【企業分析】日立グループの企業序列とは?日立グループの代表的な企業と強みを徹底解説!
2024年8月15日更新
この記事の監修者
杉崎 聖輝(キャリアアドバイザー リーダー)
東京学芸大学卒業後、6年間中学教員として勤務。2000人以上の生徒との関わりで人の良さを見出す力を磨く。ソフトテニス部顧問として部活指導も経験。現在は株式会社ナイモノに転職し、キャリアアドバイザーとして活躍。教育現場での経験を活かし、自己分析から選考対策まで、1人1人の価値観を大切にした就活サポートを提供。適性のある業界・業種の発見や差別化されたガクチカ作りが得意。就活初心者や不安を抱える学生・チャレンジ精神旺盛な20代向けのサポートに力を入れている。
東京学芸大学卒業後、6年間中学教員として勤務。2000人以上の生徒との関わりで人の良さを見出す力を磨く。ソフトテニス部顧問として部活指導も経験。現在は株式会社ナイモノに転職し、キャリアアドバイザーとして活躍。教育現場での経験を活かし、自己分析から選考対策まで、1人1人の価値観を大切にした就活サポートを提供。適性のある業界・業種の発見や差別化されたガクチカ作りが得意。就活初心者や不安を抱える学生・チャレンジ精神旺盛な20代向けのサポートに力を入れている。
はじめに
日立グループは、その長い歴史と幅広い事業範囲で知られる日本を代表する巨大企業群です。
この記事では、日立グループ内で特に注目される「御三家」と「新御三家」を含む代表的な企業と、それぞれが持つ独自の強みについて深掘りします。
また、日立グループへの就職における難易度と、出身大学によって異なる序列についても詳しく解説します。
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日立グループとは?
出典元:株式会社日立製作所
日立グループは、日立製作所を中心に構成され、日本を代表する大規模企業グループです。
連結子会社879社、持分法適用関連会社407社を有し、グループ全体で約30万人の正社員を擁しています。
日立グループは、100年以上の歴史を持ち、「優れた自社技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、幅広い分野での挑戦を続けています。
金融、製造、流通、小売、医療、交通、エネルギー、建設、不動産、IT、そして一般消費者向けサービスなど、その活動範囲は多岐にわたります。
中心となる日立製作所は、電機メーカーとしての顔を持ちながら、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5大セグメントを中心に事業を展開しています。
茨城県日立市にルーツを持ち、「日製」とも略称されるこの企業は、家庭用パソコンからスーパーコンピューター、発電や変圧設備、医療・ヘルスケア機器から自動車部品に至るまで、幅広い製品とサービスを提供しています。
トヨタ自動車や日本電信電話(NTT)に次ぐ、日本の超大手企業としての地位を確立しています。
日立グループは、単発の事業に留まらず、全ての活動が社会価値、環境価値、経済価値の向上に寄与する「社会イノベーション事業」を目指しています。
このような総合的な視野と、各分野における深い専門知識が融合することで、日立グループは社会のさまざまな課題に対して革新的な解決策を提案し、世界中でその影響力を拡大しています。
日立グループの「御三家」と「新御三家」
日立グループは、株式会社日立製作所を中心とする企業群で、米国誌『フォーブス』によって日本で唯一のコングロマリットと分類されています。
約950社から構成され、全体で約40万人の従業員を擁する日立グループには、特に重要な位置を占める「日立御三家」と「日立新御三家」という、2つのグループが存在します。
日立御三家
日立御三家は、日立化成工業(現昭和電工マテリアルズ)、日立金属、日立電線の3社を指します。
これらの企業は、ほかの系列企業よりも早い段階で分離・独立し、日立グループ内で特別な分類に置かれています。
御三家の企業はメーカー色が強く、グループの製造分野における中核を担ってきました。
日立新御三家
日立新御三家は、日立ハイテクノロジーズ、日立キャピタル、日立マクセル(現マクセル)の3社です。
これらの企業は比較的新しく設立され、短期間でグループ内で重要な役割を果たす大企業としての地位を築きました。
新御三家は、従来のメーカー色が強い御三家とは異なり、情報系の日立ハイテク、金融系の日立キャピタルなど、製造以外の業種にも進出しており、日立グループのコングロマリットとしての幅広い事業展開を象徴しています。
日立御三家と日立新御三家は、日立グループ全体の成長と発展を支える重要な柱であり、それぞれが特化した分野で社会のニーズに応え、イノベーションを推進しています。
日立グループが多岐にわたる業界で強固な地位を築いているのは、上記のような多様な企業群の存在によるものです。
日立グループの序列
日立グループは、技術革新と多様な事業領域で知られる日本を代表する企業群です。
日立グループの中心は日立製作所で、それ以外に明確な序列は存在しません。
日立製作所
日立グループの中核を担う日立製作所は、創業から110年以上にわたり社会イノベーション事業を推進しています。
幅広い製品とサービスを通じて、社会と経済の発展に貢献。
デジタルソリューション事業を中心に、鉄道、エレベーター、運行システム、家電など、多岐にわたる分野での技術革新を索引しています。
従業員数は約28,672名で、平均年収は916万円にのぼり、残業時間は34.6時間、有給休暇消化率は57.1%です。
日立ソリューションズ
情報通信業界においてシステムインテグレーションのリーディングカンパニーである日立ソリューションズは、金融、教育、医療、交通、建設などの分野に幅広いサービスを提供しています。
従業員数は4,996名、平均年収は807万円であり、諸手当が充実している点も魅力の一つです。
昭和電工マテリアルズ
化学メーカーである昭和電工マテリアルズは、半導体やセラミック、電機絶縁体などの分野で、革新的な製品を提供しています。
従業員数は6,872人、平均年収は744万円で、5GやADASなど新たな技術領域に積極的に取り組んでいます。
日立金属
日立金属は、鉄鋼、電気炉メーカーとして幅広い製品を提供しています。
従業員数は6,708名、平均年収は671万円で、女性活躍推進企業「なでしこ銘柄」に選定されました。
日立Astemo
自動車部品や産業用機械器具の開発、製造、販売を行う日立Astemoは、日立グループ内でモビリティ関連事業を索引しています。
2021年に複数の企業が合併して誕生した比較的新しい企業で、グローバルに活動するチャンスも豊富にあります。
平均年収は690万円、有給休暇平均取得日数は21.5日です。
日立建設設計
建築と付帯設備の設計、管理に加え、海外プロジェクトのエンジニアリングやコンサルティングを行う日立建設設計は、総合的な建設ソリューションを提供しています。
残業時間は37.7時間、有給休暇消化率は53.8%、平均年収は607万円です。
日立ビルシステム
日立ビルシステムは、エレベーターやエスカレーターの設計、開発、製造、販売、メンテナンスを手掛ける企業で、ビルの総合的なソリューションを提供しています。
従業員数は約8,500人、平均年収は580万円となっており、エレベーターやエスカレーターだけに留まらず、ビルの監理やセキュリティ、省エネ対策にも対応可能なサービスを展開しています。
同社は、建築物の安全性と快適性を高めるための先進技術を持ち、総合型ファシリティマネジメントソリューション「BIVALE」を通じて、人々の暮らしや社会の持続可能な発展に貢献しています。
日立グループには連結子会社が496社あり、以下は一部抜粋例です。
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日立グループの強み
日立グループは、そのユニークな強みと総合力で、お客さまの多様な課題解決に貢献しています。
これを実現する背景には、日立独自の5つの強みがあります。
幅広い事業領域での豊富な経験・ノウハウにより「際」の課題を解決
日立は、ITとOT(制御・運用技術)の深い融合により、プロダクトからデータを生み出し、それを分析して全体の最適化を実現します。
このプロセスには、プロダクト、OT、ITの各分野での深い知見と経験が必要であり、日立はこうしたドメインナレッジを活用して、お客さまの「際」の課題をワンストップで解決します。
お客さまのイノベーションを加速するデザイン思考
日立のNEXPERIENCEは、お客さまと共に適したデジタルイノベーションを構想し推進するフレームワークです。
デザイン思考に基づくこのアプローチは、1,000件以上の実践を通じて、お客さまのビジョンや実効性あるプランの策定に貢献しています。
デジタルイノベーションを加速する「Lumada」
Lumadaは、さまざまな分野で培った業種・業務ノウハウと先進のデジタル技術を組み合わせたソリューションやサービスで、お客さまとの協創を通じてスピーディに価値を創出します。
Lumada Solution Hubを通じて、ソリューションの検証から本番環境への移行をスムーズに行うことができます。
トップクラスの研究開発や知的財産
日立は、オープンイノベーションエコシステムの構築と産学連携を推進し、社会イノベーションの実現に向けてグローバルな協創の場「協創の森」や各共同研究拠点で、人間中心の価値創出と破壊的技術の創生を目指しています。
多様な人財
NEXPERIENCEという顧客協創プロセスにより、多彩な人財が持つ個性や文化の違いをダイバーシティとして効果的に活用し、革新性や創造性豊かな発想でお客さまとの協創に加わります。
これらの強みを生かし、日立グループはお客さまのサステナブルな成長とイノベーション創出に貢献し続けています。
日立御三家に就職するメリットとデメリット
日立御三家に就職するという選択は、多くのメリットといくつかのデメリットを持ち合わせています。
これらの企業は、日立製作所から分離して独立した企業群であり、それぞれが特定の分野で高い技術力と市場のリーダーシップを確立しています。
この背景には、長年にわたる研究開発の蓄積と、安定した経営基盤があるでしょう。
その結果、従業員には安定したキャリアパスと、充実した福利厚生が提供されます。
メリット
安定性
日立御三家は経済の波に強い安定性を持っています。
これは長い歴史と堅固な経営基盤からくるもので、従業員にとっては将来の不安を軽減する重要な要素です。
特にグローバルな市場での競争が激化するなかで、日立御三家の企業が持つ安定性は、安心して働ける環境を求める人にとって大きな魅力となります。
技術力と研究開発
日立御三家のもう一つの大きなメリットは、その技術力と研究開発能力です。
これらの企業は、長年にわたる研究開発投資により、最先端の技術を有しており、これを生かした製品やサービスを市場に提供しています。
従業員は、このような環境で働くことにより、自身のスキルアップとキャリアの発展につながる貴重な経験を積むことができます。
福利厚生の充実
大手企業ならではの福利厚生の充実も、日立御三家が提供する大きなメリットです。
健康保険や厚生年金保険のほか、住宅支援や育児支援など、従業員が仕事とプライベートの両方を充実させるためのさまざまな支援が用意されています。
これにより、従業員は仕事に集中し、同時に家族との時間も大切にすることが可能になります。
デメリット
大企業特有のヒエラルキー
一方で、大企業特有のヒエラルキーや縦社会の文化は、日立御三家にも存在するデメリットの一つです。
これは、若手の意見が上層部に届きにくい環境をつくり出し、革新的なアイデアの実現を難しくしています。
このような環境は、柔軟な思考と迅速な行動を求める人にとっては、キャリア形成上の障壁となる可能性があります。
転勤や異動の可能性
事業の多角化やグローバル展開に伴い、転勤や異動の可能性もあります。
これは、家族やプライベートを優先したい人にとっては考慮すべき点です。
特に国際的なキャリアを目指す場合、海外赴任のチャンスがある一方で、家族と離れることや、異文化への適応が必要となることも考えられます。
このようなキャリアの可能性は、個人のライフスタイルや将来設計によってメリットとデメリットが入れ替わるため、自身にとって何が最適かを慎重に検討する必要があります。
成長性の問題
大企業での働き方は安定していますが、その反面で、自身の仕事が企業全体の成果にどれだけ貢献しているかを感じにくい状況もありえるでしょう。
特に若手の段階では、自分の成長や貢献を直接実感しにくく、モチベーションの維持やキャリアアップを目指すうえでの障害となることも少なくありません。
大企業内での競争も激しく、自分自身が望むキャリアパスを歩むには、目立つ成果を上げ続ける必要があります。
日立御三家に就職することは、技術力の高さや安定した職場環境を求める人にとって大きなメリットを感じられるでしょう。
しかし、大企業ならではのヒエラルキーやキャリア形成の難しさなど、デメリットも存在します。
これらの点を踏まえ、自分の価値観やキャリアの目標、ライフステージに合った企業選びが重要です。
また、日立御三家のような大企業での就職は、安定性や福利厚生の面で魅力的ですが、自身のキャリアや成長を考えたときに、自由度や成長性を重視する人には、中小企業やスタートアップでのチャンスも検討する価値があります。
重要なのは、自分に合った環境で自分自身が最も価値を発揮できる場所を見つけることです。
そのためには、企業の規模だけでなく、社風、ビジョン、働く人々の価値観など、幅広い視点から企業を選ぶことが求められます。
自分自身のキャリアに真剣に向き合い、長期的な視野で判断することが、成功への第一歩となるでしょう。
参照ページ:日立が選ばれる5つの理由
日立グループの就職難易度は?
日立グループに就職する難易度は、出身大学によって大きく異なります。
日立グループは、幅広い業界にわたって事業を展開する複合企業群であり、その子会社のなかには、高度な技術力や研究開発能力を要求される企業が多数存在するからです。
これらの企業では、特に理系分野での専門性や技術的なスキルが高く評価され、採用過程でもそれらが重視されます。
GMARCH・関関同立以上のレベル
日立グループ内でも特に難易度が高いとされるのは、日立製作所などのトップ企業です。
これらの企業ではGMARCH(慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学)や関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)以上の出身大学が求められることが多く、採用実績を見てもその傾向が明確です。
上記のような大学出身者を対象とした採用が多いため、これらの大学に在籍している学生にとっては就職先としてアクセスしやすい反面、それ以外の大学出身者にとっては挑戦が必要な場合があります。
産近甲龍以上のレベル
次に難易度が設定されているのが、産近甲龍(産業能率大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)以上のレベルです。
このカテゴリに属する日立グループの企業には、日立ソリューションズや日立Astemoなどが含まれます。
これらの企業では、産近甲龍レベルの大学出身者も活躍の場を見つけることができ、多岐にわたる業種での就職機会が提供されています。
しかし、GMARCH・関関同立レベルの大学と比べると、若干採用のハードルは低くなるものの、それでも高い技術力や専門性が求められることに変わりはありません。
下位私立大以上のレベル
最もアクセスしやすいとされるのが、下位私立大以上のレベルです。
日立グループ内でこのレベルの企業には、日立インダストリアルプロダクツや日立ハイシステム21などがあります。
これらの企業では、幅広い大学出身者が就職機会を得ており、学歴フィルターは比較的緩和されています。
そのぶん、入社後のパフォーマンスや専門性が重視される傾向にあり、高い専門スキルや実務能力が求められます。
日立グループへの就職には高い専門性と技術力が必要
日立グループへの就職は、出身大学によってその難易度が異なりますが、どのレベルであっても高い専門性や技術力が求められることに変わりはありません。
ただし、日立グループは多様性を重視する姿勢も見せており、出身大学だけでなく、個人のスキルや経験、ポテンシャルを高く評価しています。
特に、新しい技術やアイデアを積極的に取り入れ、イノベーションを起こすことを期待されるポジションでは、従来の学歴フィルターを超えた採用が行われることもあります。
そのため、自身の強みや専門性をしっかりとアピールできる学生であれば、より幅広い機会があると考えられます。
まとめ
日立グループは、多様な事業領域で革新的な技術とソリューションを提供し続ける、日本の産業を索引する重要な存在です。
そのなかで、御三家および新御三家は各々が特化した分野で卓越した成果を上げており、グループの強固な基盤を形成しています。
就職難易度は出身大学によって異なるものの、高い専門性と技術力を持つ個人には幅広いキャリアチャンスがあるといえます。
日立グループでのキャリアを目指すなら、自身の強みを磨き、多様性を受け入れる姿勢を持つことが重要でしょう。