【業界研究】エネルギー業界大手3社(電気・ガス・石油)とは?志望動機・ビジネスモデル・職種・就職偏差値を徹底解説
2023年11月24日更新
はじめに
エネルギー業界に興味があるけどイマイチ内容を把握していない人も多いと思います。「電気・ガス・石油エネルギーの環境」や「新エネルギーについて」などエネルギー業界に就職する人は知っておきたい情報です。
本記事では、業界研究に役立つ情報を詳しく解説しています。志望動機やビジネスモデル、職種などエネルギー業界の理解を深めることで、自分の就きたい職業か判断しましょう。
エネルギー業界とは?
私たちの生活はさまざまなエネルギーによって支えられています。代表的なのが「電気・ガス・石油」の3つです。この3つを合わせてエネルギー業界と呼びます。どのエネルギーも私たちの生活には必要不可欠で、供給がなくなれば支障が出てしまいます。
エネルギー業界は、これらの3つのエネルギーを安定供給することにより収益を上げているという仕組みです。供給するまでの流れとしては、「開発・採鉱」、「輸送」、「加工・流通」という流れを経て、私たちが使えるようになります。
3つのエネルギーごとに特徴が違うため、自分の志望する事業内容を中心に理解しましょう。
エネルギー業界のビジネスモデル
電気・ガス・石油の3つのエネルギーについてそれぞれのビジネスモデルを説明します。
電気エネルギー業界について
明かりのある生活を送るために、なくてはならないのが電力です。電力会社のビジネスモデルは、「発電」、「供給」、「販売」の3つの流れに沿って分かれています。①電力を発電する、②発電した電力を需要者に供給する、③販売するという構造です。
この①~③までの流れに沿って電気エネルギービジネスモデルを解説します。
①電力を発電する(発電事業)
発電事業は、水力や火力、風力などさまざまな方法で電気エネルギーを発電します。主に発電する種類は以下の6つです。
水力 水の流れや落差を利用して位置エネルギーから電気を発電
火力 物を燃やすことで発生する熱エネルギーから電気を発電
風力 風がつくりだす運動エネルギーから電気を発電
原子力 原子核分裂のより発生する熱エネルギーから電気を発電
太陽光 太陽の光エネルギーから電気を発電
地熱 地熱から電気を発電
代表的な大手企業で言えば、関西電力、東京電力、中部電力といった企業があります。電気を作り出すまでが、一つの仕事です。
②発電した電力を需要者に供給する(送配電事業)
各エネルギーから作られた電力は、変電所に送られ、消費者の元へと届けられます。家庭用や、産業用など用途に合わせ、電圧を変え送電されます。
無地に電力を送電するために、電線のメンテナンスや送電経路の設備工事、配電の管理などが業務です。
③販売する(小売り電気事業)
供給された電力を、一般家庭または法人にむけて販売するのが小売り電気事業です。消費者と直にやり取りし、契約してもらうためにサービスやプランの説明をします。新プランや新たなサービスの開発なども業務内容です。
ガスエネルギー業界について
料理やお風呂など快適な生活を送るうえで欠かせないのがガスエネルギーです。ガスエネルギーは、「都市ガス」、「LPガス」の2種類があり、それぞれのビジネスモデルについて説明します。
都市ガス
地域ごとのガス会社があり、自分の管轄エリアにガスを供給するのが都市ガスです。都市ガスと言えば、「大阪ガス」、「東京ガス」、「東邦ガス」の3社が代表的で、約7割のシェア率を誇っています。
この3社は大規模な導管網を持っており、ガス事業者へガスを配給しています。
LPガス
ガスボンベを設置しガスを供給するのがLPガスです。都市ガスと違い、ガス管が要らないため半永久的に使用できるのがメリットです。その分費用が高いのが特徴です。
LPガスはガスの輸入から販売まで3つの工程に分けられます。
・元売業 ガスの元となる液化石油ガスの輸入
・卸売業 輸入されたガスを小売業者に販売する
・小売業 卸売業から購入したガスを一般家庭に販売する
ガスを一般家庭に販売する営業職や、ガスの製造に携わる技術職、ガス料金や人事・経理を担当する管理職など職種は業務内容により多様です。
石油エネルギー業界の職種
車のガソリンを入れる際に必要になる石油も、日常生活において必要な存在です。電気エネルギーと同様に、「生産」、「輸送」、「販売」という3つの流れで分けられます。
販売会社に目が行きがちですが、石油開発会社や、石油輸送会社などさまざまな分野で成り立っています。業務内容を大きく分けると「販売者」、「技術者」の2つに分けることができるので見ていきましょう。
販売者
一般企業と同様に経理や財務、人事など事務関係の仕事があります。取り扱っている石油をどのように販売するか考え、消費者に販売するのが業務です。
技術者
製造や研究などを行うエンジニアとして働くことが業務です。技術職であるため、専門的なスキルや知識を必要とします。
エネルギー業界の職種
エネルギー業界の職種は、「技術・開発」、「営業」、「管理」の3つです。職種によって専門的なスキルが必要になる場合もあるため、自分の就きたい職種に合わせて見ていきましょう。
技術開発職
技術開発職は、名前の通り新しい技術やサービスを開発するため、専門的な知識が必要です。エンジニア関係の仕事であるため、理系学生の人気が高い職種です。
新たなエネルギー開発や既存のシステムのアップグレードなどを業務としています。環境問題や社会問題を解決できるための、新技術や新たな可能性を模索します。
営業職
自社で開発したサービスや商品を顧客に販売するのが業務です。一般家庭から法人までエネルギーを必要としている人に、供給し利益を出すのが目的です。
電気やガスの自由化により、自社のメリットやアピールポイントなど、如何に他社と差別化できるかがポイントになっています。
各種管理業務
エネルギーを安定して供給できるための管理を行うのが業務内容です。営業職や技術職によって作られた顧客との繋がりを維持していくことが大切です。
商品の品質やサービス内容など細部まで管理を徹底し、いかなる時でも安定供給できるように努めます。
エネルギー業界の大手企業【平均年収や就職偏差値・難易度について】
電気・ガス・石油の3つの業界の大手企業について紹介します。企業の考え方や平均年収などを理解し、自分と合っているか見極めましょう。
就職偏差値・難易度について、詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。
【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング
企業名 東京ガス株式会社
企業理念 人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる
行動指針 1.私たちは、常に信頼され選ばれ続ける「エネルギーフロンティア企業グループ」の一員として、自ら考え、行動します。
2.私たちは、常にクリーンでフェアな業務を行います。
3.私たちは、お客さま、お取引先、株主などのステークホルダーに対して誠実・公正に対応します。
4.私たちは、ともに働く仲間の多様性や個性を尊重し、働きやすい職場を実現します。
5.私たちは、地球環境を守るために行動します。
6.私たちは、企業市民として、地域や社会に貢献します。
7.私たちは、情報を適正に取り扱います。
8.私たちは、グローバルな展開にあたっては、各国・地域の法令、人権を含む各種の国際規範の尊重だけでなく、文化や慣習、ステークホルダーの関心に配慮した事業活動を行います。
9.私たちは、社会人としての良識を持ち、個人の生活においても高い倫理観に基づいた行動をします。
10.私たちは、行動基準から逸脱した行動を行った場合、または、見聞きした場合には、迅速に職場に報告し、必要な是正を行います。
経営層や管理者は、先頭に立って自ら行動します。
平均年収 695万円
就職偏差値 65
就職難易度 【非常に高い】
「入社が難しい有名企業ランキング」東京ガスは14位/200社
引用元:東京ガス株式会社
東京ガスの就職難易度や社風に関して詳しく知りたい方は、下記の記事が参考になります。
https://jo-katsu.com/campus/5678/
企業名 関西電力株式会社
企業理念 「あたりまえを守り、創る」 公正×誠実×共感×挑戦
行動指針 1.コンプライアンスの実践・徹底
2.公正な事業活動
3.適正な情報開示・管理と対話
4.人権の尊重とダイバーシティの推進
5.安全の確保
6.お客さまに選ばれる商品・サービスの提供
7.よりよき環境の創造を目指した取組み
8.地域社会の課題解決・発展に向けた取組み
9.危機管理の徹底
10.役員の責任と本憲章の徹底
平均年収 820万円
就職偏差値 68
就職難易度 【やや高い】
引用元:関西電力株式会社
関西電力の企業研修を行った記事のリンクを載せておきますので、関西電力の詳しい事業内容や、就職難易度を知りたい方はご覧ください。
https://jo-katsu.com/campus/6260/
企業名 ENEOSホールディングス株式会社
企業理念 地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。
エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。
行動指針 1.コンプライアンスの徹底と社会規範への適切な対応
2.安全確保
3.環境保全
4.健康増進
5.人権尊重
6.価値ある商品・サービスの提供
7.公平・公正な取引
8.政治・行政との適切な関係
9.利益相反の回避
10.会社資産の保全・管理
11.適切な情報管理と情報開示
12.健全な職場環境の確立
13.市民社会の発展への貢献
14.違反行為への対処と再発防止
平均年収 1,006万円
就職偏差値 65
就職難易度 【非常に高い】
「企業入社難易度ランキング2022」(石油・窯業・繊維・紙、部門)5位
引用元:ENEOSホールディングス株式会社
ENEOSホールディングス(旧:JXTGホールディングス)に興味を持った方は、就職難易度や、選考対策を解説した過去記事がありますので、ぜひ参考にしてください。
https://jo-katsu.com/campus/6840/
エネルギー業界の志望動機
エネルギー業界を志望するために必要なことは、「その業界・企業をなぜ選んだのか」ということが重要です。エネルギー業界ならではの理由を述べられるとポイントです。
例えば、「新エネルギーとして注目されている水素に興味がある」、「持続的に人々の暮らしを豊かにすることに魅力を感じている」といった理由がいいでしょう。
企業によって強みや力を入れているポイントが違うため、そこに注目して志望動機をつくることがおすすめです。エネルギー業界のよくある志望動機の例を紹介します。
人々の暮らしの当たり前を支えたいから
地震や災害の経験から電気やガスが使えなくなったときに必要性を感じ、安定供給することを手助けしたい。
人々の豊かな生活を安定的・持続的に支えたいから
生活においてエネルギー資源は必要不可欠であり重要な資源です。その資源に携わることで多くの人の力になれる。
技術開発者としてエネルギー問題の解決に貢献
エネルギー問題に携わることで、地球環境問題や社会問題など多くの問題を解決する手助けになるから。
エネルギー業界の最新動向と今後
エネルギー業界の動向を知っておくことで、面接時にも内容の濃い話をすることができます。またエネルギー業界が現在どういう状況なのかを把握することで、就職すべきかどうか判断する材料にもなるため、学んでいきましょう。
エネルギーを取り巻く環境はことあるごとに変化します。以前までは、エネルギー不足が懸念され、価格の高騰が話題となりました。近年では、それに拍車をかけるように「ロシアによるウクライナ侵略」が現状一番の問題です。
ロシア産のエネルギーに頼っていた欧州は、脱却するためにLNGの輸入を急速に始めました。その結果、エネルギー価格が高騰し、LNGを巡る戦略を各国が繰り広げています。
また、世界の石油生産・輸出の中心地であるパレスチナとイスラエル間の衝突に関しても、石油・天然ガス情勢に与える影響は大きく、原油価格は不安定となっています。
このような状況の中、今後はエネルギー業界は再生可能エネルギーや水素エネルギーなどより効率的かつ経済的なエネルギー供給へのシフトがより一層求められていくでしょう。
これらの動向は、エネルギー業界の雇用機会やビジネスモデルにも大きな影響を与えるため、各企業のクリーンエネルギーへの取り組みについても把握することが大切です。
7.エネルギー業界はホワイト?「エネルギー業界 やめとけ」は本当か
エネルギー業界は、石油・電力・ガスなどのインフラを提供し、社会に貢献するだけでなく、安定した収入や福利厚生などの魅力があります。
しかし、一方で、「エネルギー業界 やめとけ」というネガティブな意見もネット上には見られます。
では、エネルギー業界は本当にホワイトなのでしょうか?
エネルギー業界の働き方や職場環境について、皆さんに知っておいてほしいメリットとデメリットを紹介します。
エネルギー業界のメリット
①参入障壁が高い
参入障壁が高いということは、競合他社が少なく、市場のシェアを維持しやすいということです。
エネルギー業界では、エネルギーの生産や供給には莫大な設備投資や技術力が必要です。そのため、新規参入する企業はほとんどありません。
また、エネルギーは海外から安く輸入することもできません。これらのことから、エネルギー業界は安定した収益を得られる業界と言えます。
②ライフラインだから景気に左右されない
ライフラインだから景気に左右されないということは、需要が安定しているということです。
エネルギーは、生活や産業に欠かせないインフラです。景気が悪くなっても、エネルギーの使用量は大きく変わりません。
そのため、エネルギー業界は不景気になっても、売上や利益が大きく減ることはありません。
③顧客の囲い込みができている
現状、電気・ガスはほぼ独占状態で、各地域に配電網やガス管などのインフラが整備されており、それらを利用することでエネルギーを供給しています。
そのため、顧客はエネルギー会社を自由に選ぶことができません。近年は電力の自由化が進んでいますが、実際には新電力はインフラを借りているだけで、電力会社の影響力は依然として強いです。
これらのことから、エネルギー業界は顧客の流出を心配する必要がない業界と言えます。
エネルギー業界のデメリット
①災害や事故に対応しなければならない
エネルギー業界では、地震や台風などの自然災害や、火災や爆発などの人災によって、エネルギーの供給が停止したり、施設が損傷したりすることがあります。
こうした不測の事態が起きた場合に、エネルギー業界の従業員は、迅速に復旧作業や安全対策を行う必要があります。
エネルギー業界は、人々のインフラを支える尊い職業ですが、それゆえ社会的な責任やプレッシャーに押し潰されてしまわないように、自分のメンタルを鍛えることが必要です。
②転勤が多い
エネルギーの生産や供給には、全国各地にある施設や拠点が関わっていますので、エネルギー業界の従業員は、業務の都合で転勤することがあります。
特に、現場職は地方や離島などに赴任する可能性も考えなくてはなりません。
こうした理由から、ワークライフバランスを重視する人にとっては「やめとけ」という人もいるかもしれませんが、エネルギー業界の企業には、残業の少ない企業やフレックスタイム制度を導入している企業もありますので、自分に合った企業を探すことが大切です。
エネルギー業界が求める人物像・向いてる人
エネルギー業界について詳しく説明してきましたが、結局はどんな人物が向いているのか、どのような人を求めているのか、といったことを最後に説明します。
縁の下の力持ち、誰かを支えたい人
電気・ガス・石油といったエネルギーは、あたりまえの存在となっています。見えないところから人々を支えたい、継続してサポートしたいと考えている人におすすめです。
家に帰れば電気がつくのは当たり前なので、「電気を届けてくれてありがとう」と感謝されることも少ないです。大々的に感謝されることは少なくても、陰ながら継続してサポートできる人に向いています。
柔軟な思考と新しいことに挑戦したい人
現在もエネルギー不足が懸念されていることもあり、新エネルギーを発展させる力を世界中が求めています。今まで活用されてこなかったものが、新エネルギーとして活用できるようになれば、エネルギー業界に改革がもたらされます。
常に新しいことに挑戦する意欲があり、柔軟に物事を考える力がある人がおすすめです。
コミュニケーション力と交渉力を持った人
エネルギー業界は、電力・ガス小売自由化により、市場競争が激化しています。
そのため、自社のサービスやプランを顧客にわかりやすく説明し、契約に結びつけることが重要です。
また、エネルギーの供給元や協力企業との関係を良好に保つことも必要です。
コミュニケーション力や交渉力を持ち、人との関係を築ける人がおすすめです。
本記事を通して、エネルギー業界についての知見を増やし、自分にとってふさわしい業界であるのかどうか判断する参考にしてください。