【業界研究】100円ショップ業界の市場は? 今後の動向と業績ランキング/キャリアパスの描き方
2024年1月25日更新
はじめに
あらゆる主要都市に点在するようになったのが100円ショップです。
100均という名称でも親しまれ、生活用品の多くが低価格で供給できるシステムに、日本人にとってマストといえる存在に成長しました。
躍進を続ける100円ショップ業界は、今後の未来も安定的でしょうか。
この記事では、100円ショップ業界の市場を占う特集です。
今後の動向や、代表的な100円ショップ企業の業績ランキング、100円ショップ業界へ就職した場合の、キャリアパスの描き方を紹介します。
100円ショップ業界への就活を考えている
100円ショップ業界の現状を知りたい
100円ショップ業界の今後の見通しを知りたい
以上のような内容に興味がある方は、ぜひお読みになってください。
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この記事の結論
かつての100円ショップ業界への負のイメージは次第に払拭されつつあります。
コロナ禍での巣ごもり状態の中で、業績を伸ばしてきた数少ない業界です。
今では全国規模に店舗を展開する大手企業もあり海外進出に及んでいます。
ただし、大手数社だけに独占された市場と化していることが、今後どのように社会へ影響を及ぼすか、全く不透明な状態です。
もし、100円ショップ業界へ就・転職を希望するのであれば、業界のキャリアパスを描いて臨む必要があります。
自分の強みを生かして、今後どのように成長したいのかを適切に説明できるようにしておきましょう。
100円ショップ業界の概要
出典元帝国データバンク
100円ショップと称されている店舗とは、商品の本体価格が100円(税込み総額109円)から始まり、日用雑貨、文具、食品といった生活必需品を販売する業態です。
郊外のショッピングセンター、駅前、都心部などに立地し、チェーン店化しています。
発祥は1990年代後半で、2000年代に入っても急成長し続けている傾向です。
一時、デフレによってスーパーや格安店へ消費者が流動しましたが、2013年頃から復調の兆しが見え、消費増税も追い風となって成長を遂げています。
近年では、大型ショッピングセンターや総合スーパーの上層階にもテナントが設けられるようになりました。
100円ショップ業界の市場状況
今ではすっかり人々の暮らしを支え、需要の定番となっているのが100円ショップ業界です。
低価格で日用品が手に入る画期的な商法がヒットし、生活になくてはならない存在になりました。
しかし実際に、現状での100円ショップ業界はどのような動きや課題があるのでしょうか。
脱・100円の中価格品も登場する
帝国データバンクの調べたデータによれば、100円ショップでの、2022年度1人当たり購買額の平均は月665円となり、過去と比べて最高額に達しています。
これは、コロナ禍による外出自粛、テレワーク普及による効果だと考えられています。
アフターコロナとなった2023年以降は、商品の質とデザインが見直され、最新トレンドも加えた新商品の投入などを検討するようになったのです。
今までの100円均一の価格にとらわれない、かつ高額になりすぎない程度の価格(150〜300円)での、商品訴求力が大幅に上がってきました。
主な商品として注目されているのが、アウトドアブームによるキャンプ用品、釣り具用品、DIY用品などです。
100円ショップ業界は二極化する恐れがある
出典元KREO
今後の見通しとして、100円ショップ業界が二極化するだろうと予測する声もあります。
年々、プラスチック素材などの原材料、海外工場での人件費、原油などエネルギーコスト
値上げによって、仕入価格上昇が課題です。
大手各社では、仕入原価の抑制や自動化、省人化などのローコスト管理を駆使できますが、小中規模の100円ショップは、利幅が確保できず苦戦しています。
このまま原材料価格などの上昇が続くと、大手4社と中小100円ショップ間での二極化が進む可能性があります。
その予測が的中すれば、社会への影響がどうなるかは全く不透明です。
100円ショップ業界の主な仕組み
100円ショップ業界の仕組みは、メーカーから商品をダイレクトに大量仕入れをし、消費者に向けて直接販売するビジネスモデルです。
商品の大量生産によって生産コストを下げたことが低価格を生んでいます。
具体的には、商品と店舗に区分された仕組み作りです。
100円ショップ業界の商品の仕組み
100円ショップの商品は、まず企画・仕入れの2点から考え出されている傾向です。
時代ニーズやトレンドに準じて市場動向や消費者ニーズを捉え、新商品の企画開発をスタートさせます。
担当者は商品の在庫確認、販売促進計画、売り場イメージ作りなども仕事の一部です。
現場に向けて、商品パッケージなどデザインから、取扱説明書の作成、売り場POP制作などのデザイン的な仕事など、商品が店舗に並ぶ全過程に携わっていきます。
また、商品は大量生産する前に安全性や耐久性の調査もしなくてはなりません。
不良品の原因究明や改善指示なども普通におこなわれています。
商品発注・納期管理についても、国内外で集荷する際、法的に問題がないかを調査し、リスクマネジメントも整った環境です。
100円ショップ業界の店舗の仕組み
100円ショップの店舗は、原則としてより分かりやすさを意識した店作りをしています。
季節商品は売り時に合わせて積極的に展開中です。
地域に合わせながら選定・発注、売場レイアウトなどもします。
店舗は新入社員が当初入るポジションです。
新規店舗出店の場合、場所の選定、商圏調査や売上予測から損益算出をします。
地域人口、交通量、競合店情報などの調査から、荷物の搬入・搬出などがスムーズにできる環境なのかにこだわった出店です。
他にも、内装や看板デザインの確認、各種工事の調整、修理手配、定期清掃といった店舗設備全般の管理も欠かせません。
100円ショップ業界の代表的な企業
出典元就職エージェントneo
100円ショップ業界は、コロナ禍で低迷した各業界に対して、巣ごもり需要の増加が業績を向上させた珍しい業界の1つです。
かつての100円均一から、300円・700円などの中価格帯拡大も展開し、多くの人々に利用される業界へとシフト成長しています。
売上高ランキングでは、首位が圧倒的に大創産業で、続いてセリア、キャンドゥ、ワッツといった順序です。
大創産業は国内外店舗数が6,451店舗(2023年2月末)、アイテム数76,000点(2022年2月末)と、店舗力・商品力でも業界をけん引しています。
100円ショップ業界を代表する企業といえば、ほぼ4社が首位を保っている現状です。
ここでは、各企業についての詳細を紹介します。
- ダイソー(大創産業)
- セリア
- ワッツ(ミーツ、シルク含む)
- キャン★ドゥ
ダイソー(大創産業)
出典元ダイソーHP
100円ショップ業界の代表格がダイソーです。
本社は広島県東広島市にあり、北海道から沖縄まで最大規模の3,600店以上を有します。
国外でも24カ国の地域に展開する、世界も視野に入れている企業です。
全店1日あたりの来店客数平均は312万人ともされています。
今では実質上、100円ショップ業界そのものを左右する存在です。
セリア
出典元セリアHP
100円ショップ業界にて2位のポジションを誇るのがセリアです。
本社は岐阜県大垣市にあり、全国に1,876店を展開しています。
ダイソーと比較すると店舗数がほぼ半分の規模ですが、約98%が直営店です。
ちなみにダイソーは、全店舗数の1/4が代理店(フランチャイズ)によります。
規模とアイテム数では、ダイソーの大きさにまで至っていません。
しかし、商品のデザインなどでは人気が高く、業界のファッションリーダー的存在です。
ワッツ(ミーツ、シルク含む)
出典元ワッツHP
ワッツは業界3位の企業です。
本社は大阪市中央区にあります。
この企業の特徴は、meets(ミーツ)、Watts with(ワッツウィズ)、Watts (ワッツ)、silk(シルク)といった名称の複数店舗を展開する点です。
また、2021年10月より、音通エフ・リテールからFLET’S(フレッツ)、百圓領事館などを譲受しています。
全体で1,462店の展開となりました。
上位のダイソーやセリアにまで売上は及んでいませんが、今後規模の強化を図る可能性を秘めている企業です。
キャン★ドゥ
出典元キャン★ドゥHP
キャン★ドゥは、東京都新宿区に本社がある企業です。
全体として業界4位のポジションですが、単一ブランドとしては売上は3位に位置します。
国内1,180店を展開中です。
元々関西を拠点としたクリスタルショップ、オレンジという100円ショップは、キャンドゥに吸収合併されています。
また、2022年1月よりイオンの子会社にもなりました。
100円ショップ業界の今後の予測
躍進をし続けている100円ショップ業界ではありますが、この好調ぶりは今後どのような動きへ変化していくのでしょうか。
今考えられるのは、さらなる事業展開を目的にM&A、海外進出を積極的に進めていく企業が増えるのではと予想されています。
この2点の詳しい内容を解説していきましょう。
M&Aによる企業合併に拍車がかかる
今後の100円ショップ業界にて顕著になるのがM&Aではないかと予測されています。
すでに着手し始めているのがキャン★ドゥです。
大手企業売上増加率でも、ダイソー、セリアに遅れをとっている理由は、新店舗の場所を確保する力の差があることに気づき始めました。
そこで改善策として積極的にM&Aを開始しています。
2018年には、ホームセンターDCMグループとフランチャイズ契約を締結し、同ホームセンター内への出店が可能となりました。
2021年には流通大手イオン株式会社の傘下に入ることで、同グループ内の店舗に出店ができて販路拡大に成功しています。
ワッツも同様で、株式会社音通エフ・リテールや株式会社ニッパンを買収しました。
店舗網と事業規模の拡大により、価値向上が期待されています。
以上のように、企業合併によって他社のメリットを吸収しながら、店舗数拡大の足がかりにする傾向です。
海外進出を視野に入れている
出典元Strainer
日本の100円ショップの質と量は、最近になってとても評価が高くなっています。
外国人にも人気が高く、生活雑貨などを中心に利用者を多く見かけます。
そこでダイソーとワッツは、すでに海外展開を開始しました。
今ではダイソーの店舗は、アジア圏や中東を中心に世界中の国々と地域に出店しています。
また、インターネット注文も国内と遜色なく実施中です。
ワッツの場合も、アジア地域を中心にタイ、マレーシア、ベトナム、ペルーに展開を進めています。
現在海外に83店舗を有し、南米への販路拡大を視野に入れ始めました。
100円ショップ業界にて就活を成功させるポイント
ダイソーやセリアなどの100円ショップ業界は、日々多くの人々が利用することもあり知名度のある業界に成長しています。
いままでの安くてチープなイメージも、かなり払拭されてきました。
そのため、就・転職の際にも人気の高い傾向です。
ここでは、100円ショップ業界への就職を考えている人へ、就活成功のポイントを紹介します。
人と接したエピソードを準備しておく
学生時代などの過去の経験から、対人コミュニケーションについてのエピソードを準備しておきましょう。
100円ショップ業界へ就職すると、新入社員のキャリアは現場から始まります。
ほとんどの場合、店舗のスタッフとして運営に関わることになるでしょう。
そこで勤務するスタッフは、パート・アルバイトの人達で占められています。
彼らを取りまとめるリーダーシップや、協調性を持って接するためのコミュニケーションスキルが問われるでしょう。
そこで、面接試験をクリアするためのポイントとして、人と協力したことや影響を受けた経験などを話せるように、過去のエピソードについて精査しておくことです。
そのエピソードの中で、自分がどれだけリーダーシップがあるのか、コミュニケーションに優れているのかをアピールしましょう。
インターンシップには参加しておくほうがよい
ダイソーなどの大手企業への就・転職を目指すのであれば、インターンシップ制度の詳細をチェックし、その機会に合わせて参加することをおすすめします。
インターンシップでは、日々行われている業務に近い内容に取り組めるのが特徴です。
実際のイメージを掴めるため、今後の展開を予測できます。
もちろん参加は義務ではありませんが、インターン生の中から早期選考を考慮する企業もあるので、参加しておいて損はありません。
100円ショップ業界志望者の自己PRの方法
100円ショップ業界を志望するなら、エントリーシート・面接試験への対策として自己PRの方法も考えておくべきです。
基本的には、志望する業界が求める人物像が何かを捉えておき、そこに自分を照合したPR文やスピーチを用意することが望ましいでしょう。
100円ショップ業界が求める人材像を知る
100円ショップ業界のほとんどの企業が求める人材像とは、コミュニケーション能力と最新トレンドに敏感な言動ができる人物です。
多くの人々と接する仕事なので、相手の立場を尊重しながらしっかり管理できる能力と、世の中の動向、お客の声を察知する情報収集力が求められます。
自己PRは基本セオリーに沿って書くこと
100円ショップ業界での自己PRの書き方に関しては、基本的な書き方に従っておくのがベターです。
その方法とは、自分の強みとエピソード、その結果学んだこと、入社後にどう活躍するのかといった順番で書きます。
- 自分の強み
- エピソード
- その結果学んだこと
- 入社後にどう活躍するのか
まず、自分の強みとされる部分は結論のことを指すと思ってよいでしょう。
「私は〜することが得意・強みです」という長所を端的に述べておきます。
その次に、なぜそう思うのかの理由とエピソードを取りまとめておきましょう。
長所の証明となるエピソードを交えます。
誰もが聞いて理解できるレベルに、具体的なエピソードを考えるということです。
そのエピソードで浮上した課題・目標、対する行動、その結果どうなったかなどを、改めて振り返っておくことです。
そして、その結果で学んだことを簡潔に述べます。
例えば「以上のようなアイディアを出して実践したら、40%近い人々の賛同を得た」というように、数字を用いてアピールするのが効果的です。
また、その経験によって気づいたこと、学んだことを書きます。
最後に、仮に入社したら自分はどう活躍できそうかを述べてみましょう。
いかなる企業も貢献してくれる人材を求めています。
面接官の観点は、自社で活躍できる可能性がある人物かどうかです。
自己PRをする際は、長所や強みをどのように対象の企業の業務に生かせるのかまで想像しながら作成すしましょう。
面接対策に向けた100円ショップ業界へのキャリアパス
これから100円ショップ業界へ志望をするのであれば、未来に向けたキャリアパスを自分なりに描いておく必要があります。
そのためにも、100円ショップ業界がどのようなキャリアで成り立っていくのかを、事前に知ってから臨んだほうがよいでしょう。
ここでは、100円ショップ業界の代表的なキャリアパスと、将来への心得を解説します。
新入社員はほぼ現場勤務から始まる
規模の大小問わず、100円ショップ業界への就・転職をした場合、まずは現場に入って経験を積まされるはずです。
勤務場所の決定は企業や地域によりますが、店舗の売り場での販売員からスタートします。
当然、店舗に訪れるさまざまな人々の接客とともに、自分よりも経験値が高いパート・アルバイトの人達も存在します。
複数の人間関係の中で、いかにして信頼を得ていけるかが問われるでしょう。
だからこそ、面接でもコミュニケーションスキルが判断されます。
仕事を覚えながら、コミュニケーションスキルを向上させる工夫や勉強などを続けていくことが大切です。
2年目以降で店長・店長候補になる可能性がある
1年以上のキャリアを現場で積んだ後、2年目からは店長候補に選ばれ、3年目以降には店長へ就任する可能性が高まります。
店舗の責任者として、経営に関するノウハウも要求されてくるでしょう。
また、現場のアルバイトや新入社員の育成についても考えて行動する必要があります。
リーダーシップに関する情報などは、積極的にキャッチして取り組む姿勢が大切です。
また、会社の本部からも研修や会議などの要請が高まってきます。
4年目以降には支店・本社勤務や管理職へ
店舗での店長勤務を経て以降、地域の支店や本社への転勤の辞令が考えられるでしょう。
さらに規模の拡張された経営に関する知識が要求されてきます。
総合的な商品仕入の担当責任者になることもあれば、新店開発のためのマーケティングをする可能性もあります。
他にも物流、海外事業などに携わるといったキャリアが広がっていきます。
まとめ
従来の100円ショップへのイメージは、低品質でセンスがないというマイナスなイメージのほうが強かったはずです。
近年では、想像を超えるほどの高いクォリティの商品開発がされて、自由に購入ができるようになりました。
100円ショップ業界へのイメージと見通しは、ますます明るい方向を目指しています。
大手企業が4社程度で、それ以外の企業が中小企業といった図式も特徴的です。
ますます二極化するのではと予測されています。
競合が少なくなって大手企業が生き残るかもしれませんが、中小企業が逆転させるアイデアで立場をひっくり返すかもしれない、そのような不透明さも持ち合わせています。
ぜひ100円ショップ業界に興味がある就活生は、事前にしっかり対策を練って臨んでみてください。