構造化面接とは?特徴と質問例をご紹介!
1.はじめに
「構造化面接」
採用や人事に携わっていれば一度は耳にしたことがある言葉かもしれません。
しかし、聞いたことはあるけど実際どういうものなのか?自社では取り入れていないからわからない!とったお悩みがあるのではないでしょうか?
今回はこれから採用活動に一層力を入れていきたい!今の採用活動を見直したいといった採用担当者の方々に向けて、この構造化面接の特徴やメリット、デメリットを解説していきたいと思います。
今回は構造化面接を実施しているGoogle社の説明なども参考にしつつ、構造化面接の中身を見ていきます。
2.構造化面接はGoogle社でも行われている
先ほども少し触れましたが、構造化面接を取り入れている有名企業として最も代表的なのはGoogle社であると言えます。
実際Google社のガイドラインでもこの会社が構造化面接を取り入れている目的や根拠が明確に記されており、加えて、構造化面接の特徴や意外な難しさなどにも言及されています。
構造化面接がこの世界的な大企業Google社でも取り入れられているには何か大きなメリットがあるに違いません。
それでは次から、実際に構造化面接の特徴やメリット、デメリットを確認していきましょう。
3.構造化面接とは?
構造化面接とは簡単に言えば、同じ仕事の応募者に対して同じ質問、同じ面接手法で評価を行うことです。
つまり、同じ職務の応募者に対して全く同じものさしで回答を評価し、一貫した採用基準で選考をするということです。
一見かなり合理的で、効率の良い採用手法ですが、実はこの構造化面接を選考に使っている企業は非常に少ないのです。
それでは、選考手法として採用されにくい理由や、どのような企業が採用すると良いのかなどを解説していきます。
3-1.構造化面接の特徴とは
構造化面接はカウンセリングなどにも用いられる心理学的アプローチです。
その最大の特徴は、「評価基準があらかじめ一つに決まっている」ということ。
通常の面接とは異なり、質問内容や質問の仕方が一様に決まっていて、応募者全員が会社で決められた一つの判断基準で評価されます。
3-2.構造化面接のメリット
構造化面接のメリットは大きく以下の3つです。
- 採用確度が飛躍的にアップする。
- 選考の効率性、生産性がアップする。
- 応募者と会社のミスマッチを軽減する。
構造化面接のメリットとしてまず挙げられるのが、採用確度が飛躍的にアップすることです。
面接官によって応募者の評価基準がバラつかないことで、会社に欲しい人材、会社的に有力だと決められている人材を迷いなく選びとることができるのです。
さらに、この一貫性のある採用活動が実現するだけで選考の効率性や生産性が向上することも間違いないでしょう。
また、会社の基準にしたがって採用の判断を行うため、応募者と会社のミスマッチを大幅に減らすことが可能です。
つまり、採用選考のプロセスで以下のような悩みを抱えている会社にはうってつけの手法であるとお言えます。
- 面接ごとにかける時間を短縮したい。
- 面接官のスキルのばらつきが激しい。
- 面接後の評価に関して意見が割れ、時間を取られることがある。
- 早期退職者が多い。
面接官の違いによる評価基準の曖昧さやばらつきが大きい会社に効果があるでしょう。
主観や先入観に囚われてしまう面接の難しさに関しては他の記事でもご紹介しているので参考にしてみてください!
3-3.構造化面接のデメリット
構造化面接のデメリットは大きく以下の3つが挙げられます。
- 面接官が独自に応募者の新しい一面を見つけたりすることが難しくなる。
- 応募者に画一的な印象を与えかねない。
- そもそも質問を作るのが難しい。
面接官が独自に応募者の話の深掘りをしたり、面接官が興味のある部分にとどまれないため、応募者の新たな一面を発見することが難しいです。
会社の評価基準に従わなければならないため、面接官の主観的な判断や個人的な興味が介入する余地がないのです。
また、そのような統一された面接は応募者に少しネガティブな印象を与えかねません。
通常の面接とは異なり、「会社の判断基準に達しているか」を重要視する面接なので、試験のような圧迫感を与えてしまう可能性があるのです。
また、単純に構造化面接のための質問を作るのが難しいということもデメリットとして挙げられます。
このことはGoogle社のre:Workのページにも以下のように書いてあります。
では、構造化面接の質問を使う組織があまり多くないのはなぜでしょうか。実は、質問を作成するのが難しいのです。構造化面接の質問は、記述してテストする必要があります。また、面接担当者が他の質問をしないように指導する必要もあります。さらに、同じ質問が何度も出されると予想した応募者同士が、情報を交換してすべての回答を用意してこないように、質問を絶えず更新する必要があります。
(出典:https://rework.withgoogle.com/jp/guides/hiring-use-structured-interviewing/steps/introduction/)
このように構造化面接の実施については多くの課題を乗り越える必要があり、継続してリソースを割き続けるのは難しいのです。
4.構造化面接のフレーム
構造化面接ではフレームにしたがって面接を進めていくことが非常に重要です。
面接のフレームとしては以下の3つが代表的なものです。
- 行動面接
- 状況面接
- コンピテンシーモデル
行動面接とは応募者自身の行動にもとづいて質問をしていく手法です。
具体的にはSTARと呼ばれるフレームに沿って質問していきます。
S(situation):行動を起こした時の状況について尋ねる
例「どのような組織の、どのような立場でしたか?」
T(task):行動を起こした時の課題認識について尋ねる
例「どのような課題を感じていましたか?」「何が問題だったのですか?」
A(action):どんな行動を起こしたか尋ねる
例「どのように課題を解決しようとしましたか?」「協力者を募りましたか?」
R(result):行動した結果どうなったか尋ねる
例「取り組みの結果はどのように現れましたか?」「改善点はありますか?」
また、状況面接は仮定を提示して行う面接手法です。
「もし〜という状況にいたらどうしますか?」といった質問を用いて、それに対する考え方やアクションプランを尋ねます。
その架空の状況に対する課題発見やアクションプランの返答をきっかけに、具体的な経験やエピソードを深掘りしていくことができます。
また、コンピテンシーモデルの採用は、職場におけるハイパフォーマーの特徴をあらかじめ決めておき、その質問項目によって応募者のポテンシャルを計測する手法です。
指標に沿って応募者の経験などを計測することで、職場でのパフォーマンスの再現性や将来性を評価するのです。
5.構造化面接における注意点
構造化面接を行う際に注意しなければならないのは、「想定質問」や「誘導質問」をしないということです。
想定質問というのは応募者が事前に「これは聞かれるだろう」と想定した質問に対して回答を用意しておき、準備された答えを面接で使うことです。
これでは回答が見栄を張ったものになることが多く、せっかく会社で判断基準を定めたにもかかわらず、正当な評価を下すことができなくなってしまいます。
また誘導質問というのは面接官がその質問をする意図が相手に伝わってしまい、応募者が求められた答えを回答しようとする質問のことです。
こちらも構造的な判断基準を採用する意味が失われ、構造化面接の場ではほとんど効果のないやりとりになってしまう恐れがあります。
さらに、構造化面接は質問項目や評価基準が統一的なものであるため、応募者側で共有されてしまったら、とても容易に対策できてしまうものです。
そのため、質問内容の頻繁なアップデートが不可欠であることにも注意しなければなりません。
6.おわりに
今回は構造化面接についてお話ししてきました。
構造化面接はGoogle社も取り入れている高度かつ正確な面接手法ではありますが、導入には様々な難しさがあります。
構造化面接が必ずしも絶対的に良いということではなく、あくまで面接の目的は応募者の実際の職場でのパフォーマンスを測ること。
そのために構造化面接が効果がありそうだと判断されたなら、会社の面接手法として取り入れてみても良いのかもしれません。
監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。