【業界研究】福祉業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説
2023年6月25日更新
はじめに
福祉業界は、社会の中で最も貴重な使命を担っています。
なぜなら、高齢者、障害者、病気や困難に直面している人々に対して、必要な支援を通じて生活の質を向上させられるからです。
福祉の仕事は、時には困難な状況や感情的になる場面に対峙することもありますが、その一方で、人々の笑顔や成長を見届けられるやりがいもあります。
また、福祉業界は社会の変化や人口の高齢化に伴い、ますます重要性を増しています。
この業界に就職し、キャリアを築くことは、人々の生活に意義をもたらし、社会に貢献できる素晴らしいチャンスになります。
本記事では、福祉業界に興味のある人向けに、福祉業界の定義やビジネスモデル、職種から志望動機を作成する際のポイントまで網羅して解説していきます。
10分ぐらいで福祉業界の全貌が丸っと理解できますので、最後まで一気にお読みくださいね。
福祉業界とは?
福祉業界とは、高齢者や障害者、児童など、生活に困難を抱えている人々を支援する業種のことです。
福祉業界には下表のとおり、介護、保育、障害者福祉、社会福祉、児童福祉など、さまざまな分野があります。
区 分 | 内 容 |
介護業界 | 高齢者や障害者に対して、食事、排泄、入浴などの日常生活の支援や、介護予防などのサービスを提供する業界 |
保育業界 | 乳幼児を預かり、保育や教育を行う業界 |
障害者福祉業界 | 障害者に対して、生活介護、就労支援、相談支援などのサービスを提供する業界 |
社会福祉業界 | 貧困や生活困窮者に対して、生活支援、就労支援、教育支援などのサービスを提供する業界 |
児童福祉業界 | 児童に対して、養護、教育、保育などのサービスを提供する業界 |
福祉業界のビジネスモデル
福祉業界のビジネスモデルは大きく、
①施設提供型
②在宅サービス提供型
③コンサルティング・アドバイザリー型
④福祉用具・製品販売型
⑤ソーシャル企業型
の5つに分かれます。
1つずつ解説を加えていきましょう。
①施設提供型
高齢者向け施設(特養、介護老人保健施設など)や障害者施設を運営し、入居者に対して住居や介護・支援サービスを提供するビジネスモデルです。
入居者からの利用料や介護保険給付金を収益源としています。
②在宅サービス提供型
高齢者や障害者が自宅で生活を続けるために必要なサービス(ホームヘルパーサービス、訪問リハビリテーションなど)を提供するビジネスモデルです。
利用者からの利用料や介護保険給付金を収益源としています。
③コンサルティング・アドバイザリー型
福祉政策や施策に関するコンサルティングやアドバイザリー業務を提供するビジネスモデルです。
行政機関や福祉施設などへのコンサルティング料や契約金が収益源となります。
④福祉用具・製品販売型
福祉用具や製品(車椅子、福祉用具、介護用品など)の販売を行うビジネスモデルです。
利用者や介護施設、病院などからの需要に応じて製品を販売し、収益を得ます。
⑤ソーシャル企業型
福祉や社会問題の解決を目的としたソーシャル企業のビジネスモデルです。
社会的な課題を解決しながら、収益を得ることで持続的な社会貢献を実現しています。
福祉業界のビジネスモデルは、社会的な使命や倫理的な側面を重視しながら、利用者のニーズや福祉政策の変化に対応することが求められます。
また、多くの場合、福祉業界は公的な支援や助成金に依存することがあり、政府や地方自治体からの補助金や介護保険制度などが収益の一部を占めることもあります。
加えて、地域包括ケアシステムの構築や地域の福祉リソースの活用も重要な動向です。
地域住民や地域資源を活かし、地域全体での福祉サービスの提供や連携を強化することで、地域の課題解決や高齢化社会への対応を図っています。
福祉業界は、人々の生活と幸福感に深く関わる重要な分野であるため、ビジネスモデルの中で利用者のニーズや社会的な課題に対応しながら、持続的な事業運営を行うことが求められていますね。
福祉業界の職種
福祉業界にはさまざまな職種が存在します。
以下に、一般的な福祉業界の職種をまとめました。
職 種 | 仕事内容 |
介護士/介護福祉士 | 老齢者や障がい者などの日常生活のサポートや介護業務 |
社会福祉士 | 福祉施設や地域で、福祉サービスの計画や提供、相談支援業務を担当 |
看護師/診療放射線技師 | 病院や介護施設で、患者の看護や医療サポートを担当 |
リハビリテーション職 ・理学療法士 ・作業療法士 ・言語聴覚士など | 障がい者や病気の回復や機能向上を支援するためのリハビリテーションを提供 |
ケアマネージャー | 高齢者や障がい者などのケアプランを作成し、サービスの調整やケアを管理 |
ソーシャルワーカー | 社会的な問題や困難に直面している人々の支援や相談業務 |
児童福祉司/児童指導員 | 児童養護施設や児童相談所で、子供たちの保護やケア、支援を担当 |
福祉施設管理者 | 福祉施設の運営管理や予算管理、スタッフの指導や業務調整 |
福祉コンサルタント | 福祉政策や施策の企画や評価、福祉機関へのコンサルティング業務 |
デイサービススタッフ | デイサービスセンターや老人保健施設で、利用者の生活支援やリハビリテーションプログラムの実施 |
ホームヘルパー | 介護保険サービスを提供し、高齢者や障がい者の在宅生活支援を担当 |
福祉事務・事務職 | 福祉施設や福祉団体で、事務業務やデータ管理、経理業務を担当 |
上記は福祉業界の職種の一部であり、その他にさまざまな職種が存在します。
また、それぞれの職種には専門的な資格や知識が求められる場合もあります。
就職の際には、あなたの興味や能力に合わせた職種を選ぶことが何にも増して重要ですね。
福祉業界のキャリアパス
福祉業界には多様なキャリアパスが存在します。
例えば、介護士の場合、初めは施設での実務経験を積みながら、研修や資格取得を通じてキャリアアップが可能です。
ケアマネージャーとしてのスキルや知識を習得することで、介護計画の立案やサービスの提供管理など、より幅広い業務に携わることができます。
社会福祉士の場合も地域の福祉施設や支援団体での経験を経て、福祉政策の企画や実施、相談支援業務などのキャリアを広げることが可能です。
また、福祉業界で培った人間関係やコミュニケーション能力、問題解決や協調性といったスキルは、他の産業でも転職やキャリアチェンジの際に活かせるという側面もありますね。
一方で、福祉業界で成長していくためには、専門知識やスキルの継続的な向上が欠かせません。
業界内のセミナーや研修、学会への参加などを通じて最新の情報をキャッチアップし、自己啓発に努めることが先決です。
また、他の福祉関連の職種や組織との連携やネットワーキングも、キャリアの成長に役立つでしょう。
さらに、ロボット技術や人工知能(AI)の活用は、介護の効率化や福祉サービスの充実に直結しますので、将来的にはデジタル技術と福祉の融合が進み、新たなキャリアの可能性が生まれるかもしれません。
常に業界のトレンドや技術の動向に注目し、あなたのスキルセットをアップデートすることも大切ですね。
福祉業界は、社会的な意義や使命感を持ちながら、キャリアを築くことができる魅力的な分野なので、あなたの才能や情熱を活かし、人々の生活や福祉に貢献する道を選ぶことで、充実したキャリアを実現することができるでしょう。
大手企業紹介
それでは、福祉業界の大手企業を売上高順に4社紹介します。
押さえておきたい会社情報や就職難易度は下表のとおりです。
項目/社名 | ニチイ学館 | SONPO ホールディングス | ベネッセ HD | ツクイ |
創 業 設 立 | 1968年 1973年 | 1880年 2010年 | 1955年 1955年 | 1969年 2020年 |
売上高(億円) | 2,673 | 1,366 | 1,273 | 950 |
純利益(億円) | 7.6 | 2,248 | 10 | ー |
自己資本比率 | 22.4% | 14.7% | 27.6% | 31.7% |
従業員数 | 87,237 | 23,611 | 18,124 | 22,400 |
平均年齢 | 43.8 | 38.7 | 34.8 | 43.3 |
平均勤続年数 | 8.7 | 4.4 | 5.2 | 7.3 |
初任給(万円) | 21.6 | 205.8 | 172.7~201.0 | 22.4 |
平均年収(万円) | 395 | 373 | 373 | 412 |
就職難易度 | 3.3/5 | 3.3/5 | 3.3/5 | ー |
続いて、経営理念も見ていきましょう。
会 社 名 | 経 営 理 念 |
ニチイ学館 | 私たちは誠意を以て社会参加の信条とし、社業の社会的使命を弁え、誇りをもって行動し、若々しい情熱で限りない未来への可能性に挑戦します。 そして、社業の発展を通して豊かな人間生活の向上に貢献します。 |
SOMPO ホールディングス | 人間尊重 お客さまの「安心・安全・健康」な暮らしを支える、高品質な 介護サービスを幅広く提供しています。 |
ベネッセHD | よく生きる |
ツクイ | 超高齢社会の課題に向き合い、人生100年幸福に生きる時代を創る |
福祉業界の動向
福祉業界の動向として押さえておきたいトピックスは、
①高齢化の進展
②人手不足
③働き方改革の推進
④デジタル技術の活用
⑤新しいサービスの登場
の5つです。
1つずつ解説を加えていきましょう。
①高齢化社会の進展
2025年には日本の高齢者人口が3,000万人を超えると予測されており、それに伴い介護や福祉サービスに対する需要はさらに高まっていくと考えられます。
高齢者向けの介護施設や在宅介護サービスの需要が増加しており、そのための人材や設備の充実が求められています。
②人手不足
人手不足も、福祉業界が抱える大きな課題です。
高齢化社会の進展や福祉サービスの需要の増加に伴い、福祉従事者の需要が急速に拡大していますが、福祉業界では十分な人材確保ができていないため、サービス提供の質や充実度に影響を及ぼす懸念があります。
福祉従事者の仕事は身体的・精神的な負担が大きい一方で、給与や待遇が他の産業に比べて低いことも人材確保の障害となっています。
また、離職率が高く、介護職員の平均年齢も高くなっているため、介護職員の確保が喫緊の課題となっています。
③働き方改革の推進
人手不足の問題から福祉業界でも働き方改革が進められています。
労働環境の改善や労働時間の短縮、ワーク・ライフ・バランスの実現などが重要な課題とされています。
また、福祉従事者の給与や待遇改善も求められており、人材確保のためには魅力的な労働環境の整備が急務となっていますね。
④デジタル技術の活用
近年、福祉業界でもデジタル技術の活用が進んでいます。
テレヘルスや遠隔診療などのICTを活用したサービスが普及し、地理的な制約を克服して福祉の提供が可能となっています。
また、AIやロボット技術の導入により、介護の効率化や負担軽減が期待されています。
⑤新しいサービスの登場
AIを活用した見守りサービスやデリバリーサービスなど、高齢者向けの新しいサービスが次々と登場しています。
これらのサービスは、高齢者の生活をより豊かにし、自立を支援するものとして期待されていますね。
以上が福祉業界の最近の動向です。
これらの動向にアンテナを立て、業界の将来性を考慮したうえで就職先を検討しましょう。
効果的な志望動機をつくる5つのコツ
「福祉業界を志望していますが、志望動機はどんなところに気を付けて考えればいいですか?」
それでは福祉業界の志望動機を作るコツを5つ公開します。
この5つのポイントを意識しながら作成することで、刺さる志望動機を量産できますので、ぜひとも活用してくださいね。
①あなたの関心や経験を強調する
福祉業界を志望する理由を明確にし、あなたの関心や経験と紐づけしましょう。
例えば、家族の介護体験やボランティア活動など、福祉に関わる経験や興味を具体的に述べることで、熱意と関与度を示せます。
②福祉業界の使命や価値観に共感する
福祉業界の目的や価値観に共感する理由を述べましょう。
社会的な貢献や人々の支援に対する情熱、人間関係の重要性など、あなたの信念や価値観と福祉業界の関連性を示すことが重要です。
③福祉業界の課題や将来展望に言及する
福祉業界が直面している課題や将来の展望について認識し、あなたの貢献や成長について言及しましょう。
具体的なアイデアや取り組みに触れることで、あなたの能力や意欲をアピールできますよ。
④研究や情報収集を行う
福祉業界に関する研究や情報収集を行い、業界のトレンドや最新動向に詳しくなりましょう。
それに基づいて、志望動機を具体的かつ具現化した形で表現することで、真剣な姿勢と研究意欲を示せます。
⑤自己啓発や成長への意欲を示す
福祉業界でのキャリアにおいて、自己啓発や成長意欲が重要です。
あなたの目標や将来のビジョンを示し、福祉業界が提供する学びや成長の機会を追求したいという意欲をアピールしましょう。
以上のように志望動機を書く際には、あなたの経験やスキルを活かして、福祉業界に貢献できることをアピールすることがコツです。
また、志望する企業や施設の特徴を理解し、なぜその企業や施設で働きたいのかを明確にすることで、より説得力のある志望動機を書くことができますね。
今回公開したコツを参考にしつつ、志望動機を明確かつ簡潔にまとめることを心がけましょう。
まとめ
福祉業界は、日本の人口構造の変化により、今後ますます重要性が増していくと考えられています。
2025年には、団塊の世代がすべて75歳以上となり、高齢化が急速に進みます。
それに伴い、介護や看護などの福祉サービスへの需要は高まっていくでしょう。
一方で、福祉業界はICT技術を活用したサービスの開発が進んでいき、ICT技術を活用することで、今後は効率化やサービスの質の向上が期待されています。
そのため、福祉業界で必要なスキルだと言われているコミュニケーション能力や協働性、柔軟性、問題解決能力、ホスピタリティといったスキルに加えて、ICT技術に関する知識やスキルも必要になってくるでしょう。
福祉業界は、やりがいのある仕事であり、これからの日本を支える社会貢献度の高い仕事です。
福祉業界を志望している方は、本記事を参考にされて、ご活躍されることを祈念しています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。