ses企業の大手8社を紹介!就職するメリットや新卒選考の傾向も
2023年9月30日更新
はじめに
SES企業は、客先にSE(システムエンジニア)を常駐させるスタイルで業務を行う企業のことです。需要が高まり続けているIT業界において、効率的にITシステムの導入を進められることなどから、SES企業のサービスにも注目が集まっています。
そんなSES企業への応募を検討している就活生もいるでしょう。今回はSES企業についての理解を深めるため、SES企業の中でも大手と考えられる会社をピックアップし、企業の概要や業績、社風、就職偏差値などを紹介します。
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ses企業とは
SESとは「System Engineer Service」の頭文字をとった言葉です。SES企業は、SE(システムエンジニアの派遣事業を行っている企業を意味します。IT業界は需要の高まりに人材の供給が追い付いていない現状があり、自社でIT人材を確保できず悩んでいる企業が多く見られます。このような状況を解決し、効率的に自社にITシステムを取り入れるため、SES企業のサービスが利用されています。
SES企業ではSES契約という形でもってSEの派遣が行われます。SES契約は「準委任契約」とも言われるものです。派遣会社がスタッフを派遣する場合、一般的には派遣契約に基づきます。派遣契約においては、クライアントは派遣業者には業務を依頼できますが、クライアントから直接派遣スタッフに業務を指示することはできません(派遣スタッフの業務は派遣業者がクライアントとの契約に基づいて指示します)。SES契約は派遣契約と異なり、クライアントからSEに直接業務を指示できることが大きな特徴です。このように、SES企業は一般の派遣業者と少し異なるルールの元、人材の派遣を行っています。
ses企業に就職するメリット
IT企業の中でもSES企業で働くことで得られる代表的なメリットは、さまざまな企業文化を経験できることです。一般的なIT企業ではクライアントからの依頼に自社内で対応し、基本的に社外で働くことはないので、自社の文化にしか触れることはできません。
しかし、SES企業はエンジニアがクライアントの事業所に常駐しながら業務を行うため、自社と異なる文化を体験しやすいのです。数多くの企業文化にふれることは、社会人としてエンジニアとしてキャリアを積み重ねる上で大きく役立つでしょう。
ses企業の代表的な大手会社の紹介
それでは、SES企業の中から、代表的な大手会社を紹介します。各社の情報は次の一覧表の通りです。
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
富士ソフト | 2,787億円 | 620万円 | 45 | 風通しが良く挑戦的 |
システナ | 745億円 | 458万円 | – | 横の連携がとりやすい |
鈴与シンワート | 155億円 | 644万円 | – | 上下に関係なく主張しやすい |
コムチュア | 290億円 | 600万円 | – | 挑戦の機会が多い |
ソルクシーズ | 139億円 | 614万円 | – | 温厚な社員が多く主体的 |
昭和システムエンジニアリング | 70億円 | 558万円 | – | 成長しやすい環境がある |
システムサポート | 192億円 | 523万円 | – | 穏やかで真面目な人が多い |
フォーカスシステムズ | 291億円 | 557万円 | – | 意欲的に働ける |
ここからは、各社の特徴や社風、就職偏差値、採用人数などを見ていきましょう。
(1)富士ソフト
富士ソフト(富士ソフト株式会社)は、ソフトウェアの開発・販売を中心に事業を展開している企業です。自社内での開発の他、客先常駐でも業務を行っており、事業規模や売上高の大きさからSES企業の最大手と認識されています。収益は年ごとに徐々に上がり続けており、今後も業績の好調が見込まれます。「新価値創造カンパニー」を自社のビジョンに掲げており、培ってきた技術やノウハウをもって、恐れることなく新たな技術革新を試みていく姿勢もこの企業の特徴です。
就職偏差値が少し低めですが、こちらの企業は社員数が多く、例年新卒採用の人数も例年600~900人ほどと多いため、間口の広さも関係していると考えられます。会社のビジョンがそのまま社内の雰囲気にもなっており、挑戦的な社風です。風通しが良く、従業員が自分達の力を発揮しやすい環境があるようです。
(2)システナ
システナ(株式会社システナ)は、IT事業を展開する企業です。事業内容は幅広く、システムの開発・運用・保守・自動化、IT製品の販売、IT環境の整備・活用サポート、自社オリジナル商品の提供など、非常に多岐に渡ります。事業規模や売上高は富士ソフトに次ぐ、SES企業2位で、こちらも有名な大手です。
就職偏差値については、あまり詳細な情報がない状況ですが、それほど高くはないと推測されます。近年システナの新卒採用人数が増加しており、2021年は368人、2022年585人、2023年は855人と大勢の採用者が出ています(2024年はほぼ2023年並みの予定です)。このような大量採用も影響し、採用倍率も比較的低めです。なお、礼儀やマナーを重視する真面目な社風で、人同士のつながりや連携を大切にしています。体育会系な雰囲気があるものの、人柄の良い従業員が多いという声も多く、良好な人間関係を築きながら働けそうです。
(3)鈴与シンワート
鈴与シンワート(鈴与シンワート株式会社)は、設立から70年以上の老舗IT企業です。独立系システムインテグレーターとして、業界で確固たる立場を築いています。主な事業はICTソリューションの提供やITインフラの構築・運用、システム・ネットワークの開発・運用などです。自社が有するデータセンターを活用し、クラウドサービスを展開していることも特徴です。
鈴与シンワートの就職偏差値も詳しい情報はほとんどありませんが、採用人数が例年数十人ほどであることなどから、内定獲得はそこまで簡単ではないと考えられます。歴史のある企業ながら日系企業によく見られる縦割りな雰囲気が少なく、上下関係を問わず意見を主張しやすい社風があります。
(4)コムチュア
コムチュア(コムチュア株式会社)は、IT技術を使った多様なソリューションの提供をおおなっているIT企業です。クラウド・ビッグデータ・グループウェア・システム構築・ITインフラ整備など、さまざまなICTサービスに精通しています。売上の規模はSES大手の中では3位で、近年好調に業績を伸ばしている状況です。
コムチュアの就職偏差値や採用倍率などについて詳しい情報はあまり見られません。ただし、例年の採用人数が100~200人ほどで、SES企業の中でも人気が高いことから、採用を獲得するのは容易ではないと推測されます。挑戦しやすい社風が特徴で、年代に関係なくチャレンジの機会が与えられるようです。若い社員も責任ある仕事を任せられることから、若手が成長しやすい会社だとの声が多くあります。
(5)ソルクシーズ
ソルクシーズ(株式会社ソルクシーズ)は、システム関連事業を中心的に展開しているIT企業です。システムの企画・設計から開発、運用までワンストップで提供できるトータル力が大きな強みになっています。開発ツール・金融系ツール・教育用システム・クラウドサービスなど、販売している商品も多様です。ITを通じよりよい社会づくりに貢献することも意識しており、サステナビリティ関連に注力していることも特徴と言えます。
就職偏差値や採用倍率はほとんど情報がない状況です。採用人数は例年20~40人ほどとそれほど多人数ではありません。既存の事業のみでなく、何にでも挑戦していく主体的な社風が見られます。また、温厚で話やすい人が多いという声もありました。
(6)昭和システムエンジニアリング
昭和システムエンジニアリング(株式会社昭和システムエンジニアリング)は、証券系システムを中心にDXソリューションの活用やソリューション開発に関する事業を展開している企業です。設立から50年以上の老舗IT企業であり、高い技術でもって高品質の商品・サービスをつくり、顧客の満足度を向上させることを理念としています。
就職偏差値や採用倍率に関する情報はほとんどありませんでした。近年の新卒採用者数は30人前後です。ただし、職場環境は良いと感じている社員が多いようなので、働きやすい良好な企業と考えられそうです。昭和システムエンジニアリングは、エンジニアを育成する環境が整備されてることも特徴のひとつであり、社員の挑戦や意見を受け止めてくれる社風にも表れています。
(7)システムサポート
システムサポート(株式会社システムサポート)は、石川県に本社を置くIT企業です。各種業界の業務系システムを数多く提供しており、クライアントのIT活用を多角的に支援するサービスも充実しています。さまざまなニーズに応える、豊富なサービスラインナップが強みです。近年の業績が好調で、今後も大きな成長が期待できるでしょう。その他、日本オラクル株式会社の「Partner Award」も受賞しています。
就職偏差値や採用倍率に関してはほぼ情報が確認できませんが、例年コンスタントに50人前後の新卒採用を行っています。穏やかで真面目な社員が多く、コミュニケーションがとりやすい社風であるようです。多様なタイプの人材が溶け込みやすい雰囲気があるという声も聞かれました。
(8)フォーカスシステムズ
フォーカスシステムズ(株式会社フォーカスシステムズ)は、ITサービス・システムインテグレーション・情報セキュリティ事業などを展開するIT企業です。公的なシステムの開発実績が多く、また通信・出版など各種業界の大手企業との取引実績も豊富で、信頼性の高い会社と言えます。「テクノロジーに、ハートを込めて。」というスローガンのもと、社員1人1人が事業の重要性を理解し、熱意や誠実な姿勢とともに働くことを意識しているようです。
このような企業の方向性は社風にも表れており、社員がやりたいことを積極的に後押ししてくれる風通しの良い会社と評価する声が多く見られました。一方で堅実な雰囲気もあり、安心して働けるという感想も目立ちます。就職偏差値や採用倍率は情報がない状況ですが、例年70~90人ほどの新卒採用を行っています。
ses企業の新卒選考の傾向
最後に、SES企業の新卒選考によく見られる傾向を紹介します。基本的には学歴よりも個人の意欲や適正重視で、幅広く募集している企業が多く見られます。
採用職種は技術職が多い
SES企業は、IT関連のサービスを提供しているため、必然的に技術職の採用が多くなります。新卒採用の中でも各種エンジニア職の募集が多くを占めます。営業職や事務職の募集もないわけではありませんが、ウエイトは少なめです。なお、入社時点でのITスキルの有無は問わないとしている企業も多いので、大学で特別システム分野を学んでこなかった人でも採用されるチャンスはあります。
大卒の他に高専・専門からの採用も多い
SES企業大手の採用実績を見ると、難関大学から中堅レベルまで、幅広く採用する傾向も確認できます。また、都市部や地方などエリアによる偏りもほとんど見られません。大卒や院卒の他、高専卒や専門卒も募集している企業も少なくありません。はっきり「学歴は問わない」とうたっている企業もあり、全体的にかなり採用の間口が広いと言えるでしょう。
就職偏差値や採用倍率はそれほど高くない
SES企業は大手であっても就職偏差値がそれほど高くはない傾向もあります。また、採用倍率も高いところで50倍前後と、比較的落ち着いています。IT企業は業界全体で人材が不足気味であり、売り手市場の傾向が強いため、新卒選考においても内定獲得のハードルはそこまで高くないと考えられます。
まとめ
SES企業は、エンジニアを客先に常駐させるスタイルで事業を行うことから、働く人は一般的なIT企業よりも他企業の文化にふれやすいというメリットが得られます。また今回紹介したように、大手企業の多くが幅広いITサービスを展開しているため、業務を通してITスキルをどんどん身に付け、成長していきやすい環境とも考えられます。ぜひ大手企業を中心に、SES企業について知り、就職先の候補として検討してみてはいかがでしょうか。