文系大学院生は就活が不利?押さえておくべきポイントとは
2023年6月25日更新
はじめに
理系の大学院生と比較し、文系の大学院生は就活が不利になるというイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?
実際に周りで就活に苦労している人がいるかはさておき、なんとなくのイメージでそのように思っている人も多いはずです。
「理系と比較すると、どうしても文系の大学院生は不利になりそう…」
「文系の大学院生は、文系の学部生より就活は不利なの?」
など、様々な悩みや不安は尽きないのではないでしょうか。
そこで本記事では、本当に文系大学院生は就活が不利になるのかということはもちろん、どのようなポイントを押さえておけば、就活が上手くいくのかということを詳しくご説明します。
文系の大学院生として就活を控えている人はもちろん、今後文系で院進学を検討している人などは、ぜひ最後までお読みくださいね。
文系大学院生の就活が不利って本当?
「文系の大学院生だから」という理由で就活が不利になることはないものの、文系大学院生が持つ様々な要素を考慮すると、就活が不利になってもおかしくありません。
なぜそのような状況が生まれてしまうのか、詳しく見ていきましょう。
人事担当者が文系大学院生を積極的に採用しない理由
まず知るべきは、「人事担当者は文系大学院生採用に消極的」ということです。
文系大学院生として就活を行うのであれば、この点は必ず押さえておく必要があります。
今回は理由を3つほどご紹介します。
専門性を生かす環境を用意できない
人事担当者目線では、「文系大学院生はこれまで学んできた領域を、仕事で生かしにくいのでは?」という思いがあります。どこかの企業では専門領域を生かすことができても、自身の会社ではないと考える人はすくなくありません。
理系大学院生の場合、研究分野が業務に直結することは多々あります。
近年、テクノロジー分野に注目が集まっていることもあり、なおさらです。
しかし、文系大学院生の場合、文化や政治、歴史などを専門領域にしていることが多く、知識としては重宝されるべきものですが、仕事に生かすとなると話は別です。
官公庁や自治体、団体などに就職先はあるかもしれませんが、民間企業となると専門領域を生かしにくいのが現実でしょう。
もちろん文系の学部生が学んできた専門領域も、民間企業では生かしにくい場合がほとんどです。しかし、年齢や経験に紐づく柔軟性などを考慮すると、人事担当者目線では文系学部生の方が魅力的に見えてしまう可能性があります。
コミュニケーションが苦手な印象がある
個人差はあるものの、「文系大学院生」という括り全体でいうと、コミュニケーションが苦手だという印象を持つ人事担当者は少なくありません。
「理系大学院生も同じでは?」と考える人がいるかもしれませんが、理系大学院生は同じ研究室に複数人在籍していることが多く、チームワークは必要ないまでも、研究を進めるにあたって、一定のコミュニケーション力が求められます。
しかし文系の大学院生は、そもそもの数が少ないと言うこともあり、研究室に一人だけ、というケースも珍しくありません。
このような背景を考慮すると、周囲との協働を行う上で必要なコミュニケーション力が不足している印象となり、文系大学院生の採用を人事担当者は控えてしまうことがあるのです。
文系大学院生の採用実績がない
企業規模によっては、「これまで文系大学院生の採用を一度もしたことがない」というケースも少なくありません。
文系大学院生とはどのような人なのかという蓄積データが不足している場合、敢えてチャレンジングに採用を行うのではなく、すでに採用実績が豊富な文系学部生を多数採用することは決して珍しくはないでしょう。
また、今後の成長幅やライフイベントのタイミングなどを考慮すると、新入社員の年齢はある程度揃えておきたいと考える人事担当者もいます。
その結果、年齢がやや上になる文系大学院生は、積極的な採用対象から外されてしまう可能性があるのです。
文系大学院生の就活のポイント
ここまで、文系大学院生の採用を人事担当者が控えがちになる理由をご紹介しました。
しかし、これはあくまでも「文系大学院生」という全体感の印象に過ぎず、個人の印象で十分に満足いく就活になる可能性があります。
そのためには、どのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。
重要なポイントを3点、ご紹介します。
①専門分野を第三者に伝える練習をしておく
文系の大学院生が研究してきた分野は、理系大学院生と比較しても専門性がより高く、説明を聞いただけでは「何の研究をしているのか分からない」となるケースは少なくありません。
そのため、就活以前に自分の研究分野を第三者に説明する練習が重要です。
「理系の大学院生の研究分野は専門性が高い」というイメージで人事担当者は話を聞くため、「この人の話を理解してあげよう」というマインドで話を聞きますが、「文系」というだけで「何となく話は分かるだろう」と考えてしまう人事担当者は少なくありません。
そのため、理系大学院生よりも、さらに分かりやすい説明能力が求められていることを理解しておきましょう。
②これまでの学びをどのように仕事に生かすのかを考えておく
人事担当者が文系大学院生を積極採用しない理由の一つに、「これまでの学びを仕事で生かすことはできないだろう」と思っている節があります。そのため、学びを仕事に繋げることができれば、それだけで好印象に繋がる可能性があります。
とはいえ、「研究内容は仕事には全く生かせないかも…」と感じる人は多いのではないでしょうか。学びの内容を直接仕事に生かせなくても問題ありません。
そもそも選択している人が少ない「文系大学院生」という選択を選んだ中で、どのようにモチベーションを保って研究を続けてきたのかなど、学びの姿勢の中にこそ仕事に生かせるものがあるはずです。
そういった点をたくさん洗い出しておくことが、就活では非常に優位にはたらく可能性が
あります。
③コミュニケーション能力をアピールできるエピソードを用意する
文系大学院生は、コミュニケーションが苦手だと思われている節があることは、ご理解いただけたのではないでしょうか。
そのため、自身の強みをアピールする際は、専門知識をアピールするのではなく、コミュニケーション能力についてアピールするのがおすすめです。
エピソードは何でも良いものの、複数人のコミュニティやチームでのエピソードだと、人事担当者目線では特に安心感を生むことができるでしょう。
アルバイトやサークルなどのエピソードを選択するのがおすすめです。
文系大学院生の差別化ポイント
では、文系大学院生は他の人たちとどのように差別化を行うべきなのでしょうか。
理系大学生、学部生と比較した際の差別化ポイントをご紹介します。
理系大学院生
理系大学院生の場合、職種によっては研究内容がそのまま業務に生かせる場合がほとんどです。そもそも職種を選ぶ際も、「自身の研究が生きる職種」を選ぶ人は少なくありません。
そのため、自身の研究分野をアピールできれば、人事担当者目線ではポジティブな印象に映ることが多いでしょう。
しかし、これまでお伝えしている通り、文系学生はそうもいきません。
そのため、研究分野が直接的に職種に生かせない場合には、論理的思考力や、論理的でありながらコミュニケーションが得意なように相手に伝える能力をアピールすべきです。
理系大学生は研究分野に長けていたとしても、コミュニケーションに極端に強いというケースは稀です。したがって、そこを逆手に取って「文系学生ならでは」のアピールにしましょう。
学部生
学部生と比較すると、それまで勉強してきて獲得した知識量には大きな差があります。
そのため、研究内容を選んだ理由や、これまで研究を継続できた理由などをしっかり伝えるのは非常に有効です。
特に文系学部生の場合、勉強ではなくコミュニケーション力を中心にアピールする人は少なくありません。文系大学院生はコミュニケーション力だけではなく、研究という圧倒的に打ち込んできた分野があることを丁寧に説明すれば、文系大学院生ならではの強みになるでしょう。
理系学部生と比較する場合、「文系大学院生の研究量は、理系の学部生くらいでしょ?」と考えている人事担当者が一定数います。
もちろんそんなはずはないものの、「なぜこの研究が難しいのか」「研究のどこにポイントを置いているのか」などを詳しく説明することで、院生ならではの特徴をしっかり理解してもらうように努めましょう。
よくある質問
では、最後によくある質問にお答えします。
文系大学院生が就活で有利になる方法は?
「文系大学院生だから」といって、就活で有利になるということはあまりありません。
選んだ職種が自身の研究内容にぴったり合致する場合は別ですが、そうでない限り「文系大学院生という肩書きをどうしたら有利にできるのか」という考えはやめるべきです。
これは、文系大学院生に限らず、他の学生にも同様のことが言えます。
理系大学院生の場合、職種によっては「理系大学院生である」ことが就活で有利にはたらくことがありますが、必ずしも有利になるというわけではありません。
また、文系・理系を問わず学部生であっても、「学部生だから」ということが有利にはたらくことはあまりありません。
就活を有利に進めるためには、自分自身の武器となるエピソードを磨いたり、何度も練習を重ねること以外ありません。既存の肩書きに依存しない就活の進め方を意識しましょう。
コミュニケーション力がない場合はどうしたらいい?
自分で「コミュニケーション力がない」と感じる理由は何か、まずは考えてみましょう。
その理由はひとつに限らず、人によって様々ではないでしょうか。
「人と対峙するだけで緊張してしまう」「目の前の人と同じテンポでコミュニケーションできない」など、考えるほどに理由は明確になっていくはずです。
理由が見つかったら、その理由は自分自身で改善できそうな内容なのかを考えてみましょう。万が一改善できそうな場合は、改善に向けた努力の内容を自身のエピソードとして伝えるように心掛けましょう。
もし、就活まで時間に余裕があるのであれば、サークルやアルバイト、ボランティアなど、複数の人と関わる機会を自らつくり、実際に改善に努めるのもおすすめです。
就活までの時間がどれだけあるかに合わせて、対処法を見つけるようにしましょう。
文系で大学院に進学するのはやめたほうがいい?
文系大学院生になったからといって、就活が不利になることはありません。
ただし、自身の気持ちの中で、「文系大学院生だったから就活がうまくいかなかった」と考えそうな余地がある場合は、本当に院進学を検討するべきか、しっかり考えてみるのが良いかもしれません。
また、就活までのモラトリアムを伸ばしたくて院進学を検討する人がいますが、こちらもあまりおすすめはできません。
あくまでも院生の本分は研究です。そのため、院進学をすると研究を行いながら就活を行わねばならず、学部生時代より負担が増える可能性があります。
きちんと就活したいなら、大学を休学するなどの選択肢はいくらでもあります。
どのような選択肢を選ぶ場合にも、その場の勢いで決めるのではなく、しっかり吟味することを大切にしましょう。
ポイントを押さえてスムーズな就活を!
いかがでしたか?
本記事では、本当に文系大学院生は就活が不利になるのかということはもちろん、どのようなポイントを押さえておけば、就活が上手くいくのかということを詳しくご説明してきました。
文系大学院生はそもそもの数が多くないため、人事担当者目線でもどのような生活を送っているのか、どのような研究スタイルなのか、また、どのように周囲の人と関わってきたのかということを、正しくイメージできないことが少なくありません。
そのため、「文系大学院生」というだけで、要らない誤解をされてしまっていることも少なくないでしょう。
その誤解を解くのは、自分自身の言葉以外ありません。ぜひ自分の経験に自信を持って、人事担当者へ伝えてみてはいかがでしょうか。
また、こちらの記事を参考にポイントを押さえることで、スムーズな就活を目指してくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。