IT業界は「やめとけ」と言われる理由は6つ!実際の声を届けます
2023年12月28日更新
はじめに
IT業界に就職しようと考えている方は「IT業界はやめとけ」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。「IT業界はブラックなの?」「働いても大丈夫?」と不安を感じると思います。
このような疑問を持っている方に向けて、本記事ではIT業界はやめとけと言われる理由を解説します。実際の声を聞いて自分には向いている仕事なのか確かめていきましょう。
またIT業界以外の業界について知りたい方は【業界研究ガイド】業界一覧 | 就活ハンドブック (jo-katsu.com)を参考にしてください。
IT業界は「やめとけ」と言われる6つの理由
まずはIT業界は「やめとけ」と言われる6つの理由から見ていきましょう。
残業が多く労働時間が長い
IT業界は残業が多く労働時間が長いとよく言われますが、実際にはどうなのか見ていきましょう。厚生労働省が行っている「毎月勤労統計調査 令和5年10月分結果確報」の結果をまとめました。
就業形態 | 総労働時間 | 時間内労働時間 | 残業時間 |
鉱業・採石業等 | 174.4 | 157.1 | 17.3 |
建 設 業 | 170.0 | 155.5 | 14.5 |
運輸業・郵便業 | 170.0 | 146.9 | 23.1 |
製 造 業 | 160.8 | 146.8 | 14.0 |
情 報 通 信 業 | 160.3 | 144.3 | 16.0 |
電気 ・ガス業 | 159.3 | 143.6 | 15.7 |
学 術 研 究 等 | 157.5 | 143.4 | 14.1 |
不動産・物品賃貸業 | 153.4 | 141.2 | 12.2 |
複合サービス事業 | 151.2 | 142.0 | 9.2 |
金融業・保険業 | 149.4 | 136.9 | 12.5 |
その他のサービス業 | 142.2 | 130.9 | 11.3 |
教育・学習支援業 | 132.8 | 120.9 | 11.9 |
医 療・福 祉 | 130.2 | 125.1 | 5.1 |
卸売業・小売業 | 130.0 | 122.7 | 7.3 |
生活関連サービス等 | 122.7 | 116.4 | 6.3 |
飲食サービス業等 | 87.6 | 82.6 | 5.0 |
引用:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年10月分結果確報
IT業界は「情報通信業」であるため、総労働時間は16業界中5番目に多いことがわかりました。また残業時間に関しては、16業界中3番目に多いです。
この結果を見てわかるとおりに、IT業界は業界内でも労働時間、残業時間が多いです。定時で代謝できる頻度が少なく、状況によっては泊まり込みで働くこともあります。
とくに開発時に起こるシステムエラーはつきもので、重要な問題が発生した場合は、納期に間に合うように労働時間が長くなってしまいます。
長時間労働なのに給料が低い
dodaが行った調査によると「2023年の業種分類別の平均年収ランキング」の結果は以下のようになりました。
業種 | 平均年収 | ||
全体 | 男性 | 女性 | |
金融 | 469万円 | 572万円 | 394万円 |
メーカー | 466万円 | 506万円 | 381万円 |
総合商社 | 464万円 | 525万円 | 374万円 |
IT/通信 | 446万円 | 478万円 | 393万円 |
建設/プラント/不動産 | 432万円 | 470万円 | 364万円 |
専門商社 | 424万円 | 468万円 | 361万円 |
インターネット/広告/メディア | 423万円 | 469万円 | 381万円 |
メディカル | 408万円 | 499万円 | 354万円 |
サービス | 377万円 | 419万円 | 335万円 |
小売/外食 | 359万円 | 400万円 | 317万円 |
この調査結果によるとIT業界の平均年収は、10業界中4位と平均よりも高いことがわかります。国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均年収は457万6,000円でした。
IT業界の平均年収は、日本の平均年収よりも少し低いものの業界の中では高い方です。しかし、平均年収が上位にある「金融」「メーカー」「総合商社」と比べると労働時間が長いため、労働時間に対しては平均年収が低いです。
IT業界の年収分布も添付しておきますので、参考にしてください。
待遇が悪い会社が多い
IT業界は会社によって休日出勤があったり、土日休みがなかったり、退職金がなかったりなど、待遇が悪い会社が多いです。そのため、以下のような口コミをよく見かけます。
会社によって異なるので、大手企業などはしっかりと待遇や制度が整っていますが、ベンチャー企業や中小企業であれば整っていないことが多いです。入社時に制度が整っていないと不安になってしまいます。
そのため、企業を選ぶ際には退職金や休日、福利厚生など待遇や制度が整っているか確認してから選考に挑みましょう。
引用:X(旧Twitter)
引用:X(旧Twitter)
常にスキルを磨き続ける必要がある
IT業界は日々、技術が更新されていくため常に技術を磨き続けなければなりません。前述のとおり、労働時間が長い・休日出勤の可能性があるといったことから、スキルを身につける時間を確保できないケースも多々あります。
スキルや知識が不足していると、日々の業務に追いついていないと感じ、モチベーション低下につながってしまいます。
またスキルを磨くといってもフルスタック開発者のような方は別ですが、幅広い分野を扱うわけではありません。一般的には1つの業務を長年継続して行っていくため、キャリアの幅を広げることができないとも言われています。
IT業界の下請け構造に問題がある
IT業界は上記の画像のようにピラミッド構造になっています。元請け、下請け企業、孫請け企業のように業務内容が上流から下流へと流されていきます。下流になればなるほど、労働環境が悪くなる傾向が多いです。
例えば給料が低い、急な仕事の依頼が来て休日出勤になる、といったことが増えます。IT業界に就職するときには、就職先の会社がどの立ち位置に属しているか確認してから考えましょう。
引用:イーデス
将来、AIに仕事を奪われる可能性が高い
AI技術が急速な進化を遂げており、将来的にIT業界の業務はAIに奪われてしまうと予想されています。もちろんすべての業務が代用できるわけではないため、なくならない仕事もあります。
自動化が難しい「設計」や「管理」といった元請けが行う仕事は奪われにくいですが、「プログラミング」「監視業務」「動作確認」といった下請け・孫請けが行う仕事は自動化が進んでいるため、AIに奪われてしまうでしょう。
IT業界に向いていない人・向いている人
IT業界はやめとけと言われていますが、自分に向いている仕事であれば苦にならずに仕事し続けることが可能です。そのため、IT業界が自分に向いているのか向いていないのか確認していきましょう。
IT業界に向いていない人
IT業界に向いていない人の特徴は以下の通りです。
・IT業界は人手不足だからすぐに就職できると考えている人 ・未経験者でも通用すると考えている人 ・積極的ではない人 ・覚えることが苦手な人 ・一人で黙々と作業をしたい人 ・効率的に作業ができない人 ・協調性がない人 |
IT業界は、デスクワークが多くて黙々とパソコンを触っているイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。実際はこのようなイメージ通りではありません。
デスクワークだけでなく顧客との打ち合わせや、チーム内でのミーティングなどマルチタスクをこなすことが多いです。そのため、効率的に作業を進められる力が必要ですし、もちろんコミュニケーション能力も必要です。
またIT業界は人手不足ですが、専門的な知識やスキルが必要な仕事であるため、未経験者はあまり向いていません。
もちろん未経験者だからといって、IT業界に就職できないわけではないですが、不利な状況から就職しなければならないことを覚えておきましょう。
IT業界に向いている人
IT業界に向いている人の特徴は以下の通りです。
・IT関連に興味や知識がある人 ・コミュニケーション能力がある人 ・自ら考え行動できる人 ・何事にも挑戦できる人 ・コツコツした作業を苦にならずに続けられる人 ・変化を楽しみ臨機応変に対応できる人 ・新しい知識やスキルを自ら学んでいける人 |
IT業界の技術は常に進化し更新されていきます。そのため、自ら新しい知識やスキルを取り入れようと行動に移せる人に向いています。重要なことは自ら行動に移すことです。
IT業界は労働時間が長いため、スキルを身につけるために勉学に励む時間を確保することが難しいです。時間を確保できたとしても、勉強することに乗り気でなければ頭に入っていきません。そのため、自ら勉強に打ち込むことが大切です。
またシステム開発などはパソコン作業が長くなることもあります。毎日トライ&エラーを繰り返し、システム障害があれば復旧にむけてコツコツと作業を続けなくてはいけません。
IT業界の実際の声(口コミ・評判)
IT業界の口コミ・評判を見ていきましょう。
【IT業界はブラック企業】
大手企業は働く環境を整えていることが多いですが、中小企業やベンチャー企業は、待遇が悪い会社もあります。上記の口コミのように、会社の規模が小さいと長時間労働になりやすいため危険です。
IT業界に就職したい方は、なるべく規模の大きい会社を狙うか、事前に残業代や労働環境を聞いておきましょう。
【休みが取れない】
IT業界は激務であるため、休暇中であるはずの人からメールが飛んでくることもあります。上記に記載している通り、休みを取っても休みにならない「エア休暇」の状態になる可能性があることを覚えておきましょう。
とくにシステムエラーなどが発生したときは、休みにくくなってしまいます。
【労働時間と給料があっていない】
会社によっては残業代が払われない「サービス残業」が多いこともあります。もちろん、サービス残業は労働基準法の規定に反するため違法です。労働時間に値する賃金を支払う必要があり、上記のような残業100時間で月給18万円はブラック企業です。
【IT業界に転職して成功】
必ずしも批判的な口コミばかりではなく、IT業界に転職して成功した人もいます。IT企業はすべてがブラック企業というわけではなく、優良な企業も多くあります。自分の向き不向きを理解して、強い意志を持っていれば成功させることも可能です。
引用:X(旧Twitter)
引用:X(旧Twitter)
引用:X(旧Twitter)
引用:X(旧Twitter)
IT業界に就職して失敗しないためのポイント
IT業界は「やめとけ」と言われますが、失敗ばかりではなく成功する人もいます。IT業界に就職して成功するためには以下の3つのポイントに注意しましょう。
企業に関する情報を収集する
まずは企業に関する情報を収集します。いわゆる「企業研究」です。詳細な企業情報がなければブラック企業かどうかを見極めることができません。企業のホームページにアクセスし、企業理念や待遇などしっかりチェックしましょう。
このとき大切なことは、別の会社と見比べることです。1社だけではその会社がいいのか悪いのか判断ができません。会社を比較するときは、なるべく会社の規模が同等の企業を選びましょう。
ベンチャー企業と大手企業では差が大きいため、比較対象としては不十分です。さらに情報を集めるために、口コミ・評判を見ておきましょう。企業のホームページや会社説明会の内容と実際の様子は必ずしも同じではありません。
例えば「残業手当は出ます」と記載されていても月20時間は残業は出るが、超えた場合はサービス残業になる、といった会社も多いです。実際に働いた人の声を参考にしてどのような会社なのかイメージしておきましょう。
労働環境を確かめる
上記の方法で情報を収集しても不足する部分は発生します。口コミや評判を見ても、個人の意見なので鵜呑みにはできません。そのため、実際に自分で職場を見て判断することが大切です。
実際に自分で職場を見るためには「インターンシップ」や「OB訪問」などを活用しましょう。他人に聞いた言葉よりも、実際に自分の目で見たほうが納得できます。ホームページに記載されている情報と同じか確かめましょう。
社員同士の交流が活発か
「インターンシップ」や「OB訪問」に参加する場合は、社員同士の交流に注目してください。良好な職場環境であれば、社員同士でコミュニケーションが活発に取られています。逆に静かで黙々と作業を行っているような会社であれば危険です。
さらに可能であれば、上司と部下の関係性を見ておくといいでしょう。上司とも気軽に話せているか、威圧的な態度を取っている人がいないか、圧力のかかる言い方をしていないか、といったことを意識して見ておきましょう。
IT業界は「やめとけ」に関するよくある質問
IT業界は「やめとけ」に関するよくある質問を見ていきましょう。
IT業界の将来は明るい?
IT業界の将来性は高く、市場規模で見ても右肩上がりに伸びていくでしょう。総務省の「令和5年版情報通信白書(ICT産業の動向)」によると、世界のICT市場は578.9兆円(前年比19.8%増)と大きく増加し、さらに伸び続けると予想されています。
日本のICT市場(エンタプライズIT支出額)も27.2兆円(前年比5.2%増)と、右肩上がりの水準を維持しています。ITは日本だけでなく世界中が注目しているトレンドであるため、衰退することはなく将来的に見ても成長し続けるでしょう。
【世界のICT市場規模(支出額)の推移】
未経験者でもIT業界に就職できる?
未経験者でもIT業界に就職することは可能です。もちろん、経験者や資格を持っている人と比べると選考は不利になるため、それ以外の部分でしっかり自分をアピールすることが大切です。
また未経験者であれば人材教育に力を入れている企業に就職しましょう。IT業界は人手不足であるため、未経験者でも採用する企業はあります。
しかし、研修が少ない、勉強できる環境が整っていないような企業では未経験者におすすめできない環境です。IT業界は激務であるため、勉強に費やす時間もあまりありません。
未経験者でも就職はできますが、就職するまでの間にある程度の知識を身につけておきましょう。
IT業界の営業職は「やばい」って本当?
IT業界の中でも営業職は「やめとけ」と言われることが多いです。営業職は技術職ではないため、顧客と接することが多くなります。顧客と接することが多いと「クレーム対応」もしなければなりません。
基本的に企業側が謝ることが多く、精神的にしんどいと思う人が多いです。また営業は断られることが多いです。何度もサービスを紹介しては断られを繰り返すと精神的にこたえます。このような理由があるため、営業職は「やばい」と言われやすいです。
もちろん営業職のいいところもたくさんあるため、結局のところはその人が営業職に向いているかどうか、という点が大切です。
まとめ
IT業界は「やめとけ」と言われる理由は以下の6つです。
・残業が多く労働時間が長い ・長時間労働なのに給料が低い ・待遇が悪い会社が多い ・常にスキルを磨き続ける必要がある ・IT業界の下請け構造がおかしい ・将来、AIに仕事を奪われる可能性が高い |
やめとけと言われる理由は多いですが、結局は自分がIT業界に向いているかどうかが重要です。そのため、IT業界に向いている人・向いていない人の特徴をしっかり見ておきましょう。