博士課程は就職難?博士課程での就職についての特徴とは?

博士課程は就職難?博士課程での就職についての特徴とは?

2023年4月27日更新

はじめに

「博士課程は就活が難しい…」ということを聞いたことがありますか?

Web上で、「博士号」「就活」をキーワード検索すると様々な情報や記事を目にします。

本当に就活ができないとなれば、博士課程に進むことに迷ってしまいます。

また、既に博士課程に入っている方も就活に不安を感じてしまいます。

そこで、今回は、博士課程における就活をテーマに、なぜ就活が難しいと言われるのか、就活を成功させるためには、どのようなポイントをおさえていけばいいかをご紹介します。

博士課程で学んだことを活かし就活を成功させましょう。

1:博士課程の進路

博士課程と聞くと「難しい」「専門的」というイメージが定着しています。

では、博士課程から進む進路には、どのようなモノがあるのでしょうか。

修士課程卒業後に進む進路は主に3つに分類されます。

進路①:研究職

最も多いのが「研究職」です。

国や企業に在籍し、博士課程で学んだ知識を活かし研究を続ける道です。

多くの方が、大学で学んだことを活かし、より深い研究をしたいと考えるため人気があります。

ただし、受け入れ枠は狭き門となっているのも事実です。

そのため、企業の特性の分析や就活後のビジョンを明確に持って挑む必要があります。

進路②:大学研究室

次に希望する方が多いのが大学の研究室に残る道です。

博士課程で学んだ環境のまま研究に没頭できる道ですが、研究職よりも狭き門であるのも事実です。

学んでいる中で、より完成度の高い論文の提出や教授などへのアピールも必要だと考えておきましょう。

進路③:一般企業

そして、やはり多くの方が就職するのが一般企業です。

実際に、研究だけではなく広く興味のある分野にチャレンジをする方が多くなります。

一般企業については、研究した分野での業務を行えない場合もあり、企業選びに難航する方も多い中、企業風土や企業ポリシーを基に共感できるかどうか等で判断をしています。

2:博士課程が就職難と言われる理由

次に、博士課程を卒業した後の就職が難しいと言われる理由について、ポイント別に見ていきましょう。

多くのサイトで、博士号の就活が難航する理由として挙げられている理由も、ここでご紹介する4つポイントに整理することが出来ます。

2-1:卒業までの期間が長い

就職難と言われる大きな理由の一つが卒業するまでの年数が長いことが挙げられます。

区分入学から卒業までの年数卒業年齢
学士過程4年22歳
修士課程4年(学士)+2年=6年24歳
博士課程4年(学士)+2年(修士)+3年=9年27歳

※入学から卒業までのブランク(浪人など)は“無”として計算。

年数が長いために生じる企業側の懸念事項としては、以下のようなものがあります。

懸念①|入社年齢に関する課題

この図の通り、卒業までにかかる年数が長くなるということは、卒業年齢も高くなる計算になります。

このため、企業としては受け入れる年齢が高くなるため通常の新卒を採用するのとは異なる点が出てきます。

いわゆる同期との年齢差、そして入社後数年を経過した中堅社員と同等の年齢になる可能性があります。

そのため、配属先で生じる周囲との調和や年齢、経験のバランスが懸案となります。

専門性が高い知識を元に業務を行ってもらえるメリットがある反面、業務を覚えるまでの期間を考慮した際の育成期間も課題と考えられるケースもあります。

懸念②|給与面での課題

一般的な就活向けの求人情報に記載されている初任給の設定とは異なる設定が必要となり、通常よりも高額になる初任給が必要になることになります。

これは、一般的に勤務年数により基本給の昇給が想定される企業が多く、入社時の年齢を考慮した際に、どのテーブルに属させるかの検討が必要になるためです。

懸念③|配属先決定が難しい

専門性を高めている博士課程卒業者をどこの部署に配属するといいかを課題として挙げる企業も居ます。

配属先での年齢面でのバランス、専門性を活かすことができるかどうかなどが主な理由です。

企業の多くは各部署の人員構成を年齢や経験値で決めています。

新卒として入社した際の年齢が学士よりも5歳上となることで年齢面でのバランスを考慮する必要があると考えられるためです。

配属先にもよりますが、年下の先輩に慣れることができるかという就活生側での課題もあるとされ安易に年齢だけで判断はできない人間関係の構築面で考慮が必要ではないかと考えられています。

2-2:求人数の低下

就職難の理由として求人数の母数が学士よりも少ないという面もあります。

環境問題など多くに企業が取り組んでいるテーマがあっても、それを専門的に分析し企業の事業としているケースは少なくなります。

研究分野以外の業種や一般企業を選択した場合は、問題ありませんが専門性を追求した求人数が少ないことがあります。

また、 専門性がある職種については、欠員が出にくいとも言われており、就活の際に希望する企業の求人が出ていない場合もあります。

博士課程の卒業生を受け入れた実績のある企業では、こうした懸念についても対応できる仕組み作りができていますが、多くの企業では仕組み作りが未整備な場合もあり全ての仕組みを万全に構築できているわけではありません。

また、博士課程において専門的な知識を習得した人を採用する場合には、その分野に特化した職種での募集を行っているのが一般的です。

そのため、博士課程で学んだ知識を活かせることが可能ですが、専門性が高くなればなるほど求人数が少なくなる傾向もあり、安易に考えるのは危険です。

2-3:博士号を取得するメリット

博士号を取得するメリットについても見ていきましょう。

博士号を取得するメリットは、

①専門分野を深堀できる。研究ができる。

②研究員などの専門職としての道が開かれる。

等、専門分野を深めていきたい人に最適な選択肢となります。

特に博士課程では、論文作成を中心に進めていけるため、分野に特化した学びを得ることが可能です。

必然的に、その分野での研究者とのやり取り、書物の閲覧を通して視野を広く持ち新しい気付きを得ることも可能です。

2-4:博士号を取得するデメリット

博士号を取得するデメリットは

①在籍期間が長くなる

②学費等の経済的負担が増える

等、在籍期間の延長に伴う時間的要素となります。

そのため、できるだけ早く働き始めたいという方には不向きな選択肢となります。

3:博士号取得者の就職率

今度は視点を変え数字で就活の状況を見ていきましょう。

就職率の差は、以下の通りです。

区分就職率
博士課程68.4%
修士課程75.8%
学士74.2%

引用:文部科学省「令和3年度学校基本調査(確定値)の公表について

このように、学士と修士課程では大きな差が無いなか、博士課程の就職率は7%ほど低くなります。

こうした数字も博士課程における就活が難しいと言われる理由の一つです。

ただし、杓子過程の就職率は年々下がっている訳ではなく、ある一定の割合を維持していることも文部科学省「令和3年度学校基本調査(確定値)の公表について」から読み取ることができます。

4:博士課程における就活のポイント

では、実際の就活に困らないための方法とはどのようなモノがあるのでしょうか。

ここでは、博士課程における就活のポイントをいくつかに分けて説明していきます。

博士課程における就活のポイントをおさえておくことで、博士課程であっても後悔しない就活を進めることができます。

4-1:企業選定のポイント

最も重要なのが、企業選定です。

企業選定においては、

①自分が専攻している分野の事業に取り組んでいるのか

②自分が専攻している分野への想いに共感できるのか

③求人募集がされているのか

という3つのポイントがあります。

そもそも、研究している分野に取り組んでいなければ募集がされることが少ないというのが実情です。

また、その分野を今後発展させていきたいなどの想いに共感できなければ、就職後のやりがいを感じることにもつながりません。

ただし、現在では新しい分野にチャレンジする企業も増えてきています。

現在、事業化をしていない分野にチャレンジするためのスタートメンバーの募集があるかどうかも要チェックの観点です。

また、求人募集の有無も忘れてはいけません。

研究分野での募集が無くても、企業説明会などの場を通して企業を知ることやオープンポジションの求人を知ることがあります。

また、研究の場を通して企業の取り組みを知ることや実際の担当者との交流が始まることもあります。

ただし、就活に掛けられる時間には限界があります。

そのため、様々な場を通し、企業情報の収集などをしておくことも意識しておきましょう。

4-2:就活の活動ポイント

続いて、実際の活動におけるポイントを整理していきます。

ここで、ご紹介する内容は博士課程だけではなく学士、修士課程でも有効な内容です。

ぜひ、参考にしましょう。

①OBやOGのパイプを大切にする

学生時代で構築できる先輩達との関係は、就活でも大きな武器になります。

特に博士課程では同じ分野について語り合うことができる先輩が多く、白熱した議論を経験することも少なくありません。

就活においては、こうしたOBやOGとのパイプを活かすことで企業の情報を収集することが可能になります。

また、企業の雰囲気以外にも企業の目指す姿や求められている人物像などをリアルな情報として聞くことができ共感できるか等の判断材料にすることができます。

OBやOGからの情報は企業選定だけではなくエントリーシートの作成や面接の際にも参考にできることが多く、就職後の相談相手になって頂ける可能性もあります。

学生時代に構築する人間関係は、長い期間、自分にとって有意義なモノになると理解し、関係構築を行うことが重要です。

②支援機関を最大限に活用する

実際の就活では、支援を受けられる機関を最大限に活用することも必要です。

具体的には、以下の4つです。

・教授からの紹介

教授は、研究を通して様々な企業とのパイプを構築しています。

就活を行う際には、自分にあった企業があるのか、どの様な活動をしていけばよいかを相談していきましょう。

教授からの推薦を受けられる場合もあり、就活を成功させる上で最も大きな影響力があると言っても過言ではありません。

・大学のキャリアセンター

就活を行う際には、キャリアセンターの活用も忘れてはいけません。

キャリアセンターが持っている情報、相談の場を通して企業を教えてもらう、就活対策セミナーなどを積極的に活用することが必要です。

企業の多くは、キャリアセンターとのパイプ作りを時間を掛けて行っています。

さまざまな情報が集約されているキャリアセンターを活用することは、企業選定や就活対策を行う上で有効だと考えておきましょう。

・企業のサイトへ直接応募

希望する企業に求人がない場合にも、直接応募をするという手段もあります。

企業が開催しているセミナーへの参加、HPなどからの質問などの手法を行い企業に直接アプローチをする人は、決して少なくありません。

その結果、採用されるとは限りませんが希望する企業がある場合には、自分から積極的にアプーチを行うことも有効な手段の1つだと理解しておくことも必要です。

・求人サイト

リクルートやマイナビが展開している新卒用求人サイトの活用も就活では必須の項目になります。

大手企業は特に、こうしたサイトを利用し広く求人募集を行っています。

企業の特徴や選考プロセス、企業説明会の案内などを掲載しているため、エントリーを行い情報収集等を行うようにしましょう。

・就職エージェント

新卒向けの就職エージェントを利用する方法もあります。

自社にマッチした人材を募集するため就職エージェントを利用する企業は年々増えています。

そのため、掲載企業も増えているため、求人サイトと同時期に登録を行い、より多くの情報が収集できるようにしておくことも有効な手段です。

③企業訪問を積極的に行う

企業説明会などの場には積極的に参加をしていきましょう。

実際に訪問することで、写真等だけでは分からない雰囲気などを知ることができます。

企業訪問をしたら絶対に応募しなければいけないという決まりはありません。

訪問の場を通して、自分がここで働いている姿を想像できるかなどを見極めることが重要です。

④自己分析の深堀を行う

自分は、何がしたいのか。自分は何ができるのか。

なぜ、この分野で研究をしてきたいのか。

自己分析を深堀することも就活には有効です。

企業とのアンマッチを防ぐためには、自分自身を知ることが必要であり不可欠な要素でもあると理解しておきましょう。

⑤活動時期を早める

年々就活の開始時期が始まっていると言われています。

大学3年生から企業訪問を受け入れている企業もありますが、2年生からの受け入れをしている企業などもあり、企業としても早くに学生を囲い込みたいと考えています。

博士課程においても、研究を進める中で企業分析や情報収集は早くから着手することで企業へのエントリーを早めるなどの工夫が必要です。

また、研究の場を通してやり取りを行う企業についても常に情報収集することで、業界の動向や企業が求める人物像を分析する様に意識しておきましょう。

5:まとめ

今回は、博士課程における就活をテーマに本当に就活が難しいかをご紹介しています。

博士課程における就活の課題は、研究テーマを活かした専門的な企業が少なくなること、そして卒業までの年数が長いということです。

しかし、就活に成功している事例も数多くあります。

如何に効果的に就活を行うかは、自分次第です。

効果的な就活を行うための工夫をすることで、自分が描く未来に向けて行動していきましょう。

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