理系学生が文系就職するのはもったいない⁉を徹底解説
2024/8/28更新
はじめに
就活生の皆さんは、ご自身がどのような進路を歩むことを希望しておられるでしょうか。
一般に、文系学生は、業種はともかく、営業、企画、広報をはじめ、総務、経理等事務系の職種に就くことを想像することが多いと言えるでしょう。
これに対し、理系学生は研究開発、テクニカルサポート等の理系学部の出身であることを前面に出した職種に進むことを想像する人が多いはずです。
また、理系の学部生の中には、ゼミの指導教授と相談したうえで大学院の修士課程に進学する道を選択する人もいることでしょう。
そんな中で、理系学部の学生でありながらも、文系就職の道を進もうとする人に出会うことがあります。
そのような理系学生に対し、友人を含む周囲の人たちは「理系なのに文系就職するなんてもったいないよ!」という話をしていることを耳にします。
果たして、このような指摘は当たっているでしょうか。
また、そのような選択を使用としている理系学生より意見を求められた場合、どのようにアドバイスをすることが適切なのでしょうか。
この記事は以下のような点を知りたい就活生を対象にしています。
- 理系学生が文系就職すると、今までの理系学部で勉強したことが無駄になってしまうの?
- 周囲の理系学生は、研究職、エンジニア、プログラマー等の理系就職するのが通常なのに、文系就職すると不利になってしまうことはないの?
- 理系学生が文系就職する場合の注意点や今後のキャリア形成を教えて
理系学生が文系就職することに関して興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、理系学生が文系就職すること以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひご覧ください。
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この記事の結論
理系学部に所属する学生(以下「理系学生」)が文系就職することが「もったいない」などということはありません。
上記の結論の最大の理由は、理系学部で学んだことが文系就職することによって無駄になってしまうということはないからです。
また、実際上、文系就職した理系学生は、決して少なくありません。
理系学生の文系就職の是非
今までの勉強が無駄になってしまうということはない
理系学生が文系就職するにあたって、もっとも良く聞かれることが「今までの理系学部で学んだ事柄が無駄になってしまう」というものです。
この点について、結論を先に申し上げるとすると、そのような批判ないし意見は的外れであると断言できます。
大昔であればともかく、現在のビジネスシーンにおいては、文系職種においても理系学生のニーズは年々高まっているのが実情です。
その背景にあるのは、きわめて多くの業種においてIT化が進展するとともに、各々の業務が複雑化していった結果、多くの業務において数的処理の能力を必要とする状態になったからです。
また、社内外に向けた各社の事業に関する説明を行うにあたり、論理性が従来以上に求められており、これを可能にする論理的思考能力の持ち主を確保する必要性が高まったからです。
加えて、一定の専門性ないし技術的専門知識を持っていることから、社内で技術者として業務に従事するわけではないとしても、自社で取り扱う商品・サービスを支える技術的素養を理解し得る人材であることは、より高次元の業績を残す可能性を高めるといえます。
つまり、より付加価値の高い仕事をすることが期待できるわけです。
実際、総合商社においては、新規に海外で工場を設置するにあたり、設置後における業務の継続的運用を考えるにあたり、取扱商品に係る技術的知見があることにより、事業の成功により近づくことができるようになります。
こうした事情により、理系出身者でありつつ、経営企画、営業、マーケティングといった職場に配属される社員は少なくないのです。
現在のビジネスシーンにおいては、たとえ文系職種であったとしても、理系の素養なしには成り立ち得ないと言い換えることもできるのです。
このように、いわゆる文系職種であったとしても、理系学生の必要性が高まっているのが現状なのです。
理系学部生の進路
理系学部の学生は、卒業後にどのような進路を選択するのでしょうか。
学生の眼の前には、企業への就職の他に大学院(修士課程)への進学という道があります。
文系学生の場合にも大学院(修士課程)への進学という進路があり得るところではありますが、文系学部の大学院の場合には、院生として受け入れる人数が理系の場合と比較して少ないのが実情です。
このため文系学部の学生が大学院(修士課程)に進学するケースは、理系学生と比較して少数にとどまることでしょう。
このような点から見ると、理系学生にとって、学部からの卒業にあたり、最初の決断となる関門は大学院(修士課程)に進学するか否かの判断になります。
学部卒業後に就職する理系学生の割合
文部科学省「令和3年度 学校基本調査」によると、大学の学部卒業後に就職する理系学生は55.7%であり、大学院への進学者は36.5%とのことでした。
理系学生が「大学院に進学して、学部時代よりも高度で専門的な研究に従事したい」と考えることには何の不思議もありません。
研究を深めていけば、深めるほど、そうした気持ちになるのは当然であるとさえ言えるでしょう。
また、メーカー等の研究職の場合には、学部卒ではなく、大学院修士課程修了見込みの者を選考対象とする場合が少なくありません。
こうしたメーカー等の企業の中には、研究職として業務に従事するには学部卒では不十分であり、修士の学位を得ていることが研究者としての出発点であると認識しているとみて良いでしょう。
このため、今後、就職するにあたり、自身のキャリアを研究職として築いていきたいという希望がある場合には、大学院への進学が必要なのか、それとも学部卒でも足りるのか、自身が志望する企業がどのように考えているのかを事前に十分に研究しておくことが肝要です。
理系学生と文系学生の就職率に大きワケな差はない
文部科学省「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査(令和5年4月1日現在)」によると、2023年4月1日時点における文系学生の就職率は97.1%、理系学生の就職率は98.1%でした。
前年の「令和3年度大学等卒業者の就職状況調査(令和4年4月1日現在)」においても文系学生の就職率は95.4%、理系学生の就職率は97.4%でした。
このように、近年の調査結果を見る限り、理系学生と文系学生の就職率については、理系学生の方が文系学生と比較して就職率は高い数値となってはいるものの、
文系学生の就職率も90%後半という高い数値であり、理系学生であることが特に有利であるとの傾向までは読み取ることはできません。
理系が文系よりも就職に有利だと言われるワケ
専門職への就職に強い
理系学生は文系学生よりも専門職への就職に強いと言われることがあります。
ここでいう専門職というのは、職務固有の専門知識等を身につけておかないと業務を適切に遂行することができない業務を指します。
専門職として業務を遂行するためには、かなりの勉強を積む必要があり、それは一旦習得すれば済むという程度のものでは決してなく、その仕事を続けていく以上、継続的に知識を深め、情報をアップデートしていくことが必然的に求められているわけです。
具体的な例を挙げるとすると、弁護士や公認会計士、建築士や医師等は専門職の代表格です。
また、IT技術に不可欠なITエンジニアも同様に専門職であるといえます。
理系学生は、大学の講義や演習の中で専門的で高度な知識を習得しています。
よって、専門職を必要とする企業からの採用にあたって、求められることが少なくないのです。
高度な業務を行うにあたり、その前提となる基礎知識を備えていない人材をゼロから育成していくことは相応の時間と費用を必要とします。
IT技術を中心に進化のスピードが速い現在のビジネスの世界において、特に時間の側面を無視することはできません。
こうした理由から専門職への就職にあたって、理系学生が文系学生よりも有利となる場合が見られます。
推薦の応募枠が多い
推薦応募とは、企業が大学側から一定以上の水準を満たす学生を推薦してもらい、その中から採用を行う方法をいいます。
これは理系学生特有の採用方法であり、文系学生の場合には、このような採用方法がとられることはありません。
学生の立場から見て、企業への合格率が高く、就活も短期間で済むという点で理系学生にとっても大きなメリットになります。
実際、企業にとっても人物に間違いがなく、一定の能力を備えている人材を確保できる点で大きなメリットがあります。
内定獲得時期が早い
理系学生の場合、文系学生よりも企業からの内定を得る時期が早い傾向にあり、これも有利だと言われる事項の1つであるといえます。
理系と文系の就職率自体からは、理系が特段有利であるとまではいえないものの、内定を得る時期が早いという点に特徴があるというわけです。
こうした結果になるのは、理系学生のみを対象とした専門職種の採用活動が早期に実施されるためです。
企業による理系の専門知識ないし能力を有する学生に対する一種の囲い込みを行い、自社にとって必要となる人材を確保していくわけです。
理系学生が文系就職することのメリット・デメリット
理系学生が文系就職することが不自然なものではないとしても、学生個人の立場から見ると、周囲に同様に文系就職を目指す仲間等がいないこともあり得るところであり、就活等において不安を抱えたままの状態から脱却できないことも考えられます。
そこで、ここでは、理系学生が文系就職をすることのメリットとデメリットを見ておくことにしたいと思います。
メリット
希少価値が高い
理系学生が文系就職をするにあたって、最大の強みは希少価値にあるといえます。
文系就職においては、大半の就活生が「どうすれば自分の存在を際立たせることができるか」「どうすればアピールすることができるのか」に腐心している状況にある中、理系学生は、理系であること自体で差別化を実現することができているといえるのです。
理系学生の中には、「どうして理系学生がこの職種に応募してきたのだろう」と首をかしげられてしまうことはないだろうかという不安を覚える人もいるかもしれません。
しかし、すでに述べたように、現在のビジネスの世界では理系の知識ないし素養なしに事業展開をしていくことは困難であるため、企業の採用担当者は、上記のような首をかしげるということはありませんということはありません。
もちろん、希少価値が高いということのみで採用の全てが決まるわけではないことは言うまでもありません。
企業の採用担当者に「何としても、この理系学生を採用したい」と思われることが必要です。
では、どうすればそれが実現できるでしょうか。
それは「理系学生である私を採用することによって、会社にこのようなメリットが生まれる」ということを理解してもらうことです。
理系学生にとって、これまでの講義や演習の中での研究事項の中にこれを説明する材料がいくつもあるはずです。
これを掘り下げて採用担当者に説明していくのです。
採用担当者が理系の出身とは限りません。
ですので、文系の採用担当者であっても大枠の理解が可能になるよう、説明を工夫していく必要があります。
採用担当者がさらに興味を持ってくれたならば、その後の面接の機会には理系出身の社員を面接に起用してくるはずです。
時間的制約の中で研究に取り組み、論文やレポートを取りまとめたこと、実験が何度もうまくゆかなかったものの、メンバー間で知恵を出し合って、打開策を見つけ、小さいながらも一定の成果を出したことなと、自身を振り返るといくつもアピールできる事項があるはずです。
理系学生の中には「このような内容でも大丈夫なのだろうか」「もっと立派な、輝かしい内容のものでないと印象に残らないのではないだろうか」といった心配をする人もおられるかもしれません。
しかし、そうした心配は無用であるといえます。
なぜなら、理系・文系を問わず、企業の採用担当者はビジネスを進めていくにはいくつもの解決すべき課題があり、それを乗り越えていくことは苦難の連続であるということを熟知しているからです。
理系学生におかれては、当時の苦心談などを交え、丁寧に、そして論理的に説明することができるよう、本番に向けて練習しておくと良いでしょう。
研究内容をアピールすることができる
理系学生と比較して、文系学生の場合、在学中に特定の研究成果を上げたという人は極めて稀でしょう。
大学内等における懸賞論文を執筆し、これに応募するという方法が考えられますが、そうした事項に取り組む文系学生は非常に少ないはずです。
よって就活においても、面接やエントリーシートにおいて、大学のサークルでの出来事や活動内容(自分はサークルの副責任者を務めたが、皆をまとめるのに苦労した等)やゼミでの報告内容等をエピソード風に変換して説明する人が多いのが実情です。
企業の採用担当者から見ると、上記の内容は、既にあちこちで聞かされているものであり、新規性に乏しく、就活における他の応募者との差別化という観点からは十分な効果を期待することはできません。
理解学生の場合には、講義やゼミでの研究内容等をアピールポイントに用いることができます。
もちろん、採用担当者がその分野に精通しているとは限りません。
しかし、採用担当者は、理系学生による論理的かつ丁寧な説明の方法やその姿勢を高く評価するはずです。
上述のように、採用担当者としては必要に応じ、社内でその分野に秀でた社員を次回の面接に対応させるという方法を取ることもできるのです。
ですので、その時の面接官等がその分野に必ずしも詳しくはなかったとしても、理系学生が説明の努力をすることにより「実績を残しただけでなく、コミュニケーションスキルも高い学生であるから入社しても他の社員と協力・連携して業務に従事することができるだろう」と評価してもらえることでしょう。
デメリット
就活に要する期間が長期化する
理系の就活生の皆さんにおかれて、周囲に文系の先輩等から体験談を耳にする機会等があればお聞きになったことがあるかもしれませんが、文系学生の就活は、理系学生の就活と比較して、就活に要する期間が長期化する傾向にあります。
これは、採否を決する判断軸が専門知識やスキルといった事柄ではなく、主として就活生の性格(人柄)による組織への対応能力やポテンシャルといったものであるため、これらを見極めるのには一定の時間を要し、また、異なる複数の観点からの分析・検討を要するからなのです。
このため、理系学生が文系就職をするにあたっては、応募する企業がどのような選考フローを採用しているのか、エントリーシートで求められる事項は何なのか等、あらかじめ十分に研究しておく必要があります。
言い換えると、これが十分にできているのであれば、ここに記載したデメリットは理系学生にとって大きなデメリットにはならないでしょう。
仲間が少ない
理系学生が文系就職することのメリットである「希少価値が高い」という点は、別の側面もあるのです。
それは、同じ境遇にある仲間が少ない、ということです。
上述のデメリットの1つ目で記載したように、文系就職の場合には理系就職の場合と比して就活期間が長期化する傾向にあります。
そのような状況の中においては、就活状況を差し支えのない範囲で共有できる「仲間」の存在は非常に心強いものになります。
そうした仲間が少ないということは、就活におけるデメリットであることは間違いないでしょう。
ただし、仲間が少ないということを必要以上に気にする必要がないことも事実であることを強調しておきたいところです。
なぜなら、就活に必要な情報は、仲間との情報交換だけでなく、インターネットの関連サイト等を通じて得ることもできるからです。
また、仲間と一緒でないと就活できないわけではありませんし、最終的に就職先を決めるのは自分自身の判断によるものだからです。
就職先が限定される
理系学生の場合、就活にあたり、自身の専攻学部・学科の専門知識を活かすことを優先した結果、就職先の選択肢が狭まってしまう場合があります。
特に、理系学生が文系就職をすることにした場合、理系の専門知識を持ち込もうとするとすると業界・企業をはじめ、職種も限定されてしまう結果につながります。
しかし、この点も大きな障害になるものではありません。
新入社員として採用されるのは、会社の将来を担う有望な人材であることに着眼したものであり、いわば潜在能力の高さを買われたわけですので、入社後においてチャレンジしていく姿勢を示すことができればよいのです。
この点、その分野に関する即戦力性を求められるキャリア採用=中途採用とは異なるのです。
まとめ
この記事では、理系学生が文系就職することが学生本人にとって「もったいないのではないか」「就活にあたって不利となるのではないか」という不安が生じることについて説明しました。
現在のビジネスにおいては、理系・文系の区分は絶対的なものではなくなり、事務系と思われる業務についても理系の素養を取り入れることが求められています。
また、そのような中で理系学生による文系就職は希少性が高く、採用する企業から見て注目度が高くなるというメリットがあります。
もっとも、文系就職の場合、理系就職と比べて就活に要する期間が長くなる傾向にあることには留意しておく必要があります。