【新卒で薬剤師になるための方法】仕事内容や年収、やりがいなどを解説

【新卒で薬剤師になるための方法】仕事内容や年収、やりがいなどを解説

2023年11月23日更新

はじめに

新卒で薬剤師になりたいと思っているが、仕事内容や年収、やりがいなど、具体的にどんな職種なのか気になる方も多いと思います。薬剤師に就職することを考えて、本記事では新卒で薬剤師になるための方法を詳しく紹介しています。

 

企業研究をする前に、まずはその職種について深く知り、自分と合っているか検討しましょう。

薬剤師とは

薬剤師とは、薬剤師法において以下のように定められています。引用元:薬剤師法

 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

簡単に言えば、医薬品や調剤の専門知識を持ち、患者さんに服薬指導する人のことです。薬剤師は、薬局や病院、介護施設などで「調剤」や「服薬指導」を行っています。調剤とは、医師の処方箋に従い薬を調合することです。

 

服薬指導は、調合してできた薬を、いつどの薬をどのように飲めばいいのか、患者さんに詳しく説明することです。薬剤師の中には、医薬品関連企業に就職し、医薬品の開発や流通に携わっている方もいます。

 

薬剤師として働くためには、大学の薬学部で6年間学んだあとに、薬剤師国家資格に合格する必要があります。

 

薬剤師になるまでの道のりは険しく、専門知識が求められるため、一般的な文学部よりも学費が高いです。しかし、薬剤師に就職できれば高い給料と安定した職を得ることが可能です。また全国どこでも需要があるので、働き手にも困りません。

薬剤師の仕事内容

薬剤師の仕事は、「調剤」「服薬指導」「薬歴管理」「疑義照会」「医薬品の販売・管理」の5つです。それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

調剤

調剤は、医師が出した処方箋を基に薬を調合する作業のことです。調剤する際には、他の薬と飲み合わせても問題ないか、そもそも患者さんに適応するのか、といった点を念入りに確認します。

 

医薬分業が発展し、薬のチェックは医師と薬剤師の2人の専門家が確認することが基本です。また、薬を患者さんに渡す前には、調剤を行った薬剤師とは別の薬剤師がチェックすることで、二重三重の確認作業が行われ医療ミスがないように徹底されています。

 

患者さんに適切な医薬品を提供し、事故を未然に防ぐ役割を担っているのが薬剤師です。

 

服薬指導

服薬指導は、患者さんに薬を渡す際に、この薬はいつ、どの薬をどのくらい飲み、効き目はどれくらいなのか、といった薬の服用方法や注意点などを説明することです。誤った薬の服用を行っていても効果が出ないことがあるため、分かりやすく説明します。

 

また疑問点や不安な点などがあれば、丁寧に解説し、安心して薬を服用できるようにするのが薬剤師の仕事です。

 

薬歴管理

薬歴管理とは、患者さんに提供した薬の服薬記録を照合し、患者さんと薬が適合しているのかを判断する作業です。薬歴管理によって、薬の併用による副作用を防いだり、薬の重複を避けたりなど、健康被害が起こらないように未然に防ぐ役割があります。

 

例えば患者さんが複数の病院に通院している場合、それぞれの病院で医師から処方箋を受け取ることになります。薬歴管理を行っていれば、どんな薬が処方されているかが一目でわかるため、薬の重複や飲み合わせによる問題を回避することが可能です。

 

また中には「前に使った薬が合わなかった」といった報告をしてくれる患者さんもいます。前回、薬歴管理によって服用していた薬を把握することができるので、同じ薬をまた提供してしまうようなミスを防ぐことができます。

疑義照会

疑義照会は、薬剤師が処方箋に関する内容について疑問や確認したい場合に、医師に処方の意図や別の処方の提案を行う業務です。

 

医師が処方する薬が絶対に正しいとは限りません。薬剤師は薬のプロフェッショナルであるため、患者さんの状況やヒアリングから本当に正しい処方ができているか確認します。患者さんに最適な薬を提供するために最終確認をする、重要な役目を果たしています。

 

医薬品の販売・管理

薬局などにいる薬剤師は、医薬品の販売・管理も仕事の1つです。処方箋が必要な医療用医薬品は、国家資格を保有している薬剤師しか販売できません。

 

またドラッグストアや薬局で販売されている一般用医薬品であっても、要指導医薬品や第1類医薬品に指定されていれば、薬剤師の資格が必要です。

 

薬剤師は、主にこれら5つの業務を行っていますが、場合によっては小学校、中学校、高校で「薬物乱用防止や麻薬・覚醒剤乱用防止」について講義をおこなっていることもあります。

薬剤師になるには

薬剤師になるために必要な資格や通うべき学校、やりがいなどを見ていきましょう。

薬剤師に必要な資格

薬剤師になるためには「薬剤師免許」が必ず必要です。薬剤師免許を取得するためには、薬剤師国家試験を受験する必要があります。薬剤師になるまでの道のりを簡単にまとめた表を見ていきましょう。

 

薬剤師になるまでの手順
高校

大学の薬学部(6年制)

薬剤師国家試験

薬剤師免許取得

薬剤師に就職

 

注意すべき点は、必ず6年制大学に通わなければいけないことです。通信講座、専門学校、独学などでいくら勉強しても国家試験の受験資格が得られないため試験を受けられません。

 

薬剤師国家試験は年に1回、2月に行われます。薬剤師国家試験の合格率は、過去5年間68%

〜70%であるため、しっかり勉強しておけばさほど難しくはないと予想されます。ちなみに2023年に行われた薬剤師国家試験の結果は以下の通りです。

 

<第108回薬剤師国家試験の結果>

受験者数合格者数合格率
新卒8,548人7,254人84.9%
既卒5,367人2,348人43.7%
全体13,915人9,602人69.0%

 

薬剤師が通うべき学校

上記でも述べましたが、薬剤師国家試験を受ける場合は6年制の大学に入学しなければいけません。大学の薬学部には4年制の「薬科学科」もありますが、こちらでは受験資格を得られないので注意しましょう。

 

薬学部の大学は、学費が高いことが多いです。とくに私大の薬学部は6年間で1,200万円以上になることもあります。一般的な国立大学であれば6年間で500万円程度であるため、金銭面で大きな負担となってしまいます。

 

薬剤師に就職できれば給与も高く安定しますが、学生時代をどう乗り切るかしっかり計画を立てておきましょう。

 

薬剤師に向いている人

薬剤師に向いている人の特徴は以下のようなものがあります。

 

・人とコミュニケーションをとるのが得意な人

薬剤師は、医師とも患者さんともコミュニケーションを取ります。特に患者さんとは、服薬指導や服用後の症状のヒアリングなど、コミュニケーションを取る機会が多いです。人と話すことが得意でなければ仕事ができません。

 

また効率よく作業を進めるためには、医師はもちろん他の医療スタッフと連携を組みながら作業を行う必要があります。仕事においてコミュニケーションを取る機会が多いので、コミュニケーションを取ることが得意な方に向いています。

 

・細かい作業が得意な人

調剤作業は、薬の分量などを間違えずに行う必要があります。手先が器用で細かい作業をするのが得意な方に向いています。

 

また患者さんによっては薬を一錠ずつ小分けにすることもあり、細かい作業が多いです。細かい作業であってもミスは許されないため、苦にならず集中して細かい作業に当たれる人が向いています。

 

・几帳面な人

薬剤師の仕事は薬を扱うため正確な作業が求められます。薬剤の取り扱い・調剤・服薬指導などにおいてちょっとしたミスが、患者さんの命に関わる大きなトラブルになる可能性があります。

 

薬剤師の仕事において、「おおよそ」「大体」「てきとー」といった言葉は不要です。ひとつひとつの作業を丁寧に正確にそして几帳面に行える人こそ薬剤師に向いています。

 

薬剤師の魅力・やりがい

薬剤師は患者さんの近い位置で、サポートできる仕事です。薬を渡す際には、服薬指導があるので必ずコミュニケーションを取ります。また、薬に関する相談はもちろん日常生活においての悩み事なども、相談することがあります。

 

患者さんと細かなコミュニケーションを重ね、信頼感・安心感を得たときにはやりがいを感じることでしょう。

薬剤師の1日のスケジュール

薬剤師の勤務先で多い調剤薬局での一日のスケジュールを紹介します。基本的には営業時間に合わせて働きます。調剤薬局の近くには、病院やクリニックが多く、そこに通う常連の患者さんなどもいるのが特徴です。

 

時刻仕事内容
8:30出勤 朝礼 開局の準備
9:00開局 受付開始
10:00調剤業務
11:00調剤業務
12:00調剤業務
13:00お昼休憩
14:00調剤業務
17:00在庫確認 明日の準備
18:00閉局 帰宅準備をして退勤

 

薬剤師の求人について

薬剤師の求人について見ていきましょう。

薬剤師の新卒採用について

薬剤師は全国にある薬局や病院など、多くの就職先があります。しかし、近年では薬歴管理や処方箋が電子化したことにより、薬局業務が簡略化され需要が減りつつあるのが現状です。

 

新卒として薬剤師として働くことは可能ですが、徐々に就職先の選択肢が減っていく可能性があります。

 

また、薬の規制緩和によってドラックストアなどでは「登録販売者」という資格があれば、薬の種類によっては販売することが可能になったことも、薬剤師の需要減少の要因です。

 

とはいえ、すぐに供給過多になるわけでもなく、地域によっては人手不足の声も上がっています。就職先の希望を高く持ちすぎてしまうと、選択肢が狭まってしまうので、選択肢を絞りすぎなければ、就職先を見つけることは難しくないでしょう。

 

薬剤師の平均年収

厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、薬剤師の平均年収は、583万円です。日本の平均年収が458万円であるため約130万円も高いです。

 

過去4年間の薬剤師の平均年収を見てみましょう。

年度平均年収
2022年調査結果583.4万円
2021年調査結果580.5万円
2020年調査結果565.1万円
2019年調査結果561.7万円

 

およそ560万円~580万円であることが多いですが、勤めている地域や勤務年数、年齢によっても平均年収は異なります。例えば、地域別で薬剤師の平均年収を見てみると以下のような結果になりました。

 

1位 宮崎県 717万円

2位 熊本県 684万円

3位 栃木県 664万円

4位 青森県 651万円

5位 静岡県 638万円

47位 三重県 491万円

46位 和歌山県 509万円

45位 奈良県 520万円

44位 山口県 524万円

43位 岡山県 534万円

 

1位の宮崎県と47位の三重県では約220万円もの差があります。首都圏が高いと思われがちですが、意外と地方で勤務したほうが年収は高くなるので参考にしてください。

 

薬剤師の就職先

薬剤師の半分以上の方が「調剤薬局」で働いていますが、その他にも多くの就職先があるため就職先の一覧を見ていきましょう。

 

・調剤薬局

・病院

・ドラッグストア

・製薬企業

・臨床開発モニター

・治験コーディネーター

・化粧品メーカー

・コールセンター

・公務員

・食品衛生監視員

・薬剤官

 

就職先によっても業務内容が異なるので、自分の就職先を決めてから詳しい業務内容を見ていきましょう。

 

薬剤師の志望動機や目指すきっかけ

薬剤師の志望動機として多いのが、「人の役に立ちたい」「患者さんの治療をサポートしたい」「人の健康に貢献したい」といった内容です。また「薬剤師=安定」といったイメージを持つ人が多く、安定した職に就きたいからといった理由もあります。

 

薬剤師は、他の医療関連職と比べても女性が多いです。女性の方は薬剤師に魅力を感じることが多く、働きやすい環境も整っているため就職したいと思う人もいるでしょう。

まとめ

新卒で薬剤師になる場合は、必ず6年制大学の薬学部に入学する必要があるので覚えておきましょう。就職先は多数ありますが、少しずつ需要が少なくなっていることもあり、どこに就職するかをしっかりと吟味した上で就職しましょう。

上京を志す地方学生ならジョーカツ

首都圏の学生ならスタキャリ