経営に資格は必要?就活にも役立つ?
2023年5月12日更新
はじめに
会社経営において、必須であるという資格はありません。
しかしながら、取っておいて損はありません。
では、経営に必要な資格とは何なのでしょうか?
就活やキャリアでどのように役立つのでしょうか?
この記事では、将来に起業を考えている人に向けて、経営に資格が必要である理由、お勧めの資格、就活やキャリアにどのように活かせるか、などについてお伝えしていきます。
また、起業の予定はなくとも経営には興味があるという人にとっても役立つ情報となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
経営に資格が必要である理由
「この資格がないと経営ができない」といったような、必須資格は経営には存在しません。
それでも、企業経営には資格取得がお勧めです。
なぜ経営に資格が必要なのでしょうか?それは、信頼を得られるから、自身のスキルアップにつながるから、適切な判断につながるからの主に3つの理由があります。
1つ目は、信頼を得られるからです。
資格は、自社の従業員や顧客に向けての信頼の証になるでしょう。
特に、起業した当初は、他社とのお付き合いなど人間関係が出来上がっていません。
企業経営を安定させるための定期的な取引をもらうには、お互いの信頼関係が必要です。
資格を持っていれば、相手にスキルを認めてもらいやすくなり、信頼関係を築く時間や手間が省けるかもしれません。
2つ目は、自身のスキルアップにつながるからです。
資格取得という大きな目標に向けて、必要な多くの知識を効率良く吸収できるでしょう。
資格を取得しなくても勉強はできますが、比較するとどうしてもモチベーションが保ち辛く、効率が落ちてしまいがちです。
また、適切な資格を選べば、自分に足りない知識や経営に必要な能力が分かり、的確に自身のスキルを上げていけるでしょう。
資格取得を目指さない場合、やるべきことを明確にしにくくなると言えます。
3つ目は、適切な判断につながるからです。
企業経営においては、常に重要な選択を迫られます。
そんな時、資格取得に裏付けられたスキルを活用して適切な判断を下しやすくなると言えます。
以上のように、企業経営を目指すにあたって、資格取得をしておくことには多くのメリットがあります。
いきなり起業するよりも、経営が上手くいきやすいと言えます。
経営に関わりたいと思っている場合、資格取得を目指すのが手っ取り早いです。
経営にお勧めの資格
経営を目指すにあたっては、適切な資格を選んで取得する必要があります。
そうでないと、必要でない知識ばかり積み上がってしまって意味がないからです。
以下にお勧めの資格である8つを順にご紹介していきます。
それぞれ、経営、会計、法律、人事の分野でスキルを高められる資格となっています。
内容だけでなく、試験の出題形式や日程などについてもお伝えしていきますのでぜひ参考にしてみてください。
経営
経営コンサルティングができるようになる資格です。
中小企業診断士、経営士の2つが挙げられます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業診断協会が行っている国家資格です。
(引用:一般社団法人中小企業診断協会)
経営コンサルタントとしての技能を高められる、需要が高い資格です。
内容は、財務、税務、マーケティング、人事など幅広くなっていて、企業経営に関して網羅的に学ぶことができるでしょう。
受験資格の規定は特にないため、受験しようと思えば誰でも受けることが可能です。
難易度は高いですが、お勧めの資格です。
テストの頻度は年に1回で、1次試験のマークシート形式試験をパスする必要があります。
2次試験は、筆記と口述となっています。
経営士
経営士は、日本経営士会が行っている民間資格です。
(引用:一般社団法人日本経営士会)
経営コンサルティングができる意義の大きい資格です。
企業経営において、大きく役立つでしょう。
経営士の試験受験は、5年以上の経営管理実務経験が必要となっています。
試験は年に1回で、筆記試験、面接試験、経歴審査があります。
合格のハードルは比較的高めと言えるでしょう。
会計
企業経営において、お金の流れが掴めるようになる資格です。
公認会計士、税理士、日商簿記検定が挙げられます。
公認会計士
公認会計士は、日本公認会計士協会が実施する国家資格で、3大国家資格の1つと言われています。
(引用:JICPA)
公認会計士は、「財務諸表監査」の独占業務が行えます。
監査や経営のプロと言えるでしょう。
会計業務が適切かどうか見分けられるため、経営に役立ちます。
公認会計士試験には、受験資格はありません。
試験に合格することと、3年以上の実務経験が必要ですが、しようと思えば誰でも受験が可能となっています。
必須科目である「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」「租税法」の5つと、選択科目である「経営学」「経済学」「民法」「統計学」の中から1つを選んで受験します。
形式は、短答式と論文式の2段階あります。
税理士
税理士は、日本税理士会連合会が行っている国家資格です。
(引用:日本税理士会連合会)
税務のプロである税理士になるためには必須の資格となっています。
会社経営と納税は、切っても切り離せない関係にあるため、お勧めの資格と言えます。
また、経営における経費の削減にもつながるかもしれません。
大学卒業や日商簿記検定1級合格などの受験資格が必要なため注意が必要です。
また、試験に合格するのと併せて、2年の実務経験も必要となっています。
試験は年に1回で、11科目の中から指定分含めて5科目を選択し、受験する形式です。
たとえば1年ごとに1科目ずつ受験していくことも可能なので、コツコツ合格に向けて勉強を積み上げるやり方もできます。
日商簿記検定
日商簿記検定は、商工会議所の検定試験です。
(引用:商工会議所の検定試験)
企業には欠かせない決算書類である、損益計算書、貸借対照表が読めるようになります。
また、仕分けや帳簿のつけ方などから一連の流れを把握できるため、会計についての知識が深まります。
日商簿記検定はこのようなことから、経営を目指すのにうってつけの資格です。
経営において、会社のお金の流れを理解することは重要であると言えます。
取得するなら、商業簿記だけでなく工業簿記についても幅広く勉強ができる2級がお勧めです。
日商簿記検定には初級、3級、2級、1級がありいずれも誰でも受験が可能となっています。
級によって開催日は異なりますが、年に2、3回の受験が可能です。
比較的受験しやすい試験であると言えるでしょう。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、日本FP協会ときんざいが行う資格試験です。
(引用:日本FP協会)
金融関連の知識全般を網羅したい場合はお勧めの資格となっています。
内容は、運用、保険、税金、相続など多岐に渡っています。
注意したいことは、どちらかと言えば個人の資産形成に関する知識が多い資格であるという点です。
そのため、企業経営においてはあまり活躍の場がないものもあるでしょう。
ファイナンシャルプランナーの試験は、迷ったら、より容易に合格できると考えられる日本FP協会の方で受験するのがお勧めです。
3級、2級、1級とあり、級ごとに開催日は異なりますが年に1回から3回受験可能です。
取得するなら、実践的でより深い知識が問われる2級がお勧めとなっています。
法律
企業経営において、法律を遵守することは重要です。
資格取得は、ビジネス実務法務検定がお勧めです。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、東京商工会議所の民間の検定試験です。
(引用:ビジネス実務法務検定試験)
企業における法律関連の知識を広く学べる資格となっています。
業界や職種は問いません。
企業経営に必須である、コンプライアンスについても知っておけるため、お勧めの資格であると言えます。
3級、2級、1級とあり、1級は年に1回ですが、それ以外は年に2回受けられます。
受験資格は必要なく、比較的合格のハードルも低めです。
人事
企業経営において、人のコントロールは重要です。
資格取得は、社会保険労務士がお勧めです。
社会保険労務士
社会保険労務士は、全国社会保険労務士会連合会が行っている国家資格です。
(引用:全国社会保険労務士会連合会)
企業経営において重要な要素である「人」に関する知識を学べる資格となっています。
たとえば、人事や労務管理などが挙げられます。
人事コンサルができたり、従業員からの疑問に応えられたりするため、経営においてお勧めの資格です。
社会保険労務士には、短大卒同等の学歴など、受験資格が必要です。
試験は年に1回で、問題形式は選択式と択一式となっています。
経営に関する資格の取り方
経営に関するお勧めの資格は、学生の内かもしくは社会人になって働きながら取得することになります。
いったいどのような取り方があるのでしょうか?
以下にその方法である、通信教育、専門学校、独学の3つについて、順にご紹介していきます。
費用 | 効率 | 時間 | |
通信教育 | ○抑えられる | 〇上げられる | 〇節約できる |
専門学校 | △高くなる | ◎高くなる | △拘束される |
独学 | ◎安くできる | △低くなりがち | 〇融通が利く |
1つ目は、通信教育です。ユーキャン(引用:ユーキャン)などが挙げられます。
働きながら資格取得を目指す社会人にはお勧めの方法です。
なぜなら、通学の必要がないからです。
また、専門学校へ通う場合と比較して、費用が抑えられることが多いでしょう。
通信教育は、長年の実績から効率的な勉強方法や効果的な教材を取り揃えていることが多くなっています。
時間がないけどある程度効率良く勉強したいという人は、通信教育を考えてみましょう。
2つ目は、専門学校です。
学校に通いながら資格取得を目指します。
本格的に勉強をしたい人にお勧めです。
授業に出るためのスケジュール管理は大変ですが、夜間や早朝、土日を活用すれば、社会人でも不可能ではありません。
なんといっても、同じ資格取得を目指す仲間と共に頑張れるため、モチベーションの維持がしやすいのが特徴です。
費用はかさみがちですが、本気で難関資格を取得したいと考えている人は、ぜひ専門学校に通うことを検討してみてください。
3つ目は、独学です。
自分でテキストや問題集を買って勉強します。
低コストですぐ始められるため、お金がない人にお勧めです。
自分に合ったやり方や参考書が見つかれば、効率よく勉強できるでしょう。
反面、自分に合ったやり方や参考書が見つからなければ、大きな時間のロスになってしまいます。
また、モチベーションの維持が難しいのが欠点です。
比較的簡単な資格取得には有用ですが、難関資格取得を目指す場合は、あまりお勧めできません。
以上のように、経営に関する資格取得には、様々な方法があります。
自分の特性や環境、目指す資格などを考慮して選ぶようにしましょう。
経営に関する資格取得は就活やキャリアに役立つ?
経営に関する資格を取得して、就活やキャリアには役立つのでしょうか?
たとえば、将来なんとなく起業したいという夢はあるけれど、いったん一般企業で働いておきたいという人は少なくありません。
また、結果的になかなか起業に踏み出せなかった場合、取得した資格が無駄になってしまっては辛いばかりです。
結論、経営に関する資格取得は、就活やキャリア形成にも大いに役立ちます。
以下に、経営に関する資格取得を、就活に活用する場合とキャリアに活用する場合について、順番に解説していきます。
就活に活用できる場合
経営に関する資格は、就活に活用できます。
なぜなら、会社経営に関する知識を持っていると、ビジネスをスムーズに進めやすいからです。
たとえば、日商簿記検定を持っている場合、取引の流れについて前知識があるため仕事の飲み込みが早い傾向があります。
また、経理職への配置の期待も持てます。
就活面接において、経営に関する資格を持っているからと言って、落とされる心配はあまりないと言えます。
なぜなら、これらの資格は、起業しなくても会社勤務の中で活用できる場面が多いからです。
そのため、経営に関する資格を取得した場合は、臆することなく面接の場でもアピールしていくと良いでしょう。
会社勤めでも、経営に関わる職種はあります。
将来そのようなポジションに就くことを期待して、採用してくれる企業もあるでしょう。
企業に勤めながら経験も積めるため、お勧めです。
キャリアに活用できる場合
経営に関する資格は、キャリアに活用できます。
なぜなら、経営に関わる職種への転換などキャリアアップにつながるからです。
たとえば、中小企業診断士を取得した場合、マーケティングや経営戦略に関わる部署に配置される可能性があります。
そのような部署での経験を活かして、ゆくゆくは転職や起業をすることもできるでしょう。
経営に興味があれば資格取得を目指そう
ここまで、経営に資格が必要である理由、お勧めの資格、資格取得方法、就活やキャリアに活用する方法などについてお伝えしてきました。
企業経営を目指すには、資格取得が有効な手段です。
起業する前の学生や社会人であっても、スキルを積むことが可能だからです。
ぜひこの記事を参考に、経営に関する資格を取得してみてはいかがでしょうか。