知名度のない中小企業が優秀な学生を採用する方法

知名度のない中小企業が優秀な学生を採用する方法

1.「攻め型」と「守り型」という2つの採用方法

採用活動において、候補者を集める方法は大きく分けて2つあります。

まず一つ目が、求人広告をナビサイトなどのマス媒体に掲載して応募を待ち、エントリーがあった人の中から選抜をする方法です。こちらは、まるで会社がオーディションを開き、大量に集まった候補者の中から選りすぐりを見つけるという意味で、その名の通り、「オーディション型」採用とも言われます。また、数多の候補者から引き抜くという意味で「PULL型」採用などとも呼ばれます。こうした企業側は動かずに候補者のエントリーを待つやり方は、いわば、「守り型」の採用とも呼べるでしょう。

反対に、企業側から候補者となる母集団を特定、自ら探しにいき、声掛けをして、エントリーを促す方法もあります。これは、先ほどのオーディションとは対照的に、街に出てめぼしい人を直接スカウトするようなやり方、という意味で、「スカウト型採用」とも言われます。また、「PULL型」と対比させて「PUSH型」採用などとも呼ばれています。こちらの方法は、積極的に学生へアプローチする方法であり、いわば「攻め型」の採用方法とも言えます。

さて、知名度の低い中小企業にとってより効果的なのはどちらの採用方法でしょうか。

まず、新卒採用全体の有効求人倍率をみてみると、21卒は2020年6月時点で1.53倍となっています。新型コロナウイルス感染拡大による景気への影響によりそれまで活発であった企業の採用活動も全体として冷え込んだため、20卒の1.83倍からみると下がっています。しかし、バブル崩壊後やリーマンショック後よりは高く推移しているようです。

また、企業規模別にみると300人未満の企業では、3.40倍と20卒の8.62倍と比較して大幅に下がってはいますが、全体平均よりは依然として高水準にとどまっていることがわかります。有効求人倍率とは、一人の学生につき何社の求人があるかを示す指標ですので、企業側からすると倍率が高いほど採用が難しい、売り手優位の市場であることがわかります。

このようにコロナ禍で買い手傾向が増した中でも、中小企業は依然として厳しい採用市場にいる、ということがわかります。

このような中、知名度の低い中小企業は、ナビサイトに求人広告を掲載して待っているだけでは自社にマッチする優秀な学生はおろか、選抜するだけの十分なエントリー数も見込めない状況が続いています。しかし、自ら街に出てスカウトをしていく攻めの採用であれば勝機は十分あります。

いかに自ら優秀な学生に近づき、フォローすることで入社にまで繋げることができるか。これが売り手市場が続く知名度の低い中小企業には求められているのです。

 

2.採用における様々な「攻め方」

では具体的に、採用における攻め方としてはどういったものがあるのでしょうか。

まず初めに実施すべきは、最も費用対効果が高いリファラル採用です。

リファラル採用とは、一言で言うと、自社の社員・内定者が自分の後輩、友人を自社に紹介する、というものです。これは縁故自体に価値を置いた縁故採用は似て非なるものであり、あくまで母集団形成方法の一つですので、選考を実施することが前提です。ただ、「類は友を呼ぶ」と言われている通り、自社に紹介できるほどの友人であれば、紹介者である社員・内定者と考え方や価値観が似ており、よりカルチャーフィットしている人材に会える可能性が高いため、結果的に合格率が高くなる、というのもリファラル採用の特徴です。また学生にとっては、知名度がなく見たことも聞いたこともない企業ではなく、自分の先輩や友人が勤めている企業のほうが、ぐっと興味が湧きますし、紹介を受ければ、ちょっと中を覗いてみようかな、と思う可能性も高いでしょう。

一方で、リファラル採用で起点となるような社員・内定者がいない場合はどうすべきか。次にお勧めするのは、スカウトメディアの活用です。スカウトメディアとは、そのメディアに登録している人材DBに企業側からアクセスして、自社にマッチしそうな人材へスカウトメールを送り自ら接点を創出する方法です。新卒のスカウトメディアとしては「OfferBox(株式会社i-plug)」や「キミスカ(株式会社グローアップ)」などのあらゆる属性の学生が登録している全方位型メディアの他、理系学生やエンジニア学生に特化したブティック型メディアなども登場してきています。

3.志望度は見極めるものではなく、高めるもの

1点注意が必要なこととして、攻め型の採用は、従来の守り型の採用と比べて、選考へのスタンスとして根本的なマインドセットを変える必要があります。

攻め型の採用において重要なのは、選抜よりも、何よりフォローです。

守り型の採用であれば、候補者はそもそも自社に対して大小問わず一定の興味を持ってエントリーしてきていますので、ある程度の会社理解もできています。そのため、選抜が特に重要であり、大量に集まった候補者の中からいかに精度高く見極められるかが課題となります。

しかし、こちらから声掛けする攻め型となると、候補者は最初から自社に興味を持っているわけではないため、まず会社理解を深めて自社に興味をもってもらうためにより丁寧な説明を行うことから始まり、選考参加してもらうための動機形成も行う必要があるのです。

これまでは長らく守りの採用で上手くいっていた企業が、近年攻め型へ移行した際など、特に、現場面接官のマインドセットが従来のままとなっていることがしばしばありますので、注意が必要です。候補者からすれば、企業側に誘われたから会いに来たのに、開口一番、「当社を志望した理由は?」と言われても、答えようがありません。

つまり、攻め型において志望度は見極めるものではなく、高めるべきものになるのです。

攻め型の採用は、求人広告のように百万単位でお金がかかるものではない代わりに、採用担当者のノウハウとマンパワーがかかります。リファラル採用を行う場合も、本当に社員から友人を紹介してもらいたいのであれば、決してオフィスに一枚紹介受付の張り紙をしておくだけではなく、紹介をしてほしい社員・内定者一人ひとりへ丁寧に背景を説明し、依頼をすべきでしょう。

またスカウトメディアを使用する場合も、採用担当者自身でスカウトメールを送る必要がありますし、何より魅力的なスカウトメールを送ることができなければ学生が興味を持つこともありません。

裏を返すと、ノウハウや手間がかかる分、まだ日本の採用活動におけるマジョリティな方法になっているとは言えないため、他でもない知名度の低い中小企業こそが最大限のリターンを得られる採用方法なのです。

 

【参考文献】

・『第37回ワークス大卒求人倍率調査(2021年卒)』,リクルートワークス研究所,https://www.works-i.com/research/works-report/item/200806_kyujin.pdf

・優秀な人材が採用できるスカウト型採用の2つのカギ

https://jinlab-media.com/74/

 

監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。

 

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上京就活ch編集部

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