長野県立大学生が選ぶ就職先No.1は?就活の実態と傾向を徹底解説
2025年7月29日更新
はじめに
長野県立大学は、2018年に新設された比較的新しい大学でありながら地域との深いつながりとグローバルな視点を両立した教育方針で注目を集めています。特に「ソーシャル・イノベーション」や「地域創生」といったテーマに関心をもつ学生が多く、就職活動においても社会課題に向き合いながら自らの力を発揮できる職場を選ぶ傾向が見られます。
たとえば2024年度の卒業生データでは、地方自治体や地域金融機関、コンサルティング企業、そして地域に根差した企業への就職が多く見られました。近年ではJICA(国際協力機構)やSDGs関連のベンチャー企業への内定実績もあり、学生たちのキャリア志向が着実に多様化していることが分かります。
こうした就職先に共通しているのは「人とのつながりを大切にしながら課題解決に挑む」姿勢、そして「自分の言葉で語れる価値観やビジョン」を持つ学生が求められている点です。長野というローカルな環境で培った地域目線と世界に目を向ける感覚の両方を備えていることが、他大学にはない強みといえるでしょう。
本記事では、長野県立大学の主な就職先や業界ごとの傾向、学部・学科による進路の違い、さらには卒業後のキャリアパスまでを詳しくご紹介します。就職活動を控える在学生や、これから長野県立大学を目指す受験生・保護者にとって、進路選択の参考になる情報をお届けします。
長野県立大学生の就職先ランキングTOP5
長野県立大学の学生は地元長野に根ざした企業・自治体・メガバンクなどへの就職が多く、県内でキャリアを積みたい人にとって魅力的な選択肢が揃っています。2024年度(2023年4月~2024年3月卒)の実績から、特に多くの内定者を輩出したトップ5をご紹介します。
第5位:三菱電機 (製造業)
出典:三菱電機株式会社
三菱電機株式会社は日本を代表する総合電機メーカーであり、技術力の高さと製品の信頼性で業界トップクラスの評価を得ています。特に自動車部品、エネルギーシステム、FA機器分野での開発力が強く、長野県立大学生にも技術者としてのキャリアを志す人材に人気です。
主な特長
- グローバルマネジメント学部から複数名が内定
- 長野県内外の工場や支社での配属機会あり
- 安定した事業基盤と技術力をベースに長期キャリア形成が可能
社風・働き方
- 技術志向で品質重視の風土
- ワークライフバランスを重視した働き方が定着
- 研修制度・資格支援が充実
- 技術職やものづくりに興味がある人
- 安定的な企業で長く働きたい人
- 地元で技術キャリアを設計したい人
- チームで成果を出すことにやりがいを感じる人
- 国内外の現場で活躍したい人
第4位:東京海上日動火災保険 (金融・保険)
東京海上日動火災保険は日本最大手の損害保険会社であり、幅広い保険商品と質の高いサービスで顧客から信頼を集めています。リスクマネジメントや保険設計に強みがあり、長野県立大学の学生にも金融や保険業界を志す層から支持されています。
主な特長
- 保険業界の中でも大手で、グローバルマネジメント学部からの就職実績多数
- 長野や静岡など地域営業部門配属の可能性あり
- 資産管理やリスクマネジメントを学べる環境
社風・働き方
- 安定・堅実な企業文化
- コンプライアンス意識が高く安心して働ける
- 営業×コンサル型の業務スタイル
- 安定企業で働きたい
- 地域社会に密着した営業をしたい
- 金融やリスクに関心がある
- コツコツと丁寧に仕事を進めたい
- メガ損保のブランド力を活かしたい
第3位:八十二銀行 (地方銀行)
出典:八十二銀行
八十二銀行は長野県を中心に地域密着型の金融サービスを提供する地方銀行です。地域経済の発展に貢献し、地元企業や個人のニーズに応える丁寧な対応が特徴で、長野県立大学生にも地域貢献を重視する人材から支持を集めています。
主な特長
- 長野県最大手の地方銀行で、グローバルマネジメント卒から多数内定
- 地域経済や中小企業との関わりが深い業務内容
- 金融を通じて地域貢献する機会が豊富
社風・働き方
- 地域密着型の温かい企業風土
- お客様と長期的な信頼関係を築くスタイル
- 地元勤務が基本で、Uターン志向者にも適応
- 地元長野で働きたい
- 金融を通じて地域活性化に貢献したい
- 人とじっくり向き合う営業スタイルが好き
- 安定かつ地域に根ざした企業でキャリアを築きたい
- 人間関係・信頼構築に重きを置ける人
第2位:日本政策金融公庫 (公的金融機関)
出典:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、中小企業や農林水産業への融資支援を通じて日本経済の成長を支える政策金融機関です。地域社会への貢献と安定した経営基盤が魅力で、長野県立大学の学生にも公的金融分野でのキャリアを志望する人に人気があります。
主な特長
- 中小企業や農業への融資支援を担う公的金融機関
- グローバルマネジメント学部の就職先に含まれる実績多数
- 公共性の高い業務を通じ、社会課題解決に関与可能
社風・働き方
- 公共性重視、社会貢献意識が強い組織風土
- 安定性の高い勤務環境
- 地域密着型勤務が中心
- 地方創生や地域支援に関心がある
- 公的機関での安定した仕事を望む
- 中小企業支援に取り組みたい
- 社会的意義のあるキャリアを選びたい
- 長期的な視点で働きたい
第1位:長野県 (公務員)
出典:長野県公式サイト
長野県職員(地方公務員)は、地域の福祉・教育・産業振興などに携わり、県民の暮らしを支える重要な役割を担います。地域貢献や安定した職場環境を求める学生から高い人気があり、長野県立大学でも志望者の多い進路のひとつです。
主な特長
- 長野県・長野市など地方公務員として多数内定(健康発達・こども・GM学部から)
- 教育・福祉・行政など多様な部署配属が可能
- 管理栄養士や保育士資格を活かせる職種も豊富
社風・働き方
- 公的使命感を重んじる職場文化
- 安定した勤務時間と福利厚生
- 地域住民との協働が中心の業務
- 地元で長く公的な仕事に就きたい
- 資格(保育士、栄養教諭、管理栄養士等)を活かしたい
- 教育や福祉分野に興味がある
- 地域住民と直接関わる仕事がしたい
- 安定した環境で働きたい
文系と理系での進路傾向の違い
長野県立大学では「グローバルマネジメント学部(文系)」と「健康発達学部(理系)」で進路や志望業界に明確な傾向の違いが見られます。それぞれの学びの特性や志向が、卒業後のキャリア選択に大きく影響を与えています。
文系 : 地域と世界をつなぐマネジメント志向
グローバルマネジメント学部の学生は、地域貢献と国際感覚の両立を目指しながら社会課題の解決に向けたビジネスや行政の分野に高い関心を持っています。
- 地域銀行・信用金庫、官公庁、地方自治体など、地域に根ざした経済や政策に関わるキャリアが人気です。
- コンサルティングやメーカーの企画職では、課題解決力とプレゼン力が評価される傾向があります。
- 社会起業やNPOへの関心も高く、「社会に役立つビジネスモデル」を志向する学生が多いのも特徴です。
「人・地域・社会」に深く関わることを重視し、自らの行動が価値創出につながることを重んじる文系学生にとって親和性の高い選択肢となっています。
理系 : 栄養・健康科学を活かした専門職志向
健康発達学部(主に健康栄養科学科)の学生は、食・栄養・発達支援といった分野での専門性を活かす進路を目指す傾向が顕著です。
- 管理栄養士として、病院・福祉施設・保育園・学校などの公的機関で専門職として活躍する卒業生が多くいます。
- 食品メーカーや行政機関の栄養指導職では、栄養学の知識を基盤とした実践力が重視されます。
- 大学院進学を通じて研究職を志す学生もおり、科学的知見と社会応用をつなげる姿勢が育まれています。
理系学生は「エビデンスに基づいた健康支援」や「科学的に裏付けられた実践」のプロセスに魅力を感じ、実社会への直接的貢献を視野に入れたキャリア選択をする傾向があります。
志向の違いの背景にあるもの
文理の違いは、それぞれの学部で育まれる価値観やスキルの違いから生まれています。
- グローバルマネジメント学部では、社会構造や地域経済を俯瞰的にとらえる視点が養われ、「現場に根ざした変革」への意欲がキャリアに反映されやすいです。
- 健康発達学部では、科学的な検証や専門知識に基づく支援を通じて、「個人の健康や発達に直接貢献する」ことへの関心が高まっています。
文系は「社会との対話を通じた変革」、理系は「科学を実装する専門職」としてのキャリア志向がそれぞれの進路選択に色濃く表れています。
学部別での進路傾向の違い
長野県立大学では、学生の進路は所属する学部によって明確に異なります。これは、それぞれの学部において扱う専門分野や社会課題へのアプローチの仕方、地域との連携の深さがキャリア観に影響しているためです。以下に、主な学部ごとの進路傾向を詳しく紹介します。
グローバルマネジメント学部:多様な業界への進出と地域×ビジネス志向
グローバルマネジメント学部(GM学部)は、ビジネス、経営、地域創生を横断的に学べる点が特徴で、学生たちは地方銀行、公的機関、製造業、保険業、そしてコンサルティング企業など幅広い業界へ進出しています。特に「地域に根ざしながら世界とつながる働き方」を志す傾向が強く、地元・長野でのUターン就職も多く見られます。
- 主な進路先:八十二銀行、日本政策金融公庫、東京海上日動火災保険、長野県庁、三菱電機、マイナビ、日立製作所 など
- 大学院進学:経営学や地域マネジメントの探究を目的に、信州大学・一橋大学大学院などに進学する例もあり
- キャリア観の特徴:持続可能性や地域活性化、ビジネスによる社会課題解決への関心が強く、「価値を生むしくみをつくる側」への志向がある
健康発達学部 子ども学科:保育・教育・公務を軸にした福祉志向
子ども学科では保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の資格取得を前提とした実践教育が行われており、多くの学生が地方自治体の保育職や教育関連機関、公立園などに就職しています。近年は、子育て支援や子どもの貧困対策など福祉と行政をつなぐような仕事を希望する学生も増加しています。
- 主な進路先:長野県・長野市(保育士)、公立保育園、認定こども園、社会福祉法人、学童保育施設 など
- 大学院進学:子どもの発達や家庭支援領域に関心を持つ学生の中には、教育系大学院や発達心理分野に進学する例も
- 価値観の傾向:「一人ひとりの子どもと丁寧に向き合う」「家庭や地域の育ちを支える」など、人との関係性を重視するキャリア観が強い
健康発達学部 栄養学科:管理栄養士資格を軸に、医療・行政・教育分野へ
栄養学科は国家資格である管理栄養士の取得を目指すカリキュラムが特徴で、医療機関・学校・自治体などでの栄養の専門家としての就職が主流です。近年は病院栄養管理だけでなく、地域保健活動や企業の健康経営分野など新たな分野への関心も高まっています。
- 主な進路先:長野県・市町村(管理栄養士)、総合病院、福祉施設、保健所、栄養教諭、食品関連企業 など
- 大学院進学:公衆栄養や臨床栄養、栄養教育など、専門性を深めるための大学院進学も一部で見られる
- キャリアの特徴:健康支援や予防医療への関心が強く、「地域の暮らしを食から支える」ことを目指す学生が多い
学部ごとの学問的背景や資格志向、地域との関わりの深さがその後のキャリア選択に直結する構造になっているのが長野県立大学の進路の特徴です。そのため、学部選びの段階から「どのような地域・人々と関わって働きたいか」「どんな社会的貢献をしたいか」といった将来像を明確にしておくことが、理想のキャリア構築において重要です。
OB/OGインタビュー|卒業生の体験談
実際に長野県立大学を卒業し、地域や公的機関で活躍している先輩たちはどのような動機で進路を選び、どんな学びや準備を経てキャリアを築いたのでしょうか。今回は、長野県庁勤務と公衆栄養・保健分野で活躍するOB/OGの体験談を通じて、大学生活と就活の現場から得られるリアルなヒントをお届けします。
長野県庁(行政)へ就職したOGの体験談
長野県で「地域の魅力を未来に伝えたい」と思い、長野県庁に進路を決めた先輩は、大学時代に得た主体性と行政知識を活かして現在も広報やイベント準備に携わっています。特にスポーツ振興に関わる仕事では、2028年の国体・障害者スポーツ大会の準備にも参加中です。「大学1年次からの全寮制生活での自主性、公務員講座で学んだ行政知識が、現在の業務に大きく役立っている」と語ってくれました。
公衆栄養・保健分野で活躍するOGの体験談
前身の短期大学で管理栄養を専攻し、その後4年制大学に編入して資格取得した先輩は、地元の農協で食農教育に携わった後、長野県の保健所職員として地域の健康づくりと食育に取り組んでいます。大学院に進学したきっかけは、公的機関での実務経験を研究に繋げたいという想いから。「母校の教員との距離の近さや丁寧なサポート体制が安心感を与えてくれた」と振り返ります。
長野県立大学のOB/OG訪問や内定報告会などを通じて、先輩たちの実際の進路や働き方に触れられる機会が豊富に設けられています。また、キャリアセンターでは就職アドバイザー制度を導入し、現役学生が卒業生から直接アドバイスを受けられる支援体制が整っています。
長野県立大学のキャリアセンターではどんな支援が受けられる?
長野県立大学キャリアセンターでは、学生一人ひとりの進路希望や適性に応じた個別・体系的な支援を提供し、入学から卒業・社会人への第一歩までを一貫してサポートしています。
就職相談・面接練習・書類添削
- キャリアアドバイザーや専任キャリアコンサルタントによる「進路相談や面接練習」「エントリーシートや履歴書の添削」を1対1で実施しています
- 進路選び・業界研究・自己分析などにも対応しており、対面またはZoomで約40分単位で相談可能です。
- 模擬面接では回答内容・話し方・態度に加え非言語表現まで含め細かくフィードバックし、個別課題を明確化します。
- 履歴書やESは専用フォームで事前に提出し、第三者視点による丁寧な添削を受けられます。
業界研究セミナーや各種ガイダンス
キャリアセンターでは「業界・企業研究会」「公務員ガイダン」「エントリーシート作成講座「*面接対策講座」など多彩なセミナーやガイダンスを定期開催しています。
これらの企画では採用担当者や現役卒業生、先輩社員を招いた講演やパネルディスカッション形式のセッションがあり、実際の業務内容や職場環境、選考対策を学ぶ貴重な機会となっています。
インターンシップ・キャリア実習支援
低年次(1〜2年生)から参加可能な就業体験型の「キャリア実習(インターン制度)」が制度化されており、3年次には選択履修科目として取り組めます。
キャリアセンター主催の「インターン選考対策講座」や「説明会」も実施され、企業や自治体と連携したプログラムを大学を通じて案内・応募できます。
Uターン・Iターン就職支援
地元復帰や他地域での就職希望者向けに「Uターン/Iターン就職支援パートナー制度」を導入。全国13大学との連携により、現地での求人閲覧、就職相談、書類利用などを受けられます。
まとめ|長野県立大学生の就職活動はここがポイント!
長野県立大学の学生が納得のいく進路を実現するためには、「地域と世界をつなぐ学び」で培った柔軟な発想力と行動力を活かす就職活動がカギとなります。地域連携プロジェクトや海外プログラムなどで得た実践的経験を、自分らしいキャリアにどう結びつけるかが重要です。
以下のポイントを意識することで、将来につながる確かな一歩を踏み出せるはずです。
- 地域・社会とつながる視点:地域課題に取り組んだ経験やインターンでの実績を、自身の強みとして企業に伝える。
- 自分らしさを深める自己分析:グローバル教育やゼミ活動などで得た気づきから、自分の価値観や働き方を具体化。
- 実践的な情報収集:学外のキャリアイベントやOB・OG訪問を積極的に活用し、リアルな業界理解を深める。
- 広い視野と柔軟性:地域就職に限らず、グローバルな環境や多様な業界にも視野を広げる柔軟な姿勢を大切に。
長野県立大学で培った「地域を見つめ、世界を考える」視点を強みに、自分だけのキャリアをデザインしていきましょう。経験を自信に変えて、一歩ずつ着実に未来へ進んでください。