ホテル業界の大手企業！平均年収や求める人材など徹底解説！

2023.06.25

ホテル業界の大手企業！平均年収や求める人材など徹底解説！

2023年6月25日更新

はじめに

大手ホテルへの就職を目指す就活生は今、企業研究に力を入れていることと思います。そこでホテル業界のトップ5と目されている5社の事業内容や業績、求める人材を紹介します。

「ホテル業界」と一口にいっても、プレイヤーである企業の性質はかなり違います。

ホテル業界を狙っている就活生はきっと、理想のホテル像を持っているはず。それにマッチした企業を選びたいものです。

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ホテルトップ5の選び方

本稿ではホテルトップ5を紹介するわけですが、5社の選考方法は多種多様で何を基準にするかで顔ぶれはかなり変わってきます。例えば、ブランド力トップ5と顧客満足度トップ5とホテル棟数トップ5では、5社のラインナップはまったく異なるはずです。

本稿が基準にしたのは、日本経済新聞が公表している「旅行・ホテル売上高」ランキングです。ただし単純に同ランキングの上位5社を選んでしまうと「大手ホテル事情」をお伝えできないので、選考基準を増やしました。同ランキングの事業紹介文に「ホテル」という単語が入っていて、売上高が比較的上位で、知名度が高かったり事業内容がユニークだったりする企業をトップ5としました。

参考：日本経済新聞「旅行・ホテル売上高」

西武ホールディングス（プリンスホテル）

株式会社西武ホールディングス（本社・東京都豊島区、以下、西武HD）は鉄道事業が祖業で、現在は鉄道のほかに、バス、ホテル、旅行、レストラン、レジャー施設、フィットネスジム、不動産開発などの事業を手がけています。

ホテル事業のブランド名は、プリンスホテルです。

参考：株式会社西武ホールディングス「有価証券報告書」[KI1]

プリンスホテルの状況とコンセプト

プリンスホテルを運営しているのは、西武HD傘下の株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド（以下、社名の場合はプリンスホテル社と表記）で、日本最大級のホテルチェーンを展開しています。その内訳は、シティホテルが15カ所、10,618室、リゾートホテルが31カ所6,739室。

シティホテルは大都市圏と中心商業地域にあり、大規模宴会場や大会議室を備えているといった特徴があります。

リゾートホテルは北海道、箱根、軽井沢などの有名観光地にあり、ゴルフ場やスキー場といったレジャー施設を一体で運営しているところもあります。

海外にも展開していて、ハワイ、オーストラリア、中国、台湾に進出済みです。

経営状況

西武HD（連結）の2022年3月期（2021年4月～2022年3月）の営業収益は3,969億円で、前期よりは増加したものの、コロナ直前の2020年3月期の営業収益5,546億円には届いていません。

ただ当期純利益は2020年3月期の47億円に対し、2022年3月期は106億円と急回復しています。しかし2019年3月期の当期純利益455億円と比べると見劣り感は否めません。

社員の平均年収

西武HD単体の従業員数は352人で、平均年齢は40.9歳、平均年間給与（≒平均年収）は7,957,684円でした。

なお西武HD連結の従業員数は21,367人で、こちらの平均年収は公表されていません。

いずれも2022年3月期の数字です。

求める人材

西武HDのホテル部門で働きたいと考えている人は、プリンスホテル社への入社を目指すことになります。

同社は現在「日本のプリンスホテルから世界のプリンスホテルへ」というコンセプトで採用活動を行っています。つまり海外事業を強化しているので、世界で働きたいと考えている就活生にはマッチするでしょう。

同社は求める人材を明記していて、以下のようになっています。

総合職（経営に関わる）：国内外のホテルやレジャーをはじめとしたプリンスホテルの経営資源を活用し、会社や事業成長の実現に向け、努力・挑戦できる人

運営職：ホテルのあらゆる業務を体得し、お客様に選ばれるホテルを自らがリーダーとなってつくるあげることができる人

ホテル経営まで興味がある人は総合職で、ホテルのなかで働き続けたい人は運営職で受けることになります。

参考：西武グループ「新卒採用情報」

参考：株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド「採用基本情報」

リゾートトラスト

リゾートトラスト株式会社（本社・名古屋市、以下、リゾートトラスト）は、元々は分譲マンションやテナントビルを手がける不動産開発会社で、その後、ホテル事業やレストラン事業に乗り出し、今ではゴルフやリゾートの事業も手がけています。

ホテル事業では会員制が特徴的です。

参考：リゾートトラスト株式会社「有価証券報告書」

ホテル事業の状況とコンセプト

リゾートトラストのホテル事業のブランド名は、エクシブ、ベイコート倶楽部、サンメンバーズ、ホテルトラスティとなっています。

エクシブの語源は14で、このホテルでは14人で1室を使う部屋が用意されています。その拡大版で、28人で1室を使うタイプもあります。そのほかのブランドも多人数で1室を使うタイプが用意されています。

会員権を販売し、それを買った会員が泊まることができます。会員向けサービスにはいくつか種類があるのですが、例えば、1室を1年間26泊まで利用できる、といった内容になっています。また部屋を共同所有する仕組みも顧客に提供しています。

リゾートトラストのホテル・ビジネスの特徴は総合的であることです。レストランやゴルフ場を併設しているほかに、清掃業務、損害保険代理業務、ビューティー事業も手がけます。

経営状況

リゾートトラスト（連結）の2022年3月期の売上高は1,578億円で、2021年3月期の1,675億円を割り込んだものの、2020年3月期、1,591億円の水準には回復しています。

純利益は、2021年3月期は102億円の赤字（純損失）となりましたが、2022年3月期は58億円の黒字に転換しました。

社員の平均年収

リゾートトラスト単体の従業員数は5,275人で、平均年齢は36.2歳、平均年間給与（≒平均年収）は5,375,988円でした。

なおリゾートトラスト連結の従業員数は7,903人で、こちらの平均年収は公表されていません。

いずれも2022年3月期の数字です。

求める人材

リゾートトラストの求人コンセプトは「ホテリエほど楽しい仕事はない。一流を目指し、誇りをもって働こう」です。ホテリエはフランス語で、ホテル事業に従事する人という意味です。

また、最上のホスピタリティを追求する、とも述べているので、フルサービスのホテルパーソンを目指している就活生には魅力的に映るのではないでしょうか。

若い人の意見を採用する取り組みを進めていて、その狙いについて「日々お客さまの前に立つ現場のスタッフを組織の最前線と考え、会社全体で同じ目標に向かいます。そこに年次や役職は関係ありません」と述べています。

ここからは、風通しのよい職場環境を目指していることがわかります。

参考：リゾートトラスト「カルチャー」

帝国ホテル

株式会社帝国ホテル（本社・東京都千代田区）は、渋沢栄一たちが発起人となって1887年（明治20年）に設立された有限会社帝国ホテルが前身となっています。

以下、ホテルの名称は帝国ホテル、企業名は帝国ホテル社と表記します。

帝国ホテルは終戦直後に連合軍総司令部の将官官舎として使われていて、「日本史に名前が残っているホテル」といえます。

参考：株式会社帝国ホテル「有価証券報告書」

ホテル事業の状況とコンセプト

帝国ホテル社の事業はホテル、料飲施設、不動産賃貸であり、先ほど紹介した西武HDやリゾートトラストと比べると、ホテル特化型といえるでしょう。

直営のホテルは、帝国ホテル東京、帝国ホテル大阪、上高地帝国ホテルの3軒だけで少数精鋭のイメージがあります。

帝国ホテルのコンセプトは「創業の精神を継ぐ日本の代表ホテルであり国際的ベストホテルを目指す企業として、最も優れたサービスと商品を提供することにより、国際社会の発展と人々の豊かでゆとりのある生活と文化の向上に貢献する」となっていて、格式の高さとその自負がうかがえます。

参考：帝国ホテル「宿泊予約検索」

経営状況

帝国ホテル社（連結）の2022年3月期の売上高は286億円で、2021年3月期の221億円よりは増加しているものの、コロナ直前の2020年3月期の546億円には及びません。

また当期純利益（純損失）は、2021年3月期は144億円の赤字、2022年3月期は79億円の赤字と、2期連続で赤字に転落しています。いわゆる「コロナの爪痕」が残っている状態といえるでしょう。

ただ、2036年には帝国ホテル東京の建て替え計画が完了するなど、未来への投資は継続されています。

社員の平均年収

帝国ホテル社単体の従業員数は1,749人で、平均年齢は39.8歳、平均年間給与（≒平均年収）は4,755,000円でした。

なお帝国ホテル社連結の従業員数は1,824人で、こちらの平均年収は公表されていません。

いずれも2022年3月期の数字です。

求める人材

ホテル志望の就活生のなかには「帝国ホテルで働きたい」と思っている人もいるでしょう。就活生たちのそのような想いは帝国ホテル社側も知っていて、採用コンセプトは「次の100円を築く使命がある」となっています。つまり、これまでの100年以上の歴史を受け継いで、次の100年の帝国ホテルをつくる人材を求めているわけです。

採用枠は、ホテル経営を目指す総合コースと、ホテル運営に携わる専門コースがあります。

総合コースで入社すると比較的早い段階でマネージメント職に就くことができるでしょう。そのため転勤や出向があり、さまざまな職場で経験を積むことが求められます。

専門コースは勤務地が東京または大阪に固定され転勤がありません。また、宿泊部門、レストラン部門、調理部門にわかれていて、その道のプロを目指すことになります。

参考：帝国ホテル「次の100年を築く使命がある」

ロイヤルホテル

株式会社ロイヤルホテル（本社・大阪市）は社名のとおりホテル事業に特化した会社です。ブランド名はリーガロイヤルホテルとリーガアソシエイトホテルの2つです。

以下、社名をロイヤルホテル社と表記して、ホテル名をロイヤルホテルとします。

参考：株式会社ロイヤルホテル「ホテル一覧」

ホテル事業の状況とコンセプト

リーガロイヤルホテルは、大阪市、新宿区、千代田区、京都市、広島市、北九州市に計9つあります。リーガアソシエイトホテルは、新居浜市（愛知県）、那覇市、高松市（香川県）、グアム（アメリカ）に各1棟、計4つあります。

大阪発祥のホテルチェーンで、終戦後は帝国ホテル同様に、連合軍の将校の官舎として接収された歴史を持ちます。

経営状況

ロイヤルホテル社は森トラスト株式会社やベントール・グリーンオーク社と資本提携を結んだうえで土地や建物を譲渡し、現在はホテル・オペレーション（運営受託方式）に特化しています。

ロイヤルホテル社（連結）の2023年3月期の売上高は264億円で、2022年3月期の165億円から躍進を遂げています。当期純利益も2022年3月期は48億円の赤字（純損失）でしたが、2023年3月期はプラス133億円と黒字転換に成功しています。

また先行投資にも余念がなく、リーガロイヤルホテル（大阪）は全客室をリノベーションし、2025年には名称を「リーガロイヤルホテル（大阪）-ヴィニエットコレクション」に変えます。このホテルはインターコンチネンタルホテルズ・グループのソフトブランドを導入し、そのコンセプトは「新しい迎賓館」です。このコンセプトは、ロイヤルホテルが、大阪の政財界の人たちの「賓客のための近代的ホテルを大阪に」という願いのもとつくられたことに由来しています。

参考：株式会社ロイヤルホテル「第90期事業報告書」

参考：株式会社ロイヤルホテル「トップメッセージ」

参考：株式会社ロイヤルホテル「2023年3月期決算短信」