新卒採用は本当に地方のほうがゆるい?市場の違いや都心との地方格差を解説
2024/4/19更新
はじめに
近年では、地方就職を希望する学生が増加傾向にあります。
その背景として挙げられるのが、先行きが不安な状況が続くなかで経済面や生活の安定性を求める就活生が増えたこと、場所にこだわらない働き方が可能になったことです。
地方への就職が注目されるなかで地方のほうがゆるい、都心部と地方の新卒採用プロセスの難易度が異なるといった認識が広まりつつあります。
この記事では地方就職を検討している就活生に向けて、都心部と地方の新卒採用市場の現状や地方就職を目指す際のポイント・方向性について紹介します。
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本当に新卒採用は地方のほうがゆるい?
新卒採用は地方のほうがゆるいと言われることもありますが、単純に採用基準が低いわけではなく、都心部とは求める人材が異なるため、見極めるための基準や方法に差が生まれています。
就活市場において、地方企業は労働力人口の減少や有効求人倍率など様々な課題を抱えています。
そのなかで、新卒採用における採用プロセスの難易度に差があるのでは?地方のほうがゆるいのでは?といった意見が見受けられるのが現状です。
地方の新卒採用がゆるいといわれる背景には、地方の課題解決に向けた柔軟な採用基準があります。
この章では地方企業の採用基準がゆるいと言われる理由や地方企業の柔軟な採用基準について紹介します。
人物重視の採用基準
地方企業の採用基準がゆるいと言われる1つ目の理由は、人物重視の採用基準です。
地方企業では、新卒就職者の人柄や地域への貢献意思などを重視する傾向にあります。
地方ではコミュニティの幅が狭く、社員同士の関係性やチームワークが社内の雰囲気や業務の質に大きく影響を及ぼします。
そのため、企業文化や社風に合うか、同じ価値観を共有できるかなどが重要です。
これらの基準は企業だけでなく、その土地で働く新卒者が快適に働くためにも必要な基準といえるでしょう。
勤務期間を重視した採用
地方企業の採用基準がゆるいと言われる2つ目の理由は、勤務期間重視の採用です。
地方企業は長期で勤めてくれる人材を求めており、勤務期間を重視する企業も多くあります。
その理由は、地方企業特有の人材育成観点にあり、地方の企業では企業独自のノウハウや文化を継承する目的で、従業員に対して長期のキャリア形成や継続的な投資を重視するためです。
従業員は長期勤務することで技能の習得や企業への理解が深まり、企業にとっては貴重な資産となります。
また、従業員が地域との関わりを深く持つことで、地域貢献や社会的信頼を得ることにもつながります。
選考プロセスの短縮
地方企業の採用基準がゆるいと言われる3つ目の理由は、短縮された選考プロセスです。
地方の選考プロセスは、フローがシンプルだったり、面接回数が少なかったりすることも多くあります。
それにより応募者の挑戦するハードルが下がり、プレッシャーが少ないと感じることがあります。
一見、少ない面接回数やシンプルな選考フローはメリットと捉えられがちですが、裏を返せば企業に自分をアピールする場が少ないということです。
少ない回数で自分について伝えきることの難しさを考えると、一概に選考プロセスの短縮が良いとは言えません。
対話型の面接形態
地方企業の採用基準がゆるいと言われる4つ目の理由は、対話型の面接形態です。
地方企業では対話型の面接形態を取り入れ、応募者の人柄などを重視する傾向にあります。
形式的なやり取りが少ない分、応募者にはリラックスした印象を与えているようです。
近年では都心でも面談といった形式で行う企業もありますが、まだまだ形式的な質問でのやり取りが多い印象です。
一方で形式的な面接と異なり、その場でのやり取りがメインとなるため対策が立てづらいというデメリットもあります。
都心と地方の新卒採用市場の比較
都心部と地方では、新卒採用の市場の特徴が異なります。
地方企業の採用には多くの課題があり、一見すると都心のほうが優れているように感じる方も多いでしょう。
しかし、それぞれが異なる特徴を持っており、一概にどちらがよいと言い切ることはできません。
この章では、都心部と地方の新卒採用市場の違いについて4つの観点から比較していきます。
自分が目指すキャリア実現のため、必要な能力やスキルを理解し、自分に合う環境を選択することが大切です。
企業数の違い
1つ目の項目は、企業数の違いについてです。
都心部は企業数も多く、多種多様な業界の企業が集まっています。
グローバルに活動する企業やIT、コンサルティングなどの専門職を扱う企業も多く、採用の基準として特定のスキルや経験、個性が重要視されます。
都心部の企業数の多さは、新卒者の職業選択の幅を広げる点において最大のメリットです。
一方、地方では企業数が少なく中小企業が主体となり、地域密着型の企業展開を行う企業が多い傾向にあります。
観光業や製造業など特定の産業が盛んな地域もあり、地域社会との関わりを重視し、採用の基準として長期的に働いてくれる人材が求められます。
求人数の違い
2つ目の項目は、求人数の違いについてです。
都心部は企業数が多いため、必然的に求人数も多くなります。
都心部の新卒採用市場は活発で、新卒者にとって多くの選択肢が用意されています。
2024年度1月の東京都の有効求人倍率は1.74倍です。
昨年の1.78倍に比べると少し減少したものの、依然として少ない数字とは言えません。
地方の求人数は、都心部に比べると少ないのが現状です。
しかし、地域に密着した仕事が多く、地域創生に関連する職種も増えています。
近年では、人口減少や高齢化による地域の過疎化や働き方の多様化を理由に地方創生が注目されており、一部の専門分野では地方のほうが採用ニーズが高いこともあります。
産業の特徴
3つ目の項目は、産業の特徴についてです。
都心部には、金融・広告・情報技術・エンターテイメントなど多種多様な産業が存在しています。
高度な専門性が求められ、新卒採用でも先進的なアイディアを提案する能力や専門分野の深い知識やスキルが求められます。
IT業界や金融業界などグローバルな産業も多いため、国際的なビジネスチャンスに触れる機会が多いのも特徴です。
地方企業では地域資源を活かしたビジネスが多く、その土地の地理や歴史に大きく依存しています。
例えば、山間部では林業や観光業、海に面した地域では水産業などです。
採用基準はその地域特有の産業に関する知識やスキルが重視され、地域資源を活かした産業であればその分野に対する理解と熱量が基準となる場合があります。
都心部も地方も専門的な知識やスキルが問われる点においては同じですが、問われる知識やスキルの方向性は異なります。
求める人材像の違い
4つ目の項目は、求める人材の違いについてです。
都心部の企業では、高い専門知識やコミュニケーションスキル、グローバルな視野を求める企業が多い傾向にあります。
都心の企業はグローバルに活躍する企業も多いため、先進的なアイディアの提案やスピード感を意識して業務を遂行する能力も重要です。
一方地域企業で重要視されるのは、地域への理解や愛着をもって仕事に取り組み、地域の方とともに成長するためのコミュニケーション能力です。
また、様々な仕事に対して柔軟に対応できる汎用性の高いスキルも求められます。
都心部と地方企業では、取り扱う産業や事業を展開する規模感が大きく違うため、必然的に求められる人物像も異なります。
しかし、仕事に対して懸命に向き合う姿勢や人との関わりのなかで生じるコミュニケーションなど共通している部分があることは覚えておきましょう。
参照ページ:
新卒採用活動から見える都心と地方格差
上記でも紹介したように都心と地方では採用市場に差があり、格差が生じているのが現状です。
格差と聞くと、あまり良いイメージを持たない方も多いかもしれません。
しかし、目指すキャリアによって魅力となるポイントは異なります。
この章では、新卒採用活動からみた都心と地方格差について解説します。
周りの声に惑わされず情報を取捨選択し、正しい知識をもって決断することが重要です。
初任給の金額差
まずは、初任給の差についてです。
都心の企業では、大企業や外資系の企業も多く、新卒の初任給は比較的高めに設定されています。
初任給が高い理由として、生活コストの高さや人材獲得競争の激しさが挙げられます。
一方で、地方の初任給は都心と比較すると低めの設定です。
初任給の設定が低い理由は、生活コストが低いためです。
また、家族経営の中小企業などでは福利厚生の充実や、地域特有の人間関係の良さがこれらを補います。
初任給の金額に差はあるものの、生活コストの違いから生活の水準に大きな差が生まれることはありません。
求められる能力
2つ目は、求められる能力の違いです。
都心部の企業では、デジタル技術による変革やグローバル化に対応できるよう、情報通信技術や高度な専門性、英語などの語学の知識が必要とされます。
また、様々な背景や価値観を持つ人々と一緒に業務を進める上で大切なコミュニケーションスキルや柔軟性も重要です。
一方、地方企業では長期的に勤めてくれる人材を求めており、地域への貢献意欲や愛着心を重要視する傾向にあります。
コミュニケーションスキルや柔軟性は地方企業でも必要とされますが、都心で求められる能力とは少し異なり、地方特有の文化に適応するための柔軟性や地域コミュニティを築くためのコミュニケーション能力が大切とされています。
募集職種の多様性
3つ目は、募集職種の差についてです。
都心部には数多くの企業があり、金融やIT、コンサルタントなど多種多様な産業を扱っています。
そのため、新卒採用の募集職種の幅も広く、1つの企業内で複数の職種を募集することもあります。
また、グローバル企業も多く、国際的な業務に携わるチャンスが多いのも都心部ならではの特徴です。
地方では企業数が少ない分、地域に根ざした募集が中心です。
製造業や地域特有の小売業が主であり、それに伴う職種が多い傾向にあります。
募集職種は限定的ですが、都心と比べて地域に根ざした業務や地域に還元できる機会は圧倒的に多いと言えるでしょう。
採用選考のプロセス
最後は、選考プロセスの差です。
地方の選考プロセスは都心に比べてシンプルであると言われています。
都心部の選考フローは、履歴書選考・筆記試験・複数回の面接・グループワーク・ケーススタディなど段階も多く、選考内容も多様です。
大企業や外資系の企業では、さらにプレゼンテーション能力や専門知識・語学力を図るための試験が課される場合もあります。
地方は人物重視の選考のため、比較的採用選考プロセスがシンプルです。
都心と比較すると、面接回数が少なかったり、選考フローが短かったりなどの違いが挙げられます。
また、地方企業の採用では地域への貢献意欲や応募者の人間性、価値観を重視する傾向にあるため、面接では対話型を取り入れる企業もあります。
新卒で地方就職を目指す時のポイント3選
ここまで、都心部と地方企業の新卒採用市場の違いやそれぞれが持つ特徴について紹介してきました。
都心部にも地方企業にもそれぞれのメリット・デメリットがあることを知り、地方企業に対する捉え方も変わったのではないでしょうか。
都心と地方では、新卒採用基準や選考フローも異なるため、事前の準備にも多少の違いが出てきます。
この章では、地方就職を目指す際のポイントを3つ紹介します。
進む方向性が決まったら、目標に向けて事前準備をしっかり行いましょう。
地域特有のニーズや市場を把握する
まず、1つ目のポイントは、地域特有のニーズや市場の把握です。
希望する地域の主力産業などについて詳しく調べ、地方企業が求める人材やスキルを把握することは、地域特有の市場やニーズの理解にもつながります。
地方企業では、地域への貢献意欲や長期的に働いてくれる人材を求める傾向にあるため、地域にどのように貢献できるのかや地方創生に興味を持ったきっかけをアピールするのもよいでしょう。
都心部との違いを理解しておく
2つ目のポイントは、都心部との違いを把握することです。
地方企業では、給与水準やキャリアアップの機会が限られる場合があることを理解しておきましょう。
一方で給与面の待遇に限界のある地方企業では、福利厚生などの待遇面に力を入れて取り組んでいる企業もあります。
地方企業を選ぶ際は自身のキャリアや譲れない条件を明確にし、勤務条件や企業文化についてしっかりとリサーチを行うことが重要です。
地域社会との距離が近く、人の温かみを感じられる地方就職ですが、組織の規模が小さい分コミュニケーション能力や適応力が求められる傾向にあります。
地域や企業に貢献できるポイントをアピール
3つ目のポイントは、地域に貢献できることをアピールすることです。
地方の採用市場は地域密着型の産業や企業が多く、地域の産業や文化への理解、地域貢献意識をアピールすることが重要です。
地元の文化や産業についてネットなどから情報を集めることも一つの方法ですが、地方企業の多くは地域社会との強い繋がりを築いているため、地元でのインターンシップやボランティア活動への参加を通じて、意欲や実績を伝えるのがおすすめです。
実際に現地で体験することにより、その土地の雰囲気や人柄、今後のキャリアの方向性を知ることにも繋がります。
新卒者が目指す方向性
自身のキャリアの明確化
就職活動を進めていくうえで、自身のキャリアプランを明確化させることはとても重要です。
都心部と地方では、採用の市場特性が異なります。
都心部ではグローバルな機会や多種多様の職種があり、地方では地域コミュニティや地域貢献など密な関係が魅力です。
就職は人生の大きなターニングポイントであり、慎重になる就活生も多いですが、すべてをこの段階で決める必要はありません。
まずは現状の目指すキャリアの方向性を決めて、その実現に向けて必要な情報を集め、比較検討を繰り返し行いましょう。
新しい働き方とスキル
コロナをきっかけに、場所にとらわれないフレキシブルな働き方が可能となりました。
その筆頭がリモートワークであり、現在では地方でも都心企業での仕事が可能です。
通勤の手間がなくなり、精神的余裕や時間的余裕がうまれるなどのメリットがある一方で、ネット環境の問題やPCスキル、コミュニケーションが希薄になるなどの障害もあります。
近年急激に働き方の多様化が進んだように、今後も働き方だけでなく様々な生活の変化が考えられます。
これからは将来のライフスタイルも視野に入れ、柔軟な働き方やマインド、スキルの取得を積極的に行っていくことが重要です。
まとめ
地方企業への就職を検討している場合は、まず都心と地方企業の特徴をしっかり理解することが重要です。
コロナをきっかけに働き方が多様化し、地方への就職が注目されるなかで地方のほうがゆるいといった認識が広まっています。
その背景には、地方企業が抱える労働力不足などの課題解決に向けた柔軟な採用基準があります。
しかし、単純に地方の採用基準が低いわけではありません。
都心部と地方では、企業数や求める人材など新卒採用市場に大きな差があり、それぞれの特徴にあった基準が設けられているというのが正しいといえます。
それぞれにメリット・デメリットが存在し、その善し悪しを決めるのは就活生自身です。
誤った情報に惑わされず、それぞれの特徴を理解したうえで自分の目指すキャリア実現に向けた選択をすることが大切です。