「させていただく」は正しい敬語表現?使い方と言い換え・注意点を紹介
2024/5/24更新
はじめに
正しい敬語を使用することで、社会人としてのマナーを身につけていることをアピールでき、より良好な印象を相手に与えやすくなります。
数ある敬語のうち、「させていただく」は誤用が多い表現であり、文化庁が発表している「敬語の指針」の中でも、使う時の条件について公開されています。
「させていただく」は、普段の会話やメールでよく使われる表現ですが、間違った使い方をしている人も多いです。
多くの人が、「させていただく」は間違った敬語表現だと認識しています。
実際には、「させていただく」は、使用条件を満たしていれば正しい敬語表現です。
この記事では、「させていただく」の言葉の意味や正しい使い方、使える条件と使用する際の注意点などを詳しく解説しています。
「させていただく」の正しい使い方を知りたい以下の就活生や社会人を対象に、間違った使い方や適切な言い換えも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 「させていただく」は正しい敬語表現なのか知りたい
- 「させていただく」の正しい使い方を把握して今後に活かしたい
- 「させていただく」を使用する際の注意点を理解したい
- 「させていただく」の適切な言い換えも知りたい
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この記事の結論
先にこの記事の結論からお伝えすると、「させていただく」は条件を満たしていれば、正しい表現として使用できる敬語です。
文化庁が公表している「敬語の指針」によれば、「させていただく」という表現を正しく使用するには、相手または第三者の許可を得ているかどうか、その行為によって自分が恩恵を受ける事実や気持ちがあるかどうかといった2つの条件を満たす必要があります。
また、「させていただく」を使用する際は、一文に多用しないことや、二重敬語にならないように注意することが大切です。
単に「させていただく」を使用すればいいわけではありません。
使う場面を間違えてしまうと、逆に相手に失礼な印象を与えてしまうでしょう。
「させていただく」を適切に言い換えることもできます。
使う時は条件や注意点をしっかりと理解した上で、意識的に他の敬語表現と上手に使い分けるといいです。
次の章からは、各内容をそれぞれ詳しく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
「させていただく」は正しい敬語表現!使える条件を理解しよう
「させていただく」は、使用する際の条件を満たしていれば正しく使用できる敬語表現です。
多くの人が間違った場面で使っており、「させていただく」は正しい敬語ではないと考える人は多いでしょう。
そこでここでは、「させていただく」の言葉の意味と使用する場面、使用する際の条件について解説します。
「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語
「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語にあたります。
自分の行動をへり下って表現することで、相手への敬意を示す敬語表現です。
適切な場面なら正しい敬語表現として使用できますが、誤った場面で使用する人が多く、「させていただく」という言葉は誤った敬語だと認識する人は多いでしょう。
これから紹介する2つの条件を満たしていれば、「させていただく」という敬語表現を正しく使用することが可能です。
使用する際の注意点も押さえて、「させていただく」を正しく使用できる社会人になりましょう。
「させていただく」は特定の条件のもと使用できる敬語表現
文化庁が発表している「敬語の指針」によると、「させていただく」は以下の2つの条件を満たす場合に使うのが正しいとされています。
- 相手側、または第三者の許可を得ているか
- そのことで自分が恩恵を受ける事実や気持ちがあるか
2つの条件のうち、1つの条件しか満たしていない場合は誤用になってしまいます。
自分の行動において、「許可」と「恩恵」の両方を受ける場合のみ「させていただく」を敬語表現として使用することが可能です。
「させていただく」を使用する際は、上記の条件を満たすかよく意識して使用しましょう。
「させていただく」を使用する場面とは
「させていただく」は、自分の行動を相手から「許可」を得て、かつ「恩恵」を受ける場合にのみ使用できる敬語表現です。
「させていただく」は、自分よりも立場や年齢が上の方や取引先との会話やメールで使用するのが適切だと考えられます。
「させていただく」を使用する際の2つの条件を満たしていない場面で、「させていただく」を誤って使用する人は多いので、条件を満たしているかしっかりと確認することが大切です。
「させていただく」の正しい使い方を伝授!NG例も紹介
ここからは、「させていただく」の正しい使い方や、間違った使い方をそれぞれ紹介していきます。
実際に「させていただく」を使用した例文も併せて紹介しますので、使用する場面のイメージを膨らませながらご覧ください。
「させていただく」の正しい使い方・例文紹介
「させていただく」の正しい使い方と例文を3つ紹介します。
1. 相手が所有している本をコピーするために、相手の許可を求める時
コピーを取らせていただいてもよろしいでしょうか。
自分がコピーを取ることについて許可を得ることと、そのコピーによって自分が恩恵を受けるという2つの条件が満たされる場合、「させていただく」という表現は適切な使い方となります。
2. スケジュールを変更する時
スケジュールを変更させていただきます。
相手の許可を得てスケジュールを変更することや、その変更によって自分が恩恵を受ける場合、「させていただく」という表現が適切です。
3. 忘れ物の処分方針を伝える時
期限内に連絡がない場合、処分させていただきます。
「忘れ物の処分をするために相手の許可を得ること」と「処分することで自分に恩恵を受けること」の2つの条件が満たされる場合、「させていただく」という表現は適切な使い方となります。
このように、相手の許可を得て自分に恩恵を受ける場合に、「させていただく」は正しい敬語表現として使用することができます。
「させていただく」を使う際には、必ずこの2つの条件が満たされているか確認しておきましょう。
「させていただく」の間違った使い方・例文紹介
「させていただく」の間違った使い方と例文を4つ紹介します。
1. 結婚式における祝辞の表現
新郎とは3年間、同じクラスで勉強させていただきました。
同じクラスで勉強することに「許可」は必要ないこと、同じクラスで勉強していたこと自体に敬意を示す必要性も低いことから、誤った使い方であると判断できます。
この場合は「新郎とは3年間、同じクラスで勉強しました。」とするのが適切でしょう。
2. 自己紹介の表現
私は〇〇高校を無事卒業させていただきました。
卒業することで自分に「恩恵」を受けますが、卒業することに「許可」は必要ないため、誤った使い方と言えます。
「卒業いたしました。」などに言い換えると良いでしょう。
ただし、教師の尽力によって卒業できたという場面においては「私は先生方のお力添えによって何とか卒業させていただきました、ありがとうございました。」という表現は正しいです。
3. イベントやプレゼンテーションの冒頭の挨拶
本日司会を務めさせていただきます、鈴木です。
司会を務めることに相手の「許可」を得る必要はないため、誤った使い方です。
「司会を務めます」とした方が簡潔に伝えられます。
ただし、話の聞き手へ敬意を示す表現として「させていただく」が許容される場合もあります。
4. 休業の挨拶
下記の日程で休業させていただきます。
休業することで自分に「恩恵」はありますが、休業することへの「許可」は必要ない場合もあるでしょう。
「下記の日程で休業いたします。」など他の表現に言い換えた方が、よりスマートな印象になります。
以上のように、2つの条件を満たしていない場合の「させていただく」は間違った使い方となりますので、注意しましょう。
ただし、場合によっては「させていただく」を使用することが適切だと判断されることもあるため、使用する際の状況や場面によって判断しましょう。
「させていただく」を使用する際の注意点は6つ!
「させていただく」を使用する際の2つの条件は理解できましたが、「させていただく」を使用する際は6つの注意点に気をつけながら使用してください。
ここでは、「させていただく」の6つの注意点について解説していきます。
①一文に多用しない
「させていただく」を使用する際は、一文に多用しないように気をつけましょう。
例えば、「早急に確認させていただき、ご連絡させていただきます。」というような一文はおすすめできません。
「確認」という行為に相手の「許可」はいらないからです。
この場合であれば、「早急に確認し、ご連絡させていただきます。」のほうがよりスマートな印象になるでしょう。
「先日お送りさせていただいた資料について、ご確認いただけましたでしょうか。」といった一文も、「させていただく」「いただく」が多用されており、相手にくどい印象を与えてしまいます。
「先日お送りした資料について、ご確認いただけましたでしょうか。」など、「させていただく」を使う必要がない箇所については、別の表現に言い換えるといいです。
「させていただく」をたくさん使用したからといって、相手に自分の敬意をスマートに伝えられるわけではありません。
相手への敬意を簡潔に伝えるために、適切な表現を使い分けることが大切です。
②二重敬語にならないように気をつける
「させていただく」を使用する際は、二重敬語に気をつけましょう。
二重敬語とは、同じ種類の敬語を二つ重ねて使用することです。
例として、「拝見させていただきます」「伺わせていただきます。」などが挙げられます。
「拝見」は「見る」の謙譲語、「伺う」も「訪問する」の謙譲語であり、「させていただきます」と重ねて使うことで二重敬語となってしまいます。
このような場合は「拝見します」「伺います」など、「させていただく」は使用せずに表現するように気をつけましょう。
③漢字表記にはしない
「させていただく」という言葉は会話のみならず、取引先とのメールでの連絡や書面でのやり取りにも使用することが想定されます。
文面で「させていただく」を表記する際は、「させて頂く」と漢字表記にしないように気をつけてください。
補助動詞はかなで表記するという決まりがあります。
「させていただく」も同様、漢字ではなくひらがなで表記しましょう。
もし取引先への書面での連絡で「させていただく」を使用する際は、打ち間違いがないように注意を払い、取引先に送る前に最終チェックを心がけてください。
④余分な「さ」を入れない
「させていただく」を使用する際は、余分な「さ」を入れないように気をつけましょう。
例えば、「取り組ませていただく」を「取り組まさせていただく」などが挙げられます。
この場合は「取り組ませていただく」が正しい表現です。
「〇〇せていただく」という表現をより丁寧な表現にしようと、「〇〇させていただく」に変えたくなる気持ちはわかります。
しかし、日本語の文法として誤っているため注意が必要です。
⑤役職の説明では使用しない
社会人になると、自己紹介の際に自分の役職についても述べる機会が増えてくるでしょう。
このような時に「課長を務めさせていただいています」という表現は、不適切と言えます。
役職の説明に相手の「許可」は必要ないため、この場合であれば「課長を務めております」などの表現のほうが適切と判断できるでしょう。
しかし臨時で役職に就いている場合は、「臨時でチームリーダーを務めさせていただいています」などの表現が使われることがあります。
「させていただく」が必ずしも不適切というわけではありませんが、「させていただく」の2つの条件を確認してから使用するよう心がけてください。
⑥退職する際の使用は控える
退職する際に「退職させていただきます」という表現をする人もいますが、退職に相手の「許可」は必要なく自分で決断するものであるため、不適切だと判断できます。
退職の挨拶をする際は、「退職いたします」と簡潔に伝えたほうがより良い印象を与えられるでしょう。
許可を取るために「させていただく」を使用すると、少々強引なイメージを相手に与えてしまいます。
相手への敬意を示したいのに、逆に失礼な印象になってしまうでしょう。
状況や場面ごとに、「させていただく」の使用を判断し、相手への敬意をよりスマートに伝えられると、社会人としてよりスキルが上がります。
上記6つの注意点を理解し、「させていただく」と他の敬語を正しく使い分けることが大切です。
「させていただく」を適切に言い換えて社会人としてのスキルアップを目指そう
「させていただく」を使用するのが適切な場面もあれば、「させていただく」以外の表現に言い換えたほうが良い場面もあります。
状況や場面によって「させていただく」を他の表現に言い換えることで、よりスマートに相手への敬意を示すことが可能です。
「させていただく」の言い換えには、「いたします」と「する」などの表現が使用できます。
ここでは、「させていただく」の言い換えとして、「いたします」と「する」の2つの例をご紹介いたします。
「いたします」が適切な場面と言い換え例
「させていただく」を「いたします」に言い換えることで、より適切になる場面があります。
例:「本件の担当者に確認させていただきます。」
上記の「確認」するという行為に、相手の「許可」は必要ないと判断できます。
この場合は「本件の担当者に確認いたします。」と言い換えたほうがくどい印象を与えず、簡潔でわかりやすく伝えられるでしょう。
例:「会場を案内させていただきます、〇〇です。」
上記の「案内」するという行為はお客様のためであり、「許可」は必要ないと判断できます。
この場合は「会場を案内いたします、〇〇です。」と伝えたほうが、よりスマートな印象を与えられるでしょう。
例:「会議の資料を配布させていただきます。」
上記の「配布」するという行為に相手の「許可」は必要ないと判断できます。
この場合は「会議の資料を配布いたします。」と言い換えることで、簡潔に伝えられます。
例:「ご要望いただいていた資料を、添付ファイルにて提出させていただきます。」
上記の「提出」するという行為は相手のためであり、「許可」は必要ないと判断できます。
この場合は「ご要望いただいていた資料を、添付ファイルにて提出いたします。」と言い換えた方が適切です。
「する」が適切な場面と言い換え例
「させていただく」を「する」に言い換えることで、より適切になる場面があります。
例:「配布させていただきます資料をご覧ください。」
「配布」する行為には相手の「許可」は必要ありません。
したがって、「ご覧ください」という敬語との二重敬語の表現を避けるため、「配布する資料をご覧ください。」と言い換えると、よりすっきりとわかりやすい印象を与えられるでしょう。
例:「掲題について説明させていただきます。」
「説明」するという行為に相手の「許可」は必要ないと判断できます。
「掲題について説明します(説明いたします)。」と言い換えるといいでしょう。
このように、「させていただく」を使用するより、他の表現に言い換えた方がすっきりとまとまった印象を与えられる場面もあります。
「させていただく」を多用しすぎず、状況や場面に応じて、他の表現と上手に使い分けることが大切です。
まとめ
「させていただく」は使用する条件を満たしていれば、正しい敬語表現となります。
使う際は、「相手または第三者の許可を得ているか」「そのことで自分に恩恵を受ける事実や気持ちがあるか」の2つの条件を満たしているか確認しましょう。
また、「させていただく」を一文に多用しないこと、他の敬語と二重敬語にならないようにすること、役職の説明での使用は避けることなど、「させていただく」を使用する際の注意点もよく理解しておくことが重要です。
「させていただく」を使えばいいという安直な考えでは、社会に出てから恥をかく可能性があります。
「いたします」や「する」といった他の表現と使い分けを行い、適切な状況・場面で正しく「させていただく」を使用できる社会人になってくださいね。