地方学生を採用するときのポイント!〜特徴とアプローチ方法〜
1.新卒採用市場は、人材不足…
2020卒の大卒求人倍率は、1.83倍です。
(「大卒求人倍率調査(2020年卒)」リクルートワークス研究所より)
これだけ見せられてもピンとこないですよね。
数字的に言うと、倍率は2019卒まで7年連続で上昇を続けていました。
2019卒は1.88倍だったので、2020卒は少し倍率が下がりました。
内訳の変化で比べてみましょう。
求人倍率 | 求人総数 | 対前年増減数 | 民間企業 就職希望者数 | 対前年増減数 | |
2020卒 | 1.83倍 | 804700人 | ▲8800人 | 439500人 | +7300人 |
2019卒 | 1.88倍 | 813500人 | ー | 432200人 | ー |
(リクルートワークス研究所より)
前年に比べると、
2020卒では求人総数が8800人減少し、民間企業就職希望者数が7300人増加しています。
求人総数が減少した要因は、中小企業が新卒採用難のため、中途採用を拡大したことだそうです。
倍率は前年よりも下がりましたが、依然として約36.5万人の人材不足が生じています。
つまり…
多少の変化はあったものの、新卒採用市場は人材が非常に不足しているということです。
そのような状況の今だからこそ、目を向けてほしいのが、地方学生なんです!
都市部の学生への採用活動は、すでに競争が激化しており、採用は簡単ではないかもしれません。
しかし、地方ならば都市部ほど採用活動は激しくないため、採用できる見込みの高い学生が多くいることでしょう!
ここからは、そんな地方学生の特徴から、彼らに対するアプローチ方法までご紹介します。
2.地方学生の特徴
もちろん一概には言えませんが、地方には、こんな学生が多いと言われています。
◯大手企業に固執しない傾向がある
以下の表は、地域別の学生の企業志向を示したものです。
(2020年卒マイナビ大学生就職意識調査より)
この表の、「絶対に大手企業がよい」+「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の項目をごらんください。
関東が55.1%であるのに対して、甲信越は38.5%、北陸は42.1%、中国は44.2%です。
ここから、地方学生には大手企業に固執しない、という傾向があることがわかります。
つまり、規模に左右されず、企業自体を見る学生が多い傾向にあるということです。
◯運転免許取得率が高い
特に営業職といった職種で必要とされる、運転免許の取得率が高いでしょう。
都市部では車はあまり必要ではないかもしれませんが、地方では無いと困るという人も多いからです。
◯上京してから、視野を広げる余地が大きい
地方と都市部では大きく環境が異なることもあります。上京してきて知らないことも多い分、視野を広げる余地も大きいのではないでしょうか。
◯企業1社1社に、より真剣に向き合う
地方学生は、時間やお金にも制約がつきまとうことが多いです。だから都市部の学生よりも、企業との出会いの機会が少なくなるでしょう。その分、1社1社により熱心に向き合う気持ちが強いのかもしれません。
◯あまり遊ばず、真面目に勉強やスポーツに取り組んでいる学生が多い
都市部に比べ、地方は娯楽施設が少ないこともあってか、真面目に勉強やスポーツに取り組んできた学生が多いのかもしれません。これはあくまでその傾向がある、くらいの程度でしょうか。
ところで、地方学生を採用することでこんなメリットもあるんです。
◯自社のブランディングになる
地方学生の採用を行うということは、より幅広く採用活動を行うということです。それは、自社の認知度を上げることにもつながりますし、ユーザーや顧客の獲得にもプラスになる可能性があります。
◯地方へ再配属がしやすい
始めは東京で働いていたとしても、何らかの理由で地方に配属される可能性もあることでしょう。地方学生ならば、地方へ配属されることへの抵抗が、都市部の学生よりは低いでしょう。
3.地方学生が困っていること
地方学生を採用するとメリットもたくさんあるのですが…
地方学生が上京して就活する際に、困っていることがあります。
それは、費用です。
企業の説明会や選考、就活のイベントは、東京や大阪といった都市部で開催されることが多いです。
そのため、地方から都市部への移動には、多額の交通費がかかるほか、宿泊代、飲食代などの費用がかさんでしまうのです。
あるデータによれば、都市部の学生のおよそ1.5倍もの費用を、地方学生は就活に使っているといいます。
費用に加え、都市部への移動にかかる時間的コストも、地方学生にはかかってきます。
それによって、都市部と地方の学生の間には情報格差も生じてしまいます。
地方に住んでいる学生が上京して就活すると…
・交通費や滞在費など多額の費用がかかってしまう
・移動のために、時間がかかる
・就活費用を稼ぐために、アルバイト等を増やす
・それなのに、企業と出会う機会が限られる
・得られる情報も限られる
その結果、自分で納得して就活を終えることができないという可能性も出てきます。
それは反対に、
企業に対しては、自社に入る可能性のある地方の優秀な人材と出会う機会が減ってしまうということにもつながります。
これは、双方にとってよくないことですね。
4.地方学生へのアプローチ方法
では、地方学生に対して、どのようなアプローチを行えばよいのでしょうか。
地方学生が困っているのは、都市部まで移動するための
「交通費」とそれにかかる「時間」です。
ですから、それらを地方学生に使わせないアプローチ方法が良いということになりますね。
そんなアプローチ方法は以下の通りです。
◯オンライン上での、説明会や選考
インターネットを活用して、説明会や選考を行う方法です。
スマートフォンやパソコン上で、面談や面接を行えます。すでに多くの企業で、導入されているのではないでしょうか。
この方法なら費用もかかりませんし、お互いのスケジュール調整も容易に行えます。
費用も時間もかからないので、学生にとっても、企業にとっても、非常に効率的な手段です。
◯企業が地方まで出向く
企業の担当者が、直接地方まで出向いて説明会や選考を行うという方法です。
その企業の所在がある東京や大阪といった都市部以外の地方まで出向いたり、地方の大学で行われる学内説明会に参加するというものです。
企業側が地方まで出向くので、競合は少なく、地方学生に対して直接自社の存在や魅力を伝えることができます。
◯交通費の負担
序盤の選考はインターネット上で行なっていても、選考が中盤以降になれば、どうしても学生と直接対面でなければ、という場面もででくるでしょう。
そのような場合などは、上京してくるための交通費を支給するという方法もあります。
◯1日あるいは数日で完結する選考
これは、選考自体を短期間で完結させ、地方学生にかかる交通費などの負担を軽くする方法です。
なかには、会社説明会から内定出しまで1日で完結する、という選考を行なっている企業もあるようです。地方学生の負担が軽くなるというメリットだけでなく、企業側には、できるだけ多くの優秀な学生の採用につなげたいという狙いもあるそうです。
◯宿泊施設(就活シェアハウスなど)の提供
地方学生にとって、交通費と同様に費用がかかるのが宿泊費だったりします。
ですから、無料あるいは安く宿泊できる宿泊施設を提供されるというのは、地方学生にとっては非常にありがたいのではないでしょうか。
まとめ
地方学生に目を向けることについて、少しは考えていただけたでしょうか。
都市部に優秀な学生がいるように、地方にも優秀な学生、熱い想いを持った学生は大勢います。
しかし、彼らが上京してきて就活をするにも、費用、時間、情報といった面で多くの制約を受けてしまいます。
地方学生の採用へ乗り出すためには、さまざまなコストがかかってしまうと思います。
ですが、ここで企業側が地方学生に寄り添うことで、企業、地方学生の双方が、満足のいく採用活動になってほしいと思います。