【業界研究】自動車メーカーとは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年6月27日更新

はじめに

自動車メーカーは、私たちの日常生活にとって切っても切り離せない存在です。

 

あの自由なドライブや快適な移動を実現してくれる車の裏には、自動車メーカーの存在が必ずあります。

 

自動車メーカーが一体どのような業態なのか、そのビジネスモデルや職種から志望動機の書き方まで全体像を知りたくないですか。

 

この記事では自動車メーカーの業界研究を行う就活生にとって必要な情報を丸っと整理しました。

 

自動車メーカーへの就職を目指す方や業界に興味のある方にとって、自動車業界への理解を深め、自身の進路選択のサポートになる内容となりますので、10分ぐらいでサクッと読んでくださいね。



自動車業界とは?

自動車業界は、自動車の開発、製造、販売および関連サービスを含む産業のことを指します。

 

この業界は、自動車メーカーや部品メーカー、販売ディーラー、自動車関連サービスプロバイダーなど多岐にわたる企業で構成されています。

 

自動車業界の業界規模は63兆円を超えると言われ、世界経済において重要な役割を果たしており、雇用創出や経済成長に貢献しています。

 

OICA(国際自動車工業会)によると、2022年の世界の自動車販売台数は前年比1.4%減の8,162万台、生産台数は6.0%増の8,501万台でした。

 

2022年は前年の自動車販売台数とほぼ横ばいで推移していますが、過去の数年間は中国が世界の自動車市場を牽引し、今後は成長余力のある東南アジアやインドなど新興国市場をいかに取り込むかがカギとなりそうです。

 

また、技術革新や環境対策にも注力し、新しい車両のエネルギー効率向上や電気自動車の普及など、持続可能なモビリティの実現を目指しています。

 

さらに、自動運転技術やコネクテッドカーの進化など、デジタル化との融合も進んでおり、競争が激しく、消費者の要求や規制の変化に対する柔軟な対応が必要な業界だということですね。



自動車メーカーのビジネスモデル

自動車メーカーは、 自動車を設計・製造し、市場に提供する企業で、自社ブランドの自動車を製造・販売するだけでなく、部品の調達や供給チェーンの管理も担当します。

 

自動車メーカーの一般的なビジネスモデルと主な収益源は下記のとおりです。

 

新車販売

自動車メーカーは自社ブランドの新車を販売することで収益を得ます。

 

さらに、販売された車両にオプションやアクセサリーを追加することで追加収益を得ることもあります。

 

アフターサービス

自動車メーカーはアフターサービスによっても収益を生み出しています。

 

保証期間内や保証終了後に顧客に対して点検、整備、修理、部品交換などのサービスを提供し、アフターサービスによって顧客満足度を高め、リピート顧客や口コミによる新規顧客獲得につなげます。

 

ライセンス契約

自動車メーカーは自社の技術や特許を他のメーカーや企業にライセンス供与することで収益を得ることがあります。

 

例えば、燃料効率の改善や安全技術の特許など、他社が利用したいと考える技術やノウハウを提供することでライセンス料を受け取ることができます。

 

販売契約

自動車メーカーは販売代理店やディーラーネットワークと契約を結び、販売代理店からの販売による手数料やマージンを収益源とします。

 

ディーラーは自動車メーカーの製品を仕入れて販売し、その利益の一部をメーカーに返済します。

 

ファイナンスサービス

自動車メーカーは融資やリースサービスを提供する金融部門を持つことがあります。

 

顧客に対して自動車の購入資金やリース契約を提供することで、金利や手数料による収益を得ることができます。

 

以上が一般的な自動車メーカーのビジネスモデルと主な収益源の例です。

 

自動車メーカーの職種

次に、自動車メーカーにおける一般的な職種を表にまとめてみましたので、確認しておきましょう。

 

職 種 概 要
研究開発 新しい技術や製品の研究・開発を担当する職種
自動車設計エンジニア 自動車の設計や開発に携わるエンジニア
ロボットエンジニア 自動車生産ラインの自動化やロボットシステムの開発を担当するエンジニア
電気・電子エンジニア 自動車の電気・電子システムの設計や開発を担当するエンジニア
製造技術者 自動車の製造ラインやプロセスの改善を担当する技術者
品質管理者 製品の品質管理や品質改善に関わる業務を担当する管理者
マーケティング 製品のマーケティング戦略や広告・販売促進を担当する職種
セールス 自動車の販売を担当し、顧客との交渉や契約手続きを行う職種
アフターサービス 顧客へのアフターサービスや保証業務を担当する職種
部品調達 自動車部品の調達や供給管理を担当する職種
サプライチェーン 物流や供給チェーンの管理を担当する職種
財務・会計 企業の財務や会計業務を担当する職種
人事 人事・採用・労務管理などの人事業務を担当する職種

 

この表は一般的な職種の例であり、実際の自動車メーカーにはさまざまな役職や専門職が存在します。

 

また、企業によっては職種の名称や業務内容が異なる場合もありますので、ご了承ください。



大手企業紹介

続いて、大手自動車メーカーの概要をザックリと理解しておくために、自動車メーカー各社の企業理念や社風、経営数字、就職難易度などを整理しました。

 

全体を通じて相対的に比較することにより、見えてくるものがありますので、下表を参照してみてください。

 

社名/

項目

企業理念 社 風 売 上 純利益 平均年収

(平均年齢)

入社難易度
トヨタ自動車 「ものづくりの追求」「持続的な成長と貢献」 信頼性と努力を重視 37兆1543億円 2兆4513億円 857万円

(40.4才)

58.8
本田技研工業 「技術と創造の共創」「人々との共生」「社会への貢献」 自主性やチャレンジ精神を重視し、革新的な技術開発に注力 16兆9077億円 6953億円 778万円

(44.7才)

57.7
日産自動車 「技術の深化とクリエイティブ」「持続可能なモビリティ」 多様性と国際性を重視し、アウトプット志向の風土がある 10兆5967億円 2219億円 811万円

(41.9才)

58.0
三菱自動車 「地球環境と安全」「顧客満足度向上」「品質第一」 品質と技術に注力し、経営効率化と国際競争力の強化を図る (2兆2900億円) (750億円) 660万円

(41.5才)

52.8
スズキ 「お客様に感動を創る」「地域社会への貢献」 経営効率と柔軟性を重視し、アットホームな風土 4兆6416億円 2211 億円 665万円

(40.8才)

53.7
マツダ 「人々の喜びと豊かさの向上を通じて地球社会の発展に貢献する」 挑戦と創造を重視し、アートやスポーツとのコラボレーションを推進 3兆8268億円 1428億円 637万円

(41.8才)

57.2
スバル 「効率性と環境に配慮した持続可能なモビリティの提供」 個人の自主性と協力体制を重視し、アウトドア志向が強い 3兆7745億円 2004億円 645万円

(39.1才)

53.9
ダイハツ 「技術と情熱で地域社会と世界に貢献する」 チームワークとアイデア創出を重視し、環境対応型の製品開発を行う 非公開 非公開 651万円

(40.9才)

55.0
日野自動車 「よりよいクルマづくり」「お客さまとともに進む」「社会とともに進む」 プロ意識と信頼性を重視し、お客様のニーズに対応する製品を提供 1兆5073億円 ▲1176億円 638万円

(39.4才)

54.4
イスズ 「顧客満足度の追及」「地球環境の保護」「人材育成の推進」 品質と堅実さを重視し、安全性と燃費効率に優れた製品を提供 3兆1955億円 1517億円 753万円

(41.2才)

55.4

※売上高、純利益は2023年度3月期決算数値(ただし、三菱自動車は見込み)

※平均年収、平均年齢は業界動向チリサーチの数値を適用

※入社難易度は朝日新聞Eduaの「企業入社難易度ランキング2021」数値を使用

 

自動車メーカーの動向

現在の自動車業界は「100年に1度の大変革時代」とも言われています。

 

最近では世界各国の自動車メーカーで「CASE」という言葉がトレンドとなっており、今後の自動車業界の未来を語るうえで欠かせない重要なワードとなっています。

 

「CASE」とはConneted Autonomous Shared Electricの略で「コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化」を意味し、自動車メーカーはCASEを見据え、以下のような動きに拍車がかけています。

 

電気自動車(EV)へのシフト

自動車メーカーは、環境への配慮と規制の厳格化に対応するため、電気自動車(EV)の開発と生産に力を入れています。

 

欧州連合(EU)が2035年にガソリンなどで走るエンジン車の新車販売をすべて禁止するとしてきた方針を変更し、環境に良い合成燃料を使うエンジン車は認めると表明しました。

 

ただし、今後も電気自動車へのシフトが加速すること、中国の自動車メーカーがシェアを拡大していることを受けて、日本の自動車メーカーも急ピッチで電動車両のラインナップを拡大し、充電インフラの整備やバッテリー技術の向上にも注力しています。

 

自動運転技術の開発

自動車メーカーは、自動運転技術の研究開発に取り組んでいます。

 

AIやセンサーテクノロジーの進歩により、自動運転車の開発が進んでおり、安全性や快適性の向上に向けた取り組みが行われています。

 

モビリティサービスの展開

自動車メーカーは、自動車販売に留まらず、モビリティサービスにも注力しています。

 

カーシェアリング、ライドシェアリング、サブスクリプションサービスなど、新たなビジネスモデルの開発やパートナーシップの形成が行われています。

 

コネクテッドカーの普及

インターネットに接続された車両であるコネクテッドカーの普及が進んでいます。

 

クルマがネットに接続することで、現在位置の把握や配送の効率化、最適なルート提案、事故発生時の通報など様々なことが可能になるため、自動車メーカーはさまざまなコネクティビティの機能を開発しています。

 

新たなモビリティビジネスへの進出

自動車メーカーは、伝統的な自動車製造・販売に留まらず、新たなモビリティビジネスにも進出しています。

 

自動車メーカーとしてのブランド力や技術力を活かし、電動バイクや電動スクーター、モビリティロボットなど、さまざまな分野で展開しています。

 

おさえておきたい志望動機のコツ3つ

それでは自動車メーカーを受ける人にとって、避けては通れない志望動機の作り方のコツを3つ紹介します。

 

最低限これだけは押さえて、企業研究したうえであなたのオリジナル性を加味しながら、刺さる志望動機を作り込んでください。

 

①業界と企業の選択理由を明確にする

志望動機では「なぜ、自動車業界なのか?」「なぜ、御社なのか?」を自分の言葉で言語化する必要があります。

 

それなら、他の業界でもいいよね?

それなら、ウチじゃなくてもいいよね?

 

と言われないように、鉄壁の守備体制を敷いて選考に臨んでください。

 

たとえば、「アクセルとブレーキを踏み間違えて起きる高齢者の多発する自動車事故をAIやセンサーで感知して未然に防ぐ車を高齢者でも経済的に入手しやすい仕組みを構築し、高齢者の交通事故ゼロを実現したい」といった自動車業界ならではの理由を入れると良いでしょう。

 

また、企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望動機を作成することも大切です。

 

今であれば、先述のCASEの例を使って御社にしかない最先端技術を特長づけてもいいですし、経営理念に感銘したでもいいので、「御社でなければダメな理由」をとにかく志望動機の中に入れ込むようにしましょう。

 

②求める人物像に寄せて作る

どの業界も求める人物像は近いものがあります。

 

たとえば、自動車業界であればIT化や規制、世界情勢によって大きく変化を迫られる業界です。

 

そんな環境下では安定志向の人よりも、変化に柔軟でチャレンジ精神旺盛な人のほうが向いていますよね。

 

あるいは、社内の人とクロスファンクショナルな活動を行う場面も多く、取引先や協力会社と交渉や調整を行うことが多々ありますので、コミュニケーション能力や駆け引きに長けた人のほうが重宝されますね。

 

加えて、自動車業界の海外進出は加速しており、日本メーカーが現地生産した車を日本国内へ輸入する企業や海外での自動車の販売に力を入れている企業も増えていますので、国際感覚や英語力があったほうがもてはやされるでしょう。

 

このように業界によって共通的な求められる人物像がありますので、

 

求める人物像ならどんな志望動機を作るだろう?

 

と想像しながら、志望動機を作るのがコツですね。

 

③志望動機の型を覚える

 

柔道や空手道などの型や将棋の定石のように、何事も基本の型となるものがあります。

 

志望動機にも同じように「型」というものがあり、この型を使えば、踏み外すことなく効果的に志望動機を伝えることが可能です。

 

逆に我流で志望動機を作ってしまうと、支離滅裂で1ミリも刺さらないような志望動機に終始するかもしれません。

 

型を使うと便利で効果的なので、以下の型を参考にすると良いでしょう。

 

1⃣【結論】志望する理由を一言で述べる

2⃣【背景】志望するに至ったきっかけとなる経験を述べる

3⃣【根拠】経験から学んだことや考えたことを述べる

4⃣【比較】自動車メーカーでしか叶えられないことを述べる

5⃣【展望】入社後の具体的な展望を述べる

 

特に、4⃣と5⃣が抜けがちな詰めの甘さのある志望動機を散見します。

 

最後の締まりが悪いので、そつなく入れ込むようにしましょう。





まとめ

自動車メーカーは現在、環境への配慮と技術革新に焦点を当て、電気自動車(EV)へのシフトは加速し、多くのメーカーが持続可能なモビリティへの貢献を図っています。

 

また、自動運転技術の開発やコネクテッドカーの普及、モビリティサービスの展開など、次世代のモビリティに向けた革新的な取り組みも行われています。

 

さらに、自動車メーカーはデジタル化とユーザーエクスペリエンスの向上にも注力しており、オンライン販売や個別化サービスの提供、AI技術の活用による快適性や安全性の向上など、顧客ニーズに合わせた革新的な取り組みにも本腰を入れています。

 

加えて、自動車メーカーは持続可能性への取り組みを強化しています。

 

再生可能エネルギーの活用や循環型経済の促進、車両の安全性とサイバーセキュリティ対策など、社会的責任を果たすためにさまざまな取り組みが行われています。

 

自動車メーカーへの就職を検討している方々にとって、この業界は多様なキャリアチャンスと成長の可能性がある魅力的な業界です。

 

技術革新やモビリティの変革に興味がある方は、ぜひ選考に挑まれてみてはいかがでしょうか。

 

そのために本記事が少しでもお役に立てば、幸いです。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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