傾向にあります。新人のうちはあまり自分の意見を発信する機会は得られないかもしれません。ただし、若手に挑戦の場がないわけではなく、理論や根拠などしっかり材料を用意できれば、背中を押してもらえる場合もあります。人間関係としては個人主義な人が多く、ドライな空気感です。和気あいあいとしたコミュニケーションを好む人は、物足りなさを感じるかもしれません。なお、福利厚生が充実しており、社員の満足度が高く居心地がよい職場と考える人も多く見られます。女性社員からの評判もポジティブです。
求める人材
商船三井では、陸上職と海上職、それぞれに求める人物像が設定されています。具体的な人物像の中身については次の通りです。
陸上職
「自律自責型の素養を持つ人材」が商船三井が求める人物像になります。自律自責型とは、「難題に直面しても、常に当事者意識を持ち、解決策を見出し、関係者と協調しつつ、自らその解決策を実践できる人材」を指します。
さらに、4つの能力に分解しているので、1つずつ見てみましょう
バイタリティ
目標に向かってあらゆる努力を惜しまないバイタリティにあふれた人物
コミュニケーション能力
複数の異なる意見を統合し、物事を推進する力をもつ人物
問題解決力
困難な課題に立ち向かい解決する力をもつ人物
リーダーシップ
集団をまとめメンバーの能力と意欲を引き出す力をもつ人物
海上職
海上職も陸上職と同じく、「 難題に直面しても、常に当事者意識を持ち、解決策を見出し、関係者と協調しつつ、自らその解決策を実践できる」という自立自責型の人材を求めています。
ただし、そこに求められる素養は、陸上職とは少し異なる部分もあります。具体的に見ていきましょう。
バイタリティ
目標に向かってあらゆる努力を惜しまないバイタリティにあふれた人物
オーガナイズ能力
計画的にやり遂げる力をもつ人物
問題解決力
困難な課題に立ち向かい解決する力をもつ人物
リーダーシップ
集団をまとめ、メンバーの能力と意欲を引き出す力をもつ人物
参考:商船三井 採用サイト 2024 求める人物像 | キャリア
自立自責型の素養を持つ人材という部分は共通していますが、想定している素養の内容が異なります。陸上職は陸上・海上を関わらず、幅広い部署や領域と連携して、業務がスムーズに進むよう働く必要があります。その上で、さまざまな意見を取り入れすり合わせながらまとめるためのコミュニケーションスキルが必須と考えられます。
海上職は海の上という特殊な環境下において、不測の事態が発生しないよう注意しつつ、イレギュラーな場面でも焦ることなく、業務を計画に沿って進め遂行するスキルが必要です。
このように、商船三井では、商船三井の社員として、そして担当する職種ごとに求められるものを理解することが大切です。
就職偏差値・難易度および業界での立ち位置
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
商船三井 | 1兆6,119億円 | 1,000万円 | 65 | ドライな距離感で個人主義 |
日本郵船 | 2兆6,160億円 | 1,000万円 | 66 | 穏やかでアットホーム |
川崎汽船 | 9,426億円 | 1,000万円 | 61 | 多様性を尊重する雰囲気 |
財務情報の比較(売上)
こちらに挙げた企業は国内海運業界のトップ3です。この3社が売上高においても業界内で飛び抜けており、他の企業が高くて約1,000~2,000億円、1,000億円未満の企業が多数という状況です。事業活動の幅が広いほど、売上高も大きい傾向にあります。商船三井の業績は日本の海運業においてかなり大きな部分を占めており、不動の地位を築いていると言えるでしょう。
社風の比較
業界を通して言えるのは、社員に無理をさせるような会社が少ないことです。特にこちらに挙げた業界大手の企業は、日本の物流を支える業務に誇りを持っている社員が多く、企業と社員の摩擦があまり見られません。なお、社員間のコミュニケーションの取りやすさは、企業によってまちまちです。商船三井のようなドライな雰囲気の会社もあれば、日本郵船のような距離感の近い会社もあります。風通しは全体的に良いと言えそうですが、周囲の人の関わり方については自分の性格などを踏まえて、適切なスタイルを分析した方が良さそうです。
平均年収は大手においてほぼ同じ水準となっています。福利厚生も注力されている傾向にあるため、この点に関しては大手を狙うなら、あまり違いを意識する必要はなさそうです。
就職偏差値
就職偏差値は業界の中でトップに高めです。こちらに挙げた企業は学歴フィルターがある可能性が高く、国内のトップ大学や有名大学からの採用が多いため、就職を叶えるのは簡単ではないでしょう。採用大学の地域に関しては首都圏が多い傾向にあるものの、他の地方大学からも採っているため、大きな偏りはなさそうです。狭き門ではありますが、中堅以上の大学生であれば、採用をつかみとることは不可能ではないでしょう。
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採用大学
商船三井に採用されている大学の一例は次の通りです。
東京大学、一橋大学、筑波大学、早稲田大学、慶応義塾大学、明治大学、法政大学、東京外国語大学、東京海洋大学、北海道大学、大阪大学、立命館大学、同志社大学、西南学院大学、九州大学 など
国公立・私立ともに偏差値の高い国内トップ大学からの採用が目立ちます。採用大学のラインナップを見ると学歴フィルターが存在すると考えられますが、少ないながらも偏差値が中堅ほどの大学からの採用もあるため、必ずしも偏差値が全てなわけではなさそうです(この傾向は業界全体に見られます)。また、地方による採用の偏りなどはあまり見られません。
次世代エネルギーの可能性を追及
事業内容の部分でも述べた通り、現在世界的に環境問題や持続可能な社会づくりが注目されています。2023年7月には、国際海運において、2050年まで船舶から排出される温暖化ガスを実質ゼロにすると目標引き上げ(従来の目標は半減)なども発表され、ますます船舶にとってエネルギー問題は難しいものとなっています。
商船三井では、環境負荷の少ない船の開発・研究にあたり、商船に関連する次世代エネルギーの開発や出資などに幅広く進出中です。液化バイオメタンといった新たな船舶燃料の可能性や、脱炭素に向けた海外企業との協働など、企業全体で環境・エネルギーの課題解決に力を入れており、この傾向は今後さらに強まると考えられます。
なお、海運業界は近年かなり上向き傾向にあり、商船三井を含む国内トップ海運企業が、これまでになく好調な業績を挙げているというニュースもあります。
まとめ
商船三井は海運業という日本そして世界で重要な事業を担い、また海運業を社会の状況に合わせ変化させていこうと積極的に行動する、気概に満ちた企業です。世界の物流の要のひとつとも言える海運業で、世界有数のシェアを誇る三井商船で働ければ特別なやりがいが得られるでしょう。
就職難易度は高めですが、企業研修を十二分に行い、三井商船が何を求めているのかしっかり考えた上で選考に臨めば、狭き門を打破できる可能性もあります。ぜひこの記事を参考に、より深く三井商船について調べ、就活に役立ててください。