
【元人事が解説】面接で失敗談を聞かれたときの人事ウケする回答とは
2022年12月28日更新
はじめに
面接で、
「あなたの失敗談を教えてください」
と聞かれた場合、どう答えますか?
緊張しているうえに準備してなかった突拍子もない質問を受けると、頭が真っ白になってタジロいでしまいますよね。
でも、いざ準備と言っても、
「面接官の質問の意図は何?」
「失敗談を伝えるとマイナスイメージを持たれそうで不安…」
「失敗談はどう答えたらいいの?」
といった疑問符が次々と出現してきますよね。
そこで本記事では、人事が失敗談を聞くワケや人事受けする失敗談の見つけ方、選び方、伝え方を元人事目線で公開します。
10分後には人事受けする失敗談を堂々と受け答えできるテクニックを入手できますので、最後まで一気にお読みくださいね。
面接官が失敗談を聞くワケ
それでは人事が「失敗談」を聞く理由について、まずは解説していきます。
会社の不文律として、会社員は「会社を守ること」を最優先させます。
これは我々人間に、自分が生きていくために関係のある影響力が強い人や存在をなくしたくない、失いたくないといった強烈な感情により、「自分を守る」「家族を守る」「大切な人を守る」といった防衛本能が備わっているからです。
もちろん、会社は給与という形で自分の生計を保つために、かなり影響力のあるセンシティブな存在です。
なので、最優先に守るべき存在なのです。
そんな守るべき大事な存在に対して、
「致命的なダメージを負わせたくない」
「社員の失敗によるリスクを極力避けたい」
「会社に悪い影響を与える人材を採用したくない」
といった防衛本能より、採用によるリスクをあらかじめ回避する質問を当然投げかけるわけです。
要は失敗談を聞いて、
①どんな失敗をする人物なのか?
➁リカバリー力はあるか?
③学習能力はあるのか?
の3点を知りたいわけですね。
①どんな失敗をする人物なのか?
人間は誰もが失敗します。
失敗しない完璧な人間は、この世には存在しません。
人事も人間にヒューマンエラーは付き物だと当然分かっています。
ただ、失敗といっても「業務上のケアレスミス」から「会社を倒産に追い込むような失敗」までレベル差があります。
なので、どんな失敗をする人物なのかをあらかじめ知っておきたいという意図があります。
➁リカバリー力はあるか?
次に失敗した時にどのような対応を行うのかを知りたいということです。
失敗を失敗のまま放置する行為は当然ダメですが、失敗したときにどう対処するかで人間の本質が見て取れます。
その失敗をどれだけのマイナスに収められたのか、そしてそのダメージを収拾可能なものにしたのかどうかなど、その状況に対する考え方や行動特性を把握したいわけですね。
③学習能力はあるか?
次に、同じ過ちを繰り返さないかをチェックしています。
その失敗から何を学び、どう成長したのか、つまり学習能力があるかどうかをチェックしているわけです。
企業側としても、何の学びもせずに、同じ過ちばかりを繰り返す社員を抱えておくのはリスクが高すぎますからね。
面接で使える失敗談の見つけ方3つ
なかには自分の失敗談が見つからない、見つけ方がわからないといった人もいると思いますので、発見の仕方を3つ紹介していきましょう。
①モチベーショングラフで発見する
モチベーションが著しく上昇した、あるいはその逆で極端に下降した場面の中に失敗談が内在しているケースが多いです。
モチベーションが著しく上昇する場合は、何か努力してスゴイ結果を出したとか、何か長年欲しかったものをようやく手に入れたなどの過程をよく思い出してください。
成功や成果に辿り着くまでに、何かの挫折や心が折れそうになる場面もあったはずです。
その感情が振れた過程を思い出すのが一手です。
もちろん、感情が極端に下降したケースでは失敗を含んでいるケースが多分にありますよね。
このようにモチベーションの起伏があったところに失敗が転がっている可能性が高く、「モチベーショングラフ」というツールを使うと失敗談を発見しやすいです。
モチベーショングラフの作り方は下記のとおりです。
ステップ1:縦軸にモチベーションの高低、横軸に時間の流れを書く
ステップ2:モチベーションが髙かった時、低かった時をプロットして、自分の中で印象に残っていることを具体的に書く
ステップ3:その出来事が起きた際の感情や思考を書き出す
モチベーショングラフは自己分析でよく使われるツールなので、失敗談に限らず、自己PRのネタ探しで有能なので、一石二鳥、三鳥の効用があります。
さっそく作ってみましょう。
➁今まで自分が時間と労力をつぎ込んだことを振り返る
実は、あなたがこれまでに時間と労力を注ぎ込んできたことに失敗が見え隠れしています。
つまり、「情熱」を持ってやってきたことは理想水準が高いため、普通の人が失敗だと思わないことでも、本人にとっては失敗に見えるからです。
何か上を目指してつまずく、クリアしたらまた挫折するようなことが現れる、そして乗り越えるといった上昇志向でレベルを上げる過程で、必ず踊り場や急転直下するようなステージが出現します。
このステージを失敗と捉えて、話すとそれ以降の上昇部分も語れるので効果が抜群ですね。
「あなたがこれまで1番時間と労力をつぎ込んできたことは何ですか?」
その中にヒントがあります。
③周囲の人に聞く
人間はダークな情報や自分にとって不都合な思い出をかき消そうとする習性があります。
あまりネガティブな情報ばかりを自分の中に詰め込み過ぎると、自分が壊れてしまうからです。
そのような脳の勝手な消去により、失敗談を思い出しにくい部分が多々あります。
そんな場合、あなたのことを良く知っていて、できるだけあなたと関わりのある人に聞いてみて下さい。
たとえば、あなたの親や学校の先生、アルバイト先の店長、先輩・同僚などは、あなたのやらかしをよく知っているかもしれませんね。
あなたは覚えていないけど、その人に過去の汚点を指摘されて
「あ~、そういうこともあったね」
と脳に過去の記憶が蘇り、恥ずかしい思いをした経験もあると思います。
たとえば、友達から旅行でトラブったことを挙げられれば、「無計画で行動したため、とんでもないトラブルに巻き込まれた」といった失敗談を語ることができるはずです。
このようにあなたには見えていないけど、言われると「あ~」とため息をつくような失敗談が出てくる可能性がありますので、どうしても見つからない場合は他人に頼ってみてください。
今言った3つの方法を試しても、まだ失敗談が見つからない人は「学生失敗談あるある」をまとめてみましたので、チェックしてみてください。
何か引っかかる項目があるかもしれません。
☑ テストまでのスケジュール管理に失敗して結果が悪かった
☑部活で努力が足りずに勝てなかった
☑サークルで人間関係がうまくいかなかった
☑バイトで仕事が思うようにできなかった
☑バイトを頑張り過ぎて単位を落とした
☑留学先で積極的に行動できなかった
☑インターンで仕事のミスをしまくった
☑面接で上手く受け答えができなかった
☑劇団の演技でセリフが飛んだ
☑演奏会で楽器の演奏をミスした
それ以外に、趣味や習い事、大学だけでなく高校や中学校時代まで時間軸を長く取って記憶を辿ってみるのも有効です。
失敗談の選び方
数々の失敗談が出てきた人にとっては、面接でどの失敗談をチョイスすればいいか迷いますよね。
ポジティブリストで言うと、
✓学びや成長がある失敗談
です。
先ほども言ったように、人事は単に失敗談を聞きたいわけではありません。
「どのような失敗をして、それをどのようにリカバリーして、そこから何を学び、どう成長したのか」を聞きたいわけです。
なので、このストーリー展開に持ち込める失敗談を選択したいですよね。
もう一方で、ネガティブリストでいうと、
✓取り返しのつかない致命的な失敗談
✓常習性のある失敗談
✓学びや成長のない失敗談
は回避してください。
たとえば、取り返しのつかない致命的な失敗談だと、
酔っ払って路上で喧嘩し、全治3カ月のケガを負わせ、警察にしょっ引かれた
といった話題を選ぶと、失敗の範疇を超えて、面接官が引いてしまいますよね。
あるいは常習性のある失敗談だと、
ギャンブルにハマり、借金地獄に陥った
といった内容では、また同じような過ちを犯して仕事に影響が出てくる可能性があると勘ぐられてしまいますよね
あるいは、学びや成長のない失敗談だと、
こういうことで失敗しました
といった事実の報告だけで、何の改心も更生も感じられないですよね。
なので、いくら失敗談といっても、このようなエピソードは百害あって一利なしなので絶対に避けてくださいね。
人事に刺さる失敗談の伝え方
「失敗の見つけ方や選び方はわかりましたが、何をどのように伝えたらいいのかがイマイチわかりません」
ここからは「失敗談の伝え方」を人事ウケするストーリーフォーミュラを公開して解説していきます。
失敗談のストーリーフォーミュラ
失敗談の答え方としては「失敗⇒克服⇒学び・成長」の順番でストーリー展開していきます。
そのストーリーをさらに分解すると、下記のような「ストーリーフォーミュラ」ができあがります。
①失敗の内容:私の失敗談は~です。
↓
➁背景や理由:失敗した理由(背景)は~です。
↓
③失敗の反省・改善点:そのために~を反省し、~するように悔い改めました。
↓
➃失敗から学んだことやリカバリーの内容:すると失敗しなくなり、~が大切だと学びました。
↓
➄企業での活かし方:御社ではこの失敗から学んだ~を活かして、頑張ります。
「なるほど、この論法なら人事もシックリきそうですね。でも、実際の例文を見てみないと何となくまだイメージが湧きません」
それでは次のセクションで実際の例文を交えながら、解像度を上げていきましょう。
ストーリーフォーミュラを使った例文
先ほどのストーリーフォーミュラの例文を定番の「学業編」「ゼミ編」「部活編」「アルバイト編」の4つのテーマで作成してみます。
【学業編】
私の失敗談は、大学1年生の前期で授業の単位を数多く取りこぼしてしまったことです。(失敗の内容) この失敗は受験が終わり、開放的な気分になったことと、大学での勉強に対する目標がなくなり、気持ちが緩んでしまったことが原因だと考えています。(失敗の背景や理由) 以降は気持ちを引き締めて、高校時代に毎日行っていた復習する習慣を再度ル―ティン化し、授業が終わったその日に3時間を勉強時間に充当しました。(失敗の反省・改善点) この復習が功を奏し、1年生の後期からは連続でフル単を獲得しています。(リカバリーの内容) 御社ではこの失敗を糧にして、目標をもって積み上げる努力を怠らず、毎日1ミリでもレベルアップできるように努力していきます。(企業での活かし方) |
【ゼミ編】
ゼミの4大学合同発表会で、他大学の質問に答えられずに頭が真っ白になったことが私の失敗談です。(失敗の内容) この失敗は自分が1番勉強しており、専門知識を十分に持っているから対応可能だろうといった甘い考えが災いしたと考えています。(失敗の背景や理由) それ以後は、必ず自分には盲点があることを意識し、ゼミの仲間に事前に疑問点や質問したいことなどを把握したうえで想定問答を作成し、議論に臨むことにしました。(失敗の反省・改善点) すると、教授から「4大学合同発表会の屈辱をバネにして、よくここまで成長しましたね」とお褒めの言葉を頂きました。 このことから、何事に対しても傲慢になることなく、謙虚にシッカリとした準備が何にも増して重要だということを学びました。(失敗から学んだこと) 御社では相手のニーズを十分に汲み取り、できるだけ多くのケースを想定し、入念な事前準備を行いたいと考えています。(企業への活かし方) |
【部活編】
私の失敗談は、野球部最後の公式戦でマメを潰してしまい投手として試合に出場できなかったことです。(失敗の内容) 野球部のエースとして、最後の試合は好成績で終わりたいという気持ちが強すぎて、自分のキャパシティーを超えて投げ込んでしまったことが今となっては反省点です。【失敗の背景や理由→失敗の反省】 結果として、1個人の自己管理のミスにより、チーム全体に多大な悪影響を及ぼしてしまうことを痛感しました。【失敗から学んだこと】 御社では、自分の置かれた状況を冷静に分析し、本番で最高のレベルに自分を持っていけるように入念で適切な準備を行えるように努めたいと考えています。(企業への活かし方) |
【アルバイト編】
私の失敗談は飲食店のアルバイトで、効率を優先し過ぎてお客様からクレームを受けたことです。【失敗の内容】 クレームを受けた理由ですが、自分の効率性を優先し過ぎて、お客様が食べ終わっていないお皿を下げようとしてしまったからです。【失敗の背景・理由】 もちろん、お客様のテーブルを広く使ってもらおうと思った配慮もありましたが、相手の状況を的確に把握せず、空いた皿を下げようとしてお客様を不快にさせたことは私に非があると反省しています。 以降はお客様の立場に徹して、5感をフルに活用しながら、臨機応変に対応するように悔い改めました。(失敗の反省・改善点) すると、お客様から「あなたの接客はいつも快く、気が利くので、おかげでお酒が進むよ。ありがとね。」と感謝されました。(リカバリーの内容) 御社では、「他人本位」の意識を常に持ち、お客様満足度の向上に努めたいと考えています。(企業への活かし方) |
5段論法のストーリーフォーミュラを使うと、すんなり頭に入ってきて、収まりのいいストーリー展開になることが見て取れると思います。
5段論法を各項目の順番を入れ替えることにより、アレンジすることも可能なので、早速あなたのオリジナル例文も作ってみましょう!