【ランキングあり】就活でおすすめの食品商社は?
2023年1月26日更新
はじめに
就活を始めると、よく耳にするのが「専門商社」という言葉です。
「総合商社」の対義語として利用されることからも、何か専門的な内容を扱う商社だということが推測できます。
一方で、具体的にどのようなことをしているのか知らない人は多いのではないでしょうか。
中でも「食品商社」は、イメージが湧かない人が多い領域です。
「稼げるお金が少なそう…」
「ずっと工場にいるの?」
「何をしているか想像できない…」
食品という私たちの生活の身近にあるものが商材であるにも関わらず、イメージが湧かずに悩んでいる人がたくさんいます。
そこで本記事ではそもそも食品商社とは何なのか、また、どのような魅力があるのか、そして新卒の人たちに人気がある食品商社はどこなのかなどを詳しくご紹介していきます。
専門商社に対する知見を深めたい人や、食品商社を受けたいと考えている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
食品商社って何?
そもそも食品商社とは、食品分野を中心とする商社を指します。
主な役割は、原材料の買い付けやメーカーへの販売です。
商品によっては世界各国・日本各地のメーカーから商品を仕入れ、小売業者に卸すという役割も担っています。
品質がより良いもの、より安くて良いものを求め、世界各国を飛び回ることも少なくありません。
商材の中心となる食材は、世界各地で手に入れることができます。
そのため、日本国内の生産者やメーカーのみを対象にしている食品商社以外は、世界各地へ赴くことができる可能性が高い点が大きな特徴です。
食品商社ではどのような仕事をするの?
食品商社で取り組む仕事は、食品に関わる中で多岐に渡ります。
業務としては、生産者から消費者に届けるまでの過程の中でいくつかに分けることが可能です。
・食品を仕入れる
・仕入れた食品を管理する
・適切な価格で卸す
食品を仕入れる際には、メーカーだけではなく直接生産者と関わることが少なくありません。また、仕入れた食品の販売先ルートの確保なども必要となるため、常に多くの関係者の中で業務に取り組んでいくことになります。
この他にも営業メンバーを支える営業事務や、コーポレートスタッフなどの仕事があります。
中でも営業事務は貿易に関連する内容を取り扱うことも多く、英語を日常的に使用したり、仕入れ先となる国の通貨で金額を計算するなどの業務をこなすことになります。
そのため一般的な事務と異なり、非常に難易度が高い仕事を要求される可能性があることを理解しておく必要があります。
食品商社の魅力
では、食品商社にはどのような魅力があるのでしょうか。
他の専門商社とは異なる、特に魅力的な点を3点ご紹介します。
①食品に関する知識を深めることができる
最も大きな魅力は、食品に関する知識を深めることができる点です。
日々たくさんの食品と関わることから、日頃生活しているだけでは得ることができないような知識を会得可能です。
また、食品の知識を深めることで自分の健康に気を遣うことができたり、日頃から食事にこだわりを持つことができるようにもなるでしょう。
一生付き合う必要がある「食」という分野について、知識を深めることができる点は食品商社ゆえの魅力だと言えます。
②日常的に手に取ることができる商品が多い
食品を扱っているからこそ、日頃からスーパーや百貨店などで商品として確認することができます。
扱っている商品が店舗などで確認できると、自分の仕事が社会へ与える影響を可視化しやすく、仕事へのやりがいや手触り感へ繋がっていきます。
「自分が扱う商品がいつでも目に見える」ことが、仕事をする上でモチベーションになる人は少なくありません。
自分がそのようなタイプだと自覚している場合には、食品商社は非常におすすめです。
③新たな取り組みをすることができる
食品商社というと、これまでは仕入れから卸しまでというのが定説でした。
しかし近年では、食品商社を取り巻く環境が変化しているため、食品商社に求められる役割が変化しています。
仕入れた食品を消費者へ届けるために、自社でECサイトを構築して販売を行ったり、仕入れた商品をより魅力的に販売するためにオリジナルブランドをつくって販売するなど、「食」という広い枠組みの中で様々な取り組みができるようになってきました。
DX化の波は食品業界にも来ていることから、メーカーと協働してデータを用いた販売戦略の構築なども行われています。
業界としてレガシーなイメージがあるかもしれませんが、新たな取り組みをフットワーク軽くできる企業が多い点は、食品商社ならではの魅力と言えます。
食品商社の未来
では、今後食品商社の未来はどのように変化していくのでしょうか。
今後、ゆっくりと時間をかけて市場規模は縮小していくものと見られています。
「食」という生活から切り離せない市場だからこそ、常に新たなプレイヤーが参入しており、近年では生産者が直接消費者に商品を販売する仕組みも確立されてきています。
また、テクノロジーを駆使して卸業者を経由しない販売システムなども構築されています。
加えて日本の人口は減少傾向にあり、「食」自体の需要が低下していくことも予想されています。また、最近では円安傾向が続いていることから、ビジネスモデルとしては継続していっても、売上や利益が落ちていってしまうことも想定されます。
一方で、誰にとっても必要な分野であることから完全になくなるということはないでしょう。
このような状況を理解した上で、食品商社を選ぶのか冷静に判断する必要があります。
食品商社売上高ランキング
では、どのような企業の売上や平均年収が高いのでしょうか。
ここからは食品商社の売上高ランキングと共に、企業の特徴や平均年収などを見ていきましょう。
第1位:日本アクセス(売上高 2兆1,203億円/2022年度3月期)
食品商社の中で最も売上高があるのは日本アクセスです。
食品商社は長年三菱食品が売上高1位の座を守ってきましたが、2022年3月期の決算で日本アクセスが首位に立ち、業界では大きなニュースとなりました。
就活生には耳馴染みがない企業かもしれませんが、伊藤忠商事のグループ会社として、伊藤忠商事のネットワークを活かしたビジネスを展開しています。
そのため全国各地に500以上の拠点があるほか、1,700社以上にも渡る取引先とのビジネス展開を実現しています。
中でもフローズンやチルド関連の商品は業界トップクラスの売上で、日本アクセスの売上高をけん引しています。
しかし平均年収は500万円程度とされており、業界の中では必ずしも高い年収ではありません。賞与の額が低いとの声も多く、やりがいと年収のバランスは見極める必要がありそうです。
第2位:三菱食品(売上高 1兆1,955億円/2022年度3月期)
続いて売上高があるのは三菱食品です。
長年食品業界トップとして君臨してきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことにより大きく減少しました。
しかし引き続き、食品商社の中では最も就職難易度が高いとされている人気企業です。
三菱商事を親会社に持ち、食品に関連する事業を中心に広く展開しています。
中でも加工食品事業と低温食品事業に強みを持ち、缶詰やお菓子、冷凍食品などを通じて日々私たちの食卓を支えています。
食×テクノロジーを得意としており、生産性高く様々な事業を展開しているのが強みです。
また、平均年収は655.7万円(2022年度3月期)と業界の中ではトップクラスです。
平均年収が高いだけでなく、寮や社宅といった福利厚生が非常に充実しており、会社の手厚いサポートを受けながら過ごしていくことが可能です。
第3位:国分グループ本社(売上高 1兆8,814億円/2021年12月期)
第3位は国分グループ本社です。
これまでご紹介してきた食品商社と異なり、元々は醤油の醸造業を中心に発展を遂げてきた企業です。ゆえに創業から300年を超える歴史を誇り、食品商社の中では特に歴史ある企業と言えます。
現在はオリジナルブランドの商品を多数展開しているほか、他メーカーと協働した商品も多く、意図せず生活の中で手に取っていることも多いでしょう。
平均年収は470万円前後となっており、売上高がある企業の中ではやや低めです。
しかし、今も年功序列の風習が残っていることから、年齢を重ねるごとに一定の年収が約束されています。
第4位:加藤産業(売上高 1兆1,371億円/2021年9月期)
続いて売上高があるのは加藤産業です。
就活生には耳馴染みがないかもしれませんが、設立は1947年、連結従業員数は4,000名超えと歴史と規模を誇る企業であることが分かります。
「豊かな食生活を提供して、人々の幸せを実現する」ことをミッションに掲げ、「食」に関連する事業を幅広く展開している点が強みです。
また、カンピージャムをはじめとする自社商品の開発にも力を入れているほか、イタリアンに関連する商品も多数取り扱っています。
平均年収は677万円(2021年9月期)で、三菱商事と同じく業界の中ではトップクラスです。
過去5年の平均年収を見るとほぼ毎年高くなっており、様々な事業を通じて企業が継続的に成長していることが分かります。
第5位:伊藤忠食品(売上高 6,126億円/2022年3月期)
第5位は伊藤忠商事を親会社に持つ伊藤忠食品です。
直近の売上高は6,000億円台ですが、年度に応じて売上高に大きな変化がある点が特徴です。
これまで130年に渡り、食品卸業を中心に展開してきた歴史があります。
現在は酒類やギフトを中心に、既存の商品に高い付加価値をつけ販売することを得意としています。また、メーカーだけでなく小売企業のサポートも積極的に行っているため、多方面の企業から厚い支持を受けています。
また、レシピ動画メディアとの業務提携を行うなど、時代の流れに沿った取り組みも積極的に行っています。
伊藤忠食品の平均年収は520万円程度とされており、業界の中ではほぼ中央値と言えるでしょう。ただし、昇進や昇格によって1,000万に届く可能性があります。
食品商社の平均年収は低い?
食品商社の平均年収は500万円前後となっており、業界として見ると決して高いとは言えません。
ただし日本人の平均年収は461万円であることから、日本人の平均年収よりはやや高めであることが分かります。
(参考:国税庁 平均給与 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2000/menu/03.htm)
一方で、日本・世界を問わず各地へ赴く必要があるため、寮や社宅を含む住宅手当などを支給する企業が多い点は大きな特徴です。このような福利厚生が充実していることから、手取り給与は同額の他業種よりも高いことが推察されます。
また、現在も年功序列の給与体系になっている企業が多く、若いうちの年収が低くても、年齢と共に高くなっていく企業も多くなっています。
転職などをする想定がなく、1社で長く勤めあげたいと考える人にとってはメリットが大きいかもしれません。
魅力とやりがいを天秤にかけて理想の食品商社を選ぼう!
いかがでしたか?
本記事では、そもそも食品商社とは何なのか、そしてどのような魅力があるのか、新卒の人たちに人気がある食品商社はどこなのかなどを詳しくご紹介してきました。
私たちの生活に密接に関わる「食」に関連する事業だからこそ、やりがいが見えやすく長く業界で勤める人はたくさんいます。
また、日本全国や世界各地を飛び回ることができるため、日頃とは異なる拠点での生活に胸を躍らせる人も少なくありません。
一方で、業界トップ企業は売上高が1兆円を超えますが、そうではない企業は6,000億円前後になるなど、企業規模の差が特に大きい業界でもあります。
もし食品商社に興味を持った場合は、自分は何を優先して企業を選ぶのかをじっくり考えてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。