非上場企業への就職は大丈夫?働くメリットやデメリット、非上場企業の社名も交え実態を解説!!
2024/3/22更新
はじめに
「非上場企業に就職するのは大丈夫?」と、日頃から疑問に思っている方も少なくないでしょう。
非上場企業に就職するのは、余程のことがないかぎり大丈夫だと考えます。
大企業でも上場していない会社、高い知名度があるのに上場していない会社、これまで上場していたのに、廃止する会社もあり、非上場企業なのに就活生が多数エントリーしている企業だってあるのです。
そこでこの記事では就活生や、その保護者、家族に向けて、非上場企業の定義、大企業が非上場を選択する理由、非上場企業に入社して働くメリット・デメリットについて、具体的社名も交えながら解説していきます。
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非上場企業と上場企業、未上場企業のちがい
非上場企業、上場企業、未上場企業の3つは、はっきりとしたちがいがあります。
非上場企業について説明するうえでは、まず上場企業について知っていただかないといけません。上場企業から見ていきます。
上場企業とは
上場企業とはわかりやすく言えば、以下の証券取引市場において投資家が自社株式を自由に売り買いできる状態にある株式会社のことを指しています。
- 東京証券取引所(東証) プライム市場、スタンダード市場、グロース市場
- 名古屋証券取引所 プレミア市場、メイン市場、ネクスト市場
- 福岡証券取引所 本則市場、Q-Board
- 札幌証券取引所 本則市場、アンビシャス
参照ページ
いずれの市場も、時価総額や純資産など厳しめの審査があり、基準をすべて満たさなければ上場できず、どの株式会社も上場するか、しないかを自由に選べるわけではありません。
審査に引っかかり、上場したくても上場できない企業は、少なからず存在するということです。
非上場企業とは
株式会社で上記証券取引所の各市場に現在、上場していない企業のことを、そう呼びます。
非上場企業は上場していなくても、株式を追加で発行でき、企業や投資家は企業などから(株主、出資、譲渡先を募っていれば)証券取引所を介さずに直接買うことができます。
ちなみに株式会社には、公開会社と非公開会社があります。
非公開会社とは、
株式を証券取引所に上場していない会社のこと。 株式を一般に公開していないことからこう呼ばれます。基本的には「非上場会社」と同義語です。ただし、日本の会社法では上場しているか否かにかかわらず、定款で株式譲渡制限が設けている株式会社のことを指します。 |
引用ページ:大和証券 金融・証券用語解説 [非公開会社]
と解説されてあるとおりです。
なぜ定款(会社が設立時に定めなければならない会社独自のルールのこと)に株式譲渡制限を明記し、非公開会社を選んでいるのかといえば経営戦略上、乗っ取りを避けるためです。
一方で公開会社は、定款で株式譲渡制限を設けていない株式会社のことを指し、お気づきのとおり、公開会社だけが、証券取引市場に上場することが可能なのです。
また株式会社は、
- 経営者が株式を100%保有している(ワンマン経営)
- 親会社が株式を100%保有している(完全子会社)
- 親会社が株式を50%以上保有し意思決定権も有している(連結子会社)
- 会社の取締役数人で株式を出資に応じて保有している(共同経営会社)
- 複数(2以上)の企業が出資し合い、株式を保有している(JV、合弁企業とも)
といった形態に分かれ、完全子会社の一例としては、ダイハツはトヨタの、SME(ソニー・ミュージックエンタテインメント)はソニーグループの、楽天モバイルは楽天グループの100%子会社となっています。
連結子会社の一例としては、不二家は山崎製パン(54.3%)の、またJV(ジョイントベンチャー)企業の一例としては、プライムポリマー(三井化学65%、出光興産が35%を出資)などがあります。
参照ページ
日本経済新聞 トヨタ、ダイハツの完全子会社化を発表 株式交換で8月に
未上場企業とは
株式会社で、先述した証券取引所の各市場にこれまで、まったく上場させたことがない企業を指しています。
ただし非上場企業と未上場企業を、同じ意味と解説している記述もネット上には見られるということも、お伝えしておきます。
冒頭でお伝えしていましたが大企業なのに、敢えて上場せず、非上場企業を貫く会社もあります。
なぜ、そう選択したのでしょうか。次章で確認します。
大企業なのに非上場を選択する理由
ひとことで言えば、自分たちが積み上げてきたものを横取りされたくないのです。
同意なき買収を避けるため
同意なき買収とは、自社を乗っ取られることです。
かつては敵対的買収と呼ばれていたもので、自社に事前通知することなく、もちろん自社取締役会の承諾を得ることなく、自社の株式が奇襲攻撃的に投資家や相手企業にTOB(株式公開買付け)という名目の下、大量に取得されることを指しています。
参照ページ
近年ですと宋文洲が創業したソフトブレーンがスカラ(現フュージョンパートナー)に、スポーツウェアブランドのデサントが伊藤忠商事に敵対的買収を仕掛けられ、成立しています。
参照ページ
東洋経済オンライン 宋文洲氏創業ソフトブレーン買収劇の全内幕
東洋経済オンライン 9割反対でも伊藤忠がデサントを買収した理由
買収をされると極端な話、経営陣は相手企業の意のままに刷新され、管理職は相手企業の社員と交代していき、これまでの組織、規則、ルールなどが相手企業カラーへと染まっていくだけでなく、一部の社員が解雇される可能性も出てきます。
意思決定を自分たちで行うため
証券取引所に上場を果たした以上、上場企業は株主を選ぶことはできなくなり、出資して株式を購入した者は誰でも株主として迎え入れなければなりません。
たとえ、その投資家や企業が「物言う株主(アクティビスト)」だったとしてもです。
もちろん株主として、会社のためを思って、至極真っ当な意見や反対票をぶつけているだけなのですが…
もしも株主らが、現場や会社の実情を把握せず、ただ反対したいだけで票を投じてしまえば、上層部は経営を意のままにできなかっただけではなく、事業に失敗して業績悪化、倒産といったことも起こりえます。
会社の経営を意のままにしたいと考える創業者や取締役は、株式を公開せず、上場させず、言い方はわるいのですが「物言う株主」を排除し、自分たちで意思決定を行うために、非上場企業であることを敢えて選択しているのです。
最近の例で言いますと、物言う株主の力が強く、会社として意のままに経営できない状態が続いていた総合電機大手の東芝は、投資ファンドによるTOBを受け、昨年末、上場廃止しました。
この2つがお伝えしておくべき主な理由ですが、広義の非上場企業には、株式会社でない他の組織形態の法人も含まれると解釈されているのか、就活サイトなどでは株式会社ではない企業についても「非上場」といった解説表記がなされていることがありますので、もうひとつ理由を解説しておきます。
上場できる株式会社ではないから
証券取引市場では、企業の株式が売買取引されることから、株式会社でなければ、上場すること自体ができません。
大企業のなかには、株式会社という形態を採用せず、合同会社や一般社団法人、生命保険相互会社といった組織で法人登記をしている会社もあります。
またNHK(日本放送協会)が放送法で規定されているように、法律に基づく特殊法人である組織も国内にはいくつか存在します。
本項でご紹介していく企業は、一度は耳にしたことがある社名ばかりではないでしょうか。見ていきましょう。
合同会社の有名企業
- 日本ヒューレット・パッカード合同会社
- デロイトトーマツコンサルティング合同会社
- PwCコンサルティング合同会社
- フィリップモリスジャパン合同会社
- P&Gジャパン合同会社
- ボストン・コンサルティング・グループ合同会社
- レノボ・ジャパン合同会社
- キャタピラージャパン合同会社
- シャネル合同会社
- 合同会社西友
- グーグル合同会社
- Apple Japan合同会社
- アマゾンジャパン合同会社 など
一般社団法人の有名企業
- 一般社団法人共同通信社
- 一般社団法人日本能率協会
- 一般社団法人日本自動車連盟(JAF)
- 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
- 一般社団法人日本レコード協会
- 一般社団法人徳洲会
- 一般社団法人慈恵会
- 一般社団法人全国農業協同組合中央会(JA全中) など
生命保険相互会社の有名企業
- 日本生命保険相互会社
- 明治安田生命保険相互会社
- 住友生命保険相互会社
- 富国生命保険相互会社
- 朝日生命保険相互会社
GAFAMから3社、世界的企業の日本法人、コンサルティングファームなどが合同会社という形態を採っていました。
また一般社団法人にもマスコミ、医療機関運営、各種管理団体など社会的意義のある企業も多く見受けられました。
もちろん株式会社の非上場企業にも、豊富なリソースを兼ね備えた有名企業は多数、見受けられます。
非上場企業を就職先に選んでも大丈夫なことを証明するために、現在、どこの証券取引市場にも上場していない、就活生にも人気があるといえる株式会社を、いくつか次章で取り上げてみます。
現在、非上場企業である株式会社(一例)
以下、第一志望であったり、エントリーを検討したりしている会社もあるのではないでしょうか。見ていきます。
- 株式会社集英社
- 株式会社講談社
- 株式会社小学館
- 株式会社三菱UFJ銀行
- 株式会社三井住友銀行
- 株式会社バンダイ
- 株式会社ミキハウス
- 株式会社ロッテ
- 株式会社ベネッセコーポレーション
- SMBC日興証券株式会社
- Sky株式会社
- サントリーホールディングス株式会社
- 日本郵便株式会社
意外なことにネームバリュー(知名度)も高く、資金力やマンパワーも大きな企業が、実は非上場なのです。
また、さまざまな事情で、これまで上場していたのに、非上場企業となった会社も少なくありません。
2023年以降、記事執筆時点で廃止が判明している企業について、章を変えてお伝えしていきます。
非上場企業となった主な企業
東京証券取引所を運営する日本取引所グループは、上場廃止銘柄一覧を公開しており、ここ1年ほどで大正製薬ホールディングス(2024年4月)、東芝、日医工などが非上場企業へとシフトしています。
ここでは2024年、2023年に上場廃止した企業を一部抜粋して、ご紹介いたします。
2024年
2023年
- 東芝
- ロックペイント
- 伊藤忠テクノソリューションズ
- SBI新生銀行
- リケン(自動車部品)
- 日本エス・エイチ・エル(コンサルティングファーム)
- 兼松エレクトロニクス(情報・通信)
- 日本管財
- 日医工
- 住友精密工業
- ニデックオーケーケー(製造用機械・電気機械)
- 日立物流
- プレナス(ほっともっと)
ここまで具体的に社名を挙げてきたことで「非上場企業に就職しても大丈夫そう」と思えるようになった方も多いのではと考えます。
そこで次章以降、非上場企業にエントリーして、選考を突破し、内定をいただき、入社して実際に働くこととなった場合、どのようなメリットやデメリットが想定されるかの考察を行っていきます。
非上場企業に入社して働くメリット4つ
非上場企業では、株主、株価下落、同意なき買収を気にせずに自由度高く仕事に取り組める可能性があり、また自社の成長、上場への道のりを至近距離で見届けるという貴重な経験ができるでしょう。
1.株主からプレッシャーをかけられない
上場・非上場にかかわらず株式会社は毎年、株主総会を開催することになっていますが、上場企業の経営陣は、先ほども説明した「物言う株主」に毎年「どのようなことを言われるのか」と頭を悩ませているものです。
かつては、企業に対し敵対的な立場をとって株主総会で嫌がらせをしたり、逆に友好的な立場で株主総会を円滑に進めたりする「総会屋」が幅を利かせていた時代もあったくらいです。
しかし非上場企業の場合、株主は経営者1人だけのワンマン経営であったり、非公開会社なら、会社が承認した方でないと株主になれなかったりするため、物言う株主が入り込む隙は微塵もありません。
そのため、株主のことを考えずに事業やプロジェクトなどに集中して取り組めます。
2.上層部からのプレッシャーも弱い
上場企業の上層部は特に、自社株の価格の変動に敏感にならざるを得ません。
なぜなら株価が下がってしまうと、わずかな資金で買収を仕掛けられてしまうほか、倒産する可能性も出てくるからです。
- 業績悪化
- 不祥事
で、デイトレーダーなどが自社株を大量に売り出せば、株価はカンタンに下落の一途をたどることとなります。
そのため「ノルマ目標を何がなんでも達成させよ!」「コンプライアンス徹底!」と社員は日々、上層部から強めに発破を掛けられます。
一方で非上場企業は、株価が変動することも、下落することもありえませんので、上層部がそこまでナーバスになることはないでしょう。
ただし上場していなくても会社にとって業績悪化、不祥事は命取りであることに変わりありませんので、ある程度のプレッシャーをかけられるのは企業人としては甘受すべきです。
3.同意なき買収に時間を奪われない
上場企業は、冒頭部でもお伝えしたように、いつ投資家や企業から株式公開買い付け(TOB)という名の奇襲攻撃を受けるか、わかりません。
上場企業の多くが法務部など専門部署、弁護士や税理士など優秀なブレーンを持っていますので、同意なき買収(敵対的買収)を回避している事例も少なくはないのですが、常に買収リスクと表裏一体なのです。
その点、非上場企業なら、買収劇にヒト・モノ・カネといったリソースを割かれることもありません。
公開会社の場合は、経営者が発行済み株式の過半数を保有していれば、買収されることはなく、非公開会社の場合も、株式譲渡制限によって、自社株を会社の承諾なしに見知らぬ誰かに勝手に大量に買われることもありません。
そのため「買収されるのでは?」と不安になることもなく、自分の仕事に専念することができます。
ただし、非上場企業が経営不振に陥った場合で、取締役会があるような会社は、トップの経営責任を問い、社長が交代することはありえ、外部から新しい経営者が招へいされれば、企業が買収されたのと同じような状況に陥る可能性はあります。
4.上場していく過程を見ていける
現在、非上場企業だからといって、これから先、必ずしも上場しないとは言い切れません。
非上場企業のなかには、初上場、再上場を目指している会社もあるでしょう。
既に上場してしまった企業は、株価を下げないよう、上場維持基準を満たし続けるためにプレッシャーを感じながら働くこととなりえますが、入社先が上場を目指していれば、上場へとコマを進めていく様子を至近距離で目の当たりにできるかもしれません。
ここまで非上場企業に入社して働くメリットについて見ていきましたが、デメリットとしてはどのようなものがあるかを考察していきます。
非上場企業に入社して働くデメリット3つ
メリットの章で触れてきたように上場企業に在籍しても、上場企業なりの苦労を背負うこととなりますが、非上場企業でも、ワンマン経営者の存在、事業や職場が成長期にあるがための苦労も容易に想像できます。
また、オヤカクの段階で、「大丈夫?」などと、非上場企業に入社することを心配する声が家族から出てくるかもしれません。
1.ワンマン経営で現場の社員が苦労する
非上場企業のひとつのかたちとして、経営者が株式を100%保有している、いわゆるワンマン経営者の会社があります。
鶴の一声ではないのですが、オーナーが権力者である以上、上から仕事の方針などを示されたら、社員は従わざるを得ません。
経営者によっては、朝令暮改という言葉があるように、短期間でコロコロと考えや方針を変える方もいて、現場では、余計な仕事が増えたり、修正で二度手間になったりし、社長のきまぐれに振り回されがちです。
入社後、研修を経て仕事に慣れたあとは、トップの性格や傾向の把握に努め、日頃から心づもりをしておくようにすると、朝令暮改のようなことが起きても迅速かつストレスなく対処できるようになるでしょう。
2.イレギュラーな非定型業務に追われる
上場企業は、創業から100年以上経っている、主要事業が長い成熟期の最中にある、業務に関するマニュアルなどが揃っていて仕事が定型化しているところが多いのですが、非上場企業は
- 創業して間もない
- 事業も立ち上げたばかり
- 業務マニュアルなどがない
可能性が高く、仕事や職場がいわゆる成長期の真っ只中で、試行錯誤を繰り返しながらPDCAを回し、非定型業務に多くの時間を割いていることでしょう。
そのため日々、定型業務のルーティン、与えられた仕事を言われたとおりにそつなくこなすことを好む方は、成長期にある非上場企業での非定型(イレギュラーな)業務は苦になるかもしれません。
逆に仕事でマンネリや退屈に感じるのはイヤだと思っている方、アイデアを出すのが得意な方、革新的な仕事がしたい方、ゼロからイチを生み出したいと考える方は、非定型業務は向いているでしょう。
3.家族や友人から「大丈夫?」と心配される
これは入社後ではありませんが、企業が内定を出したあと、その内定を承諾することを親が賛成しているかどうかを企業が確認することを「オヤカク」といいます。
その際「大丈夫?」「親としては反対」と、特に上場企業に勤めていて、そのよさを知る家族からは、非上場企業についてネガティブな意見が出てくることもありえるでしょう。
その際は、会社研究をした結果が手元にあると思いますので、それを基にプレゼンすれば、家族を説得できるはずです。
まとめ
非上場企業は、同意なき買収を避け、意思決定を自分たちで行うために上場しない、もしくは上場廃止するという選択をした会社のことです。
なかにはGAFAMの日本法人や、たくさんの就活生がエントリーを行い、内定を目指すような企業も含まれています。
上場か、非上場かで会社を判断することを短絡的であるとは言いませんが、これから社会に出て働く会社を選ぶなら、やはり企業理念、沿革、事業、戦略、今後の計画など、その会社が出している資料を隈なく読み、深く知る努力をして、納得いく会社にエントリーしていただきたいです。
自己分析、業界研究、会社研究に注力すれば、非上場企業でも自分にとって働きやすい、成長できる、プラスになるような会社と出会えるはずです。