この内定承諾書にサインしてOK?書き方や注意点を解説
2022年11月17日更新
はじめに
内定を獲得すると、初めて手に入れることができる内定承諾書。
初めての内定承諾書は喜びも大きく、ついすぐサインしたくなるかもしれません。
しかし、一見すると拘束力が高そうな書面のため、どのように扱うべきか不安な人は多いのではないでしょうか。
「サインしないと内定は取り消されてしまう?」
「一度サインした内定を辞退することはできる?」
「どこまでの効力がある書面なの?」
内定承諾書は、正しく理解していないとせっかく手にした内定が無駄になってしまう可能性はゼロではありません。
そこで今回は、そもそも内定承諾書とは何なのか、また、どれほどの拘束力があるのかなど、気になる点を詳しくご紹介します。
内定を既に獲得している人はもちろん、まだ獲得していないという人も、今後のためにぜひ目を通してみてくださいね。
1.就活で登場する内定承諾書とは
内定承諾書とは、企業に対して内定を承諾する旨を伝える書面です。
自身が書面を用意して記入するものではなく、内定者への内定が通知されたのち、企業から送付されます。
一般的には内定企業の社長の名前で発行された書面で、内定が取消となる場合の事由と共に、内定者自身が住所や署名を記入する欄が用意されています。
内定承諾書は内定を承諾、すなわち「よろしいと理解する」ことを指します。
そのため企業は、内定者の内定承諾書の返送は、内定を受け入れたものとして認識します。
内定通知書との違い
似たような書面に、内定通知書があります。
内定通知書は、その名の通り企業側が内定を通知するために準備された書面です。
こちらの書面も、一般的には内定企業の社長の名前で発行されており、内定を通知する旨とその日付が記載されています。
採用通知書との違い
採用通知書は、基本的には内定通知書と同様の扱われ方をします。
そのため、採用が決定した際に企業から通知される書面という認識で相違ないでしょう。
ただし、企業によっては内定時には内定通知書、内定承諾書の返送を確認した後に採用通知書を発行する場合があります。
この場合にはあくまでも内定通知書は内定を通知したにすぎず、採用通知書が本採用の決定を通知していることを指します。
採用通知書は必ずしも全ての企業で発行しているとは限らないため、内定承諾書返送後に書面の通知があったとしても、大きな問題ではないと理解しておきましょう。
雇用契約書との違い
雇用契約書は、その名の通り雇用に関する契約を結んだ書面です。
労働者と雇用主との間にある、労働契約の内容がこの書面上で明らかにされています。
給与や就業場所、勤務時間や業務内容、退職に関する情報が詳しく記載されており、個々人によってその内容は異なります。
ただし雇用契約書は、新卒の場合には入社以降に提示されることが少なくありません。
なぜなら、多くの企業が新卒は一律の給与を設定し、事前に提示しているためです。
そのため、内定時もしくは内定承諾時には提示されないこともありますが、応募時の情報と相違がないと捉えておいて問題ありません。
ただし、最近では新卒採用においてもスキル採用やポジション採用などを行うケースは少なくなく、入社時から他の人と異なる給与が提示される場合もあります。
その際には、必ず雇用契約書を元に契約内容を確認しておく必要があります。
2.内定承諾書返送時のポイント
①内定通知書の内容を確認する
②返送期間に問題がないか確認する
③返送時に同封するものがないか確認する
ポイントとなる点を3点ほどご紹介します。
①内定通知書の内容を確認する
まず、内定通知書に誤りがないか確認しましょう。
一般的に内定通知書には、内定者の所属大学と名前、内定を企業側が取り消す場合の理由が書かれています。
万が一所属大学や名前に誤りがある場合には、自分自身の内定通知書ではない可能性があります。その場合は早急に企業に確認しましょう。
また、内定取り消し時の理由についても確認することが重要です。
多くは「卒業できなかった場合」「犯罪を犯した場合」など、就職することが難しいと想定される内容に留まります。
ほとんどの人が納得できる理由かと思いますが、気になる点があれば承諾前に確認することが大切です。
②返送期間に問題がないか確認する
内定承諾書の返送期限が記載されている場合があります。
返送期限は企業によって異なり、内定通知後1週間と定めている企業や、内定式直前までを期限として設定している場合もあります。
入社を決める際に、ほとんどの就活生が他社の選考状況との兼ね合いを気にしています。
特に最終選考フェーズでは、内定を出される日が決まっており、その日まで承諾書の返送を行いたくないという場合もあるでしょう。
そのような場合には勝手に判断せず、返送期限を人事に相談することが必要です。
必ずしも期限の延長に納得してくれるとは限りませんが、多くの場合には融通を利かせてくれるでしょう。
万が一返送期限を過ぎてしまうと、内定が取り消され、他の人に内定が渡る可能性があります。期限についてはうやむやにせず、きちんと確認することが大切です。
③返送時に同封するものがないか確認する
企業によっては、返送時に同封物を求められる場合があります。
その際は、内定承諾書ではなく同封の書類に記載されている場合がほとんどです。
同封物指定がある場合には、同封物が無ければ内定承諾に繋がらない可能性があるため、必ず確認するようにしましょう。
3.内定承諾書の返送方法
返送のために必要な内容をご紹介します
同梱するもの
内定承諾書を返送する際には、内定承諾書のみを返送するのではなく、添え状を一緒に同梱するのが良いでしょう。
添え状を同梱することによって、送付時の送った・送られていないといった議論を防ぐことができます。
添え状は、インターネット上で検索すれば簡単にテンプレートを見つけることができますが、一般的には以下の情報を記載する必要があります。
- 発送年月日
- 宛先となる企業や担当部署、担当者名
- 自分の住所、氏名、連絡先
- タイトル
- 書類のタイトルや枚数
- 本文
記載する本文についても、インターネット上で検索して見つける形で問題ありません。
なお、年月日は書類作成日ではなく、発送年月日になるよう記載しましょう。
また、宛先となる企業名や部署名については、必ず正式名称で記載します。
封筒について
封筒は、内定承諾書を折る必要がないサイズを選びます。
多くの場合、内定承諾書はA4サイズのため、A4サイズの封筒を選ぶと良いでしょう。
また、色は白を選ぶのがおすすめです。
茶封筒と比較し、白の封筒は重要な書類を送付する際に利用されます。
内定承諾書は重要書類のため、白を使うのがマナーでしょう。
書類がきちんと到着したのか、不安に感じる場合には追跡型郵便を活用するのもおすすめです。
封筒の書き方について
封筒には、表面に内定承諾書の送付先となる企業名、企業の住所に加え、受取人となる人事の部署名を記載します。人事の名前が指定されている場合には、名前も合わせて記載しましょう。
全ての情報は簡略化せず、正式名称で記載することが大切です。
しかし、多くの場合には企業が返送用封筒を同梱してくれています。
その場合には、届いた封筒をそのまま活用してください。
その際、以下の点に注意する必要があります。
- 「〇〇企業行」の行を御中に変更
- 「〇名前〇宛」の宛を様に変更
自分が企業宛に情報を送付する際は、企業に付ける敬称を二重線で消して変更する必要があります。
もちろんそのまま送付しても問題はありませんが、配慮をした上で送付するのがおすすめです。
また、裏面には自分の情報を記載します。
郵便番号を含む住所、名前と電話番号も念のために記載しておくと安心です。
4.内定承諾書に関するよくある質問
Q.辞退の際には内定承諾書は返送しない?
A.辞退の場合には、内定承諾書を返送する必要はありません。
しかし、必ず人事には内定辞退する旨を連絡するようにしましょう。
連絡しなければ、内定承諾が保留のままになっているかもしれません。
辞退連絡はメールでも可能ですが、誠意を見せるのであれば電話をするのが良いでしょう。
直接言葉で伝えることで、気付くことがあるかもしれません。
もちろんハードルが高い場合は、1日でも早く人事に連絡することが優先のため、メールでもかまいません。いきなり音信不通になることだけはないようにしましょう。
Q.記載する住所は今住んでいる住所でOK?
A.今住んでいる自宅の住所で問題ありません。
ただし、入社までに必要な書類がある場合には、記載した住所に書類が届く場合があります。
- 早めに自宅を引き払う
- 実家に戻って暮らす
- 海外などに行って自宅を長く空ける
などの事情がある場合には、内定承諾書の返送時に合わせて人事に伝えておくと安心です。
住所に限らず、内定承諾時から情報に変更がある場合は、その都度人事へ連携しておくのが安心です。
入社が近くなると、企業は提出されている情報を元に社員登録などの準備を行います。
もちろん入社後に変更することは可能ですが、内定者・人事双方にとって手間となるため、変更が生じた時点で連携を行うのがおすすめです。
おわりに:意思を固めてから内定承諾書は提出を
今回は、そもそも内定承諾書とは何なのか、また、どれほどの拘束力があるのかなど、気になる点を詳しくご紹介してきました。
「サインしないと内定は取り消されてしまう?」
「一度サインした内定を辞退することはできる?」
「どこまでの効力がある書面なの?」
といった疑問や不安を解消することはできたでしょうか?
内定承諾書は、たった1枚の紙かもしれません。
確かに法的拘束力はありませんが、内定を通知するまでに就活生も、人事も莫大な時間を費やしているはずです。
相手が企業だからと、不義理な行いをする就活生は少なくありません。
しかし、企業にいる人事も人間です。最低限のマナーを守り、辞退する場合にも最善を尽くすべきでしょう。
「内定を承諾していないことにもできる」という認識で内定承諾書を提出するのではなく、意志を持って最終決定をした上で、提出することを心掛けてくださいね。