【アメリカでの就活】特徴や日本との違いも解説
2023年8月24日更新
はじめに
これから就活を始めようという就活生で、アメリカでの就活にも興味がある!と考えている人は少なくないでしょう。
学生時代にアメリカに留学した経験があったり、アメリカから来ている留学生と親交があったり、アメリカを身近に感じている人のなかには、このまま日本で就職することに抵抗を感じている人はいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、アメリカでの就活事情を日本の就活と比較しながら解説していきます。
アメリカでの就活の特徴4選
アメリカでの就活の特徴を厳選して4つご紹介します。
日本との違いも解説しています。
考え方や文化の違いが就活にも表れています。
新卒一括採用がない
アメリカでは、日本のように、大学3回生の夏にスーツを着て一斉に就活を始める、といったような一括採用は行われていないようです。
アメリカでは通年採用が行われています。
この違いは日本では終身雇用制度で新卒入社から定年まで働くのが一般的なことに対し、アメリカでは転職を繰り返すことが珍しくないため、人員を補充するタイミングが異なることにあります。
人員の流れが活発なアメリカは、ポジションに空きができるとすぐに人を補充しなければいけないため、通年採用が行われている、という事になります。
近年では「日本の終身雇用の維持は難しい」、とトヨタの社長が日本の雇用形態の維持に苦言を呈していましたね。
そして日本でもリストラや、通年採用を取り入れる企業も出てきています。
いつか日本でもアメリカのような採用形態になる時代が来るのかもしれません。
ポジション別で募集・採用が行われる
日本での新卒採用は一括で多くの人材を採用します。
まず総合職で採用し、研修などの期間で本人の希望や特性を勘案し、各部署に振り分ける、といった采配が取られることがほとんどです。
しかし、アメリカではポジション別で募集・採用が行われるため、採用が決まった部署以外で働くことは基本ありません。
日本の採用形態の場合は、もし、就いた業務で結果が出せない、不適応だと判断されると、他部署への異動が可能です。
アメリカの採用形態の場合、就いたポジションでその人材以上に優秀な人材が見つかれば、解雇されてしまうこともあり得ます。
また、日本での面接は人事部の人間が行うことが多いですが、アメリカではそのポジションの担当者が行います。
以上をまとめると、アメリカの採用は会社の立場からすると合理的に働き、日本の採用は雇用されている立場が有利な待遇を受けることができる、ということになります。
アメリカの就活はオンラインで完結する
コロナ禍以降の日本での就活も過去のものとは大きく変化し、企業にもよりますが、会社説明会、インターン、面接など、ほとんどの就活の過程をオンラインで済ませることができる時代になりました。
アメリカでの就活がオンラインで完結する理由はコロナウィルスの蔓延防止ではなく、国土の広さが関係しています。
アメリカ国内でも4つのタイムゾーンがあり、東海岸と西海岸では3時間の時差があります。
また、異動に時間と費用が掛かるため、採用が決まるまでオンラインで完結させ、採用活動を合理的に行っています。
アメリカでの履歴書
アメリカでも日本と同様、履歴書を企業に提出します。
しかし、日本では必ず記入すべき内容でも、アメリカでは業務内容と関係しない場合、「記入しない方がいい」ということもあるようです。
例えば、性別や国籍です。
性別や国籍は業務内容に関係がなく、無意識に偏見を持ってしまう可能性があるから、の様です。
また、配偶者の有無、宗教、住所なども記入は不要で、業務に関係のある情報のみを記入するようにしましょう。
日本ではESやガクチカの提出など、パーソナルな部分も重要視されますが、そういった点はアメリカでは不要、という事になります。
アメリカでの就活で重要視されるポイント3選
アメリカでの就活をするうえで重要視されるポイントは日本で重要とされるポイントとは異なります。
アメリカで就活をする場合、重要視されるポイントを3つ厳選してご紹介します。
学歴や大学での学部・成績が重要視される
アメリカでの就活において、学歴や大学での成績が重要視されます。
日本における学歴社会は有名ですが、意外にもアメリカの方が学歴社会が強く根付いているようです。
アメリカは実力社会で、偏差値が高い=即戦力だとみなされるようです。
また、アメリカでは大学で何を学び、何を専攻してきたか、成績は優秀だったか、などが重要視され、それらが、「入社後に何ができるのか」の判断材料になります。
日本では専門職以外はあまり学部や学科にとらわれることはなく、学生時代に何に注力してきたか、など、その学生の人間性を重視する傾向にあります。
このことから、日本の企業ではチームワークが求められ、アメリカの企業では個の力が求められていると考えることができます。
奨学金を取得していると評価される
日本でも多くの学生が奨学金を利用していますが、就活において奨学金を利用していることが有利に働くことはあまり耳にすることはないでしょう。
しかし、アメリカでの就活では奨学金を取得することで高評価を得ることができます。
実はアメリカでは学生の約7割が奨学金もしくは学資ローンなどを利用しています。
アメリカの大学は日本と比べて非常に高額で、年間の授業料は日本円でおおよそ300〜400万円ほどです。
名門私立大学ともなると年間500万円以上掛かることもあるようで、学費の高騰はアメリカの学生の生活を圧迫していると、問題になっています。
そんな学費事情のアメリカでは、成績優秀な学生を対象に返済義務のない奨学金を給付しています。
返済義務のない奨学金の給付条件はとても厳しく、高校の3年間の成績が常にトップである必要があるので、採用時にも返済義務のない奨学金を獲得した学生は優秀である、と評価されます。
アメリカに留学する際の奨学金3選
アメリカの学生は多くの割合で奨学金を借りていることが分かりましたね。
ここでは、日本からアメリカに留学を考える人が利用できる奨学金を3種類ご紹介します。
名称/支給先 | 申請時期 | 審査基準 |
スカラーシップ(奨学金)/ アメリカの大学 | 留学先の大学、大学院へ願書を提出時 | 成績・志望動機(英語)・大学・高校の先生からの紹介状・面接 |
トビタテ!留学Japan/ 文部科学省(留学期間は1年以内) | 12月中頃に発表 | 書類審査、面接(在籍する高校・大学を通じて応募) |
海外留学のための奨学金/ 日本学生支援機構(JASSO) | 毎年9月に発表 | 語学・学歴・成績(在籍する大学を通じて応募) |
いつかアメリカでの就職を考える際に、今後留学して、英語のレベルアップやアメリカの文化、または学士号の取得などを考える人が利用できる奨学金を3つご紹介しました。
留学先でインターンシップに参加し、経験を積むのもアメリカでの就職に近づく方法のひとつだとも考えられます。
利用できる奨学金は有効に活用しましょう。
インターンシップ経験
アメリカではスキル、即戦力が求められるので、実務経験が重要視されます。
日本ではインターンシップに参加したからといって実務経験があるとは判断されませんが、アメリカでのインターンシップは1年以上経験することで実務経験がある、と評価されます。
アメリカではインターンシップ参加は長期の面接のようなもので、効率のいい就職活動だということができます。
アメリカでの採用フロー
アメリカでの採用フローをご紹介します。
アメリカでの面接の常識などもご紹介します。
WEBでエントリー
アメリカでは就職したい企業にWEBやメールでエントリーし、指定の方法で履歴書を提出します。
日本でもコロナ禍以降、WEBエントリーすることが普通になっています。
オンライン面接
履歴書の提出後、選考の結果をメールなどで受け取り、面接の日時を確認したらオンライン面接を受ける、という流れになります。
日本でも同様の過程が取られることが多いですが、2次、3次と面接が進むにつれ、対面になる傾向にあります。
前述にもあるように、国土の広さや時差を考慮して最後までオンラインで完結させることが多いようです。
また、海外からの優秀な人材を集めたい企業では外国に住んでいる人と面接をすることもあり、合理的に採用活動を行っているといえます。
英語・日本語両方で対応
アメリカでの就職を考える人は、アメリカの企業の面接での対応は、英語と日本語両方で対応できるようにしておきましょう。
応募した職種への志望動機、インターンシップ参加での経験などを紐づけ、あらかじめストーリーとしてまとめておきましょう。
前向きで積極的な姿勢をみせるためにも、将来のキャリア像、夢などを効果的に伝えられるように準備しておきましょう。
サンキューレターを送ろう
アメリカでは面接の後、できればその日のうちに感謝の気持ちを伝えるサンキューレターを送ることがマナーとされています。
サンキューレターには、以下のような内容を書くのが一般的です。
・時間を割いて面接して貰ったことへの感謝の意
・面接時の感想や興味を持った話題
・ポジションに対する意気込み
・連絡など、いつでも対応が出来ることの意思表示
アメリカでの就活の一般的なマナーとはいえ、企業側の立場ならサンキューレターを貰うと気持ちがいいですね。
まとめ
この記事ではアメリカの就活事情の特徴や日本の就活との違いを解説してきました。
アメリカでの就活は新卒一括採用ではない、採用がポジション別だという点が日本の採用とは大きく異なる点でした。
また、日本以上に学歴社会が根付いていることにも少しイメージが変わりましたね。
日本では新卒一括採用が一般的で、専門職でない限り、総合職での配属先で経験を積んで適性を判断されてから専門的な部署に配属されることが一般的です。
日本では、企業がOJTを用いて、学生を一人前の社会人に育て上げる文化が根付いているといえます。
一方、アメリカではポジションを就活生が自分で決めて応募します。
このことから、アメリカでは、学生の自主性が日本よりも強く感じられ、OJTに入るまでにある程度自分で経験を積む必要があるようです。
アメリカでの就職と、日本での就職は企業側と学生側の意識、両方で大きく異なります。
アメリカと日本、どちらの就活があなたに向いているのか、考えてみるのも自己分析の一面だともいえるでしょう。
OJT:「On The Job Training」の略で、職場での実務を通してスキルや知識を教える教育手法です。アメリカで始まり、日本には戦後に取り入れられました。