中堅ゼネコンは狙い目?スーパーゼネコン・準大手ゼネコンとの違いやメリットとは

中堅ゼネコンは狙い目?スーパーゼネコン・準大手ゼネコンとの違いやメリットとは

2024年8月15日更新

三好 勝利(キャリアアドバイザー)

この記事の監修者

三好 勝利(キャリアアドバイザー)

新卒で小学校教員となり、学級担任や学年主任などを務め、1000人以上の生徒の指導に携わる。その後、大手教育企業でのコンサルティング営業を経て、現在は株式会社ナイモノのキャリアアドバイザーとして250名以上の学生の就職支援に従事。未経験IT、総合職、人材など幅広い業界への支援実績を持つ。面接対策や自己PRの指導に定評があり、面接官の経験を生かした的確なアドバイスが強み。学生一人一人に寄り添い、ラフな雰囲気で親身に相談に乗ることを心がけている。

新卒で小学校教員となり、学級担任や学年主任などを務め、1000人以上の生徒の指導に携わる。その後、大手教育企業でのコンサルティング営業を経て、現在は株式会社ナイモノのキャリアアドバイザーとして250名以上の学生の就職支援に従事。未経験IT、総合職、人材など幅広い業界への支援実績を持つ。面接対策や自己PRの指導に定評があり、面接官の経験を生かした的確なアドバイスが強み。学生一人一人に寄り添い、ラフな雰囲気で親身に相談に乗ることを心がけている。

はじめに

ゼネコンで働きたいという就学生は、まず知名度の高いスーパーゼネコンを目指す人が多いでしょう。売上が1兆円以上のゼネコンをスーパーゼネコンといいますが、売上げだけで選んでよいのでしょうか。

スーパーゼネコン、準大手ゼネコン、そして中堅ゼネコンです。中堅ゼネコンは売上は3番手ですが、仕事の内容や収入、就活のしやすさなどさまざまなメリットがあります。

この記事では、それぞれのゼネコンを比較しながら、中堅ゼネコンの魅力を紹介しましょう。

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ゼネコンについて

ゼネコンとは、ゼネラルコントラクターの略で、建設・設計・研究などを行っている総合建設業者のことを言います。ゼネコンの中でも、売上によって「スーパーゼネコン」、「準大手ゼネコン」、「中堅ゼネコン」の3つに分けることができます。

<スーパーゼネコン>
鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店

スーパーゼネコンは、年間売上高が1兆円を超えているゼネコンを指します。請け負う建設物は主に学校や病院、高速道路やダムなどの公共事業が中心です。

国内外に拠点があり、1件当たりの作業に対する業務が多いことから、役割分担をして仕事をするのが特徴です。高度な技術力を身につけることができ、高収入に直結します。

スーパーゼネコンの売上高をランキングでまとめました。(表)

順位 会社名 売上高

1 鹿島建設 2兆3,915億円(2023年3月期)

2 大林組 1兆9,838億円(2023年3月期)

3 清水建設 1兆9,338億円(2022年度実績)

4 大成建設 1兆6,427億円(2022年度実績)

5 竹中工務店 1兆3,754億円(2022年度実績)

スーパーゼネコンの各社についての企業分析記事もあります。ぜひこちらもご覧ください。

【企業研究】鹿島建設の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

【企業研究】大成建設の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

 

 <準大手ゼネコン>
長谷工コーポレーション、前田建設工業、フジタ、戸田建設、五洋建設、三井住友建設、熊谷組、安藤ハザマ、西松建設

準大手ゼネコンは、年間売上高が3,000億円以上1兆円未満のゼネコンを指します。民間の建築物や公共事業など幅広く対応しており、景気の動向にあまり左右されないともいわれています。

企業ごとに得意分野があるのが特徴ですから、自分が興味のある分野に強い準大手ゼネコンに就職すれば、スキルアップが可能になります。

準大手ゼネコンの売上高をランキングでまとめました。(表)

順位 会社名 売上高

1 長谷工コーポレーション 1兆272億円(2023年3月期)

2 前田建設工業 6,829億円(2023年3月期)

3 フジタ 5,808億円(2023年3月期)

4 戸田建設 5,471億円(2023年3月期)

5 五洋建設 5,022億円(2022年度実績)

6 三井住友建設 4,586億円(2022年度実績)

7 熊谷組 4,035億円(2022年度実績)

8 安藤ハザマ 3,721億円(2023年3月期)

9 西松建設 3,397億円(2023年3月期)

 

<中堅ゼネコン>
東亜建設工業、奥村組、福田組、東鉄工業、淺沼組、東急建設、鉄建建設、東洋建設、鴻池組、飛島建設、大豊建設、銭高組

中堅ゼネコンは、年間売上高が1,000億から3,000億円のゼネコンを指します。中堅ゼネコンでは、とくに鉄道・河川工事などの社会インフラに関係した仕事の受注が多いことが特徴です。

中堅ゼネコンも得意とする分野があり、専門性を高められるというメリットがあります。新技術の研究開発に注力している中堅ゼネコンも多いので、技術面でスキルアップしたいという人にはおすすめです

中堅の売上高をランキングでまとめました。(表)

順位 会社名 売上高

1 東急建設 2,888億円(2023年3月期)

2 鴻池組 2,673億円(2022年度実績)

3 奥村組 2,494億円(2022年度実績)

4 東亜建設工業 2,135億円(2023年3月期)

5 東洋建設 1,683億円(2023年3月期)

6 鉄建建設 1,607億円(2023年3月期)

7 大豊建設 1,560億円(2022年度実績)

8 福田組 1,543億円(2022年度実績)

9 淺沼組 1,444億円(2023年3月期)

10 飛鳥建設 1,259億円(2023年3月期)

11 東鉄工業 1,246億円(2023年3月期)

12 銭高組 1,076億円(2023年3月期)

 

中堅ゼネコン12社の特徴

現在中堅ゼネコンと呼ばれる企業は12社あります。それぞれの特徴を紹介しましょう。

東急建設
東急グループに属する中堅ゼネコンです。主に首都圏を中心とした建築工事の実績を積んでいます。また、鉄道関連工事が得意で東急電鉄はもちろん、北陸新幹線などの路線工事にも携わっています。

QFRONT(キューフロント)、渋谷マークシティ渋谷といったランドマークなどを数多く手掛けています。現在は渋谷再開発プロジェクトも進めています。

鴻池組
鴻池組は非常に古くから関西の建設業界を支えてきた歴史ある企業です。現在は、大阪に本拠を構え、積水ハウスグループに属しています。

大阪だけでなく、日本全国、海外事業と幅広く手掛けており、専用の技術研究施設も所有しています。六甲トンネルや国際子ども図書館などの実績があります。

奥村組
関西に本社を置く中堅ゼネコンです。堅実経営と誠実施工が会社の信条となっています。これは人材教育体制にも反映されており、技術学習などの研修にも力を入れています。

働き方改革推進員会を創設したり、資格取得をサポートしたりと社員を大切にする社風を持っています。

東亜建設工業
海洋土木工事を得意とする中堅ゼネコンです。高い技術力で空港の埋め立て工事、港湾施設の整備などの実績があります。

最近は、周辺施設にも事業を拡大し、物流倉庫・冷蔵倉庫などにも事業を拡大中です。

東洋建設
日本国内でもトップクラスのマリコンで、海洋土木工事を得意とする中堅ゼネコンです。とくに土木技術では多くの工法を駆使できる技術力を誇ります。

国内に限らず、フィリピンやインドネシアなど海外でも多くの港湾工事、工場施設の建築も手掛けています。

鉄建建設
鉄道分野を中心に、インフラ事業を手掛ける中堅ゼネコンです。国内だけにとどまらず、海外にも拠点を持っています。駅ビルの建築にも実績があり、長野駅新駅ビルの建設では長野市景観賞を受賞しています。

安全管理を徹底するため、研修環境の整備や事故対策に力を入れている企業です。

大豊建設
土木関連を得意とする中堅ゼネコンです。庁舎や商業施設・倉庫など物流関連、環境施設、医療福祉施設、鉄道・道路といったインフラなど幅広い分野での実績が豊富です。

国内だけでなく、東南アジアを中心に海外にも進出しており、高い技術力を誇っています。

福田組
創業から120年を超える老舗の中堅ゼネコンです。土木では道路、鉄道、港湾、エネルギー関連施設などのプロジェクトを手掛けています。

建築では、商業施設や公共施設など幅広い実績を持ち、技術面でも高い評価を得ている中堅施猫んです。

淺沼組
学校や官公庁に強みをもつ大阪の中堅ゼネコンです。最近では、集合住宅を中心とした分野にも進出しています。

技術研究所も設立。「超高層RC」「免震」「制震構造」「耐震補強」「特殊コンクリート」といった独自技術も強みです。

飛鳥建設
土木工事が得意な中堅ゼネコンです。「防災の飛島」といわれるほどで、建物の後付け制震技術が強みです。

海外での自然災害復旧復興支援プロジェクトチームを立ち上げ、社会インフラの補修・補強などを行っています。

東鉄工業
鉄道関連を強みとする中堅ゼネコンです。JR東日本とのつながりが深く、専門的な技術を保持し、実績を重ねています。

日本国内の鉄道線路のメンテナンス工事では、ダントツのシェアを誇る企業です。その他にも鉄道工事で培った技術を生かし、防災・耐震の新工法の開発にも力を入れています。

銭高組
創業300年以上の老舗中堅ゼネコンです。建築事業を主に、企画・設計・管理・不動産取引業など幅広い事業を展開しています。

土木工事では、瀬戸大橋をはじめとする橋梁建設が強みとなっています。

中堅ゼネコンの平均年収

年間売り上げが1,000億~3,000億の中堅ゼネコンは、非上場や地域密着型の企業もあります。待遇面では平均年収が850万円前後となっていますが、かなりバラつきがあるようです。

高い年収も期待できる

中堅ゼネコンだからかといって、スーパーゼネコンや準大手ゼネコンに引けを取ることはありません。以下の平均年収ランキングをみると、中堅ゼネコンである「奥村組」「東亜建設工業」が上位に位置しています。

また、年収だけに焦点を当てるのではなく、福利厚生、残業時間、人材育成サポート、資格手当といった待遇面での比較も大切です。

ゼネコン全体の平均年収のランキングをみていきましょう。

ゼネコン平均年収ランキング(2023年)

順位会社名規模平均年収(万円)
1鹿島建設スーパーゼネコン1,163.5
2大林組スーパーゼネコン1,031.6
3竹中工務店スーパーゼネコン1,009.6
4大成建設スーパーゼネコン992.9
5清水建設スーパーゼネコン971.6
6前田建設工業準大手ゼネコン967.1
7長谷コーポレーション準大手ゼネコン941.9
8奥村組中堅ゼネコン936.7
9東亜建設工業中堅ゼネコン927.8
10フジタ準大手ゼネコン911.0
11五洋建設準大手ゼネコン885.0
12安西ハザマ準大手ゼネコン882.4
13三井住友建設準大手ゼネコン881.2
14西松建設準大手ゼネコン861.7
15熊谷組準大手ゼネコン845.9
16戸田建設準大手ゼネコン835.4
17飛島建設中堅ゼネコン832.2
18鉄建建設中堅ゼネコン818.9
19銭高組中堅ゼネコン814.7
20大豊建設中堅ゼネコン807.9
21東洋建設中堅ゼネコン802.1
22銭沼組中堅ゼネコン770.3
23東急建設中堅ゼネコン763.9

平均年収について、以下の記事も参考にしてください!

知っておきたい!就活に役立つ各業界の年収中央値

中堅ゼネコンを志望するメリットとは

スーパーゼネコンや準大手ゼネコンなど知名度の高いゼネコンに志望する就学生も多いでしょう。しかし、中堅ゼネコンに志望するメリットもたくさんあります。

就職難易度のハードルが比較的低い

中堅ゼネコンは、スーパーゼネコンや準大手ゼネコンに比べると就職難易度は比較的低いといえます。就活生の多くは、まず知名度が高い企業に集中しがちです。

しかし、知名度が年収や待遇と比例するわけではありません。「奥村組」や「東亜建設工業」など、中堅ゼネコンでも知名度の高いゼネコン並みの待遇を用意している企業もあります。

とくに地方の中堅ゼネコンは、人材不足の傾向にあります。スーパーゼネコンや準大手だけに目を向けるのではなく、地方の中堅ゼネコンには就職しやすいところがたくさんあります。

 

学歴フィルターが少ない

スーパーゼネコンや準大手では、学歴フィルターがあることが多く、エントリーシートを提出した段階で落とされる可能性があります。

しかし、中堅ゼネコンであればインターンシップを使うなどして企業への理解を深めていくことで、学歴に関わらず採用される可能性が高くなります。

また、学歴フィルターという言葉自体がよくわからない方へ参考記事がありますので、ぜひご一読ください。

【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング!入社が難しい有名企業から国家公務員まで網羅!

【徹底解説】学歴フィルターはどこから?実態(エピソード)と突破方法

まとめ

スーパーゼネコンや準大手ゼネコンは、知名度があり人気が集中します。そのため、選考のハードルも高くなり、就活難易度も上がります。

同じ建設業の中堅ゼネコンは、知名度はありませんが、プロジェクトの種類や経験できる業務、強みなど特色がある企業も多くあり、年収などの待遇も大きく変わりません。

建設業のなかでも、自分がどのような仕事をしたいかをよく考えることが大切です。知名度だけでなく、働きやすさや裁量の大きさ、経験の幅といったことを考えるなら、中堅ゼネコンを選択肢のひとつとするのもよいのではないでしょうか。