新卒採用を成功させるためのKPIの立て方

新卒採用を成功させるためのKPIの立て方

1.採用におけるKPIの考え方

新卒採用活動は、ほぼ年間を通して行う一大プロジェクトです。プロジェクトに関わる人も、経営層から現場面接官、人事、採用担当者、はたまた外部のアウトソーサーなど自社を取り巻くあらゆる立場の人たちが新卒採用にはかかわることになります。

また年間を通じて膨大な費用が発生します。企業合同説明会への参加費から、ナビサイトの求人掲載費、学生の交通費補助など様々な場面でコストがかかってくるのです。

このような全社をあげてのビックプロジェクトだからこそ、採用担当者はその責務を負い、なんとしても成功させなければなりません。

そして、成功へ導くためには、採用活動を場当たり的ではなく、きちんと事前に計画を立て、戦略的に行う必要があるのです。

このような戦略的な採用活動を行うために考えるべき一つが、採用KPIです。

KPIとは「Key Performance Indicator(重要指標)」の略であり、採用人数の充足のために、必要となる指標のことです。また採用活動の最中においては、進捗の良し悪しを測るための指標にもなります。

採用KPIは、採用活動の計画段階で、入念に練られ、設定される必要があります。

いわば“今期、この採用予定人数を確保するために、どこからどれくらい人を集め、各選考フローの時点では何名ずつ候補者が残っていなければならないのか”という目標値をシミュレーションしておく必要があるのです。

2.採用KPIの立てるための4つのステップ

では採用KPIを立てるために、具体的にどのような手順で何をすべきかについて見ていきましょう。

 

  • 選考フローを決める

まずは、何段階のプロセスで最終的な採用予定人数に着地させるかを決めます。これはいわゆる選考フローを指しており、例えば、説明会⇒エントリーシート⇒適性検査⇒1次面接⇒2次面接⇒内定といった形で決めます。

また、選考フローは次に述べる採用チャネルごとに変えて設定することも可能です。例えば、リファラル(紹介)経由の場合、紹介特典としてエントリーシートや1次面接をスキップすることなどもあります。

 

  • 採用チャネルを決める

採用チャネルとは、母集団を集めるそれぞれの方法のことを指します。例えばある会社で新卒採用を行う場合、リファラル(紹介)経由、大学などの合同説明会経由、ナビサイト経由といったように、最初に何を経由して自社にエントリーするか、といったものです。またKPIを決める上では、この採用チャネルからは最終的に何名を採用するか、といった採用チャネルごとの重みづけ(ウェイト)を予め決めておきましょう。

 

  • 歩留まりを仮置きする

次に、各採用チャネル、選考フローごとに、「申込率」「参加率」「合格率」といった歩留まり(%)を仮で置いていきます。根拠となる数字は、過去の自社データから持ってきても良いですし、自社データがない場合は、付き合いのある人材ベンダーの営業担当者などから同規模・同業界の平均値を聞いて入れる形でも良いです。

また、過去データや世の中平均だけでなく、意図的に下げて設定する、高く設定するといったことも可能です(これが今年の目標値になり、これを目指して頑張ることになります)。

 

  • 最終的な採用予定人数からKPIを逆算する

さて、ここまで設定ができたら、最終的な採用予定人数からチャネルごとの採用予定人数をウェイトに応じて割り出します。例えば、最終的な採用予定人数が10名であって、リファラル経由に20%、大学などの合同説明会経由に30%、ナビサイト経由に50%のウェイトを置いたとすれば、順に2名、3名、5名が採用チャネルごとの採用予定人数となります。

次に、各採用チャネルでの採用予定人数から歩留まり(%)に応じて各選考フローの必要人数を逆算します。これがいわゆる採用KPIです。

3.計画との乖離を常にウォッチする

採用KPIは立てて終わり、というものではありません。

最も大事なのは、実際の選考が始まってから、計画と実態がどれくらい乖離しているのかを常にウォッチすることなのです。

例えば、説明会参加人数が計画に比べ、かなり不足している場合、その後に続く選考フローにも当然影響があり、最終的な採用予定人数の充足が厳しいことがその時点で予想されます。このタイミングで把握しておけば、説明会の実施回数を増やしたり、参加率を高めるためにメールだけでなく架電による呼び込みを行うなど、リカバリー施策を早急に打つことができ、まだ巻き返すことができます。

採用KPIを立て、進捗をウォッチしていなければ、いよいよ内定を出す直前になってまったく人数が足らないことに気づくなんてことになりかねません。

そして最後に、採用KPIを立て、計画と実態をウォッチしておくことで、採用活動が終わった後の振り返りに活用することができます。今期の採用は、計画通り推移したのかそうでないのか、またどこに課題があったのかが数字で把握できるためです。

課題を特定できれば、来期の採用へ改善することができ、より効果的・効率的な採用活動ができるでしょう。

このように、採用KPIはたとえ採用予定人数が少なく、活動規模自体が小さくとも、あらゆる企業において立てておいたほうが良いものです。また初めは多少荒いもの(参加人数、合格人数、内定数のみ等)でも問題ないため、ぜひ一度自社の採用KPIを考えてみていただければと思います。

 

監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。

 

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