【例文あり】自己PRで自分の長所を「素直さ」としてアピール! 元人事が説明する人事を唸らせる3つの極意とは?
2024年2月15日更新
はじめに
自分の長所などを面接時やエントリーシート(ES)で、アピールする「自己PR」。これに頭を悩ませている就活生も多いでしょう。
自分の長所とは自分ではなかなか把握しづらいもので、どのような点を長所として挙げれば、自慢になりすぎず、相手に良い印象に与えるのだろうか・・・
そんな頭を悩ませている就活生の皆さんに、これはあくまで一つの提案なのですが「素直さ」を自分の長所としてPRしてみては、どうでしょうか。「素直さ」は比較的誰にでも受け入れられやすく、さらにバランスよく良い印象を与えます。
しかし、そうは言ってみても「素直さって、企業から評価されるの?」、「素直さをアピールするには、どうしたらいいの?」、「素直さを魅力的に伝える方法って、何かありますか?」など、何かと疑問や不安が募りますよね。
結論から言いますと人事視点では「素直さ」をアピールされた場合、「素直さは必要だが、素直さだけでは物足りない」といった感覚になります。
そこで、本記事では企業側が求める「素直さ」と、「素直さ」から受けるプラス面とマイナス面の印象を元人事の経験から説明していきます。
加えて、素直さをアピールする時の極意を3つ紹介したうえで、実際に「型」と「例文」を交えながら、実際に1人で自己PR文を作成できるように構成しています。
一読後には楽々と「素直さ」をウリにできる自己PR文を自分で作ることが可能となりますので、最後まで一気にお読みくださいね。
企業が求める「素直さ」とは
企業が求める素直さとは「教えられたことを素直に受け止めて(=先入観をはさまずに)行動に移せる純粋な心」です。
特に、新入社員にはその素直さが求められます。
新入社員は上司や年長者から教わる初心者の立場からスタートします。
やはり、右も左もわからない新人とキャリア何十年のベテランでは、知識や経験に雲泥の差がありますし、もらっている給料も違うので、当然そのような上下関係が生まれます。
もちろん、決裁権限や職務規定といった社内ルールでも、そのような指示命令系統が整備されています。
そんな環境下で上司や上位者の指示や教えることに対して、新入社員からイチイチ反抗したり、意にそぐわないことを無視されたら、仕事自体が機能しなくなりますよね。
また、感情面では「新入社員のくせに…生意気な…」と言ったそしりを免れません。
このため、会社としては可能な限り、真っ白なキャンパスを持っている新人に入社してほしいのです。
そして、会社の考え方や価値観、文化、仕事の進め方に沿った独自色に染めたいというのが本音です。
武道や学芸の世界でも「守破離」という言葉があります。この「守」は、師匠や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師匠や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。そして、「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階のことです。
この考え方を仕事に置き換えると、特に新人の頃は守破離の中の「守」が求められます。
つまり、「師匠や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身に付ける段階」です。
独自の発想や自分が編み出す必殺技は、その後の話です。
新卒一括採用が主流の日本企業には、この「守破離」の考え方が根強く残っていますね。
ただ、新人の頃はいいですが、職位やキャリアが上がって中堅以上になってくると、「素直
さ」だけでは不十分です。
それはなぜかというと、もう上位者がアレコレ指示している段階ではないですし、後輩が入ってきたら今度はその新人が、自分が教える立場になってしまうからです。
その頃になれば、餌をもらうひな鳥みたいに受動的に口を開けていても餌をもらえません。
今度は自分で主体的に餌を取りに行く行動力が必要になってきます。
要は、「素直さ」は新人の頃はウリになりますが、年数がたつとだんだんとその価値が失われるわけです。
そのために、上位者の介助度を徐々に少なくしていって、主体的に動ける範囲を広げたり、レベルを上げていく必要があります。
そこで、その将来性を匂わせるために、単なる「素直さ」だけでなく、自分の中に確固たる軸もあって、能動的な側面もあることを併せて見せていくことが必要だということですね。
それでは実際に、人事が学生の自己PRで「素直さ」と聞いた場合に、どんな印象を受けるのかを次のセクションで解説していきますね。
素直さから受け取れる「プラス」と「マイナス」の印象
「長所と短所はコインの裏表」と例えられるように、物事にはすべて「陰」と「陽」があります。
当然、「素直さ」から受け取れる第一印象にもプラスの部分とマイナスの部分があるので、その両面を紹介しておきます。
【プラスの印象】
・人の意見を純粋に受け入れられる ・謙虚である ・成長スピードが早い ・自分の非を認められる ・上位者に可愛がられる ・人間関係がスムーズに行く |
【マイナスの印象】
・受け身で主体性に欠ける ・自分の頭で考えない ・すぐに他人の発言を鵜呑みしてしまう ・たくさんのアドバイスや意見を取り入れすぎて困惑する ・他人を信じやすい ・思っていることが顔に出やすい ・周りに流されやすい ・優柔不断である |
ここで大切なことは、「素直さ」に対して相手が受ける印象はプラスとマイナスの両面があると認識することです。
そのうえで、プラスの部分を前面に押し出しながらも、マイナスの部分はカバー可能、補完できることを植え付けることが大事です。
その具体的なテクニックは3つありますので、次のセクションで公開しますね。
素直さをアピールする極意3つ
それでは「素直さ」をアピールするときに押さえておいて欲しい極意を3つ紹介します。
極意は大きく下記の3つです。
①素直さを言い換えて表現する
➁流されやすい素直さでないことを暗示する
➂主体的に動いた場面のエピソードを盛り込む
順番に説明を加えていきましょう。
①素直さを言い換えて表現する
1つ目の極意は、自己PRで単純に「素直さ」と言わないことです。
理由は2つあって、
1つ目は「素直さ」という言葉自体が抽象度の高い言葉で、先ほども説明したとおり、いかようにも解釈できることと、企業によっては返ってマイナス的な印象に受け取られる危険性を孕んでいるからです。
特に、その企業を取り巻く環境スピードが早く、入社してすぐに即戦力を求められるような企業では「素直さ」はウリになるどころか、マイナスに映ります。
2つ目の理由は、「素直さ」という強みは、すでに使い古された「キーワード」だからです。
鮮度が落ちていますので、「私の強みは素直さです」と結論づけられても、
「またかぁ…」
「もうちょっと捻ってほしいねぇ」
「普通、平凡」
といった受け止められ方をします。
したがって、同じ素直さを使うにしても、もっと具体的に、もっと独自性のある「素直さ」に変換してやる必要があります。
たとえば、
・異質な意見を柔軟に受け入れられる
・自分の非を認め、すぐに改善できる
・人の意見を謙虚に学び、成長の原動力にできる
・スポンジのような吸収力がある
・公明正大で裏表がない
・自分のミスを認め、速攻でリカバリーできる
・全員を師と捉え、良いところを学んで吸収できる
・立場の異なる人と良好な関係を築くのが得意
・どんな環境下でも柔軟に対応できる
など、少し言い回しを工夫するだけで、言葉に動きが出るのでビジュアルでイメージできると同時に、オリジナル性という味も出ますので興味が湧きますよね。
➁流されやすい素直さでないことを暗示する
2つ目の極意としては、「素直さ」の弱点である「優柔不断」や「流されやすい」といった受動的な側面を振り払っておく必要があります。
そのための秘策としては、その素直さゆえに失敗があったけども、考えを改め、今は改善した姿を見せるという技があります。
面接官としても、その話を聞けば、
「それなら大丈夫」
「本人も気付いて、反省して、改善できているならOKだね」
といったように穿った目から一転して、安心に変わるわけです。
あるいは、失敗体験を見せずとも、インダイレクトに伝える方法もありますので、次に紹介します。
➂主体的に動いた場面のエピソードを盛り込む
受動的な印象を払拭するためのもう1つの方法は、自分の軸で考えて主体的に動いた場面をエピソードの中に挿入するテクニックです。
エピソードの中に主体的なシーンを入れるだけで、単なる受動的な素直さじゃなくて、主体的に自分で判断して動ける面も持ち合わせていると類推させることが可能です。
「素直さ」をウリにして自己PRしたい人は、単なる受け身の姿勢ではなく、自発性もあることを主体的なエピソードを通じて伝えるようにしましょう。
素直さアピールの刺さる「型」と「例文」
それでは自己PRで面接官の心に刺さる「型」と「例文」を公開していきます。
まずは型を見ていきましょう。
型
自己PRの刺さる型は以下の3段構成です。
①結論:「私の強みは~です」
➁具体性:「具体的には~で強みが発揮されました」
➂ベネフィット:「御社ではこの強みを活かして~で貢献します」
この3段論法でアピールすると、収まりが良く、論理的かつ効率的に相手の脳にインプットできます。
オプションとして、➁の具体性と➂のベネフィットの間に、「反省点→改善点」や「学び」を入れてアレンジするのもアリです。
「型」だけだとイメージが湧かないと思いますので、例文を見ながら解説していきましょう。
例文
今回は例文を2パターン用意します。
1つ目は、素直さと真逆の印象のある「主体性」をインダイレクトに匂わせるパターンです。
2つ目は素直さの弱点を文字通り、素直に反省して、改善していくパターンでストーリーを展開させていきます。
まずは主体性をインダイレクトに匂わせる例文をお見せしますね。
【例文】
私の強みは「対立する意見を統合して昇華させる力」です。 私がキャプテンを務めるソフトボールサークルは、本気で野球に取り組みたい野球経験者派と和気あいあいと緩い野球を楽しみたい派に二分されていました。 野球経験者派からは「もっと練習をハードにすべきだ」という意見が出され、もう一方の派閥からは「サークルなんで、もう少しソフトな練習にすべきだ」とサークル内で分断と軋轢が起きていました。 サークル幹部を集めて意見を出し合いましたが、なかなか妙案を見いだせずに悶々としていました。 2つの派閥をまとめる上位概念を思案していたところ、共通的な目標が欠落していたことに気付きました。 そこで、市のリーグに登録することをサークル幹部に提案し、賛同を経たうえで、 野球経験者と野球未経験者の2チームを市のリーグに登録しました。 すると、公式戦で勝つことの喜びや負けることの悔しさが原動力となり、次第に練習にも活気が出てきました。 今では野球未経験者が積極的に野球経験者に教えを請うなど、チームの活性化にも繋がり、良好なサークルバランスを保っています。 御社ではこの力を駆使し、最初から断念することなく根気よく最適解を導き出し、業容拡大と組織の活性化に努めてまいりたいと考えています。 |
いかがでしょうか?
最初の結論部分では、「素直さ」という言葉をダイレクトに使わず、「対立する意見を統合して昇華させる力」というオリジナルで目を引く言葉で相手の気を惹いています。
加えて、エピソードで具体的にその力が発揮されている成功場面を語っているので、説得力が増していくわけです。
最後は「ベネフィット」で「企業が採用する理由」を見事にアピールできていますね。
次に素直さの弱点を素直に認めて、反省して、改善していくパターンの例文をお見せしますね。
【例文】
私の強みは自分のミスを悔い改め、速攻で改善できるリカバリー力です。 たとえば、私は3年継続している飲食店でバイトリーダーを任されています。 仕事の1つとして、毎月シフト表を組む必要があるのですが、当初はスタッフの希望を聞きすぎてシフト表が組めなくなり、後になって慌てて各スタッフに謝りながら調整するなど多大な工数をかけていました。 これは各人の希望を聞き過ぎた自分が原因だと捉え、翌月より絶対に休みを取りたい希望日には◎、できれば休みを取りたい希望日は〇というように層別して記入させるようにしました。 そのことにより、各人の休みの希望度に濃淡があることが把握できました。 ◎は極力公休にし、〇を調整の余地があるという希望日だというルールを設けることにより、〇のできれば休みを取りたい希望日がバッファーとなり、シフト調整表がスムーズに作成できるようになりました。 この経験値を活かし、御社では一定の軸をもった納得性のあるルールを決めつつ、従業員の満足度を最大化できるような業務運営を目指したいと考えています。 |
いかがでしょうか?
このパターンでは冒頭で素直さで失敗した例を取り上げて、それを改善していく過程を見せることで、短所を長所のように見せる技ですね。
ポイントは「弱みを弱みのままで終わらせない」です。
例文のように必ず反省して、どこが悪いかを考え、改善に繋げる姿を見せることで、学習能力が伝わりますし、同じ過ちを回避できるニュアンスも伝わります。
このように強みの裏側である弱点を一旦見せておいて、それをリカバリーするプロセスをアピールすることができれば、加点要素につながるわけです。
「欠点や弱点を見せてはいけないのかな?」と勘違いしている人は、このようなアプローチ法もあるということを覚えておいてくださいね。
まとめ
以上、自己PRで「素直さ」をアピールする場合の人事の印象や極意を紹介してきました。
ハッキリ言うと、「素直さ」とド直球でアピールしたところで、人事にはまったく響きませんし、反応が薄いです。
このため、記事内でも説明したとおり、あなたなりの変化球を見つけて、今まで見たことのない球で、興味性と具体性、ベネフィットを追加して投げ込むことが肝要です。
今回公開した「型」や「例文」を参考にしながら、あなたのオリジナルな自己PR文が完成することを祈念しています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。