【新卒で社会福祉士になるための方法】仕事内容や年収、やりがいなどを解説
2023年11月23日更新
はじめに
新卒で社会福祉士になりたいと思っているが、仕事内容や年収、やりがいなど、具体的にどんな職種なのか気になる方も多いと思います。社会福祉士に就職したい方のために、本記事では新卒で社会福祉士になるための方法を詳しく紹介しています。
企業研究をする前に、まずはその職種について深く知り、自分と合っているか検討しましょう。
社会福祉士とは
社会福祉士とは「社会福祉士及び介護福祉士法」にて以下のように位置づけられています。
社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整、その他の援助を行うことを業とする者をいう。 |
簡単に言えば、障害や高齢者、貧困など、何らかの理由により日常生活を送れなくなった人の相談を受けて、問題解決などのサポートをする人のことです。
「ソーシャルワーカー」と呼ばれることもありますが、勤め先や役割に応じて「指導員」「生活相談員」「児童福祉士」「スーパーバイザー」などと呼ばれることもあります。しかし、社会福祉士は国家資格を取得していなければ、社会福祉士と名乗ることはできません。
現在の社会に適応できず、福祉の助けを求めている人は非常に多く、年々増加傾向にあります。福祉制度の数は多く、個人では理解しきれないため、社会福祉士を利用し、よりよい生活が送れるようにしましょう。
社会福祉士の仕事内容
社会福祉士のメインとなる仕事は「相談業務」です。もちろん相談業務以外の仕事もあるのでそれぞれの特徴を見ていきましょう。
相談業務
相談業務は、福祉サービスを必要とする人からの相談に応じることです。相談内容は幅広く、高齢者の介護や障がい者の支援、家庭内暴力、児童福祉、生活保護など福祉分野のすべてを対象とします。
たとえば、高齢者の介護の内訳を見てみると、補助金制度、保険制度、サービスの種類や内容、利用できる施設、介護方法、介護に必要な費用など、相談内容はさまざまです。
相談者の依頼に対し、親身になって話を聴き、課題やニーズをくみ取り、最適なアドバイスを行うことが社会福祉士の役目です。
社会福祉に関する知識はもちろん介護、医療、児童、心理など必要とする専門知識の量が非常に多く求められます。
その他業務
その他業務としては勤め先の施設によっても異なりますが以下のような仕事があります。
<支援サービスの提供・管理>
利用者のニーズを聴き、最適な支援サービスの提供を行います。サービス内容を説明することはもちろん、手続きや環境の整備、サービス後の記録の管理なども業務のひとつです。
<関係機関との連携・サービスの見直しや調整>
利用者の満足が行くサービスを提供できるように、行政機関や医療機関などと連携を組むことも社会福祉士の役目です。
提供しているサービスは、内容が変更していることもあり、必ずしも利用者にとって最適であるとは限りません。そのため、サービスを見直し修正することも行います。
<介護業務>
介護施設に勤務する場合は、介護スタッフとして働くケースもあります。入浴や食事、排便などの日常生活の介護以外にも、洗濯や掃除まで行うこともあるので知っておきましょう。
社会福祉士になるには
社会福祉士に必要な資格や通うべき学校などを見ていきましょう。
社会福祉士に必要な資格
社会福祉士になるためには、国家資格である社会福祉国家試験に合格しなければいけません。ちなみに社会福祉は「名称独占」です。「名称独占」というのは、「社会福祉士」という名称を資格を持たないものが使ってはいけない、ということです。
名称を使ってはいけないだけであり、社会福祉士が行っている業務内容と同じ仕事はできます。名称があることで、専門知識を有している、水準が高い、ということをアピールできます。
社会福祉士が通うべき学校
社会福祉士になるためには、福祉系大学や養成施設など、教育機関で学ばなければいけません。社会福祉士の受験資格を得る方法は全部で12通りあり、いずれかのルートを経て、受験資格を獲得しなければいけません。12通りの方法は以下の通りです。
方法 | 資格取得ルートの内容 |
1 | 福祉系の大学で指定科目を履修(4年) |
2 | 福祉系の短大などで指定科目を履修(3年)、相談援助の実務(1年以上) |
3 | 福祉系の短大などで指定科目を履修(2年)、相談援助の実務(2年以上) |
4 | 福祉系の大学で基礎科目を履修(4年)、短期養成施設など |
5 | 福祉系の大学で基礎科目を履修(3年)、 相談援助の実務(1年以上)、短期養成施設など |
6 | 福祉系の大学で基礎科目を履修(2年)、 相談援助の実務(2年以上)、短期養成施設など |
7 | 社会福祉主事養成機関(2年以上)、 相談援助の実務(2年以上)、短期養成施設など |
8 | 児童福祉司など指定のの実務経験4年、短期養成施設など |
9 | 一般大学(4年)、一般養成施設など |
10 | 一般短大(3年)、相談援助の実務(1年以上)、一般養成施設など |
11 | 一般短大(2年)、相談援助の実務(2年以上)、一般養成施設など |
12 | 相談援助の実務(4年)、一般養成施設など |
4年制福祉系大学は、実務経験を積む必要がなく、養成施設で学ぶ必要もないため、最短で社会福祉士になれます。
短期養成施設は、オンライン受講(eラーニングや通信制)が可能なので仕事や育児中の方におすすめのコースです。全部で12通りあるので自分にあった方法を選んで社会福祉士の受験資格を獲得しましょう。
社会福祉士に向いている人
社会福祉士に向いている人は以下のような特徴があります。
人と関わることが好きな人
社会福祉士のメインの仕事は「相談業務」です。人と関わる仕事であるため、人付き合いが好きな人でなければ勤まりません。相談者本人だけでなくその方の家族や知り合いまで、一緒に相談することもあり、誰とでも気さくに話せる力が求められます。
また「ちょっとおせっかい」と思われるほど、相談者のためを思ってサービスなどを提供できることが大切です。人と関わるのが好き、誰かを支えたい、人の役に立ちたいといった気持ちをもって働くことが重要です。
協調性、コミュニケーション能力が高い人
先ほどと似ているところもありますが、人と関わる仕事であるためコミュニケーション能力は必須です。社会福祉士ひとりで業務を遂行するのではなく、医師や保健医療サービスなど、他の機関と連携しながら相談者を支えていくため、協調性もなくてはなりません。
向上心がある人
依頼者と相談する回数は1回とは限らず、何度も相談することもあります。次の相談時には「もっといいサービスを提供する」といった向上心が重要です。向上心をもって働くことで、常に最適なサービスや相談者に寄り添った行動ができます。
社会福祉士の魅力・やりがい
社会福祉士のやりがいは、相談者をサポートすることで、得られるものがたくさんあることです。例えば、相談内容によっては相談者の人生を左右する大事な決断をすることもあります。人生を左右するため、責任感は大きく失敗は許されません。
しかし、それと同時にその決断が成功したときの達成感は大きいです。
また社会福祉士は人をサポートするのが仕事です。相談者の悩みを親身になって聞き、一緒に課題を解決していくことで信頼関係を築くことができます。また課題を解決したときには、相談者からの感謝の言葉もあり、やりがいにつながるでしょう。
社会福祉士の1日のスケジュール
地域住民の生活を支援する「地域包括支援センター」で働く社会福祉士の一日の流れを見ていきましょう。
時刻 | 仕事内容 |
8:30 | 出勤 スタッフ全員と注意事項を確認 |
9:00 | 高齢自宅に訪問相談 |
10:00 | 高齢自宅に訪問相談 |
11:00 | 新規相談者の受付作業 |
12:00 | 休憩時間 |
13:00 | 行政機関等と打ち合わせまたは会議 |
14:00 | 行政機関等と打ち合わせまたは会議 |
15:00 | 担当高齢者の医療機関にて訪問相談 |
16:00 | デスクワーク 明日の準備 |
17:30 | 退社 |
社会福祉士の中には、医療機関で働く方もいます。医療機関で働く社会福祉士の一日の流れを見ていきましょう。
時刻 | 仕事内容 |
8:30 | 出勤 朝礼 看護師や介護士と連絡をとる |
9:00 | 療養中の高齢者及びその家族のサポート |
10:00 | 自治体の福祉センターと連携し地域活動を行う |
11:00 | 自治体の福祉センターと連携し地域活動を行う |
12:00 | 休憩時間 |
13:00 | 受診・受療援助 |
14:00 | 受診・受療援助 |
15:00 | 療養中の高齢者と相談 |
16:00 | 療養中の高齢者と相談 明日の準備 |
17:30 | 退社 |
社会福祉士の求人について
社会福祉士の求人について見ていきましょう。
社会福祉士の新卒採用について
社会福祉士の新卒需要は多くあります。高齢化社会が進むにつれて、社会福祉を利用する人はどんどん増えていくでしょう。そのため、地域包括支援センターや医療機関、介護施設など多くの場所で、社会福祉士が必要となります。
新卒として社会福祉士になる場合は、正規雇用の枠組みになりますが、非正規雇用やフリーランスとして働くこともできます。それぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。
<正規雇用>
正規雇用は1日8時間労働です。一般的には日中の勤務になりますが、働く施設などによっては、早番・遅番といったシフト制もあります。非正規雇用に比べると、責任のある立場につくことが多く、精神的にも肉体的に負担が大きいです。
しかし、雇用形態として安定しているため福利厚生や働く環境をしては、充実しています。
<非正規雇用>
非正規雇用は、勤務時間や勤務日数、勤務先がバラバラです。そのため、自分のライフスタイルに併せて働く時間を調整することができます。
家事や育児など家庭と仕事を両立したい方におすすめの働き方です。新卒で入社して、出産を機に非正規雇用に変更する方もいます。自由度は高くなりますが、安定性は失われます。任期が決まっているので、ずっと同じところで働き続けることができるかはわかりません。
<フリーランス>
国家資格と経験を有していれば、独立開業して自分で事務所を構えることも可能です。独立する場合は、個人の実力によって年収なども異なります。
好きな仕事内容を選べるため、自由度は高いですが経済面などの不安もあり、しっかりと計画や準備をしてから開業しましょう。
社会福祉士の平均年収
厚生労働省が発表している「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、社会福祉士の平均年収は約423万円です。日本の平均年収が458万円なので、ほぼほぼ平均と同じだと言えます。
平均年収は、年齢や勤務地(地域)、勤務年数などによっても異なります。例えば新卒の新入社員(1〜4年目)は、平均年収が284万円です。そこから年齢が高くなると給与も高くなり、50~54歳(30〜34年目)が平均年収442万円とピークを迎えます。
また人口が集中し需要が高くなる関東地方では、平均年収が338万円ですが、九州地方では286万円と働いている地域によっても年収が異なります。
社会福祉士の就職先
社会福祉士の就職先は多くあり、以下のようなところです。
・高齢者施設 ・児童相談所、児童福祉施設 ・障がい者支援施設 ・社会福祉協議会・地域包括支援センター ・学校・学童 ・医療機関 |
安定した職場を求めるなら「自治体(市役所など)の福祉課」や「保健所や保健センター」
といった公務員として働くことがおすすめです。
社会福祉士の志望動機や目指すきっかけ
社会福祉士の志望動機としては以下のようなものがあります。
豊かな社会の実現に貢献したい 実体験をもとに働きたい(祖父のような寝たきりの人も満足させたい) 患者さんの地域生活への復帰を支援したい |
社会福祉士は、人を支える仕事なので、「人の役に立ちたい・サポートしたい」といった理由が多かったです。
まとめ
新卒で社会福祉士になることは可能です。高齢化社会が進むことにより、より社会福祉士が必要とされる機会が増えるでしょう。そのため、将来的にも安定して働くことができます。
社会福祉士の資格を取るためには、12のパターンがあり、自分に合った方法を選んで社会福祉士を目指しましょう。