新卒後の新入社員にストレス耐性を身につけさせるには?|原因と予防策

新卒後の新入社員にストレス耐性を身につけさせるには?|原因と予防策

2020年7月31日更新

はじめに

ビジネス研修「Biz CAMPUS Basic」を提供する株式会社ラーニングエージェンシーが、

2020年4月2日から4月22日にかけて、

2020年入社の新入社員3,128名を対象に実施した

第7回 新入社員のキャリアに対する意識調査」によると、

今の会社での勤続意向についての設問では

「今の会社で働き続けたいですか?」に対する回答として

「できれば今の会社で働き続けたい」が59.1%を占め、

5年ぶりに増加に転じています。

 

今の会社で働き続けたいですか?

▲ラーニングエージェンシー 新入社員のキャリアに対する意識調査「今の会社で働き続けたいですか?」に対する回答

 

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、

業績不振や内定取り消しなどの暗いニュースが相次ぎ、

将来への展望が見通せない不安を反映した結果であり、

売り手市場であった過去数年間から一転、

守りの姿勢が強まったと見られています。

 

しかしながら、本来であれば同期で親睦を深め、

会社への思いを新たにする時期であったにも関わらず、

それが叶わずオンラインでの研修を余儀なくされたため、

通年よりもストレスや不安が溜まっているのも事実です。

 

ラーニングエージェンシーが実施した研修では、

参加した新入社員から

「社会人生活が在宅勤務からスタートし、社会人らしさを感じられず不安」

「新入社員研修後から自宅待機となり、いつまで続くか不安」

「会社の様子が伝わってこない」

等の声が挙がっており、

期待に胸を膨らませていた社会人生活が間延びし、モチベーションが低下

5月病状態に陥っていた新入社員も少なくありません。

 

このような新入社員のメンタルヘルスをマネジメントすることも、

企業にとっては必要性が増してきています。

 

本記事では、

新入社員が抱えがちなストレスを紹介すると共に、

対処法や、ストレス耐性を身につけさせる上でのポイントについて解説します。

1.新入社員が抱えるストレスの4つの原因

 

新入社員が抱えるストレスは、

大きく次の4つに分類されます。

 

・職場や上司との人間関係

・環境の変化

・入社前のギャップ

・ミスによる自信喪失

 

しかしながら、ストレスを抱えている新入社員の多くは

上記のいずれかではなく、上記全てに苦しんでいる場合も多くあります。

 

それぞれの状況について詳しく解説します。

 

 

1-1.職場や上司との人間関係

 

最も多い理由としては、やはり人間関係が挙げられます。

価値観を同じくする者とのみ付き合えばよかった学生時代と異なり、

価値観や年齢が全く違う人種や、苦手な人と上手く割り切って付き合わなければならない社会人は、

次第に慣れてくるとはいえ、初めのうちは難しく感じてしまう新入社員がほとんどです。

 

特に年齢差は大きく、

休憩時間が一緒になってしまった場合、どのような話をすれば良いか皆目見当がつかず、

業務以外の面で神経をすり減らす場合も少なくありません。

 

さらに、上司とウマが合わない場合はさらに深刻です。

上下関係に慣れていない場合や、厳しい上司にあたった場合、

または真面目に全てを受け止め過ぎてしまう性格の場合は、

自責の念にかられ過ぎてしまい、最悪の場合は適応障害やうつ病の発症につながってしまいます。

 

加えて、上司間での「理不尽」に直面した場合も同様です。

例えば、新人への指示内容が異なっていた場合や、

上司から理不尽な内容で叱責を受けた場合、

性格面など業務面以外で納得のいかない評価を受けた場合。

 

はけ口の無い悩みに次第にストレスが募っていき、

違う環境を求めるようになってしまいます。

 

 

1-2.環境の変化

 

また、環境の変化も挙げられます。

起床時間や生活リズム、住環境が大きく変わり、

人によっては初めての東京・地方暮らしが始まることとなり、

全く慣れない環境で終始緊張、新入社員が気づかないうちに気疲れしてしまっている場合もあります。

 

社会人からしてみれば当然のことながら、

新入社員にとっては毎日生活を送るだけで一杯一杯となってしまっているため、

睡眠不足などで業務に支障が生じてしまうケースもあるでしょう。

 

 

1-3.入社前のギャップ

 

いわゆる「リアリティ・ショック」ですが、

入社前に抱いていた理想と現実の差にモチベーションが下がり、

ストレスを感じながら業務に当たっているケースです。

 

理想には様々なものが該当しますが、

例えば社風や企業の雰囲気、

残業時間や有休消化率、

経営幹部と現場の認識のズレ、

担当する業務内容や、裁量の大きさなどが挙げられます。

 

「こんなはずじゃなかったのに」

と、日々悶々とした思いを抱えながら業務に従事し続けた結果、

あるタイミングでその思いが爆発し、退職・離職を決意、という事態に陥ってしまう場合もあるようです。

 

「リアリティショック」とは?新入社員が辞める5つの原因と対策

 

 

 

1-4.ミスによる自信喪失

 

昨今の若者はゆとり世代とは言われるものの、

実は真面目であり、責任感が強いといった気質が特徴となっています。

 

また、高度な教育環境を受けて育ったために、

他者から叱責されるという経験を持ち合わせていない場合も少なくなく、

度重なるミスや指摘に落ち込んでしまい

「自分は仕事ができない」

「この仕事に向いていない」

と、自信喪失につながってしまいます。

 

また、覚えることも山のように多いため、

要領よくこなすことができない場合には、大きな苦痛を強いることになります。

 

さらにひどい場合には

「もうミスはできない」

と自分を追い込んでしまい、恐怖心が増大した結果、

出社拒否や早期離職・転職を招いてしまい兼ねません。

2.新人のストレスを緩和する方策

新しい職場を3年以内という短い期間で去ってしまう新入社員の早期離職の原因のほとんどは、

身の上のやむを得ない理由ではなく、

人間関係や仕事上のストレスなどのネガティブなものです。

 

では、実際にそのような新人が感じるストレスを緩和するにはどうすれば良いのでしょうか。

 

方法は大きく分けて以下の2つです。

 

・周囲からの「ピア・フォロー」の活用

・インフォーマルネットワークを充実させる

・本人のストレス耐性を高める

 

 

2-1.「ピア・フォロー」の活用

 

職場での理不尽な場面にストレスを感じる新人が多いとはいえ、

理不尽さを無くすことは非常に難しいといえます。

 

そこでまずは、

周囲を巻き込んだ職場での全体的なサポートが必要になります。

 

新人を周りを巻き込みつつサポートする手法として、

ピア・フォロー」と言うものがあります。

 

「ピア」とは「仲間」の意味であり、

多くの場合は採用者が説明会や就活イベントなどを行い、

たくさんの学生を一度にフォローしたいときに使われる手法です。

 

具体的にはフォローしたい対象、

今回であればストレスを感じている新人を含めた同僚全体など、

一定の集団に対して一度にケアを行うことです。

 

初めのうちは

小規模で今の職場に対する意見を交換するミーティングを行ったり、

改めて職場の雰囲気や問題に対して同僚と共に考える時間を設けたりして、

新人同士が仲間意識を持った集会を開くのが良いでしょう。

 

そういった「仲間」を意識した場で問題解決に取り組むこと自体が

不満のはけ口となり、

抱えるストレスが緩和するかもしれません。

 

また、集会に限らず、

新人が尊敬している上司や相性のよい先輩などとマンツーマンで行う

メンタリングやフォロー面談なども効果的です。

 

通常働いているだけでは口に出さないような気持ちを

信頼できる人物に話し、対話することで、

新人が自身のストレスの解決に気づきを得ることがあります。

 

 

2-2.インフォーマルネットワークを充実させる

 

インフォーマルネットワークとは

個人が家族や親族、友人や仲間と形作る人間関係のことであり、

個人の福祉のためには

公共や民間のフォーマルなサービスによるサポートに加えて、

このインフォーマルネットワークの充実が不可欠とされています。

 

この人間関係においては

自助、共助の精神によって個人の福祉が実現するため、

職場における同僚や上司とのインフォーマルネットワークを充実させ、

互いを尊重し、

親和性を高めるような人間関係づくりをすることが大切です。

 

一言で言えば、

風通しの良い企業風土の構築とも表すことができます。

 

 

2-3.本人のストレス耐性を高める

 

新人が職場に感じているストレスを緩和すると同時に、

本人をストレス耐性のある人材に育成することもまた、非常に大切です。

 

そのために重要なのは、

ストレスマネジメント能力の獲得です。

 

ストレスマネジメントとは具体的には、

自己管理能力を向上させて原因を探るとともに、対処法を実践していくこと

を指します。

 

自己管理能力は自身の現状を見つめ直し、

自分がどういうときにストレスを感じ、

それによって行動や考えにどのような影響があるかを

本人が常にチェックすることです。

 

また、ストレスの原因を突き止めた時に実践するべき対処法は大きく

・問題中心のもの

・感情中心のもの

に分けられます。

 

前者は、突き止めたストレス原因そのものに対策を施し、

自分のストレスを取り除こうとするもので、

具体的には前述したピア・フォローを行ったり、

仕事量を変えることなどが該当します。

 

また、後者は問題に対する自分の感情にフォーカスし、

見方を変えるものです。

 

例えば、

「自分の仕事量が明らかに同僚より多くてつらい」

というストレスを感じたとき、

「仕事量が多いのはそれはど信頼されているからだ」

と、ポジティブに思考を転換することなどが挙げられます。

 

また、大きなストレスを感じる上司からの叱責は、

それほど自分を期待の目で見てくれている証拠だ

と考えることもまた、

同じ感情を中心に考えた解決法だと言うことができます。

 

このような思考転換は、一筋縄ではいかず、

周囲からのサポートと本人の努力があってこそ成り立つものであり、時間を要しますが、

一度獲得したストレスマネジメント能力は、その後の本人の活躍にも大きな影響を及ぼすため、

長期的な視野で見ると大きなメリットがあると言えるでしょう。

3.職場環境改善に役立つ「アサーティブネス」を取り入れたコミュニケーション

個人がストレスのマネジメントをする能力の一つに、

アサーティブネス」というものがあります。

 

アサーティブネスとは、

意見を主張する際、感情が伴うと言いづらくなってしまう状況に対処するときに、

効果を発揮するコミュニケーションスキルの一つです。

 

具体的には、

何かを主張するときに相手の意見も尊重しつつ、

自分の心の中を開示することを恐れずに

意見や気持ちをその場に適切な言い方で表現できることです。

 

 

アサーティブネスに欠かせないのは

尊重、誠実、対等、率直などの相手に対する配慮の精神であり、

これは前述のインフォーマルネットワーク充実にも関わるスキルだと言えます。

 

アサーティブネスを欠いたコミュニケーションでは、様々な問題が生じます。

 

例えば、互いに及ぼす影響を恐れすぎて受動的になったり、

相手への尊重を忘れた強い主張をして攻撃的になったり、

さらには本心を隠したまま嫌味や回りくどいやり方で人を責めたりする、などが該当します。

 

このようなコミュニケーションはストレスの源泉となってしまい、

言うまでもなく職場にとっては悪影響を及ぼします。

 

なるべく多くの社員が節度を持った、

丁寧な主張ができることが新人のストレス問題を解決することに繋がります。

 

また、新人本人も社内での立場や発言力が弱いからこそ、

このアサーティブネスによって

自分でストレスをコントロールしていくことが大切になるのです。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

 

新人のストレスの緩和には、

周囲のサポートに加え、

本人のストレスのマネジメント能力向上が大切であると言えます。

 

また、ストレスの源泉は理不尽さでもあり、

そのような問題に感じる不満を他に吐き出せないことも、

ストレスを増幅させる一つの原因です。

 

それを踏まえ、いま一度職場の雰囲気や新人の様子を観察して、

どこかに理不尽さやストレスを感じてしまうような問題は起こっていないかなど、

職場環境や人間関係を定期的に見直すこともまた、

早期離職や転職予防に効果的であると言えるでしょう。

 

 

監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。

 

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