
就活ルール廃止!?僕たちの就活はいつから始まるんだ!
2020年4月9日更新
1.就活ルール廃止、私たちに与える影響は?
経団連は2018年10月9日、
採用活動の解禁日などを定めた就活ルールの廃止を発表しました。
今後は経団連にかわり、政府が主導してルールを定めます。
就活ルールが変更されることで、
学生の就活はどのように変わるのかについて解説していきます。
今回は学生側、そして企業側の二者から捉え、
私たちが取り組まなければならないことを項目ごと、順に沿って説明していきます。
2.そもそも就活ルールってなんだ!!
そもそも就活ルールってなんなのでしょうか。
就活ルールとは企業の採用活動に関して、経団連(=日本経済団体連合会)の会員企業が守るべきルールのことです。
現行のルールでは入社前年の3月に会社説明会が解禁され、
6月に面接解禁、10月に内定が解禁されるのが流れとなっています。
大学生に当てはまると3年生の終わりにあたる3月から就職活動が始まり、
4年生出迎える年末までに就床活動が終わっているということです。
しかし、これを見てあなたは疑問を抱いたかもしれません。
「え、就活ルールを破っている企業って多くない?」
と。実はそうなのです。
実はこの就活ルールには罰則等はありません。
一部の企業に関しては、
独自のスケジュールを設計して採用活動を実施しています。
では、なぜ就活ルールは廃止になったのでしょうか?
就活ルールを守っている企業が少ないことや、
就活ルールがもたらす効果が薄いことが挙げられます。
就活ルールは、これまでに度々変更が行われてきました。
その度、企業や学生の双方から不満の声が出ていたたことも廃止の要因になったとされています。
就活ルールはすでに意味を成しておらず、
面接解禁と同時に内定を出す企業も多いため、今回の廃止は当然の流れといった見方もあります。
そして就活ルールを守らず早期採用を行う企業が出現することで、
優秀な学生が取られ、市場に現れなくなってしまうことが危惧されました。
他の企業も学生を確保しようと早期採用を行い始め、またそれを見てさらに前の時期から早期採用を行うといったように、
早期化の歯車が止まらない状態となってしまいました。
現在は早期化の限界を各企業が判断し、1、2年生には唾つけを行うためにキャリア系のイベント、3、4年生には本格的な就活イベントを行うようになりました。
では、私たちにどのような影響があるのでしょうか?
3.就活ルールが廃止、私たちに与える影響は?-学生編-
就活ルールの廃止、つまり就職活動のスタートラインがなくなったことを意味します。
就職活動の長期化が予測されます。
就職活動長期化すればその期間内に様々な企業を知ることができるため、
ミスマッチを防ぐ効果があるとともに、
自分にとって最適な企業に就職できる可能性が増します。
就職活動の長期化によって、チャレンジする期間が延びます。
そのため就職留年を回避する要因にも繋がります。
就職留年の主な理由は、就職活動に対する準備不足が挙げられますが、
時間的余裕が生じるためこのようなケースは減るでしょう。
自由な時間が増えることも挙げられます。
早期に内定を獲ることが可能になるため、残りの時間を自らの自由時間に用いることが可能になります。
例えば留学や、資格の取得など社会人になるまでにやっておきたいこと、やり残したことに取り組むことができます。
就活ルールの撤廃は言い換えると通年採用の増加です。
就活生にとっても選択肢の幅が広がり、自分の志望する業界への就活がよりしやすくなると言えます。
しかし、デメリットも存在します。
就活の早期化によって内定の時期が早くなり、
将来の選択肢の幅を狭めてしまう可能性もあります。
そのため「就活の早期化=メリットだらけ」と捉えてはいけません。
また、早期化に伴って学生の本業である学業に支障をきたす可能性があります。
就活と学業のバランスを見誤ると留年なんてことにも…。
先ほど自由な時間の増加が挙げられていましたが、
就活の長期化によって自由な時間がなくなるということも考えられます。
意識の高い学生にとっては就活の早期化はメリットが多いですが、
自分の目標が定まっていないごく一般の学生からすると、
大きな負担と労力を強いられることとなります。
では一方、企業側はどうなのでしょうか?
4.就活ルールが廃止、私たちに与える影響は?-企業編-
就活ルールの撤廃によって、
優秀な学生の獲得がいち早く行えることが挙げられます。
そして長期化することによって学生との接触機会が増え、
より自社に沿った学生を選び抜くことが可能になったと言えます。
しかし、企業側(特に中小企業)にはマイナスが多くなってしまっています。
まず採用コストが膨大になってしまいます。
現状のルールの場合、就活ルールに則って就活生が動いていたため短期間にまとめて採用活動を行うことで人材の確保ができました。
しかし、通年採用となってしまった今、人事の負担は膨大になり、就活生を自らアプローチして確保する必要が生じます。
細かく分けると内定辞退者の増加、人材確保がより困難に、広告宣伝費の増加が挙げられます。
優秀な学生に対して早期内定を出せることは確かに大きなメリットと言えます。
しかし、学生からしてみると数多の企業から早期内定をもらい、長い就職活動の中でベストな選択をとります。
そのため、いかに企業が努力しても辞退者が増加してしまうのです。
大手企業が一斉に採用活動を行うため、認知度の低い中小企業は淘汰されてしまう可能性があります。
そこを補うために認知拡大の意味を込めて広告宣伝費を割きます。
しかし、就活ルールの撤廃によって長期化してしまった就活期間の影響で、広告宣伝費の費用が嵩み、企業には大ダメージとなることでしょう。
早期採用にもデメリットはあります。
採用の基準がどうしても「潜在能力」や「伸びしろ」など期待値でしかないということです。
大学4年間でその人材がどう成長するのかは誰もわからないため未知なのです。
5.就活ルール撤廃は就活生にとってはメリット多し、では何すればいいの?
先ほどまでの学生、企業の2者から就活ルール撤廃が及ぼす影響について説明してきました。
就活生のメリットデメリットに関しては表裏一体なため、
メリットの部分を生かせるように就活を行えば問題ありません。
では、具体的に私たちは就活を行うために何をすべきなのでしょうか?
主に「インターンシップに参加」「自己分析」「仕事研究」「エントリー」「ES・筆記試験・面接」「内定」に分けられます。
6.私たちが取り組まなければならないこと-インターンシップ編-
就活ルールの撤廃にと伴い、
近年のインターンシップに参加する学生の数の増加はさらに加速することでしょう。
インターンシップを通じて就業体験することで、
社会人として組織の業務で求められる能力がわかり、仕事に活かせる自分の強みが明確になることでしょう。
インターンシップは、自己分析にも仕事研究にも両者に役立つ貴重な機会です。
メリットとしては
「仕事理解:業務の内容が具体的に理解」
「自己理解:自分の適性や課題が発見」
「スキル理解:仕事で必要される能力や専門性に関しての理解」
「人脈:ペルソナとなる社会人や他校の学生との出会い)」
「就活準備:ESや面接などの実践経験」
が挙げられます。
近年の企業側の流れとして人材不足と採用難に伴い、
インターンシップを実施する企業が増加しています。
内定は1つに絞る必要がありますが、インターンシップに制限はありません。
あなたに合った業界や企業に出会うために、
様々なインターンシップに参加しましょう!
7.私たちが取り組まなければならないこと-自己分析編-
自己分析は、自分に対する理解を深めることです。
学生生活やこれまでの人生を振り返り、
自分自身のことについて深堀りを行っていく作業です。
自己分析を通じて
「自分は社会人としてどんなことをやりたいのか」
「自分は何ができるのか」
「何が自分を突き動かすモチベーションになっているのか」
がわかれば、あなただけの強みが浮き彫りになり、エントリーシートや面接など自分をアピールする場での武器が見つかります。
つまりまとめると自らの大学生活を通じて
「何を経験したのか?」
「なぜその経験や選択をしたのか?」
「具体的にどう行動したのか?」
「その経験で学んだことは何か?」
を考え、先ほどの3つの観点で深堀りを行ってみてください!
8.私たちが取り組まなければならないこと-仕事研究編-
先ほどの自己分析を通じて自分の興味、能力、価値観、そして自らの強みが明らかになってきたら、次のステップです。
自分がどんな業界、そしてどんな仕事で活かせるのか、それを知るために「仕事研究」を進めましょう。
これは後々の就職活動でも必ず聞かれる質問です。
しかし、何を軸に考えればいいのかわからないと思います。
まずは
「なぜその業界を選ぶのか」
「その企業を選ぶ理由は何か」
「なぜその職種に就きたいのか」
の3つの観点で仕事研究を進めていきましょう。
そして仕事研究といっても細かく3つに分かれます。
「業界研究」「企業研究」「職種研究」の3つです。
業界研究では普段接している商品などを手始めに、
幅広く業界を見渡してみてください。
普段接している商品はBtoC(Business to Consumer)の業界の商品です。
しかし、社会には企業向けに商品やサービスを提供しているBtoB(Business to Business)の業界やメルカリなどユーザー同士のCtoC(Consumer to Consumer)にも目を向けてみてください。
業界研究の次は、企業研究です。
業界が同じといっても、企業規模はもちろん、事業内容や経営方針、社風や職場の雰囲気、待遇など各企業によって大きく異なります。
業界を絞っただけでは面接等で詰められてしまいます。
「この業界にこういった観点で絞りました。その中で、なぜこの企業を志望するのか?」
まで解像度を高くした理由を持っておきましょう。
自らの主張ももちろん大切ですが、
企業側の観点を持っておく必要があります。
各企業の強み、弱み、他社との違いなどをしっかり調べましょう。
最後に職種研究です。
職種についての研究も進めましょう。
企業には事務系、営業系、技術系など、さまざまな職種があります。
同じ職種であったとしても企業の規模や特化している事業によって仕事内容や求められる能力、そして専門性は異なります。
企業ごとにどんな職種があり、どんな特徴があるのか、そしてどのように仕事を進めるのかまで調べ尽くしましょう。
9.私たちが取り組まなければならないこと-エントリー編-
研究が終わった次はいよいよエントリーです。
ここからいよいよ採用選考に参加していくことになりますが、
絶対に避けて通ることができないものが2つあります。
シートと面接です。
そして、エントリーシートでも面接でも必ず確認されるのが「自己PR」と「志望動機」です。
自らを企業に売り込むための自身の強みをまとめたもの、それが自己PRです。
そのためにも先ほどの自己分析が重要なのです。
自己PRを作るためには、
自己分析で洗い出した自らの長所や強みとしてアピールできる事柄を記載することです。
その際にできるだけ具体的に書くようにしましょう。
あなたが描いているエピソードを、面接官は間近でみていたわけではありません。
お互いがイメージしている情景を一致させるためにも、
なるべく数字などを用いて具体的に作成しましょう。
そして自らの強みと志望企業での接点も記載することが必要です。
自らの長所は志望企業のどんな部署でどのように生かせることができるのかをイメージさせることで、採用担当者が採用したいと思わせることが大切です。
そして、志望動機です。
志望動機とは「私がなぜその会社に入りたいか」を端的にまとめたもののことです。
エントリーシートや面接で、説得力のある志望動機が表現できるよう、就活サイト等の企業情報や志望会社のホームページだけでなく、リアルな情報を収集することを大切にしてください。
リアルな情報を手に入れる方法としてはインターンシップへの参加、
そしてOBOG訪問が挙げられます。
自らの足を動かしてどこにも載っていない生の情報を手に入れましょう。
自己PRと志望動機を完成したら、いよいよエントリーです。
エントリーするということは即ち
「あなたの企業に就職したいという意思表明である」
ということです。
エントリーすることで説明会への参加や、エントリーシートの提出が義務付けられているわけではありません。
マイナビの調査では2019卒の平均エントリー数は29.3社となっています。
10.私たちが取り組まなければならないこと-ES・筆記試験・面接編-
エントリーすると、
企業よりエントリーシートの提出を求められることがあります。
手書きの場合とWebフォームを用いて提出するケースに分かれています。
近年はインターネットの普及によってWebを用いた提出が多くなっていますが、エントリーした学生の熱意を読み解くために敢えて手書きを求める企業も存在します。
エントリーシートを作成する際の注意点としては大きく5つあります。
「自らの個性や人柄がわかること」
「経験談は、できるだけ具体的に記述すること」
「自分の言葉で記述すること」
「等身大の自分を表現すること」
「自分の強みが仕事にどう活きるのか」
の5つです。
エントリーシートを提出し、選考を通過すると筆記試験を受検するケースがあります。
問題の分野は、語彙や文章読解力を問う「言語」、計算力や論理的思考力を測る「非言語」、そして「性格適性」の3種類です。
業界や企業によっては「外国語」や「時事問題」などの一般常識や論作文関連の出題もあります。
受験前に過去の筆記試験の出題傾向を確認し、対策を練りましょう。
筆記試験を通過した後はいよいよ面接です。
面接といっても対面形式の1対1だけではありません。
学生1人に対して15~20分ほどで学生の回答を深ぼった質問を行う個人面接。
2~3人同時に面接を行う集団面接。
さらに6~8人で1つのグループを作り、与えられたテーマについて討議するグループディスカッション形式。
稀な例ですが、自分の研究内容を説明するプレゼンテーション型面接。
これは研究職や開発職など、職種別の採用で行われることが多いです。
以上の4つが主な面接の種類です。
11.私たちが取り組まなければならないこと-内定編-
面接を通過した先にあるのが内定です。
企業が応募者を社員として迎える意思があることを伝えるのが「内定」です。
正式な決定ではありませんが、
内定をいただけると法的な拘束力が発生します。
それは卒業後の職の保証がなされたことを意味します。
また、正式な内定の前に、「採用予定通知」という意味合いで出されるのが「内々定」です。
内々定と内定は、ほとんど同じ意味合いで使用されますが、内々定は正式な労働契約には至っていない状態、つまり口頭契約です。
現在の就活市場は人手不足&採用難を背景に、早い段階から内々定を出す企業が少なくないと予想されます。
4月末の段階ですでに23.0%の学生が1社程度の内々定を持っているという結果も出ています。
特に、就活ルールの廃止によって準大手、中堅中小企業の選考はかなり前倒しで進んでいくものと思われますので、
アンテナを張り、より良い就職活動を送りましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は就活ルールの廃止によって起こりうる影響を就活生、企業の双方から解説しました。
そして、私たちはどういった就活のステップを踏むのか、何を観点として進めていくべきかをステップごとに順を追って解説しました。
企業の思惑を知った上で就活を行うことは、
隣のライバルを出し抜くチャンスです。
就活生からの目線ではなく、多角的に就活を捉え、
良い就活を行なってください!