シンクタンクは激務って本当!?を徹底解説

シンクタンクは激務って本当!?を徹底解説

2024/7/24更新

はじめに

「シンクタンク」は、就活生の間で、年収の高さや激務の度合い等について時折話題に上ります。

就活生の段階では、シンクタンクの業務内容の詳細までは十分に理解している人は、それほど多くはないでしょう。

それでも国内のシンクタンクとして、野村総合研究所や三菱総合研究所等の企業名を挙げてみれば、「あの会社がシンクタンクなのか」と膝を打つことでしょう。

シンクタンクは、総じて著名な企業が並んでおり、その年収の高額さとともに、激務であると言われることも事実です。

「シンクタンクは激務」は、果たして本当なのでしょうか。

就活生が仕事に対して何を求めるのか、それは一人ひとり異なるといえるでしょう。

例えば、「激務でも構わない。自分は高給取りになりたい」とか「寸暇を惜しんでバリバリ働くサラリーマンの姿に憧れるので、自分もそのようになりたい」という就活生もいるでしょう。

反対に、「自分は仕事優先ではなく、プライベートを充実させたい」「激務と言われる仕事は嫌だ」という就活生も少なくないと思われます。

後者を重視する就活生は、就活にあたり、勤務先の業務環境・労働環境を特に注意して調べておく必要があります。

近時は、社員が働きやすい環境を整備するため、時間外労働を減らしたり、業務効率化を進め、仕事の量を調整していく動きが広がっています。

ただ、それでも依然として激務を避けることが困難な仕事が存在することもまた事実です。

仮にシンクタンクの業務が激務である場合、そこで仕事をしている社員は、どのようにして、それを乗り越えているのでしょうか。

非常に気になるところです。

 

今回はそんなシンクタンクが激務と言われることの真偽、背景事情や乗り越え方、さらにシンクタンクで仕事をすることの魅力等をご紹介していきます。

この記事ではシンクタンクへの就職に興味がある以下のような就活生を対象に、企業分析を行っています。

ぜひ最後までご覧ください。

対象
  • シンクタンクが本当に激務なのか知りたい
  • シンクタンクの社員は激務をどのようにして乗り越えているのか
  • シンクタンクの適性を見分ける方法がわからない

また、シンクタンクの激務以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひご覧ください。

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シンクタンクとは

シンクタンクとは

シンクタンクは「頭脳集団」

シンクタンクは、社会的に大きな問題となった事項や各種の経済問題等について、独自で調査・研究を行い、政府等に対する政策の立案・提言や解決策を提供する機関です。

「Think Tank」という語からも分かるように、「頭脳集団」を意味します。

シンクタンクが取り扱うテーマは、基本的に限定はなく、都市計画、インフラ、教育・福祉、環境問題、科学技術等幅広く、多岐にわたる点に特徴があります。

もともと、シンクタンクは、政府による政策立案などを中心に据える研究所を指すものでした。

しかし、現在では、親会社等の母体となる企業のグループを構成し、その経営戦略を練る役割の全部または重要な一部を担う他、統計データを作成しています。

国内のシンクタンクの特徴や就職難易度等について、その概要を解説した記事を以下に紹介します。就活準備等で忙しく、十分な時間を取ることができない就活生が短時間にシンクタンクについて理解することができるよう、配慮された記事が書かれており、参考になるので、ぜひ読んでください。

 

シンクタンクの「激務」は本当か!?

シンクタンクの「激務」は本当か!?

激務とは?

一般に、激務とは、精神的または肉体的に過度な負担が生じる仕事を指すといえます。

もっとも、どのような仕事を激務と感じるか否かは、個人差が生じます。

仕事をするうえで何を辛いと感じるかは人それぞれであるためです。

ここでは、激務と言われる仕事の特徴を下記していきます。

この中から自分に合わないと思われる働き方や避ける方が無難と思われる職場環境を把握していくことにしましょう。

そのようにしていくことで、「激務は嫌だ」と思う就活生は、自分自身にとって許容することのできない働き方を明確にすることで、自身にとってはつくべきではない仕事が見えてきます。

そうすれば、就活も効率的にすすめることができますし、自分自身にとって最適な仕事を見つけることにつながることでしょう。

一方、「自分は激務であったとしても大丈夫」と考える就活生も、「もしかすると、この働き方を何年も続けることは無理かもしれない」と思うことがあるかもしれません。

一つひとつ丹念に検討していき、自分が許容できるのか否か、仕事を見つけるにあたってのポイントを明確にしていく必要があります。

特徴1.長時間労働が当たり前になっている

1日は24時間しかありません。

このため、残業時間が長くなれば、その分、プライベートの時間は削られていくことになります。

身体を休めたり、リフレッシュするために使うことのできる時間がなくなってしまいます。

このため、プライベートの時間を削ってまで働くのは激務であるという認識を持つ人は多いことが想像できます。

厚生労働省は、残業時間が1か月間で概ね100時間超となるか、2〜6か月の平均がおおよそ80時間超に至る場合には、健康障害のリスクが高まると捉えています。

しかし、実際には、一定の基準を超える残業をしている人は少なくありません。

そのような企業では長時間の残業がいわば当たり前になっていて、定時後の残業はもちろん、休日にも出勤して働く場合が少なくないものと思われます。

特徴2・達成困難なノルマが課される

従前は、特に営業職において「ノルマ」という言葉が用いられることが多くありましたが、近時は「目標」という言葉に置き換えられるようになったようです。

しかし、ノルマを目標に言い換えたとしても、その実質がノルマを変わることがなく、達成ができない状況に至る場合には、上司から𠮟責を受けたり、自身の業績等への評価に影響が生じる場合があると言われています。

ノルマを課された社員は、それをクリアすることを自身の最低限のラインとして設定し、仕事をすることになります。

しかし、中には実現が困難なノルマが設定されるケースもあると言われています。

設定した目標を達成するためには、残業することはもちろん、休日においても出勤して仕事をしていき、その目標達成のために働く他なく、その結果としてプライベートの時間が短くなります。

加えて、目標達成のために日々追われ続けているというプレッシャーにより心身が疲弊していくおそれもあります。

特徴3.業務時間外でも拘束される

重要な取引先やビジネスパートナー等に対する飲食の供応等の場に参加するため、業務時間外であるにもかかわらず、拘束を受けるケースもあります。

こうした機会は、特に営業職に従事する社員に多く見られます。

その機会は、会食、ゴルフ、各種のスポーツ観戦等であり、退勤後の時間や土日祝日等に設けられ、相手方をもてなすことを通じて良好な関係を構築・維持していくことを目的として実施されます。

実際に、もてなす側に立つ場合、業務時間外とはいえ、実質的に業務そのものであって、上述の目的から見て気を抜くことなどすることはできず、さらに自身のプライベートな時間をも削られていくことになるわけですから、会食・ゴルフ・スポーツ観戦を楽しむことなどできないことでしょう。

しかも、業務時間という位置づけではないため、残業代が支払われることもないわけです。

このように、業務時間外であるにもかかわらず、会社・仕事のために時間を割くことを余儀なくされなければ成立しえない仕事は激務であるといえるでしょう。

特徴4.休みが不定期である

土曜日と日曜日が休日として固定されている勤務形態であれば、1週間のうち、月曜日から金曜日までの5日間勤務をすれば、必ずその後の2日間は休みを取ることができるというサイクルになります。

しかし、シフト制が採用されている場合には、毎週の土曜日と日曜日が休みとなるとは限らず、週ごとに休みとなる曜日が異なることになるため、出勤日が続くこともあれば、休みが多くなる週が出てくる場面も生じます。

通常、企業では月ごとに休日日数が決まっており、連続しての勤務となったとしても、その分、他の週に休みを多く取ることができるように設定されます。

しかし、出勤が通常以上に連続していく場合には、心身を休めることが十分にできない状態で勤務を続けることになります。

このため、休みが不定期なことでその仕事を激務であると感じる場合もあります。

特徴5.立っている時間や身体を動かす時間が長い

勤務時間の大半が立ったまま過ごすことを余儀なくされる仕事や、自身の身体を動かすことが中心となる仕事の場合には、デスクワークと比較して体力的に辛く、疲労が蓄積しやすい状況にあります。

特に気温が著しく高くなる夏季において屋外作業に従事する場合には、その労働時間の長短を問わず激務に該当するといえるでしょう。

冷凍室など気温が著しく低下する場所での作業も同様です。

さらに気候面だけでなく、例えば粉塵が舞うような場所で作業に従事する場合や有害物質の取扱い作業についても、作業従事者の健康に影響を及ぼす可能性が高い点で激務といえるでしょう。

また、出張など移動が多い仕事や屋外にいる時間が長い仕事も自身の体力が奪われやすい状況にあるといえます。

仕事の内容自体には満足していたり、たとえ拘束される時間が長いとは言えない場合であっても、身体の酷使につながる仕事をする場合には、次第にストレスがたまり、その仕事を激務であると感じやすくなるでしょう。

 

平均残業時間を比較する

シンクタンクの平均残業時間を比較する

シンクタンク各社の月平均残業時間が長い傾向

シンクタンクは、頭脳集団というその名の通り、いわゆる学歴の高い人材の集まりであるという世間の認識があると同時に、「シンクタンクの仕事は激務である」ということもしばしば耳にすることです。

果たして、シンクタンクの仕事は本当に激務なのでしょうか。

激務と言われる根拠ないし背景として、勤務時間、とりわけ残業が長時間に及ぶことを根拠にしている可能性があります。

このため、国内における大手シンクタンクの残業時間を見ていくこととします。

ただし、下記の月平均残業時間はシンクタンク各社の公式な情報ではないことをあらかじめご理解ください。

シンクタンク名月平均残業時間
野村総合研究所53.8時間
三菱総合研究所57.8時間
三菱UFJリサーチ&コンサルティング65.0時間
日本総合研究所46.2時間
みずほリサーチ&テクノロジーズ38.7時間

 

これによると、上記シンクタンクのうち、最も残業時間の多いのが三菱UFJリサーチ’&コンサルティングの65.0時間でした。

これに三菱総合研究所(57.8時間)、野村総合研究所(53.8時間)が続きます。

上記シンクタンクの中では最も残業時間の少ない、みずほ情報総合研究所でも38.7時間の残業を行っています。

厚生労働省による毎月勤労統計調査(令和5年分結果速報)によれば、日本企業における所定外労働時間の平均は10時間とされており、シンクタンク各社の残業時間は、これを上回る結果となっていることが分かります。

上述の激務の特徴1. に記載した長時間労働という観点からみると、社員の心身に対する負担が積み重なる可能性が出てくるため、この点のみを強調すると、シンクタンクが「激務」であると言えそうです。

 

シンクタンクの業務内容等を検討する

高度の専門性

残業時間の観点のみをもってシンクタンクの仕事が激務であると決めつけてしまうのは早計であるといえるでしょう。

シンクタンクの業務の内容を十分に検討していくべきです。

シンクタンクで仕事をしていくには、高い専門性が求められます。

クライアントとなるのは、政府や大手企業が多く、案件は国の重要な政策に関わる事項や、企業において解決する必要のある重要な経営上の課題に関する事項がほとんどです。

こうした案件に携わるためには、情報の質・量ともに最上級のものである必要があり、加えて、常に情報を最新化していくことも必要になります。

古い情報のまま更新されていない状態では、クライアントに対して誤った情報に基づく提言・提案をしてしまうことに繋がります。

そのようなことになれば、そのシンクタンクはクライアントからの期待に応えているとはいえず、その信用を失うことになるでしょう。

このように、シンクタンクの仕事は、その性質上、極めて高度な専門性が求められているといえるのです。

シンクタンクは、「なぜ?」「どうして?」というように、結論を導くにあたり、そこに至る論理性を重視しています。

ロジカルに説明することができなければ、クライアントの納得を得ることが困難であるためです。

シンクタンクの中には、このように論理を追求する方法を「詰める文化」と呼ぶ会社もあります。

実力主義

シンクタンク各社は、多少の違いはあるとしても、基本的に実力主義を採用しているといえます。

クライアントから求められる程度以上の結果ないし成果を出す必要があることから、社員個人またはチーム内等での検討に時間を要し、その結果、残業時間が長くなる傾向が見られたのです。

これは、単にシンクタンク側が必要以上に慎重になって仕事に取りかかっているということではありません。

クライアントからの意向を受け、急遽、検討対象に新たな条件が付されたり、社会・経済情勢の変化を受け、検討の視点を変更する等の措置が必要になるケースが少なくないのです。

つまり、シンクタンク側でコントロールすることが必ずしも可能とは言えない事情により、残業時間が伸びたり、稼動負担が増えるという事態に至る場合があるのです。

こうした場合であったとしても、シンクタンクはクライアントの期待に応えるべく高い専門性を発揮していくわけです。

また、シンクタンクの中には、システムソリューションを取り扱う会社も見られますが、システム部門が取り扱う案件は緊急性を要するものが多く、平日でも夜間での対応が必要になったり、休日での対応をも要する場面で生じ得るといえます。

高年収

シンクタンク各社は、一般に高年収であるといわれています。

2023年3月期における有価証券報告書等をベースにした情報によれば、各社の平均年収は以下のとおりです。

シンクタンク名平均年収
野村総合研究所1,242万円
三菱総合研究所1,103万円
三菱UFJリサーチ&コンサルティング764万円
日本総合研究所850万円
みずほリサーチ&テクノロジーズ1,044万円

 

このようにシンクタンク各社の平均年収は1,000万円を超える企業も複数社あり、非常に高年収であるといえます。

これは社員の激務に対する対価というよりも、各社の経営が安定的であることを前提に優秀な人材を豊富に抱え、好業績をあげていることの反映であるといえるでしょう。

職場風土

シンクタンクは実力主義を標榜していますが、それは完全なる個人主義をいみするものではありません。

プロジェクトが終了した場合には、クライアントを交えて懇親会を実施したり、社内の同一組織内での交流会も頻繁に開催されるなど、一般的に風通しは良いという評価が定着しています。

ワークライフバランス

従前はともかく、現在のシンクタンクは、ワークライフバランスへの配慮もなされています。

すなわち、プロジェクトの進行次第という側面はあるとしても、休日出勤を必要とすることはほとんどない状態であり、土曜日・日曜日の休みもしっかり取ることができています。

もちろん、繁忙期やプロジェクトの状況によっては、平日夜間での勤務を必要とする場面が生じます。

あらかじめ夜間対応が必要になる案件はもとより、事情によっては当日になり急に夜間対応が必要になることもあり、完全なる定時退社になることは困難でしょう。

もっとも、こうしたことはシンクタンクに限ったことではありません。

なお、育児や介護等を理由とする時短勤務等については、きちんと各社の社内制度が整備されています。

まとめ

シンクタンクは激務って本当!?の記事まとめ

この記事では、シンクタンクが激務なのか、について解説しました。激務の特徴を掲げた上で、シンクタンクは国や大企業より依頼を受け、重要な政策や企業が直面する経営上の重要事項に関する提言・提案を行うため、高度の専門的見地から成果を残す必要がある特殊性を持ち、その特殊性ゆえに、社員の残業時間が他の平均的な企業と比較して長時間となる結果があり、この点をとらえて激務であると評価される面があることを解説しました。

もっとも、現在は、シンクタンク各社はワークライフバランスを重視し、社員に過度な負担を生じさせないよう配慮がなされ、また、育児・介護等に対応する社員のため必要な社内制度を整えています。

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