人事の負担軽減・早期離職予防に効果的な「ピア・フォロー」導入のメリット

人事の負担軽減・早期離職予防に効果的な「ピア・フォロー」導入のメリット

はじめに

毎日繰り返される面接に、

同じことを話さなければならない企業説明会。

 

優秀な就活生との接点を保つ上では重要な役割を担っているとはいえ、

採用活動が佳境を迎える時期になると、

母集団の多さに対応の難しさを感じる採用担当者は少なくありません。

 

全体の就活生の人数は約40万人と言われ、

少子化の波がきているとはいえ年々増加傾向にある他、

厚生労働省によると、19卒の就職率は実に97%と高水準を誇っています。

 

例えESなどの書類選考で大きく母数を減らしたとしても、

採用担当一人あたりの担当学生人数が多いことには変わりなく、

大きな負荷がかかってしまうことはやむを得ません。

例として、

大手食品メーカーの明治の事務総合職の倍率は2,750倍ですが、

これは応募者1万1,000人に対して内々定者4人を意味しており、

途方も無い数字となってしまっています。

 

一方で、学生への認知度の低さに悩む企業間では母集団形成が難しく、

・採用枠が埋まらない

・内定辞退が多すぎる

といった採用課題に悩まされている場合も少なくありません。

 

このような人事が抱える悩みを解決する効率的な採用手法として、

近年注目が集まっているのが「ピア・フォロー」と呼ばれる手法です。

 

「ピア(peer)」は仲間を意味しており、

学生間での相互フォローを促進させることで、、

採用担当者の負担軽減につながるとして期待されています。

 

本記事では、ピアフォローのメリットから、

ピアフォロー導入におけるステップまで解説します。

 

コロナによる長期戦で苦しい戦いを強いられている企業こそ、

導入に一考を投じる価値は十分にあると言えるでしょう。

1.ピア・フォロー導入における4つのメリット

 

やはりどんな企業の採用担当者であっても、

一度に大勢の就活生をフォローしていくのは至難の業です。

 

しかし、どの応募者に対してもきっちりと深みのあるフォローを行わなければ、

せっかく応募してきてくれた就活生たちの期待に応えることができません。

 

 

応募した就活生らへ相互フォローを促進させる「ピア・フォロー」導入にあたっては、

大きく分けて次の4つのメリットがあるとされています。

 

・採用担当者の負担が分散

・本音が引き出しやすい

・インフォーマルネットワークの形成

・早期離職の防止

 

それぞれ詳しく解説していきます。

 

 

1-1.採用担当者の負担が分散

 

先述の通り、採用担当者から応募学生へのアプローチでは、

応募学生の数だけ個別にフォローが必要なため、

当然ですが採用担当へ大きな負担が伴います。

 

その点、ピアフォロー導入を前提とすると、

まず学生間で相互にコミュニケーションを取り合い、関係性を築くため、

採用担当が全員を対象に一からフォローする必要性がなくなります。

 

このため、採用担当の負担が大きく軽減すると共に、

生産性が向上し、余剰時間を他の採用担務へ充当することが可能となります。

 

 

 

1-2.本音が引き出しやすい

 

通常の選考プロセスにおいては、

学生は当然ながら「非日常」の環境に置かれるため、

極度の緊張下での面接を余儀無くされます。

 

失敗のないよう、何度も繰り返し面接練習を行い臨んだ結果、

何を聞いてもおうむ返しのように、隙のない完全な回答が返ってくるケースが多く、

本音や素性が引き出しにくい、という課題が挙げられます。

 

このような場合にも、

学生間でコミュニケーションを促進することにより、

アイスブレイクとして場を和ますことが可能となり、

学生から腹を割った意見を聞ける可能性が高まります。

 

これにより、採用担当はより適切な採用判断が可能となるでしょう。

 

 

1-3.インフォーマルネットワークの形成

 

採用活動における選考プロセス過程のみならず、

内定出し以降、あるいは入社以降における

横のネットワークを構築させる効果も期待できます。

 

新商品や新規企画などの新しいアイデアは、

上司との関係性によって生まれる場合もありますが、

多くの場合は同業種、あるいは異業種での同期との自由な対話によって

生まれる傾向にあります。

 

IT技術等の発展により日々目覚ましいスピードで物事が変化し続けている現代においては、

常に様々な方面へアンテナを高く張り、既存の形式に囚われず、

時代の流れに合わせて柔軟に対応していく姿勢が必要不可欠です。

 

特に、コロナのような未曾有の事態を迎えている現在、

経営基盤を安定させ企業存続を図るには、

こういった新しいアイデアこそ取り入れていくべきです。

 

このような文脈において、

新卒間でのインフォーマルネットワーク形成は、

長期的な視野で見ると経営安定に大きな恩恵をもたらすと言えるでしょう。

 

 

1-4.早期離職の防止

 

先ほどの延長線上になりますが、

インフォーマルネットワーク形成は、早期離職防止も期待できます。

 

新卒の入社3年以来の離職率は、ここ数十年間3割を維持しており、

減る傾向は見られていません。

 

早期離職の大きな要因としては、

様々な側面でのリアリティショックが絡んでいるケースが多くありますが、

このような「現実と理想の差」というものは、いわば誰しもが経験することであり、

本人の意識や心の持ちようによっては、離職を思い留まらせることも不可能ではありません。

 

「リアリティショック」とは?新入社員が辞める5つの原因と対策

 

これには、上司などの上層部からの圧力では意味がなく、

利害関係の無い、対等な立場で腹を割って話せる同期の存在が重要です。

 

そのため、ピアフォロー促進の機会を積極的に提供し

横のつながりを構築させることは、

貴重な人的リソースの流出を防ぐ、という意味合いでも大きなメリットが存在すると言えるでしょう。

 

2.ピア・フォロー促進のステップ

では実際にはどのようなやり方でフォローを行っていけば良いのでしょうか。

 

ステップは大きく分けて5つです。

 

1.就活イベントなどを開催

2.似た者同士で小さな集団を作る

3.メンバーの自己開示で仲間意識を醸成

4.小さな集団同士がコミュニケーションを取る

5.大きな集団で仲間意識を作る

 

具体的なピア・フォローのやり方として、

まず第一に取り組むべきではイベントの開催です。

 

就活イベントにて、

自社PRの場や就活生側の自己PRの対策の場を設け、

就活生同士が互いにコミュニケーションをとっていくことで

自社に就職するモチベーション向上にも効果が期待できます。

 

ここでポイントとなるのが、そのイベントの規模です。

 

はじめは小さな規模、あるいは少人数でチームを振り分け

ピア・フォローを図ってみると良いでしょう。

 

なぜなら、

小さな集団の中であれば個人個人のパーソナリティが目立ちやすく、

コミュニケーションの活発化も図れるからです。

 

小さな集団を作ってピア・フォローを行っていく際、

そこのメンバーは似たもの同士で構成するとさらに仲間意識が生じやすく、

効果的なピア・フォローが実現します。

 

メンバー同士の共通点は、

経歴や大学、趣味、志望業界、志望動機などから決定することが効果的です。

 

就活に関する情報で類似性が高いほど、

その後の就活仲間となる可能性が高いため、

企業への意欲向上なども期待できます。

 

また実際のイベントでは自己紹介を必ず丁寧に行い、

互いの共通点に気付かせることもまた重要です。

 

ピア・フォローの目的は、

あくまでフォローの主体として就活生たち自身を巻き込んでいくことです。

 

就活生同士が自発的にお互いを支え合うきっかけ作りとして、

お互いの理解を深める機会が不可欠です。

 

次に規模がだんだん大きくなって行くと、

仲間意識が出来上がっている小さなグループ同士の橋渡しをする役目が重要になってきます。

 

小集団の中にいる外向性の高い就活生を中心に

ファシリテーターのようなポジションについてもらい、

小さなグループ同士のコミュニケーションを促進します。

 

こうすることで、

仲間意識のネットワークは小さいものから大きなものへと成長していき、

採用担当者が自ら手を下さなくても

就活生同士がお互いに自社への就職意向を高めてくれるコミュニティが

出来上がるのです。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

 

多くの就活生が就職を志ている現代において、

採用活動もいかに効率よく、優秀な人材を採れるかというところで

工夫が必要な時代になってきています。

 

ピア・フォローによって就活生同士のストレスを取り除きつつ、

入社後のコミュニティにまで注意を払える、効率的なフォローが可能です。

 

ポイントは就活生をフォローの主体とすることで、互いのコミュニケーションの中で一気に複数名の入社意向を高めることです。

 

生産性と効率、精度において

満足のいく採用活動が実現することを願っております。

 

監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。

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