【業界研究】出版業界について徹底解説!特徴や向き不向きは?
2023年11月18日更新
はじめに
就活を成功させるためには業界研究をしなければなりません。業界独自の業務や特徴を知っていないと入社後にギャップを感じて長く続かないかもしれません。また、長く続けるためには業界全体の将来も考えることが必要です。
そこで、ここでは出版社について基本概要から業務内容、向いている人・向いていない人をご紹介します。出版社に興味があり、業界研究があまり進んでいない方は、ぜひご確認ください。
出版業界とは?
出版業界とは本や雑誌など、出版物の企画や制作を行う企業です。大きく分けて四種類の企業が存在します。
出版業界の市場規模は約1兆6305億円と言われており、市場規模がとても大きな業界です。しかし、コロナ禍による巣ごもり需要が減少したため、市場規模は減少しています。
※その業界の動向や、市場的に伸びているか、大手企業の合併ニュース等の情報を加えられるとより理想的です。
出版業界の種類
一口に出版業界といっても複数の種類があります。前述した出版社を含めて大きく4つに分類されています。ここで各種類の概要についても知っておき、選考に進む際にはどの種類の会社を志望していくべきであるのかを考えていきましょう。
種類①出版社
大手出版社は集英社、講談社、KADOKAWA、小学館などの企業が該当します。そのうちの出版社には、様々な種類があり、総合出版と呼ばれる、さまざまなジャンルで本を出す大手出版社。エッセイ作品や小説など、文芸書を中心に扱う出版社、学術や経済情報などの書籍を扱う専門分野のある出版社などがあります。
出版社の仕事は下記のとおりです。
- 書籍や雑誌などの出版物の企画
- 企画された出版物の制作
- 出来上がった出版物の販売促進・営業
また、就職活動においては下記のようなものがポイントになります。
- 世の中のニーズをキャッチできる人
- 好奇心が強く、様々な知識がある人
- マルチタスクができる人
種類②出版取次
出版社が制作した本や雑誌などの出版物を書店に送り届けるものになります。種類は三種類に分かれ、それぞれ「総合取次」「電子取次」「専門取次」の3つに分類できます。スマホやタブレットなどのデバイスが浸透したことにより増加している電子書籍は、出版社から送られてきたデータを書店に送る「電子取次」にあたります。また、市場シェアの70%以上をトーハンと日本出版販売との2社が占めています。
主な仕事内容は下記になります。
- 出版物を書店に流す
- 流行やデータを駆使し、書店に情報提供する
- 売れなかった本の回収及び出版社への返却
就職活動のポイントには下記のようなものがポイントになります。
- 新しい価値を生み出せる人
- 書店とのコミュニケーションが取れる人
種類③編集プロダクション
編集プロダクションとは、出版物の企画・編集・制作を代行する会社のことです。出版社の下請けとして機能している色合いが強いため、下請け業務が多いのも特徴です。
主な仕事内容は下記になります。
- 出版物の企画立案
- ライター・デザイナーなどへの依頼
- 出版物の作成・編集・入稿
- 出版社へ納品
就職活動のポイントには下記のようなものがポイントになります。
- スケジュール管理が得意な人
- 自分の好きなモノを極めたい人
- デザインのセンスがある人
- コツコツ作業ができる人
- 企画力がある人
種類④書店
本屋さんをはじめとした、出版物を取り扱う小売店のことです。本の陳列はもちろん、お客様に興味を持ってもらえるような配列やPOPの作成など、書店員の働きで本の売り上げが左右されることもあります。書店業界は丸善CHI HD、紀伊國屋書店、ブックオフグループHDなど、身近な企業が多いのも特徴です。
主な仕事内容は下記になります。
- 店頭在庫のチェック・本の補充
- 新刊の情報提供・受注
- 人気・話題・注目商品の情報提供
- 商品の受注
- 販促物の作成
就職活動のポイントには下記のようなものがあります。
- 本が好きな人
- 探究心の強い人
- 魅力を伝えるのが上手な人
- リーダーシップがある人
出版社の主な業務内容
出版業界でも特に人気な、出版社における主な職種と業務内容をまとめました。
業務内容①営業職
書店営業と広告営業の二種類に分かれることが多いのが特徴です。
書店営業は、販売エリアの書店にいる、仕入れ担当者に自社の本を仕入れてもらえるように営業をかけます。そのためにフェアなどを提案し搬送か駆動を行います。また、こうした営業を通して、書店で得た情報などを編集者に伝えたり、次の企画のアイディアにするのも仕事です。
広告営業は、出版物の広告のクライアントや雑誌のスポンサーになってくれる企業を探し、営業をかけるのが仕事です。雑誌の裏表紙などに掲載してもらえるように営業を行います。
営業は売り上げに直結する仕事のため、非常に重要なポジションです。転職の際に未経験OKの求人がある出版社の多くはこの営業職の募集を行っています。
業務内容②編集
出版業界において花形と言っても過言ではないくらいに人気の職種です。企画・取材・撮影のディレクション・記事作成・構成など、全コンテンツに関わってきます。出版社ではなく、編集プロダクションでも編集を中心に出版社の下請けとして業務を行う編集者がいます。
出版物の根幹に関わるため、最初から編集者への抜擢は難しく、運が良くてもアシスタントからのスタートになる場合がほとんどです。営業やライター業務を通して経験を積んでいく必要があります。
業務内容③事務職
庶務・総務・経理などの職種になります。企業によっては営業事務といった形で、営業職の方のサポートを行う場合もあります。
業務内容④校閲
校閲の業務は、出版物の誤字や脱字、言葉の使い方が不自然ではないかのチェックなどの視覚的な確認はもちろん、原稿を確認し、内容に矛盾がないかのチェックも行います。出版物が正確かを確認する職務になります。
校閲が正確にできないと、誤った情報を広めてしまう可能性もあり、企業の信頼に大きく関わる仕事になります。アルバイトなどで誤字脱字などの校正作業から経験をつけていくことで校閲のポジションに就ける可能性が高くなります。
出版業界のメリット・デメリット
出版業界のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。メリット・デメリットがどのくらい大きいのかを考えていきましょう。
メリット①達成感・やりがいが大きい
出版物を作るまでに企画立案や取材、ライティングやデザインなど、多くの工程があります。そのため、多くのハプニングが起き、修正が必要になります。当初の計画通りに進まないことも多い中、それらの出来事を乗り越えて、書籍や雑誌が出来上がり、書店やネット上に並んだときは大きな達成感を味わうことができます。
メリット②憧れの人と一緒に働ける
自分の好きな作家さんと一緒に仕事をしたり、ファンだった著名人に取材したりなど、自分の憧れの人と一緒に働くチャンスがあるのは出版業界の大きな魅力と言えるでしょう。憧れの人と一緒に作り上げた出版物が社会に影響を与えたり、話題になったり、はたまたベストセラーになったりすると、より一層、やりがいや達成感、感動を味わえるでしょう。
メリット③自分の知らない様々な世界を知ることができる
出版物の企画で、自分の知らない業界や今まで興味のなかったジャンルの方と関わることもあります。そうすると、今まで自分の知らなかった世界の話や知識を得ることができ、新たな興味の発見や成長にもつながります。。
デメリット①残業が多くハードワーク
締め切りがある仕事のため、期日に間に合わない場合は残業になることが非常に多い仕事です。作業工程が多い関係で、スケジュールがずれても、締め切りは変わらない場合もあります。その場合はずれ込んだ分を残業などで埋め合わせなくてはいけない場合も発生してしまいます。
デメリット②不況な業界
書籍・雑誌の販売のピークは1996年。そこと比較すると販売額は半分に落ち込んできています。しかし、そんな中でも電子書籍や、近年ではオーディオブックなどで徐々に回復傾向ではあります。とはいえ、不況であることには変わりないので、この不況からの脱却に時間がかかるかもしれません。
出版業界に向いている人・求められるスキル
出版社には以下のスキルが求められます。つまり、下記のようなスキルをすでに持っている、もしくは身に着ける意欲がある方が出版業界に向いています。
- 知的好奇心
- 営業力
- 企画力
- コミュニケーション力
- スケジュール管理力
- チームワーク力
出版業界への就活に活かせる資格
出版業界において、必須の資格というものはありません。しかし、就活に活かすことができる資格には以下のようなものがあります。
- 校正技能検定
- 書籍製作技能検定
- DTPエキスパート認証試験
- Webライティング能力検定
- アドビ認定アソシエイト (ACA)
時間に余裕があるのであれば取得を目指して勉強することをおすすめいたします。
出版業界の大手企業5選
出版社の大手企業には下記のような企業があります。もちろん、これら以外にも多数の企業があるため、ぜひお調べください。
会社名 | 売上高 (億円) | 平均年収 (万円) | 企業理念 | 社風 |
講談社 | 1,694 | 1,322 | 「おもしろくて、ためになる」を世界へ | ・自由で現場に裁量が与えられている ・社員同士の関係性が密 ・挑戦を重んじる |
集英社 | 1,446 | 900 | 創意・自信・協調 | ・人を大切にし、育成する ・明るく前向き ・チャレンジ精神に溢れる |
トーハン | 3,768 | 567 | 誰も置き去りにしない(leaving no one left behind) | ・穏やかで面倒見がいい ・チーム一体となって前進する |
アーク・コミュニケーションズ | 7 | 410 | 広がるビジネス、深めるコミュニケーション | ・社員の自由を尊重する ・社員の意見を尊重する ・信頼関係を尊重する |
丸善CHI HD | 1,743 | 691 | 知は社会の礎である | ・公平で差別がない |
出版業界への就活を成功させるためには
まずは、就活に関する基本的なことは出版業界でも他の業界でもおこなうことが重要です。ESのブラッシュアップ、面接対策は必ず徹底的におこないましょう。そのうえで、出版業界への就活を成功させるためには下記のような書籍がおすすめです。
また、出版業界に属する企業のインターンシップに積極的に参加することもおすすめいたします。実際の業務内容を知っておくことで面接やESで説得力を持たせることができます。
志望動機を作る上で大切なポイントが3つあります。それぞれの特徴と出版業界でよくある志望動機を見ていきましょう。
①なぜ出版業界なのか
自分の今までの人生でどのように本や雑誌が関わってきたのかを伝えることが大切です。過去にどんな出来事があり、本や雑誌に関わってどう変化したかを伝えられるといいですね。
また、将来へのキャリアビジョンと出版物がどのように繋がっているかを伝えることも大切です。将来はどういう人物になりたくて、なぜ出版業界に身をおくことでその将来を描けるのかを言語化できるようにしましょう。
②なぜその企業なのか
出版業界には出版社、取次、編集プロダクション、書店と別れていますが、なぜその立ち位置の企業なのか、そしてその企業で何をしたくて、何を身に付けたいかを伝えられるようにしましょう。前述した「なぜ出版業界なのか」での将来のキャリアビジョンに繋げるために、その企業の特徴がその将来にどう繋がるかを伝え、その企業で働く理由をはっきりと伝えましょう。
③自分の好きなことや得意なことがマッチしているか
出版業界では、出版物が出来上がるまでに数多くの工程があります。また、多くの方達と関わり、社内だけでなく、社外の方と関わることも多いのが特徴です。そのため、仕事で求められるコミュニケーション能力や、スケジュール管理能力、それを駆使して行った出来事を伝えられるようにしましょう。また、過去に自分で作品を作り上げた経験がある場合は、その時のエピソードを話すことで、自分の好きなこと、得意な作業、逆にうまくいかなかったことへの反省点を伝え、他の人よりもより自己分析ができたエピソードになり、より納得してもらえ易い話ができるようになります。
出版業界によくある志望動機
よくある志望動機は以下の通りです。
・人と関わることが好きだから
・チーム一体となって作品を作り上げるのが好きだから
・ものづくりが好きだから
まとめ
今回は出版業界について解説しました。就活を成功させるためには業界研究が必須です。業務内容や大手企業について調べるだけではなく、本当に自分に向いているのかを確認しながら業界研究を進めていきましょう。