CBTとはどんな試験方式?メリット・拡大する背景や試験対策などを解説

CBTとはどんな試験方式?メリット・拡大する背景や試験対策などを解説

2024年2月1日更新

はじめに

就活をしている中でよく耳にする「CBT」、これは試験方式のひとつです。

採用試験にCBTを取り入れている企業も多く見られます。

一般的な紙ベースの試験方式と大きく異なるため、事前によく調べておく必要があります。

仕組みや機能の特徴など、CBTについて理解を深めれば、試験のスタイルに気を取られることなく、問題に取り組めるでしょう。

この記事は、CBTに関して深掘りする内容です。

CBTの概要と類似する試験方式との違いや拡大している背景、メリット、試験対策、注意点などを解説します。

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CBTとは

デスク

CBTとは「Computer based test」の略称で、コンピューターを使った試験方式のことを言います。

問題はコンピューターの画面上で出題され、解答もコンピュータに入力して行います。

CBTの受検会場は全国にあるテストセンターです。

センターに備え付けられたコンピュータを使い受検するスタイルになっています。

 

PBT・IBT・WBTとの違い

CBTにはいくつか類似する言葉があります。

具体的には「PBT」「IBT」「WBT」などです。

これらはCBTと似た部分もありますが、それぞれ異なる試験方式です。

相違点を押さえ、混同しないよう気を付けましょう。

PBTはpaper based testの略称です。

いわゆる紙を使った従来のテスト方式で、配布された問題用紙と解答用紙を使用しながら行う試験のことを言います。

 

IBTは「Internet Based Testing」の略称であり、WBTは「Web Based Testing」の略称です。

IBTとWBTはほぼ同じもので、インターネットを使用した試験方式のことを言います。

ネットを使っている点はCBTとリンクしますが、大きく異なるのは「いつ」「どこで」受検できるかということです。

IBTやWBTは、自分が持っている電子機器を使っていつでも試験を受けられます。

パソコンはもちろん、タブレットやスマートフォンなどからも受検が可能です。

ただし、IBTやWBTは受検者が自由に受検環境を選べる分、不正対策ではCBTより厳密さを保つのが難しいことも特徴です。

参照:そもそもCBT試験とは?カンニングできない?わかりやすく解説【CBT・IBT】コンピュータ試験の受験のコツや注意点をまとめてご紹介!

【受検者側】CBTのメリット

パソコンを触る手

ここからは、CBTのメリットを見ていきます。

まずは受検者側のメリットです。

コンピューターを利用するCBTだからできることも多く、受検の幅が広がります。

 

受検の機会が増える

CBT試験は受検の機会が増え、より多くの人が試験に臨めるというメリットがあります。

その理由はさまざまですが、例えばCBTを受検できる会場が多いことがその1つです。

全国各地に数百か所のテストセンターがあり、47都道府県すべてにテストセンターが存在します。

試験によっては居住している都道府県内に会場はありません。

そのため、長距離移動をして受検をしたり、受検自体なかなか申込みできなかったりした人もいるはずです。

 

CBTならそのような課題・悩みを解消できます。

また、近年CBT方式の試験を実施する団体・機関・企業は増えています。

現在CBTを導入しているのは、主に資格試験・検定や就職採用試験です。

就職試験の一環として、SPI・玉手箱などのWEBテストを行うケースがよく見られますが、その受検方式にCBTを取り入れる企業は多いのです。

このような資格検定・WEBテストも、CBTによって自宅から近いエリア内で受検できる可能性が高くなります。

そのため、多くの受検者の試験の機会拡充につながっています。

 

試験終了直後に結果やフィードバックを受け取れる

CBTで受検すると、試験結果やフィードバックをすぐに受け取れます。

CBTは、試験の内容を瞬時に解答と突合するシステムが備わっています。

このため、終了直後に結果を受検者にスムーズに知らせてくれます。

受検者にとっては結果に時間がかかるより、すぐ受け取れた方がメリットが大きいでしょう。

解答して時間が経たないうちに結果がわかれば記憶が鮮明なままなので、内容を振り返りやすいはずです。

また、結果によって次にどのようなアクションを取るべきか速やかに検討できます。

 

受検日の選択や急な受検日変更も可能

CBTは、自分で受検日を選択できることも特徴です。

自分に都合の良いタイミングで受検できるのは、大きなメリットになります。

また、CBTは受検予定日の数日前など急な日程変更もできるでしょう。

例えば、感染症にかかって数日後の受検ができそうにない場合や、ちょうど台風や大雪が重なってしまいそうな場合など、受検が難しい状態の時でも日程をずらせます。

 

災害時も受検できる可能性が高い

CBTは、もしもの災害時にも振替受検できる可能性が高くなります。

災害に遭った時、自分や家族の身の安全や衣食住の確保に意識がいくのはもちろん、受検や就活試験を控えている人にとっては、「試験が受けられるのか」という点も気になるでしょう。

例えばPBTの場合は用紙ベースなので、振替受検をするにしても、問題用紙のやり取りや準備などに手間・時間を要します。

しかしCBTはシステム上でやり取りが可能なので、短い期間で振替会場の準備を整えやすいでしょう。

【運営側】CBTのメリット

続いて、CBT試験を運営する側のメリットも見ていきます。

運営側にとって有益な点も知ることで、よりCBTの仕組みなどの詳細がとらえられます。

 

受検者数を増やせる

CBTを実施することで、その試験の受検者数増につながります。

CBTの導入によって試験の実施会場が増えれば、今までより「受けてみよう」と考える人は増えるでしょう。

受検機会の幅が広がることが、受検者数の増加にも影響すると考えられます。

また、資格検定などでCBTを実施する場合、受検者数が増えれば資格検定の知名度アップも期待できます。

 

より多様な問題を出題できる

試験の内容としては、CBTの活用により問題の幅が広げられることもメリットです。

例えばコンピュータ上であれば、動画を使った問題なども出題できます。

また、ヘッドセットを利用したスピーキング問題なども組み込めます。

出題の幅が広がれば、受検者の能力をより細やかに判定できるでしょう。

 

試験情報の漏えいを防止できる

試験の運営側としては、試験情報の漏れは絶対に防ぎたいところです。

CBTを活用すれば、この情報漏れのリスクも大きく減らせます。

例えば紙ベースの試験だと、問題用紙を事前に各会場で保管しておく期間が生まれ、ここで漏えいのリスクが生じます。

また、試験終了後の解答用紙についても保管が必要であり、これにも漏えいの恐れが生まれます。

その点、CBTにおいて問題は試験開始直前にダウンロードとなるため、事前の漏えいリスクが低めです。

また、試験に関する内容はすべて暗号化されるので、セキュリティ面も強化できるでしょう。

 

カンニングなど不正対策が強化できる

CBTには、不正対策に有効な機能が複数備わっています。

先述した問題用紙が存在しないこと、問題のダウンロードは直前でなければできないことなども当てはまります。

また、CBTは受検者ごとにランダムの問題を出すことも可能で、これによって受検者同士のカンニングを防ぐことにもなります。

 

試験にかかるコストを削減できる

CBTを利用することで、従来試験にかけていたコストの大幅な削減ができるでしょう。

CBTはコンピューター上で問題を解答していくスタイルなので、問題・解答用紙がほとんど不要です。

試験の会場も全国のテストセンターになるため、会場の確保・準備・借りるコストも省けます。

さらに、CBTはシステムの開発や運用などをすべて業者に委託できるのです。

システムで試験の解答やデータ分析までできます。

そのため、試験準備のための人員や試験終了後に採点をする人員などもコストカットが実現できます。

CBTによってコストのスリム化を実現するとともに、効率的に試験を進められるでしょう。

参照:CBT試験とは?受験者のメリットや今後の動向

CBTが拡大している背景

インターネット

問題用紙と解答用紙を使い受検するPBT方式が長らく主流な中、コンピューターを活用したCBTがさまざまな試験で導入され増え続けています。

このように、CBTが浸透しつつある背景の1つには、ICT環境の充実が挙げられます。

今やコンピューターの利用は特別なことではありません。

会社に、学校に、お店に、自宅に、多様な場所にコンピューターが備わっています。

 

また、パソコン・スマートフォン・タブレットなど、個人が気軽に取り扱えるIT機器の種類も増えています。

社会のさまざまな部分にITシステムが浸透し、CBT方式も受け入れやすくなったことが、BT導入が進む大きな理由と言えます。

また、2020年から数年世界的規模で流行を見せた新型コロナも要因の1つです。

コロナ禍では、人同士の接触を避ける傾向が強まりました。

この状況下で人との接触が少なく済むCBTに注目が集まり、急速に広がっていったことが現在につながっています。

CBTの今後の動向

CBTは今後も導入する会場の増加など、さらなる拡大が見込まれます。

文部科学省でも現在、小・中・高校でのCBTの活用を模索しています。

CBTシステムのプロトタイプが開発され、一部学校の学力検査・学習調査・授業・家庭学習に導入されるなど、積極的に可能性を探っている状況です。

社会でのICTシステムの需要の高まりに伴い、ICTシステムに求められる役割はさらに大きくなっていくでしょう。

CBT試験も、そのような社会の中で拡充されていく可能性が多分にあります。

これから就職試験・資格試験など、何らかの受検予定がある場合は、CBTについて調べておくと役立つでしょう。

 

参照:文部科学省CBTシステム 運用支援サイト

CBT試験を受ける環境

CBT試験はCBTのテストセンターで受検します。

PBTのような会場形式とは少し異なるので、センター内のイメージもしておきましょう。

センターの試験会場内には多数のパソコンが設置され、1台ごとに仕切りがあります。

パソコンルームのように、他のパソコン周りは見えない状況です。

ここに受検者が1人ずつ座り、マウス・キーボード・ヘッドセット・マイクなど、周辺機器を使用しながら問題に回答していきます。

CBT試験の流れ

キーボード

CBT試験基本的な流れは次の通りです。

ただし、試験によって流れは異なる場合もあります。

試験当日の持ち物や会場の設備も試験によって違う可能性があるので、自分が受ける試験の詳細は、その都度しっかり確認しましょう。

 

受検する人の情報を登録する

受検する試験の公式サイトなどから、CBT受検のための情報登録を行います。

就職試験の場合は、応募先の企業からの案内などから登録方法を確認してください。

登録を完了すると、受検のためのIDやパスワードを入手できます。

 

受検する日時や会場を選択する

登録で得たID・パスワードで試験の申込みページにログインします。

このページで、受検する日時や会場を選択可能です。

会場は座席数に上限があるため、希望の日時を選択できるとは限らない点に注意しましょう。

受検の予約申し込みが完了したら、完了通知メールが届きます。

メールには会場までのアクセス情報や受検料の支払い方法など、重要な内容が記載されているため、必ず確認してください。

 

会場で受検する

試験当日は余裕を持って、指定の時間の数十分前に会場に到着しておくと安心です。

テストセンターでスタッフに本人確認書類を提示し、配布物などを受け取ります。

荷物はテストを行う部屋に入室する前に、会場のコインロッカーなどに預けましょう。

後は指示や案内の通りに受検を進めます。

参照:簿記試験のCBT方式とは?実施方法を理解し合格への対策をとろう!CBT初心者必見!受験の流れ丸分かりガイド

CBT試験対策のコツ

それでは、CBTの試験対策のコツを具体的に解説します。

紙を使うPBTとは形式が違う部分が複数あるので、対策しておく必要があります。

そうでなければ当日思うように進められず、試験の内容自体に集中できなくなるでしょう。

自分の力をしっかり発揮するため、CBTの基本やチェックすべきことを押さえてください。

 

デモ動画を事前に確認しておく

CBT試験を受ける前に、デモ動画を必ず確認しておきましょう。

CBTの受検が必要な場合、受検日の前に操作や機能について紹介するデモ動画が就活専用ページなどにアップされます。

もし以前にCBTを受けたことがある場合でも、動画はその都度チェックしておくことをおすすめします。

なぜなら、操作方法や機能の種類はCBTによって異なる場合もあるからです。

前に受けた試験と仕様はきっと同じだろうと思いこまず、選考ごとに準備しておいた方が安心です。

 

CBTに備わっている機能をチェックしておく

CBTは筆記試験のように問題用紙に書き込むことができず、不便だと感じる人もいるでしょう。

そのような時に便利な機能もいくつかあります。

例えば、問題を一覧で確認できる機能があります。

また、後から問題をもう1度見返せる見直し機能もついています。

筆記試験の場合は気になる問題がある場合、その都度印をつけておけば紙をめくるだけでいつでも再確認できます。

CBTはパソコンで完結する形なので、PBTと同じようにはできません。

しかし、チェックしておいた箇所を後から見直す機能を活用すれば、近い形にできるでしょう。

文字にマーカーを引いたような装飾を施すハイライト機能や、選択肢から外すための目印をつける機能などが駆使できれば、かなりスムーズになるでしょう。

 

受検日をしっかり検討する

CBTは多くの場合、受検日を選べます。

この受検日をいつにするかもCBT対策の1つです。

万全の体制で試験を受けられる日を受検日にすることが大切です。

試験前の勉強期間は長く取る方が有利なので、できる限り後ろの日程にしたいと考える人も多いでしょう。

しかし、後ろ倒しにし過ぎると、受検期間が限られている試験はリスクが発生する恐れもあります。

例えば選択した受検日に天候が大きく崩れ、テストセンターに足を運ぶのが困難な場合、最大限に後ろ倒しの日程を設定していると、それ以上の日程変更が難しくなります。

勉強期間の確保と受検スケジュールの調整、どちらもバランス良く行ってください。

CBTを受検する際の注意点

パソコンを触る手

最後に、CBTを受検する際に覚えておきたい注意点を紹介します。

CBTならではの特性は複数あります。

何も意識せず筆記試験の感覚で受けてしまうと、後々困るでしょう。

 

問題が受検者ごとにランダムで出題される場合がある

CBTは問題が受検者によって異なる場合があります。

筆記試験は、同じタイミングで受検する人は全員同じ問題を解くのが一般的です。

しかしCBTは同じタイミングで試験を受ける場合でも、受検者それぞれ違う問題が出題されたり、出題順が個々に違ったり、統一された内容でない場合もあるのです(一律で同じ内容が出題されることもあります)。

例えば同じ会場で同時刻に同級生と一緒にCBTを受けたとして、後から「あの問題はどうだった?」など感想を言い合う時、お互いの話がかみ合わない可能性があります。

問題に不具合があるわけでも、どちらかが間違った解き方をしているわけでもなく、CBTの特色の1つなので焦らないようにしましょう。

 

使用できる機能が制限される場合がある

CBT試験には便利な機能がいくつかあります。

例えば対策の項目で紹介した、気になる問題をチェックして見返しやすくする機能もそうです。

とはいえ、試験でこれらの機能をフルに使えるとは限りません。

CBTは、試験によっては一部の機能に制限がかかり、使用できない場合もあります。

使うつもりの機能が当日使えないと焦ってしまう可能性もあるでしょう。

試験対策のコツでも述べましたが、事前にデモ動画や試験の説明動画を確認することが重要です。

動画内では、試験本番に使える機能などもすべて説明されます。

また、できる限り事前に選考を受ける企業の過去のCBT試験の体験談などをチェックし、機能や操作面に関する情報やアドバイスがないか調べてみるのも良いでしょう。

もし当日何か使えない機能があったとしても、試験の内容自体には影響しません。

あくまで機能の使用だけの話なので、焦らず落ち着いて受検しましょう。

 

試験問題を持ち帰る方法はない

CBT方式の試験は、受検後も試験問題を持ち帰ることができません。

これについても留意しておいてください。

筆記試験の場合は、持ち帰りの可否は試験によって異なります。

会場で用紙をすべて回収されるケース、メモのみ持ち帰れるケース、自由に持ち帰れるケースなどがあります。

CBT方式ではすべて持ち帰りは不可です。

メモも持ち帰りは認められていません。

そのため、試験終了後に問題と照らし合わせながら答え合わせをするのは難しいでしょう。

まとめ

CBTには筆記試験にはない特徴やメリットが数多くあります。

筆記試験に慣れている人は、試験のスタイルが大きく異なることに戸惑いを感じるかもしれません。

受検当日に操作に迷い実力を発揮できなかったということがないよう、CBTについてあらかじめ仕組みや機能・操作などしっかり理解し、万全の状態で試験に向かいましょう。

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