新卒の平均年収ってどれくらい?年収に関する気になるウワサ
2023年4月28日更新
はじめに
就活を進める中で、やはり気になるのは企業ごとの平均年収ではないでしょうか。
中でも、新卒時の平均年収は生活に直結するため、気になる人が多いのではないでしょうか。
「そもそも新卒だとどれくらい貰えるのが普通なんだろう?」
「入社前に確認した方が良いことってあるのかな?」
「どこの企業も同じくらいじゃないの?」
実は新卒の平均年収は、様々な要素によって金額が左右されています。
本記事では、新卒の平均年収をご紹介しながら、平均年収を考える上で注意するべきポイントや、先輩などから聞いて気になっている人が多いであろう「年収に関するウワサ」を詳しくご紹介します。
現在就活中の人はもちろん、今後就活を控えている人も、ぜひ最後までお読みくださいね。
新卒の平均年収は250万円~300万円程度
新卒の平均年収は、250万円〜300万円程度と言われています。
厚生労働省が公開している、「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況(学歴別)」によると、大学卒の平均月収は22.5万円、大学院卒の平均月収は25.3万円となっています。(参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/03.pdf)
これらの金額が12か月分あるとすると、大学卒でおよそ275万円、大学院卒でおよそ295万円となります。後述する地域差などを考慮しても、新卒の平均年収は250万円~300万円程度であることが分かります。
職種によって変わるって本当?
これまで日本国内の採用市場は、いわゆる「新卒一括採用」と呼ばれる採用方法が主流でした。就活生は企業が指定したタイミングで就活を開始し、総合職で入社したのち、適性に合わせて配属先が決定されていくという方法です。
しかし近年では、欧米諸国ではすでに主流だった「ジョブ型採用」と呼ばれる、職種別採用を新卒でも取り入れる企業が増えています。その結果、就活生が選考時点で希望職種を選び、入社後もその職種に従事するという仕組みを運用する企業が多くなっているのです。
ただし、「ポテンシャル採用」と呼ばれる新卒採用では、ビジネス観点で自分に備わった能力を分かっていない学生は少なくありません。したがって、学生時代にすでに専門的な研究を行ってきた人などが対象になるケースが該当することが多いです。
主に理系学生などを対象に、「研究職」や「R&D関連職」などを専門職として配置してる場合が多く、その場合文系学生より初任給が高く設定されている、すなわち年収も高くなるというケースが増えています。
地域によって給与が変わるって本当?
初任給や平均年収は、地域に影響を受けやすいです。
同じ日本国内であっても物価や地価は異なるため、東京・大阪をはじめとする政令指定都市で勤務する場合、給与が高くなる傾向があります。
新卒に限らず、平均賃金を全国別で見ると、全国平均の賃金を超えている都道府県は6都府県(東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県)に留まり、それ以外の県では平均賃金を下回っているという計算になります。
(参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/10.pdf)
同じ企業に新卒で入社しても、勤務地が異なれば給与にも差があることがあり、注意が必要です。
年収を構成する要素
では、ここから「年収」をひも解いていきましょう。
まずは年収を構成する要素からご紹介します。
基本給
年収を構成する要素1つ目は、基本給です。
基本給とは、毎月貰うお給料を指します。
名称通りあくまでも「基本の給料」なので、残業代や各種手当は含まれません。
賞与(ボーナス)支給がある企業の場合は、基本給を基準にボーナスが計算されます。
時間外労働手当(残業代)
年収には、時間外労働手当、いわゆる残業代も含まれます。
残業に該当するのは、法定労働時間で定められた原則1日8時間、1週40時間を超えて行われた業務時間です。
残業代には大きく、2つの考え方があります。
1つ目の考え方は、実際に残業した時間分がそのまま残業代として加算される方法です。
「全ての企業がこの方法じゃないの?」と思った方がいるかもしれませんが、実は実費精算ではないパターンもあります。
2つ目の考え方は、「見込み残業」という形で、基本給に一定額の残業代が常に付与されている場合です。「きっとこれくらいの時間は残業するでしょう」という、20~30時間分が支払い時に付与されます。
この場合、実際の残業時間が見込み残業時間に満たない場合も、見込み残業時間分は給与として受け取ることが可能です。
賞与(ボーナス)
賞与がある企業の場合、賞与も年収に含まれます。
ごくまれに「年収は賞与が含まれていない額」と勘違いしている人がいますが、そうではないため注意が必要です。
一般的には夏と冬の支給ですが、企業の決算月によっては必ずしもそのタイミングになるとは限りません。
新卒が平均年収を計算する際の注意点
では、新卒が平均年収を計算する際にはどのような点に注意するべきなのでしょうか。
新卒が見落としがちな注意点をご紹介します。
手取り額は改めて計算が必要
企業が平均年収として提示している金額は、あくまでも額面の金額です。
すなわち税金などが引かれる前の金額であり、額面通りの金額が貰えるわけではないという点は注意が必要です。
実際に貰える手取り金額の概算を出したい場合には、自分で計算する必要があります。
ただし、給与から引かれる税金は金額や住んでいる場所によっても異なるため、正確な金額を算出する難易度は非常に高いです。
したがって、計算できたとしてもあくまで「概算金額」の範囲に留まるということを正しく理解しておきましょう。
夏のボーナスは貰えないことが多い
企業の募集要項を見ていると、「賞与(年2回)」などの表記をよく見かけるのではないでしょうか。この表記をそのまま受け取り、入社直後の6月時点でボーナスが貰える計算をするのは危険です。
企業の給与計算上の仕組みによる部分があるため一概には言えませんが、一般的にボーナスが6月と12月に支給される企業の場合、10月~3月の評価によって6月のボーナス額が、4月~9月の評価によって12月のボーナス額が決まるのが一般的です。
新卒社員は、6月のボーナスの評価対象月である期間に在籍していないため、入社直後の6月はボーナスが支払われないケースがほとんどです。
企業全体の業績が好調で、ボーナス以外の手当が出る場合には何らかの金額が支給される可能性がありますが、基本的にはないものだと思っておくのが良いでしょう。
年俸制は要注意
給与の支払い方法には、大きく2種類あります。
ひとつはここまで説明してきたような「月給制」、もう一つは「年俸制」です。
月給制は基本給にボーナスが加算されたものが給与となるため、年度初めのタイミングでは最終的な年収がいくらになるかは分かりません。一方で年俸制は、年度初めのタイミングで年収を決めてしまい、その金額を12か月間かけて支給していきます。したがって、ボーナスという考え方がないのです。
年収にしてみると、支払い方法によって大きな差はないものの、月収で考えると大きな差が生まれることはしばしばあります。
給与の支払い方法を勘違いしていると、もともと無くて当然のボーナスを当てにして生活してしまう可能性があるため、十分な注意が必要です。
新卒の年収に関する気になるウワサ
では、ここから新卒の年収に関する気になるウワサをご紹介しましょう。
入社時に聞いていた年収と違うことがあるって本当?
入社時に聞いていた年収と、実際の年収が異なることは可能性としてはあるかもしれません。
考えられる理由は以下です。
・会社の業績が下がりボーナスが大きく減った
・入社時に想定していた業務ができないと企業が判断し、給与を下げた
このように、会社や働く自分自身に何か問題がある場合は、入社時に聞いていた年収より下がってしまう可能性があります。
ただし、企業は最初の雇用契約時に月収や年収について書面に記載しているはずなので、明らかに金額が異なる場合は、契約書を参考に問い合わせをしてみましょう。
ボーナスがない企業があるって本当?
ボーナスは、全ての企業に当たり前にあるものではありません。
先にご紹介した給料の支払い方法の違いのように、そもそも「ボーナス」という概念がない場合があります。
また、月給制であっても、ボーナスは必ずしもあるものではありません。
企業側に「必ずボーナスを出さなくてはならない」という規定はないため、入社時にきちんと確認することが必要です。
ボーナスがある企業の場合、20代の年間平均支給額は70.4万円です。夏のボーナスは33.5万円、冬のボーナスは31.8万円ほどで、年収へのインパクトが大きいことが分かります。
(参照:転職サービスdoda https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000287.000016455.html)
年俸制である場合を除き、ボーナスのあり・なしは年収に大きく関わることから、就活時の企業選びは慎重に行いましょう。
1年目の年収は高いって聞くけどなぜ?
「1年目の年収は高い」という噂を聞いたことはありませんか?
なぜそのようなことが起こるかというと、1年目の年収からは住民税が引かれていないためです。
住民税は、前年度の所得にかかる税金です。
新卒社員には前年度の所得という概念がないことから、引かれる税金がありません。
そのため、「1年目の年収は高い」と表現されることがあるのです。
言い換えれば、2年目からは引かれる税金が増えるということです。
2年目に税金によって年収が下がる可能性があることを理解し、1年目の給与は大切に使いましょう。
よくある質問
では最後に、よくある質問にお答えします。
新卒の平均年収が高い企業に入社するにはどうしたら良い?
新卒の「平均年収が高い企業」は、一概にこの企業というのが難しいという現状があります。
かつては商社やマスコミなどが年収が高い企業とされていましたが、近年はIT系の専門職を中心に初任給が高騰しており、業界別に年収が高い業界を割り出すのは至難の業です。
ただし、商社やマスコミは比較的年収が高いことに変わりはなく、コンサルや外資系企業も安定して年収は高いと言えるでしょう。
しかし、一般的に新卒の平均年収は高くなく、企業によって大きな差があります。
新卒の平均年収ランキング1位であるレイスバックオフィス株式会社、2位であるGMOインターネット株式会社の年収はそれぞれ700万円を超えますが、3位の地主株式会社は600万円と、100万円もの差があります。
また、4位以下は400万円台と、新卒で高い年収を得る難しさが分かるのではないでしょうか。
(参照:マイナビニュースhttps://news.mynavi.jp/article/20221222-2543263/)
なお、新卒の平均年収が高い企業にこだわることも大切ですが、年収は年次を重ねることに上がっていくものです。新卒1年目だけの年収にこだわりすぎず、2年目・3年目を見据えて冷静に判断することをおすすめします。
新卒で年収が高いと得?
新卒で年収が高いと、周囲と比較して得をしているような気分になるかもしれません。
しかし、新卒で年収が高い企業は慎重に検討する必要があります。
例えば、専門職採用を中心に行っており、すでに業務に該当する範囲に知見がある人を採用しているため、給与が高いというパターンがあります。
このパターンの場合、スキルに見合った給料が設定されていると言えるでしょう。
しかし、企業によっては圧倒的な成果主義を行っており、「高い年収は高い目標を達成したら初めて貰えるものだった」などというパターンがある可能性があります。
また、初任給は高いものの、そのあと年次を重ねても給料が上がっていきにくい仕組みになっているという可能性もあります。
1年目から平均年収が高く設定されている場合、なぜそのような設定になっているのか、背景をきちんと確認しておくのが安心です。
したがって新卒で平均年収が高いことが得かどうかは、企業によって異なると言えるでしょう。
新卒の平均年収だけに惑わされず仕事に励もう!
いかがでしたか?
本記事では、新卒の平均年収をご紹介しながら、平均年収を考える上で注意するべきポイントや、先輩などから聞いて気になっている人が多いであろう「年収に関するウワサ」を詳しくご紹介してきました。
生活に直結するため、新卒時の年収は非常に大切です。
ただ、長く続く社会人人生を考えると、新卒時の平均年収と自分の年収を比較して、一喜一憂しているようでは身がもちません。
もちろん周囲との比較は大切ですが、職種や地域が異なれば平均年収は変わってきます。そのため、気にしすぎないのが身のためです。
平均年収はあくまでも参考数字です。
数字に惑わされず、自分が最大限活躍できそうな環境を見つけることに努め、実力で年収を伸ばしていく道をぜひ見つけてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。