
【自己PR】協調性を格上げする2つのテクニックを解説
2022年10月28日更新
はじめに
「協調性って企業から評価されるの?」
「自己PRで協調性をアピールするには、どうしたらいい?」
「例文とかあれば、助かる!」
など、自己PRで「協調性」が人事受けするのか気になるところですよね。
結論から言うと、「可もなく不可もなく」といったところです。
ただ、見せ方次第で評価される要素を多分に含んでいます。
本記事では自己PRで「協調性」をアピールしてくる学生を人事はどう捉えているのかといった真相から、どのようにアピールすれば響くのかといった具体的なテクニックまで踏み込んで、元人事の目線で力説していきます。
10分ぐらいで、そのコツが入手できますので、サクッと流し読みして、その要領をつかんでくださいね。
もくじ
1.企業は「協調性」を求めているのか?
経団連が実施した「2018年新卒採用に関するアンケート調査結果」によると、企業が「選考にあたって重視した点」は、
1位:コミュニケーション能力
2位:主体性
3位:チャレンジ精神
4位:協調性
5位:誠実性
と2位に「主体性」がランクインし、4位に「協調性」が続いています。
「主体性」と「協調性」という一見対照的なワードが上位に並んでいますが、一体これはどういうことでしょうか?
企業としては「自分の頭で考え、行動する人材」が欲しい反面、会社は組織で動いているので、勝手な行動で組織の秩序が乱されると困るので、デフォルトとして「協調性」は持っておいて欲しいという微妙な心理がうかがえます。
2.自己PRで協調性はアリ?
「企業は選考で重視する項目で「協調性」は4位にランクインしているので、アピールしても大丈夫ですね」
話しの骨を折るようで恐縮ですが、自己PRで「協調性」をアピールするのは悪くはないですが、あまり加点要素にはなりません。
要は、「協調性」をアピールされても、それは持ってて当たり前の世界であって、アピールするほどのものではないということなのです。
逆に、「協調性がなかったとしても、社会人で給料をもらっているので、そこは協調性を持ってやってくれよ」ぐらいの感覚なのです。
他の就活記事を見ていると、「協調性は自己PRに十分使える」といった論調を散見しますが、ひと捻りしないと、ダイレクトに「協調性」を訴えても人事には刺さらないのが実情です。
ひと昔前の高度経済成長期では、欧州というモデルが既にあって、それらの国をキャッチアップするために製造業を代表とするような重厚長大産業では、効率的なシステムが求められました。
そのような時代背景では、一丸となってチームワークを発揮するために、結果として均質的な人材に需要があり、「協調性」のある人材が重宝されていたわけです。
時は変わって、バブルが弾け、低成長下で軽薄短小なソフト産業が中心になり始めると、「協調性」のある人材よりも、「主体性」や「行動力」、「チャレンジ精神」のある人材にスポットが当たるようになってきました。
このことから、「協調性」だけでは自己PRの「ウリ」にはならないという結果が導き出されるわけです。
ただ、「ある」ことを施すと、「協調性」という要素を組み込みながら、相手にリーチできますので、後ほど力説したいと思います。
3.「協調性」は業界や職種で響き方が違う
「長所と短所はコインの裏表」とよく言いますが、「協調性」も同じで、ある業界や職種から見れば、特長に映りますが、他の業界から見ると、欠点に捉えられます。
たとえば、公務員や金融といったお堅い業界から、サービス業、製造業などチームワークが求められるような業界もそうですし、事務員などスタッフ系の職種では「協調性」との親和性が高いと言えます。
また、あまり環境変化がなく、事業スピードも鈍化している領域では、「協調性」のある人材のほうが重宝されるかもしれません。
一方で、変化が激しくスピードの速いIT業界やベンチャー企業、企画や営業といった裁量性を求められる職種では「協調性」はむしろマイナスポイントとして映る可能性が高いです。
たとえば、このような業界や職種で「協調性」をアピールすると、
「指示待ちなのかな?」
「相手の顔色をうかがって、主体的に動かないのでは…」
「自分の意見を出さずに流れに任せるタイプなのでは…」
「波風立てずに無難に仕事をこなすタイプかな?」
など、協調性は周囲との和を大切にするという強みがある反面、流されやすいという短所に見られる可能性があります。
要は、流されやすいと自分の考えを持たずに周囲に合わせたり、周りの目を気にして他人の意見を優先したりするので、軸がないと判断され、「この学生でなくてもいいかな」といった穿った見方をされるかもしれません。
なので、「協調性」1本でゴリ押しされても、相手は逆に引いてしまうという現象を招く恐れがあるというわけですね。
4.協調性のアピール以前にリサーチが超重要
1つ目の意味は、周りの意見に従い、場の空気を読んで同調させていく「波風を立てない協調性」です。
2つ目は、自ら周囲に積極的に働きかけ、ゴールを目指していく「主体的に動く協調性」です。
業界や職種によっては、同じ「協調性」でも捉えられ方が違うと先ほど伝えましたが、正しくはこの2つの意味が存在するため、前者を求める企業と後者を求める企業に分かれるわけです。
したがって、あなたが志望する企業が真面目さや誠実さなど「波風を立てない協調性」を重視しているのか、「主体的に動く協調性」を評価するのかを事前に見極めておくことが肝要です。
ぜひ、会社説明会やOB/OG訪問などの機会に仕事内容や仕事を遂行していくうえで求められる働き方や役割を聞いて、どちらの協調性が求められているのかを事前にリサーチしておきましょう。
ココを踏み外すと本末転倒になりかねませんので、実は重要なステップとなります。
5.自己PRで「協調性」を格上げする2つのコツ
「それでは協調性は自己PRに使えないということですか?何かいい方法はないんですか?」
ハッキリ言うと、「協調性」だけを前面に押し出して、一本調子で高評価まで持っていくのは、かなり厳しいです。
なので、器械体操でいうところの「C難度」から「D難度」に格上げする「捻り」を加えると話は別です。
では、その「捻り」とは何かというと、2つあって、
①協調性を別の言葉で言い換える
➁協調性+αで攻める
です。
例文を交えながら、解説を加えていきましょう。
①協調性を別の言葉で言い換える
1つ目は、「協調性」という言葉をダイレクトに使うと、いまの企業にとっては「ウリ」にならない使い古された需要のない言葉なので、同じニュアンスだけど、響く言葉に言い換える方法です。
たとえば、「協調性」と似た言葉で、
・傾聴力
・協働力
・周囲を巻き込む力
・ファシリテーション力=人々の活動が容易にできるよう支援し、うまく事が運ぶよう舵取りすること
・異質な意見を統合し、昇華する力
など、単なる受動的なニュアンスから少し動きが見える単語を使いたいわけです。
ここで例文を見てほしいのですが、
私の強みは協調性があることです。 この強みは大学でキャプテンを務めていたソフトボールサークルで発揮されました。 同サークルは高校時代の野球部上がりから、ソフトボール初心者まで幅広い層が混在する集団でした。 したがって、本格的に野球に取り組みたい層と未経験者を中心とした和気あいあいの雰囲気を味わいたい層で2極化し、同じサークル内でも求めるものが違いました。 そのため、メンバー間で温度差があり、一体感が欠如していたので、みんなで話し合い、みんなの意見を聞きながら、多数決で市のリーグに参加することを決めました。 すると、市のリーグで優勝するという目標ができたため、共通の目標に向かって全員一丸となって取り組むことができました。 御社では、みんなの意見に耳を傾け、みんなで解決する協調性を活かして、業務に邁進したいと思います。 |
どうでしょうか?
悪くはないんですが、イマイチ本人の動きが映像として出てこないですよね。
少し改善を加えると、こんな感じです。
私の強みは「異質な意見を統合し、昇華する力」です。 ~以下、同文~ メンバー間で温度差があり、一体感が欠如していた点に問題意識があったため、まずはサークル幹部を招集し、課題の認識を一致させた上で、解決策について議論しました。 最初は幹部の中でも「現状維持派」と「変革派」に分かれ、議論が紛糾しました。 そこで、これらの異なる意見を昇華させる「第3の解」がないかと思案していたところ、組織として共通の目標があれば、一体感を醸成できるのではないかという仮説が私の中に浮かんできました。 そこで、市のリーグに参加することを幹部に提案し、全会一致で賛同を得ました。 後日、サークルメンバー全員にも説明し、野球部上がりのAチームと和気あいあいと野球を楽しみたいBチームの2チームを市のリーグに登録することができました。 結果として、Aチームは市のリーグで優勝するどころか県大会でも優勝を果たし、Bチームも試合を通じて野球で負けることの悔しさを実感し、練習も目標をもって取り組み始めるなど、組織の活性化に成功しました。 御社では、この経験を活かし、異質の意見を排除するのではなく、第3の上位概念を導くヒントだと捉えて、仕事のクオリティを高められるように邁進します。 |
結論の看板を変えるだけで、その単語にふさわしいエピソードを導き出すように脳が作動し始めますので、ストーリ―の中で本人の動きが映像化され、主体性や行動力が伝わる自己PR文に変化しましたね。
同じ内容を伝えているにもかかわらず、前者と後者でコレだけ差が出てくるわけです。
ぜひ、動きのある似たような単語に変換できないかを考えてみてくださいね。
②協調性+αで攻める
次に、「協調性」という単語だけでは響かないので、「合わせ技1本」という型を紹介します。
要は、他の単語と組み合わせて、「受動的なイメージ」から「アクティブなイメージ」に見せる技です。
先ほどの企業が選考で重視する項目として、「主体性」がありましたので、
「協調性+主体性」
で攻められないかを1例として考えてみます。
たとえば、
「傾聴力+提案力」といったインプット単語にアウトプット単語を加えた組み合わせなんかはいいですよね。
これで例文を作ってみたいと思います。
私の強みは、人の悩みを聞くことに全集中し、その真意をつかみ、最適な解決策を提案する力です。 たとえば、ある日、友達のA君が教室でかなり落ち込んでいるのを目の当たりにしました。 そこで近寄って話を聞いてみると、スーパーのアルバイトの品質期限間近の商品の抜き取りで、度たび抜き漏れがあることを指摘され、上司から強く叱責を受けたことが原因でした。 さらに話しを突っ込んで聞くと、どうやら子供時代からお遣いでお母さんから頼まれた商品を必ず1つは買い忘れる癖があることも掴めました。 そこで、私はA君に「向いていない領域の仕事をしていること」と「向いている仕事なら必ず成功する」という2点を指摘しました。 後日、A君はスーパーの仕事を辞め、ライティングの仕事に変えました。 すると、A君の読書好きが功を奏して、目を輝かせながらパソコンに向かい仕事に取り組んだ結果、ライティングで目覚ましい業績を残したため、しっかりと自信を取り戻し、見事に復活を果たしました。 御社では人の話に耳を傾け、真因を掴んだ上で最適解をひねり出す強みを活かして、お客様の悩みや相談事を真摯に解決していきたいと考えています。 |
いかがだったでしょうか?
やはり、「傾聴力」だけだと、ただ人の話を聞くだけなので弱いですよね。
そこに「提案力」を入れ込むことで、価値が一段上がり、企業が求める自分の頭で考えて行動する「主体性」を匂わせることができるわけです。
ぜひ、「協調性」を交えて自己PRしたいのであれば、この複合技も試してみてください。
6.おわりに:テクニックを活用して人事に刺さる自己PRを
以上、本記事では「協調性」には2種類の意味があり、業界や職種によって響く度合いが違うので使い分けが大切だということを申し上げました。
記事内では伝えていませんでしたが、実は「協調性」という単語に人事は飽き飽きしています。
時代の変遷とともに、「協調性」という単語自体に魅力や威力がなくなっていますし、たくさんの学生が協調性っぽい自己PRで行ってきたので、新鮮さがないからです。
この単語を使うだけで、カラーのないモノクロの学生に映ります。
したがって、記事では同じ内容でも違ったように見せる技を2つ紹介しました。
「協調性」の意味合いをどうしても自己PRに入れ込みたい人は、「協調性」という単語をダイレクトに使うのではなく、違う角度からインダイレクトに匂わせることが肝要です。
ぜひ、今回のテクニックを使って、あなたの就活が成功することを祈念しています。